著者
大橋 真也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.18-23, 2022-06-01 (Released:2022-12-06)
被引用文献数
1

新学習指導要領の共通教科情報において,データサイエンスが新出項目として導入される。情報におけるデータサイエンスの扱いは,「情報Ⅰ」においてはデータの整理や分析,可視化の手法を中心とした内容であり,「情報Ⅱ」においては,機械学習などAIの基礎を学ぶ高度なプログラミングも含まれている。ここでは,共通教科情報と大学の情報教育との接続についてや現場である高等学校における現状について,新学習指導要領および教科書等をもとに考察した。
著者
今村 洋一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.598-603, 2024-03-11 (Released:2024-03-11)
参考文献数
47

本研究では、甲信越三県の国立大学(山梨大学、信州大学、新潟大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。山梨県では、罹災した山梨師範学校と山梨工業専門学校が、近隣接する旧軍施設(旧歩兵第49連隊)に移転し、新制移行後、その校地と元の校地の一帯に集約移転した。長野県では、非罹災の松本医学専門学校が、郊外の旧軍施設(旧歩兵第50連隊)に移転し、新制移行後、松本市内に限っては、その校地及び隣接地に集約移転した。新潟県では、新潟第二師範学校が、隣接する城址の旧軍施設(旧第13師団司令部)に女子部を開設して校地を拡張した。また、非罹災の新潟青年師範学校や新潟県立農林専門学校は、他都市の旧軍施設(旧歩兵第16連隊、旧歩兵第16連隊第3大隊)に移転した。新制移行後は、新潟市郊外の新たなキャンパスへの集約移転が進められた。
著者
今村 洋一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.592-597, 2024-03-11 (Released:2024-03-11)
参考文献数
59

本研究では、北陸三県の国立大学(富山大学、金沢大学、福井大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。富山県では、罹災した富山師範学校が、郊外の旧軍施設(旧歩兵第35連隊)に移転し、新制移行後30年以上かけて、その校地及び隣接地に集約移転した。石川県では、非罹災の金沢高等師範学校や石川青年師範学校が、郊外の旧軍施設に移転した。一方、占領軍の方針もあり、城郭部の旧軍施設が新制金沢大学のメインキャンパスとなり、集約移転が進められた。福井県では、罹災した福井師範学校が、郊外の旧軍施設(旧歩兵第36連隊)に移転した。また、後の福井地震で罹災した福井青年師範学校も郊外の旧軍施設(旧歩兵第36連隊)に移転した。新制移行後は、福井市内の工学部周辺への集約移転が進められた。
著者
百鳥 直樹 小泉 公乃
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.24-41, 2024 (Released:2024-02-29)
参考文献数
73

本研究の目的は,2000 年代前半の国立大学改革によって変化した国立大学図書館組織を類型化したうえで,その特徴を解明することである。現在の国立大学図書館組織を8 つに類型化し特徴を明らかにした。組織分類の特徴から,1)法人化前の組織形態を継続する組織,2)学内の他部門と統合した組織,3)図書館以外の業務も担当する組織と,組織が多様化していることを確認した。また,法人化前後の比較や学部数による大学規模の分析から, 大規模な国立大学(8 学部以上)が法人化前の組織体制を継続しているのに対し,中小規模の大学(7 学部以下)では他部門組織との統合,統合に伴う管理職数の削減,図書館管理職の職位の格下げが行われていることが明らかになった。そして,これら組織再編の多くが,大学全体の業務の合理化・集約化を目的に行われた。
著者
服部 恒明 廣原 紀恵
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.127, no.2, pp.73-79, 2019 (Released:2019-12-18)
参考文献数
31

戦後日本人の身長が年年増加を続けたことは多くの時代差研究で明らかにされてきた。この伸長化の傾向は1994年から2001年あたりをピークに終了したとされ,高径のプロポーションは今後変わることはないだろうという指摘がされている。本研究は,学校保健統計調査報告書(文部科学省)のデータを用いて,成人値に最も近い17歳の日本人青年における座高と下肢長の変化を戦後から現代までBody Proportion Chart法によって観察した。このチャート法により,身長,座高,下肢長および座高に対する下肢長の比の経年変化を同時に観察した。その結果,現代の青年は身長の増加は止まったが,座高の増加と下肢長の減少が同期してみられることから,高径のプロポーションは今なお変化していることが明らかになった。この経年変化は,対象集団の中で座高が高くなる資質をもった人の割合が増加したことに起因する可能性がある。それをもたらした要因として,対象集団の親世代において,長胴傾向にある女性で出産割合がより高いことなどが推測された。日本の青年の高径比率が依然として変化していることを考慮すると,今後その変化の要因を検証するうえでも,座高の測定は学校保健調査の一環として再開されることが望まれる。
著者
前田 勇樹 川畑 宗太
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2161, 2024-03-31 (Released:2024-03-01)

琉球大学附属図書館では,2021年度からYouTubeによる情報発信を行っている。所蔵する貴重資料やデジタルアーカイブに関するコンテンツを中心にこれまでに100本以上の動画を公開した。本稿では,琉球大学附属図書館のYouTubeを活用した広報事業について,その経緯やコンセプトおよび実施中の事業を詳述し,現段階での外部からの評価をもとに課題を提示した。
著者
梶原 瑠衣 山根 泰志
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2166, 2024-03-31 (Released:2024-03-05)

九州大学附属図書館は,貴重書等の画像を活用した図書館グッズを,九州大学生活協同組合と共同制作した。当該商品は,九州大学のオリジナルグッズのひとつとして,2021年に販売が開始され,恒常的に誰でも購入できる状態となっている。また,寄附事業「九州大学デジタル資料整備事業」の返礼品としても活用している。従来,九州大学附属図書館では無償の図書館グッズを制作したことはあったが,販売用グッズ制作は初めての試みとなった。1年以上かけて制作した図書館グッズについて,完成までの道のりを紹介する。
著者
清重 周太郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2162, 2024 (Released:2024-03-01)

本研究では,図書館評価におけるエビデンスの強化を目的として,大学図書館の活動情報をメタデータ管理によって定量化する手法を提示する。北海道大学附属図書館では活動情報定量化システムのプロトタイプを開発するとともに,2020年度の活動に対して担当業務を粒度にメタデータを付与し,既存の財源および成果データと関連付けるデータ整備を試行した。結果として財源—活動属性—利用統計のサイクルの可視化が得られるとともに,学習評価の手法を応用した部署アセスメントが構想できることを示す。
著者
橋本 文彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.FIN-001, pp.07, 2008-09-13 (Released:2023-01-06)

The purpose of this study is not predict a future stock price based on the past time series data, but is to clarify that how human predict a future stock price, when they see the past time series da Our experiments use computer program that shows time series data on discrete graph to subjects. It is considered that these time series data ( 1 ? 15 day or 1 ? 30 day ) are the past stock price. Subjects are required to predict future price of this stock at certain future time (31st, 35th , 45th , 55th day). The result of this experiment is that human adopt two ways of prediction. The first way is strong depend on nearest past data, man use this way to predict very near future. The second way is almost linear regression using all given data. However this is not just linear regression, but their prediction is approached to average of the past data.
著者
森田 啓 片岡 暁夫 近藤 良享
出版者
Japan Society for the Philosophy of Sport and Physical Education
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.25-43, 1998 (Released:2010-04-30)
参考文献数
48

The purpose of this study is to show that the sport world should choose the common good based on the dispute between liberalist and communitarian.Though the word liberalism is ambiguous, we define liberalism as the thought based on unencumbered selves (M. J. Sandel), which includes utilitarianism, deontological liberalism, or revisionist's liberalism. Needless to say, liberalism depends on civic virtues.Liberal democracy in this century destroys the civic virtues, so that liberalism reaches the extreme relativism which denies the past and present values and goodness and affirms the unlimited selfishness, especially economic one.In favor of communitarians' criticism, we agree with Sandel's contention of situated selves rather than ‘unencumbered selves’ and propose that we should make an effort to recover the common good in our society.Turning to the sport world, we have gradually swept away its original ethics such as sportsmanship, fair play and the mind of social relationship in England in 19th century. And now the sport world also accepts the tendency of the unlimited self-interest, especially economic one.The ethics of ordinary world has nothing to do with that of the sport world, but the latter bases on the former. In conclusion, we must note that the sport world should maintain the traditional common good because the ordinary world also needs to reinstate us in the common good.
著者
秋山 翔 加藤 拓貴 山口 拓也 平岡 隆晴 豊嶋 久道
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.297-298, 2016-03-10

金融市場における取引システムには、パラメータを含む多くのテクニカル指標が利用されている。取引システムを最適化する場合、最適解が評価期間でしか有効でないオーバーフィッティングという問題がある。この問題の理由の一つとして、テクニカル指標の各パラメータが評価期間を通して固定されてしまうことが挙げられる。 本研究では、テクニカル指標のパラメータが時間により可変な取引システムを提案する。提案する取引システムを最適化することによって、パラメータが特定の値に過度に依存しない解を求めることが可能となる。この特性がオーバーフィッティングの問題の解決に役立つと期待される。
著者
趙 書心
出版者
日本女性学会
雑誌
女性学 (ISSN:1343697X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.54-75, 2022-03-31 (Released:2023-04-01)
参考文献数
23

女性運動の先駆として有名な『青鞜』(1911年創刊) の研究において、「レズビアニズムの排除」が指摘されてきた。しかし、それが平塚らいてうが執筆した評論的な文章のみを分析して得られた結論であり、文学的な作品におけるレズビアン表象については検討されていない。本論では、『青鞜』における四つのレズビアン小説を、同時代の女性同性愛言説との関係性において読むことで、「レズビアニズムの排除」という理解を修正することを試みた。1913年前後〈新しい女〉の社会問題化をきっかけに、『青鞜』の女性解放論者の周りで女性同性愛をめぐる言説が多く浮かび上がってきた。『青鞜』の小説が、外部の同性愛言説に応答しながら、レズビアニズムに対する意味づけを更新していた。そこには「レズビアニズムの排除」に収まらない言語表現が確認できる。女性同性愛を揶揄するスキャンダルな言説に対し、小説はそれに対抗しまたはそれを攪乱している。さらに『青鞜』が性科学を用いてレズビアニズムを排除した以後も、小説には同性愛に承認を与え、排除に抵抗する言説が現れている。小説というジャンルには、従来見落とされてきた、『青鞜』におけるレズビアニズムの一つの水脈が見出せる。
著者
山田 翔平
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-23, 2024 (Released:2024-02-29)
参考文献数
67

本研究では,大学図書館の主な利用者である大学生の視点を考慮し,大学生に意識される大学の属性と大学図書館蔵書の関係を,ページ数に着目して高い解像度で記述した。大学の属性は,設置形態,入試偏差値,所在地の3 つを取り上げ,属性ごとに大学を群に分けて蔵書を比較した。大学図書館蔵書の分析でほとんど取り上げられていないページ数に着目し,ページ数の記述統計量とヒストグラムを分析した。経済学,理学,文学,工学の 4 つの学問分野を取り上げ,分野ごとの分析結果を見比べながら属性ごとの蔵書の特徴を精緻に記述した。4 分野で計251 校,334,594 タイトルを対象とした。4 分野に共通して見られた特徴として,設置形態においては,公立大学が所蔵するタイトルのページ数の平均値・中央値が国立大学・私立大学に比べて大きく,公立大学が所蔵するタイトルの分布は国立大学・私立大学に比べてページ数の多い方に寄っていることが得られた。
著者
宮入 暢子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.92-98, 2024-03-01 (Released:2024-03-01)

社会のデジタルトランスフォーメーションが進む現在,デジタルアイデンティティの必要性が国際的に重要な議論となっている。自己主権型や分散型といった新しいアプローチによるデジタルアイデンティティのフレームワークは,社会経済基盤だけでなく,学術コミュニケーションのエコシステムにも影響を与えようとしている。本稿では,新しいデジタルアイデンティティの基本概念について先行モデルとの比較とともに概観し,研究者識別子が新たなモデルを採用することにより得られるメリットについて検討する。
著者
新居 池津子
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3-4, pp.194-207, 2023-10-20 (Released:2024-02-29)
参考文献数
16

本研究では,中学校の生徒の指さしや注視に着目し,印刷と電子のメディアにより生徒の読書行為がどのように異なるのかを授業の文脈に即して明らかにした。公立中学校において,15日間のフィールドワークを通して,9時間の授業を参与観察し,ビデオデータを収集した。教科書以外の多様な印刷メディアと電子メディアを利用する生徒の読書行為を観察する場所として適切であると考え,学校図書館を活用した授業を分析の対象とした。まず,1クラス33名の3年生を協力者としたビデオデータより,各メディアの共有場面を1秒間隔で静止画像に切り出し,印刷メディア31シーン(3,611枚),電子メディア49シーン(2,394枚)の合計6,005枚の静止画像を5つの読書行為に分類し,印刷と電子メディアを利用する際の連鎖パターンの特徴を捉えた。次に,マイクロ・エスノグラフィーの手法を応用し,各メディアの特徴的な読書行為の連鎖パターンがどのように生起しているのかを分析した。その結果,以下の2点が明らかとなった。第一に,生徒は,メディアに応じて読書行為の連鎖パターンや生起時間を秒単位で調整していた。第二に,生徒は,読書行為において,注視を有効に活用していた。これらのことは,生徒がそれぞれのメディアを共有する際に示す読書行為には,お互いの文章理解を示す指さしや共同注視だけでなく,個別の生徒の沈思黙考を表す単独で行われる注視も含まれ,授業において重要な機能を果たしていることを示している。したがって,授業においては,特定のテキストに着目させる場合には電子メディア,テキスト理解を踏まえた話し合いを行う場合には印刷メディアを用いるといったような,メディア選択や生徒が個別にメディアと向かい合うことができる時間を確保するといった配慮が必要であることが示唆された。