著者
西田 宗弘 畠中 憲之
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

超伝導系で起こる現象の多くは、量子化された渦電流である量子渦の運動に支配される。この量子渦が対を形成すれば、一種の移動可能な人工分子が実現する。本研究では、量子渦対が生じ得る系として、超伝導/強磁性/超伝導伝送線路と一次元超伝導干渉素子列を考案し、量子渦対の運動の詳細を明らかにした。これにより、強磁性層の磁区構造やラチェット効果を用いて量子渦対の運動制御が可能と分かり、新規量子機能デバイス実現への可能性が開かれた。
著者
岸原 信義
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.298-307, 1978-08-25

気象庁統計課は確率日雨量について, 横軸に年最大日雨量, 縦軸にR.P.をプロットしてR.P.曲線を描き, そのタイプ分類をし検討した結果, 極値飛び出し型であるF型では, 小河原を除いて既応の推定法では実測値との間に大差が生じ, これらの推定法に重大な問題点があることを指摘した。本論ではこの検討をさらに進め, R.P.曲線の型の分布, 特性等を明らかにし, 既応の推定法が有効でないとの結論に達した。さらに夏期降水量と年最大日雨量の平均値, 標準偏差ならびに確率日雨量との関連を調べて, 夏期降水量と確率日雨量に関するモデルを作った。そのモデルに基づいて, 夏期降水量とR.P.曲線による確率日雨量の推定値を片対数方眼紙にプロットし, その包絡線で確率日雨量を推定する方法を提案した。
著者
光来 健一 千葉 滋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [システムソフトウェアとオペレーティング・システム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.75, pp.55-62, 2000-08-04
参考文献数
9
被引用文献数
1

ウェブサーバに代表されるサーバの安全性を確保する技術の一つに、サーバのアクセス権限を動的に変更する技術がある。しかし、安全のためにアクセス権限を強い状態から弱い状態に変更することしかできず、プロセスプールの手法を用いたウェブサーバなどで利用するのが難しかった。そこで我々はプロセスを安全な状態に戻すことによって、アクセス制御を安全に解除する機構を提案する。プロセスを安全な状態に戻す作業をプロセス・クリーニングと呼び、レジスタやメモリの内容、シグナルやファイル・ソケットの状態などをあらかじめ保存しておいた状態に戻す。apacheウェブサーバにおいてプロセス・クリーニングを行うことにより、サーバの平均応答時間が1.2倍〜1.7倍になり、スループットが16%〜40%低下することが分った。しかし、リクエスト毎に子プロセスを作って処理させる場合と比べると、サーバ性能が約2倍向上した。
著者
村上 かおり 鈴木 明子 一色 玲子 藤井 志保 林原 慎
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.39, pp.225-230, 2010

2012年から全面実施される中学校新学習指導要領技術・家庭, 家庭分野では, 浴衣など和服について調べたり着用するなどして, 衣生活文化に関心をもたせたり, 和服の基本的な着装を扱うことが有効な手だてとなり得ることが述べられている。そこで本研究では, 衣生活題材における製作教材をカジュアルベストから甚平に代えて, 衣生活文化に着目した題材を提案した。本題材は広島大学附属三原中学校にて平成22年度中学3年生を対象として行った。指導にあたっては, 幅広く衣生活に関心を持ち, 学んだことを生かせるように, 個性に応じた着装の工夫という視点に加え, 甚平をなぜ作るか, どのように作るか, どう活用するかの道筋を示し, 課題を解決しながら学ばせた。また和服についての調べ学習を行わせ, 身近な衣服や技術が我が国の伝統や文化の中で受け継がれていることに気付かせることをねらった。その結果, 甚平製作を通して, 生徒は和服の特徴や衣生活文化について多くの気付きを示した。このことから, 甚平製作が衣生活文化の題材として有意義であることが示唆された。しかし実習時間の不足という課題も改めて認識できた。
著者
縄田 裕幸
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.7-16, 2011-02-25

The aim of this paper is to consider how theoretical linguistics can contribute to providing learners with metalinguistic knowledge and developing their grammatical awareness in the school curriculum, with special reference to the relation between generative grammar and English as a foreign language (EFL) in Japan. Back in 1970s, generative grammar and EFL were much more intimate than they are now, but along with the theoretical development of generative grammar in 1980s, English teachers came to give it the cold shoulder. Their divorce was inevitable because teachers in those days attempted to introduce technical details of generative grammar directly into the classroom. In light of the lessons in the past, I argue that it is important to distinguish the knowledge employed by learners to organize their interlanguage grammar and the knowledge necessary for teachers to arrange their teaching materials, and that the metalinguistic knowledge obtained from generative grammar primarily fall into the latter category. Specific areas of contribution from generative grammar to EFL include, among others, the awareness of constituent structure, the distinction between arguments and adjuncts, and the interaction between lexical information and grammatical rules.
著者
志水 幸 志渡 晃一 村田 明子 日下 小百合 亀山 青海 小関 久恵 古川 奨 杉山 柳吉 倉橋 昌司 樋口 孝城 貞方 一也 岩本 隆茂
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-71, 2004

本稿では、本学新入学生の健全なライフスタイルの確立に資するべく、日常の健康生活習慣の実践度、心身の自覚症状、自覚的健康感などについて検討した。その結果、以下の諸点が明らかとなった。1)健康生活習慣実践指標(HPI: Health Practice Index)で良い生活習慣が守られていた項目は、男女ともに「適正飲酒」(男性96.6%、女性98.1%)であった。他方、もっとも実践率が低かった項目は、男性では「朝食摂取」(57.7%)、女性では「拘束時間が10時間以下」(69.6%)であった。2)HPI得点は、男女とも6点がもっとも多く、男性28.4%、女性34.3%であった。また、7点以上の良い生活習慣を実践している割合に、男女間での差はみられなかった(男性23.5%、女性23.7%)。3)自覚症状で、女性と比較して男性で有訴率が有意に高い項目は確認されず、男性と比較して女性で有訴率が有意に高い項目は、「なんとなくゆううつな気分がする」、「誰かに打ち明けたいほど悩む」、「理由もなく不安になる」、「自分が他人より劣っていると思えて仕方がない」、「足がだるい」、「肩が凝る」、「胃・腸の調子が悪い」、「便秘をする」の8項目であった。4)HPIを実践している群と比較して、実践していない群で自覚症状得点が高い傾向、また、自覚的健康感が低くなる傾向が認められた。以上の結果から、HPIの実践は、自覚症状有訴率の低下、および自覚的健康感の向上のための、有効な規定要因の1つであることが示唆された。ただし、自覚症状有訴内容や、HPIの実践と自覚的健康感の関連などに性差がみられることから、健康教育対策を講ずる際には性別に対する十分な配慮が必要であると考えられた。
著者
山口 貫一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.28, no.103, pp.905-916, 1925-11-20

元來偏光彈性學の應用は薄板こ限るのであつて又薄板の場合は其の應力状態が彈性學の理論から知れてゐるものが多い。此の事實が偏光彈性學の發達を促したことは見逃すことの出來ない事實であります。又かくして發達した偏光彈性學を理論によつて解き得ない(單に吾々は多くの假設の上にたてた概略的計算に満足を餘儀なくされて居た)問題に應用して幾多の良い効果を擧げて居る。私は新しい問題として次の實験を行ふこととしました。(i)薄い圓板を平行した二平面で圧縮する暢合の應力状態(ii)薄い圓板の中央に極めて小さい穴を明けた場合其の影響如何(iii)漸時穴を大きくし薄い圓輪に至らしめた時應力状態の変化(iv)在來使用して來た彎曲梁に關する公式の適否セルロイド製試験片の寸法は第一圖に示した通りで其の厚は約3mmであります。
著者
中野 敬一
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.21-28, 2002-06-30
被引用文献数
8

都市公園におけるゴキブリの生息状況を把握するため,2000年8月から2001年8月に東京都港区の公園等52箇所で調査を行った.夜間観察でゴキブリの生息の有無を確認し,種類,個体数,発見場所,活動状況を記録した.また,ゴキブリが生息していた樹木の種類等を調査した.ゴキブリの生息は調査した公園等52箇所の46%である24箇所で確認できた.ゴキブリの種類はクロゴキブリとヤマトゴキブリであった.ゴキブリは公園の地面と樹木上で確認した.ゴキブリを確認した樹木は大木・老木が多く,12科19種であった.クロゴキブリはイチョウ,ケヤキ,ソメイヨシノなどに生息していた.ヤマトゴキブリは6,000m^2を越える大きな公園にあるスダジイ,シラカシ,ケヤキ,エノキなどに生息していた.クロゴキブリは7月〜9月に多く確認した.ヤマトゴキブリは1年を通して確認したが,4月と11月に幼虫数のピークがあった.クロゴキブリは屋外でゴミ,鳥の糞,樹液,ネコ餌などを摂食していた.東京の都市部ではクロゴキブリもヤマトゴキブリ同様に公園で越冬し,周年生息ができると判断した.都市温暖化はクロゴキブリの屋外生息性を促進する可能性がある.また,公園でのネコやハトへの餌供給はゴキブリの増加を助長する怖れがある.
著者
宮下 晃一
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

中学校の技術科において生徒が機械的な動く仕組みを製作して動かす実習を通して様々な機構に触れて学ぶことができる,組立て式の機構学習キットの開発を行った。キットは回転軸と無給油ブッシュ,プーリー,歯車,スライダー,リンク等数サイズから構成されている。機構学習キットの教育的効果を評価するために研究授業を行った。研究授業は、講義と実例紹介による従来型の授業と、機構学習キットを用いた授業を行い,それぞれの授業後に生徒たちを対象としてアンケート調査を実施した。その結果,機構学習に本キットを用いることによって,生徒は高い関心を持って授業を受けることができ,身近な機械の仕組みをよく理解することができたことが分かった。
著者
矢野 眞和
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.109-123, 2008-06-15

In 1985, an interesting report that helps understand the relation between the population and the labor market was published. This report, 21 Seiki no Sarariman Shakai, made forecasts on changes in the Japanese employment system toward the year 2000 by forecasting the manpower requirements in various occupations and analyzing the impact of the baby boomers on the labor market. Looking back over this past forecast and learning from its experience, this paper makes projections in the following two areas. The first is a forecast of the manpower requirements by industry and occupation in 2015. The report, based on a consideration of both the change of population by age and structural changes in industry, makes clear that there will be a large mismatch of supply and demand in the labor force. In particular, the service industry sector will experience a shortage of 2.34 million workers and the there will be a shortage of 1.67 million professionals. Conversely there will be too many manufacturing and technical workers. These dramatic changes will accelerate mobility in employment, it projects, to a level above the figure projected in the report in 1985. The second is an analysis of the relation between the number of workers and wages, an indicator of the quality of labor, during three decades of 1976-2006. The main results are as follows. 1) Based on an analysis of relative wages by age group, the ratio of wages of the group in their fifties divided by that of those in their twenties, and of the number of workers in same age groups, it is possible to conclude that the shock of increasing numbers of seniors has been absorbed and that the seniority management system has been maintained through a decline in the wages of seniors relative to the young. 2) Based on the same approach, looking at the relative wages and number of workers by educational background, the relative wage of university graduates to high school graduates has been rising among workers in their thirties and forties even as the number of university educated graduates has increased. This suggests the important policy implication that university is never an over-investment in education because the labor demand for university graduates is rising compared to that for high school graduates within the changing labor market.
著者
岡村 尚昌
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

大学生を対象に健康関連行動調査やGHQ-28を実施すると同時に、唾液を採取し日常生活場面での精神神経免疫学(PNI)反応を測定することで、睡眠時間がPNEI反応に与える影響を検討した結果、最適睡眠時間者(6~7時間睡眠)に比較して、短時間(5時間以下睡眠)あるいは長時間(9時間以上睡眠)睡眠者よって主観的健康観が低下し、ノルアドレナリン神経系の過活動や免疫機能低下などの慢性ストレス状態に至る可能性も示された。