著者
北村 弥 吉岡 順子 坂本 邦樹 吉岡 章
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.505, 1974 (Released:2014-08-25)

健康な母親より,難産で仮死状態で生れた女児に,生後3日目から背部に脂肪織硬結が多発し,組織像も定型的な新生児皮下脂肪壊死であった症例を報告した.ただし,液状物質をいれた嚢腫様構造をとることが本症例の特徴であり,これを分析の資料とし,その成績は,これまでの患部脂肪織の脂肪酸構成とは逆に,オレイン酸が著しく増加していることを知った.とくに治療を行うことなく,約3ヵ月にて完治した.本症の本邦報告例を62例まで集めることが出来た.1924年の中川の最初の記載より10年間は4例,次の20年間に1例の報告にすぎなかったが,1954年から1963年までの10年間には24例,それ以後今日までの10年間に33例と報告例は急増している.このうち記載の明らかな48例について文献的考察を試みた.
著者
蔵本 博史
雑誌
成城国文学
巻号頁・発行日
no.16, pp.47-57, 2000-03
著者
加納 岳拓 岡野 昇 Takahiro KANO Noboru OKANO
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.287-296, 2013

本稿では、「体育における対話的学び」の視点から授業デザインした跳び箱運動の授業実践を対象とし、跳び箱運動における子どもの学びについて明らかにすると同時に、子どもたちの関係がどのようなときに学び合いが成立しているのかという、体育における学び合いについて明らかにすることを目的とした。その結果、跳び箱運動における学びとして、「第二次空中局面における体勢変化」への参加、「支持跳躍運動における切り返し方(身体つかい)」の立ち現れ、「第二次空中局面における体勢変化」にかかわる動きの共有の三点が明らかにされた。また、体育における学び合いについては、「完成された運動を見合う場」から「未完成の運動を共有する場」へ、「運動者中心の指導」から「運動観察者の指導」への視点を加えることが、体育における学び合いを実質的なものにすることが考察された。
著者
中村 隆文
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-17, 2008-09

現代哲学思想において「ヒューム主義(Humeanism)」というものは、反実在論(anti-realism)、あるいはそれに准ずるような、性質に関する「非.認知主義(non-cognitivism) 」として、一般的には主観主義に近い形で理解される傾向にある1。そのような傾向のもと、或る種の反実在主義者(そして、そのほとんどが非-認知主義者であり、たとえば、A.J. エアーのような表出論者やS. ブラックバーンのような投影論者たち)はヒュームの主張を好意的に取り上げる一方、或る種の実在論者たち(たとえば、J. マクダウェルのような認知主義者)はヒュームの主張それ自体を批判しながら反ヒューム主義を提唱するという対立の図式が出来上がっている。しかし、そもそもそうした反実在論vs. 実在論の対立が、あたかもヒューム思想を認めるかどうかであるように図式化されていることについて、私はそこに違和感を感じる。もちろん、その対立図式のもとで生み出された各種議論はそれぞれ重要な意味をもっているのであるが、そもそもヒューム思想がそのような二分法によって理解されるべきものであるかどうかについて、本論考全体を通じて考えてゆきたい。 本論考で紹介するヒューム主義的思考法とは、簡単にいってしまえば、通常は当たり前とされるような関係(いわゆる「分かっている」)を分析し、それが必然的なものではないこと(しかし、同時にそれが不可欠な形で採用されてしまっていること)を論じる手法である。そうした手法を通じて、我々が通常当たり前のように用いている「私」「われわれ」の概念を分析しながら、ヒューム主義というものが奥深く、かつ非常に哲学的な態度であることを論
著者
廣垣 俊樹 青山 栄一 杉浦 義久 小林 飛翔
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.855, pp.17-00132-17-00132, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2

The purpose of this study is to construct the automation technology based on the hammering task and its sound feedback with an industrial humanoid robot equipped with an integrated system of vision, sound and dual arm motion. First, we discuss a suitable flexible rubber stick to achieve the hammering task and developed the acoustic recognition system based on its hit sounds. Second, we confirm that the developed system is sufficient to investigate the task playing the glockenspiel, and also discuss the characteristics of motion based on dual arm motion. Third, we attempt to cooperate with hammering the bottle and pouring liquid into it based on estimating its hit sound. As a result, it can be seen that the proposed system using an industrial humanoid robot achieves sufficient motion accuracy. Therefore it is demonstrated that the proposed approach is found to be effective to construct the automation technology based on the hammering task and its sound feedback with an industrial humanoid robot.

1 0 0 0 OA 唖聾子

出版者
駸々堂
巻号頁・発行日
1889
著者
山崎 博
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

動物実験においては局所TNBS腸炎モデルラットを作成し、自己組織化ペプチド局所投与単独でのその効果を検討した。投与7日後の潰瘍面積、腸重量は有意に減少した。 次にヒト検体においては、健常人、IBD患者での、TRPチャネルファミリーの発現について検討した。末梢血単球中において、UCでは健常人に比べTRPV2が低く、TRPM2が高かった。また疾患活動性とADM,IL-1β,TRPV2,ALBに有意な相関を認めた。臨床検査値については、UCではTRPV2と白血球数に有意な相関がみられた。血球成分除去療法において、TRPV2では、検体数が少なく有意差は認めなかったものの改善群で上昇傾向がみられた。
著者
上田 純子
出版者
The Historical Society of Japan
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.2014-2042, 2000-11-20 (Released:2017-11-30)

This paper explores the decision-making process of the Hagi Domain government during their Bunkyu era reforms, which began in March 1863 and were brought to an end in September 1869 after the bombardment of Shimonoseki and the outbreak of violence in Kyoto. Before the reforms, policy-making functions were carried out by two members of the Karo家老 class, called Ryoshoku両職, who were supported by a small group of lower level officials, the Goyogatachu御用方中. After the reforms, policy-making activities and appeals to the daimyo were both carried out at a newly established Seijido(政事堂;Hall of governance). The officials of the Seijido routinely conducted policy meetings in the presence of the daimyo. These measures aimed at involving a larger range of the warrior class in the consultative process give that process more authority, or potency. The abolition of the Ryoshoku system also aimed at better preparing the domain for war, by emphasising the military role of Karo members and moving the former Goyogatachu officers into military administrative roles.
著者
Ju-hyeon Jung Nan-soo Kim
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.2176-2179, 2017 (Released:2017-12-13)
参考文献数
21
被引用文献数
14

[Purpose] This study aimed to investigate the correlation between the diaphragm thickness and diaphragm excursion, and pulmonary function in individuals with stroke. [Subjects and Methods] One hundred fourteen patients who were clinically diagnosed with ischemic or hemorrhagic stroke were included. The diaphragm thickness and excursion were assessed using ultrasonography, and the diaphragm thickening ratio was standardized using a formula. To analyze pulmonary function, we measured the forced vital capacity, forced expiratory volume in one second, and peak expiratory flow. [Results] A statistically significant correlation was found between the diaphragm thickness, thickness ratio, and diaphragm excursion; and the forced vital capacity, forced expiratory volume in one second, and peak expiratory flow. [Conclusion] This study demonstrated that there is a relationship between respiratory function and diaphragm thickness and diaphragm excursion, especially in the paretic side of the diaphragm. Therefore, the role of the respiratory muscles of the paretic side is important in rehabilitation programs to improve the respiratory function of stroke patients.
著者
大河原 恭祐 飯島 悠紀子 吉村 瞳 大内 幸 角谷 竜一
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.123-132, 2017 (Released:2017-08-03)
参考文献数
43
被引用文献数
2

社会性昆虫であるアリには分巣と呼ばれるコロニー創設法があり、それに基づき複数の女王と複数の巣からなる多女王多巣性のコロニーが形成される。一部の多巣性の種では、コロニーが拡大してもメンバー間の遺伝的均一性が維持され、巣間では敵対行動が起きない。それによって種内競争を緩和し、コロニーを拡大できるとされている。これらの事は遺伝的に均一性の高い集団の形成はアリでも資源の占有や種間競争に有利であることを示唆している。本研究では多女王多巣性で、クローン繁殖によって繁殖虫を生産するウメマツアリVollenhovia emeryi についてコロニー形態や遺伝構造を調べ、その繁殖様式と多女王多巣性の発達との関連を調べた。さらにこうした繁殖機構をもつウメマツアリがアリ群集内の種間競争で有利に働き、優占的に成育できているかを、他種とのコロニー分布を比較することによって推定した。金沢市下安原町海岸林でのコドラートセンサスによる営巣頻度調査と巣間のワーカー対戦実験により、調査区内には8 個の多巣性コロニーがあると推定された。さらにそのうちの主要な6 個のコロニー(S1 ~ S6)について、女王とワーカーを採集し、その遺伝子型をマイクロサテライト法で特定した。4 つの遺伝子座について解析を行ったとこ ろ、女王には19 個のクローン系統が確認され、1 つのコロニーに2 ~ 5 個の系統が含まれていた。また各コロニーのワーカーの遺伝的多様性は高かったが、コロニー間での遺伝的分化は低く、6 個のコロニーの遺伝的構成は類似していた。このような遺伝的差異の少ないコロニー群は、越冬前に起きる巣の再融合によってコロニー間で女王やワーカーが混ざるために起きると考えられる。さらに類似した生態ニッチを持つ腐倒木営巣性のアリ群集でウメマツアリの優占性を調べたところ、営巣種14 種の中でウメマツアリは高密度で営巣しており、比較的優占していた。しかし、ウメマツアリによる他種の排除や成育地の占有は見られず、ウメマツアリは微細な営巣場所を利用することによって他種との住みわけを行っていた。これらのことからウメマツアリのコロニー形態や遺伝構造には、他の多女王多巣性種とは異なる意義があると考えられる。

1 0 0 0 OA 過眼録

出版者
巻号頁・発行日
vol.巻58,
著者
清水 麻由 今井 孝成 山崎 さやか 矢川 綾子 宮沢 篤生 中村 俊紀 北條 菜穂 石川 良子 神谷 太郎 板橋 家頭夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.128-133, 2016 (Released:2016-04-16)
参考文献数
20

【目的】インフルエンザ予防接種ガイドラインには,鶏卵完全除去中や鶏卵摂取後にアナフィラキシー歴がある児は専門施設へ紹介するとし,安全性についての記載はない.今回,特に重症な鶏卵アレルギー児を対象に当科でインフルエンザワクチンを接種した後の副反応について検討し,17例のケースシリーズとして報告する.【方法】対象は平成25年度にインフルエンザワクチンを希望し,当該ワクチンの接種歴がなくかつ重症な鶏卵アレルギー児(鶏卵完全除去中かつ卵白またはOvomucoid(OVM)特異的IgE値がスコア4以上である児〔以下完全除去児〕,または鶏卵摂取にてSampson分類でGrade III以上の強いアナフィラキシー症状の既往のある児〔以下アナフィラキシー児〕)とした.接種前に10倍希釈ワクチン液でプリックテストを施行し,2分割接種を行った.主要評価項目は,接種後30分以内,24時間以内の副反応の出現状況とした.【結果】17例(完全除去児9例,アナフィラキシー児8例)を対象に,のべ33回接種を行い,接種後の副反応は,分割接種30分以内,24時間以内とも認めなかった.【結論】重症な鶏卵アレルギーであっても,インフルエンザワクチンは安全に接種できる可能性が高い.
著者
長谷川 淳也 広木 正紀
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学環境教育研究年報 (ISSN:09193766)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.63-78, 2006-03-31

「身近な自然の,資源としてしての面」への目を育む教材開発のテーマとして,「回りにある地面の土を原料とした焼き物づくり」を取り上げた。「土の採取から土器づくりに到る筋道をどのような手順・方法で辿れるか」と「土器の原料に使える粘土が,どんな地面の土から取り出せるか」について検討した。