- 著者
-
狩川 大輔
- 出版者
- 安全工学会
- 雑誌
- 安全工学 (ISSN:05704480)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.6, pp.442-447, 2023-12-15 (Released:2023-12-25)
- 参考文献数
- 14
航空管制業務は,「二度と同じ状況はない」と言われるぐらい多様で変化に飛んだ航空交通流を扱う業務であり,多数の航空機の安全かつ効率的な運航を支えている.本稿では,航空管制業務の一つである航空路管制業務の概要について述べると共に,航空路管制業務を対象とした人間工学的研究の一例を紹介することを通じて,変化する条件下で高い安全性を実現する上での航空管制官の持つ適応能力と状況に応じた動的な調整が果たす役割について概観する.それに基づき,人間の弱点の補完や失敗を防ぐための従来型の方法論に加えて,人間の適応能力を支援し,積極的に活用することにより,想定内外の変化に対するシステムの安定性・安全性を高めるという方向での安全アプローチの必要性について議論する.