著者
片岡 栄美
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-20, 1996-07-01 (Released:2016-08-26)
参考文献数
11
被引用文献数
2

本稿は、多様な文化活動に対する文化評価の根底にある認識図式の集団的・社会学的特徴を解明した。主な知見は、以下のとおりである。(1)文化活動の序列評価は異なる社会集団間で共通性が高いが、階層上の地位が高いほど文化弁別力は大きい。(2)社会階層と文化活動のヒエラルヒーは対応し、階層上の地位か高い集団は文化による差異化戦略を採用している。(3)文化評価の構造を検討すると、階層上の地位は文化評価に影響を与え、各階層成員は自らの所属集団の文化を高く、社会的距離のある階層の文化を低く評価することにより、自らが優位となるような評価分類図式を採用する。すなわち文化弁別力の階層差は、客観的な社会経済的な条件のなかから生み出される階級のハビトゥスとなった文化の知覚分類図式である。(4)世代間地位移動が文化評価に与える効果は男女で異なり、男性には文化同化仮説があてはまるが、女性は結婚による下降移動による影響は受けず、出身階層の文化評価パターンを相続する。
著者
Arisa Nishihara Katsumi Matsuura Marcus Tank Shawn E. McGlynn Vera Thiel Shin Haruta
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology · The Japanese Society of Soil Microbiology
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
pp.ME18041, (Released:2018-11-23)

The phylum Aquificae comprises chemolithoautotrophic thermophilic to hyperthermophilic bacteria, in which the nitrogenase reductase gene (nifH) has been reported. However, nitrogen-fixing activity has not yet been demonstrated in members of this deeply branching bacterial phylum. We isolated two thermophilic diazotrophic strains from chemosynthetic microbial communities in slightly alkaline hot springs (≥70°C) in Nakabusa, Nagano Prefecture, Japan. A phylogenetic analysis based on 16S rRNA genes identified these strains as members of the genus Hydrogenobacter within Aquificae. Their NifH sequences showed 96.5 and 97.4% amino acid sequence identities to that from Hydrogenobacter thermophilus TK-6. Nitrogenase activity, measured by acetylene reduction, was confirmed in both strains at 70°C. These novel strains grew under semi-aerobic conditions by using CO2 as the sole carbon source and N2 as the sole nitrogen source in media containing hydrogen and/or thiosulfate. To the best of our knowledge, this is the first demonstration of active nitrogen fixation in thermophilic bacteria at 70°C and in the phylum Aquificae.
著者
山口 作太郎
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.19-35, 2002 (Released:2005-12-08)
参考文献数
39
被引用文献数
1

Thermoelectric system has various merits for use in energy conversion because the temperature difference is only required to generate electric power and there are not movable parts in the system. However, thermoelectric system is not so popular in civil use because its energy conversion efficiency is not high in the present time. But if we consider the exergy flow even in a conventional turbine generator, the turbine generator system can not use energy completely, and a symbiotic and/or hybrid system can be applied, which is introduced in the present study. On the other hand, in fusion reactor there are many parts having large temperature difference because plasma temperature is high and superconducting magnets are used. One of the applications for superconducting system is mentioned and is called Peltier current lead. This can reduce heat leak to low-temperature system, and improve the efficiency of the whole system. Recently, material study has progressed, and various kinds of materials are proposed and studied. The magnetic field effect is introduced as investigated by the author's research group. Magnetic field effect was divided into three levels of the categories. One is in the macroscopic level, and this is characterized by the generalized Ohm's equation. The second level is characterized by Boltzmann equation, and in this level we can discuss the macroscopic transport parameters. The third level is the microscopic level and we discuss the band structure to solve the carriers themselves, for example Schrödinger equation. In this paper, our recent activities are mentioned in these fields.
著者
井上 遠 井上 奈津美 吉田 丈人 鷲谷 いづみ
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.87-98, 2018 (Released:2018-07-23)
参考文献数
49

奄美大島の亜熱帯照葉樹林における森林性鳥類の種組成、および保全上重要な種の生息密度分布のモニタリングに録音法を用いる可能性を検討した。繁殖期(2015 年4 月22 日~ 5 月6 日)に5 か所の森林域において、早朝および夜間に音声録音(録音法)とポイントカウント法を同時に実施した。オオトラツグミやルリカケスなど奄美大島の森林域に生息する保全上重要な鳥類種を含めて、録音法でもポイントカウント法とほぼ同様の鳥類相を記録できた。録音法で記録されたリュウキュウコノハズクとアカヒゲのさえずり頻度は、ポイントカウント法で計数した個体数に対して有意な正の効果を示し、録音法はこれらの種の生息密度のモニタリングにも有効であることが示唆された。
著者
平城 達哉 木元 侑菜 岩本 千鶴
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.249-255, 2017

<p>鹿児島県奄美大島に分布するアマミノクロウサギ<i>Pentalagus furnessi</i>を対象として,2007年度~2016年度の10年間に環境省奄美野生生物保護センターにおいて把握できている本種の死亡個体と鹿児島県教育委員会大島教育事務所に集約された天然記念物滅失届の情報(<i>n</i>=499)を用いて,ロードキルの発生場所と発生時期を検討した.ロードキル(113件,交通事故で緊急保護された直後に死亡した3個体を含む)は全体の滅失数の22.6%を占めた.このうち,93件(82.3%)は島の中南部(奄美市住用町,大和村,宇検村,瀬戸内町)で発見されたもので,特に瀬戸内町網野子峠,奄美市住用町三太郎峠,県道612号線,県道85号線がロードキル多発区間であった.アマミノクロウサギのロードキル発生時期には季節性がみられ,発生件数は夏に少なく,秋から冬に多い傾向が示された.</p>
著者
林 紀男
出版者
産業用水調査会
雑誌
用水と廃水 (ISSN:05135907)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.846-854, 2017-11
著者
三上 敏夫
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.364-382, 2006-10-26 (Released:2008-12-25)
参考文献数
83
著者
趙 慶喜
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.35-47, 2018

<p>本稿はここ数年韓国で熾烈な論争を引き起こしている女性嫌悪言説を追跡したものである。「嫌悪(혐오)」という語には,憎悪(hate)と嫌悪(disgust),そして恐怖(phobia)が混在している。嫌悪は新自由主義時代のグローバルな現象であると同時に,韓国社会を強力に規定してきた分断イデオロギーや敵対性の記憶によって増幅される情動である。本稿では,2015年以後に起きたいくつかの出来事を通して,「女嫌」という情動の増幅と転換の過程を考察した。</p><p>江南駅女性殺害事件とともに触発された韓国の「女嫌」論争は,メガリアンという新たなフェミニスト集団を誕生させた。メガリアンは女性嫌悪に反対するという消極的な立場にとどまらず,「女嫌嫌」を目指すミラーリング戦略をとった。ミラーリングは単に原本のコピーに止まらず,原本がいかに差別と嫌悪にまみれたものであるのかを反射を通して知らしめる戦略であった。彼女たちは,男性たちの女性への快楽的な嫌悪表現や日常的なポルノグラフィをそっくりそのまま転覆することで男女の規範を撹乱した。メガリアが爆発的な波及力を持ちえたのは,女性たちの共感と解放感という同時代的な情動が共振した結果であった。</p><p>しかし,女嫌をめぐる葛藤は単なる男女の利害関係をこえたより複雑な分断にさらされた。とりわけLGBTへの反応は,右派/左派あるいは世代や宗教のあいだの様々な対立構図を生み出した。たとえばキリスト教保守陣営による「従北ゲイ」という言葉は,反共と反同性愛を結合させることで韓国社会の内なる敵への憎悪と嫌悪を凝縮させ,フェミニストやLGBTなど既存の境界を撹乱する存在に対する過剰な情動の政治を作動させた。本稿は「女嫌」言説の増幅過程を通して,それが韓国社会に蓄積された様々なイデオロギー的葛藤のひとつの兆候であることを明らかにした。</p>
著者
鈴木 利保
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.92-107, 2006 (Released:2006-01-24)
参考文献数
30

日常臨床で麻酔科医が頻繁に使用する種々の針について, その歴史, 構造, 使いやすさについて解説し, 理想的な針について考察した. 多くの針はメーカーが設計・製造を行い, 使用者である医師の主観的評価のみがあり, その特性が客観的に評価されていない. これらの針を用いた手技は, 生体にとって侵襲的であり, ときに多様な合併症を引き起こし, 死に至る例の報告もある. われわれ医師は, 用いる針の特性を十分に理解し, 合併症を起こしにくい器材を世に出す必要がある. その際には, 使いやすさをわれわれ自身が客観的に評価する必要がある. こうすることにより, 患者と医療従事者の安全が守られると考える.
著者
長谷川 政智
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.45-51, 2018-10-24 (Released:2018-10-24)
参考文献数
3

要旨 ミヤケミズムシXenocorixa vittipennisは,本州,四国,九州に分布し,水生植物が豊富な池沼に高密度に生息するが産地は局所的とされている.また,環境省の準絶滅危惧に指定されているがその生活史についての報告は少なく,交尾や産卵行動についての報告はない.本稿では,宮城県の溜池で,繁殖と思われる行動を観察したので報告する.また,幼虫の成長過程を2015 年4 月から2018 年6 月にかけて観察したので報告する.
著者
藤本 泰文 速水 裕樹
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.79-83, 2018-10-24 (Released:2018-10-24)
参考文献数
15

宮城県北部に位置する伊豆沼・内沼(38˚43’N,141˚07’E)で,2018 年7 月24 日にタナゴAcheilognathus melanogaster を捕獲した.2006 年以来12 年ぶりの再確認であった.タナゴは東日本の太平 洋側を分布域とする在来種で,宮城県では絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に選定されており(宮城県環境生活部自然保護課 2016),それぞれの地域個体群の保全が重要となっている(Nagata et al. 2018).伊豆沼・内沼では防除活動によるオオクチバスの減少にともない,魚類相の回復が始まっており,今回の再確認は防除活動の成果の一つだと考えられることから,その状況について報告する.