著者
兒嶋 昇 升 佑二郎 上村 孝司
出版者
法政大学スポーツ健康学部
雑誌
法政大学スポーツ健康学研究 = 法政大学スポーツ健康学研究 (ISSN:21853703)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.33-39, 2014-03-30

本研究では、日本トップレベルの大学バドミントン選手におけるスマッシュ、クリア及びドロップストローク時の上肢筋活動について検討した。その結果、各ストローク時のiEMGmaxは、橈側手根屈筋および尺側手根伸筋はスマッシュとドロップ、クリアとドロップ間に有意差が認められ(p<0.05)、棘下筋はスマッシュとドロップ間に有意差が認められ(p<0.05)、三角筋はスマッシュとドロップ、クリアとドロップ間に有意差が認められた(p<0.05)。これらのことから、スマッシュやクリアといった瞬間的に大きな力発揮を要するストロークでは前腕及び三角筋の活動が高くなり、大きな力発揮を必要としないドロップではこれらの筋活動が小さくなることが示された。また、クリアとドロップ間では棘下筋への負担に差はなく、それ程大きな負担が生じない場合もあるものの、より速いクリアショットを打ち放つ場合には、スマッシュと同程度の負担が生じる可能性があることが示された。
著者
松本 敬司 福岡 捷二 須見 徹太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_793-I_798, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
9
被引用文献数
3

The Tanaka, Sugo, Inadoi retarding basins which are located along the Tone River have an important role on flood control in the lower Tone river. The lower Tone River has some flood control problems such as flood discharge capacity of the river. In this paper, we developed the unsteady two-dimensional analysis of flood flows using the time series data of observed water surface profiles in the Tone River including the three retarding basins. The calculation model provides a good explanation for flood storage volume in the three retarding basins of 2001 and 2007 floods. Some remarks are given to calculate correct hydrographs of flood storage volume in retarding basins.
著者
矢田 英樹
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.382-389, 2015-11-25 (Released:2019-02-20)
参考文献数
3
被引用文献数
2

日本で芳香消臭剤が使われ始めて60年あまり,現在では家庭での手軽なにおい対策商品として,また香りを積極的に楽しむ商品として多くの人に認知され多数使用されるようになっている.芳香消臭剤で使用されている香りは時代と共に大きく変化し,1980年頃までは香りには消臭という機能的価値が求められていた.1990年頃以降は機能的価値に加えて香りを楽しむといった情緒的価値も求められるようになってきた.使用される香りの種類も時代と共に大きく変化しており,当初の比較的シンプルな香りから,最近では上質で高級志向の香りが多く使用されるようになってきている.
著者
鈴木 康策
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7-8, pp.435-437, 1957-11-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
2

In obtaining skipjack having so little body oil as to be suitable for making good “Katsuobushi” thereof, we cannot still to-day but rely on the natural coming of such material. If we had, therefore, any proper means of removing excessive oil from the fish, we would be able to remove also the limitation arising from the seasonal overgrowth of skipjack oil. Carrying out a few experiments on a small scale, the author has ascertained that very satisfactory results can be achieved by applying an alternating current to the material interposed intimately between the electrodes kept in running water. The results are summarized as follows. 1. The higher the voltage, the less oil remains in the meat after the treatment by an electric device shown schematically in Fig. 2. 2. Ampere of the electric current is not of consequence for the effective removal of the body oil. The best range of available voltage is 170-200 V., while too high voltages cause the meat to crack. 3. Continuous refreshment of water surrounding the meat as shown in Fig. 2 is essential to avoiding large and fruitless consumption of electric energy.
著者
廣瀬 直紀 白石 三恵 春名 めぐみ 松崎 政代 吉田 穂波
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.342-349, 2016 (Released:2017-03-08)
参考文献数
30

目 的 震災が妊婦及び児の身体に与える影響は明らかになっていない。本研究の目的は系統的文献レビューを行い,震災が妊婦や児の身体に与える影響を個々の妊娠転帰別,及び対象者の特性別に明らかにすることである。方 法 震災後の妊娠転帰をアウトカムとした論文を集約するため,キーワードを用いて英語及び日本語文献を対象に電子データベース検索(PubMed, CINAHL, CiNii,医中誌)及びハンドサーチを行った。抽出された論文から包含基準,除外基準に基づき論文を選択した後,Risk of Bias Assessment Tool for Nonrandomized Studies(RoBANS)による評価を行い,包含する論文を決定した。全過程は2名の独立したレビュアーにより行われた。結 果 最終的に6編の論文が包含された。アウトカムとされた主たる妊娠転帰は早産,子宮内胎児発育遅延,低出生体重児の3つであった。震災後の妊娠転帰として4編の論文で早産率の増加,1編の論文で子宮内胎児発育遅延率の増加,2編の論文で低出生体重児率の増加が報告されていた。また,対象者の特性別に分析したところ,妊娠初期に被災した群において有意に在胎週数および出生体重が減少,早期早産率および低出生体重児率が増加し,そして児が女児の群において有意に早産率および低出生体重児率が増加するなど,強い妊娠転帰の悪化が報告されていた。結 論 震災が妊婦の早産,低出生体重児の増加につながる可能性が示唆された。また,被災した妊娠週数や児の性別によって震災への脆弱性に差がある可能性が示唆されたことから,こうした要因については今後の災害対応において考慮する必要がある。
出版者
内務省地理局
巻号頁・発行日
vol.巻之25 葛飾郡之6,巻之26 葛飾郡之7,巻之27 葛飾郡之8,巻之28 葛飾郡之9,巻之29 葛飾郡之10,巻之30 葛飾郡, 1884
著者
和田 一範 岡安 徹也 市山 誠 浜口 憲一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.141-150, 2005-05-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

The Shingen Embankment built about 450 years ago by Takeda Shingen on the Fuji River and the Kamanashi River was designed to control flood flows in the Midai River (tributary) and the Kamanashi River by means of a series of flood control structures including Ishitsumidashi (stone masonry groins), Shougi-gashira (Japanese chess piece-shaped flow splitters), Hokkiri (dug channel), Juroku-ishi (sixteen large rocks used as energy dissipation works), Takaiwa (natural rock wall) and Kasumi-tei (discontinuous levees). The functions of these flood control structures have been subject to various interpretations, and some of those structures and their functions, such as the functions of a number of Shougi-gashira flow splitters and details on Juroku-ishi, which can only be guessed at today, are mysterious in many ways. This paper introduces an attempt at verifying the flow control technology made possible with these flood control structures by using a table-top hydraulic model developed with the aim of explaining the hydraulic phenomena involved.
著者
磯谷 有紀
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2007年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.60, 2007 (Released:2007-04-29)

近年、八ツ場ダム建設に伴う集落移転事業が注目されているが、昭和初期に荒川中流域で行われた大規模な河川改修によって移転を余儀なくされた住民がいたことや、現在でも堤外地に集落が残されていることはあまり知られていない。これまでの荒川の堤外地に関する研究では、集落の立地環境などが明らかにされてきた(池末:1988)が、居住者の生活の実態や集落移転と河川改修の関係を詳細に考察した研究例は見当たらない。そこで、本研究では荒川中流域の堤外地集落を事例に、堤外地での生活および移転の時期と移転形態の関係を、荒川の洪水と河川改修工事を通して明らかにすると同時に、荒川の河川改修が堤外地集落に与えた影響と問題点を検討することを目的とする。本研究では、荒川中流域の羽根倉橋から大芦橋に至る区域の埼玉県川越市古谷上の握津地区、さいたま市の西遊馬地区・二ツ宮地区・塚本地区、吉見町の明秋地区、鴻巣市と吉見町にまたがる古名新田地区の計6集落を対象に、堤外地での生活と堤内地への移転の実態を比較・検討する。これらの集落は、下流に位置する東京を守るための横堤が建設された区域に立地しているという点で共通する。 堤外地での生活や洪水の実態を明らかにするために、各集落の居住者およびかつての集落居住者へインタビュー調査とアンケート調査を実施すると同時に、河川改修の詳細を知るために国土交通省荒川上流河川事務所へのインタビュー調査も行った。また、河川改修前の集落と住居の位置を復元するために、埼玉県立文書館において古地図(荒川筋平面図など)の調査も行った。 1930(昭和5)年に開始された荒川上流改修工事によって、蛇行していた荒川の流路は直線化された。直接この工事区域となった世帯は、移転補償を受けて堤内地へ移転した。しかし、工事区域にはならなかったものの、遊水地となった堤外地に取り残される形となった集落が存在した。昔から水害の多い地域であったため、この堤外地集落の住民(多くは農家)は、水害防備としての屋敷森や水塚、避難用の舟などを備えてはいたものの、工事前までは洪水と共存して生活を営んでいた。しかし、改修工事やその後の上流域においてのダム建設などにより、以前よりも洪水の被害が増大するようになったことを理由に、自ら堤内地への移転を希望するようになった。しかし、国の移転補償が年間1戸程度しか認められなかったため、自費で移転する居住者もあり、この頃の移転形態は世帯の事情などによって違いが生じた。その後、1999年8月の洪水を契機に国の移転補償費が確保されたことから、一括移転が実現した集落(握津地区など)もあった。このことから、集落の移転形態は、移転時期により大きく異なるといえる。さらに、住居の移転とその補償に対する行政や住民の取り組み方によって、移転先が広範囲に分散することとなった集落と、同地区内へ集中する集落に分類できることが確認された。また、今後も堤内地への移転は希望せず、堤外地で農業を継続すると決めている住民がいることや、横堤の上に形成された集落があることは、注目すべき点である。 以上、本研究で明らかになった点は、以下のようにまとめられる。荒川の河川改修によって始まった堤外地に残された家屋の移転は、改修工事そのものによる移転と、工事の結果堤外地になり、洪水被害が増大したことに伴う移転との二つの要因がある。移転先は、同地区内への「集中移転」(明秋・西遊馬地区など)と、元の集落から離れた地区への「分散移転」(握津地区など)に、移転時期は、多くの住民が1~2年の短期間に移転した「一括移転」(明秋地区など)と、長期間にわたって徐々に移転が進んだ「段階的移転」(塚本地区など)に分類される。 遊水地としての堤外地となったことで、住民の生活は脅かされ、堤内地への移転、さらには集落の解体へと進んだ。下流の都市地域を守るための公共事業として推し進められた荒川の改修工事は、中・上流域に暮らす住民の犠牲の上に成り立っているといえる。
著者
小林 大祐
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.1, pp.1-6, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)
参考文献数
36
被引用文献数
5

Overconsumption of Ginkgo biloba seeds induces food poisoning characterized by tonic-clonic convulsions and vomiting. The primary toxic component, 4′-O-methylpyridoxine (MPN), was purified from the seeds in 1985. This review includes the following aspects of ginkgo seed poisoning: 1) toxicity related to the content of MPN and MPN glucoside in G. biloba seeds; 2) the effect of MPN on vitamin B6 analogs, including an increase in pyridoxal and pyridoxic acid and decrease in pyridoxal-5′-phosphate plasma concentrations; 3) case reports of ginkgo seed poisoning in Asia, North America, and Europe, and their effective treatment via vitamin B6 administration. Considering the increase in the use of G. biloba seeds, it is essential to raise global awareness of their potential toxicity.
著者
高鳥毛 敏雄 逢坂 隆子 山本 繁 西森 琢 藤川 健弥 黒田 研二 磯 博康
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.19-25, 2007-01-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
36

〔目的〕ホームレス者の結核の実態とその対策方策を明らかにすることを目的とした。〔対象と方法〕平成15年から17年までの3年間ホームレス者を対象に公的就労事業にあわせて結核検診を実施した。各年の結核検診の受診者数は1,309人,1,545人,1,546人であった。〔結果〕各年の結核有所見者割合は約30%,要治療者割合は約2%とほぼ同様の状況であった。平成17年の要治療者30人中の過表に受検歴のあった者20人について胸部所見を調査したところすでに胸部結核有所見であった者が13人(65%)と高率であった。平成16年と平成17年両年連続受検者857人の分析では,胸部所見IV型の者20人の中から3人が発症,無所見の者597人からは8人が発症していた。つまり,IV型の者は無所見者に比べて11.2倍発症率が高かった。〔考察と結論〕ホームレス者は結核有所見者の割合が高いこと,有所見者からの発病率が高いこと,有症状受診が困難な者が多いことなどから,ホームレス者の結核検診実施にあたっては胸部所見が安定型の者に対してもQFTを活用するなど,何らかの治療基準を定めて対応することが必要と考えられた。
著者
金森 信夫 大澤 祐一 渡辺 和眞
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.739-744,a1, 1993-08-01 (Released:2011-08-11)

山王海農業水利事業で建設を進めていた葛丸ダムは, 平成2年度に完成したことから, 使用開始後のダムの安全管理および施設の維持管理に問題が発生しないよう, 平成3年2月から本貯水に先立ち試験湛水を行った。試験湛水中の観測は, 漏水量・間隙水圧・堤体および基礎の変形・土圧・浸透圧と浸透流量・監査廊の挙動・地震計の挙動の項目を実施しており, これら各項目について貯水位との相関性を明らかにし, 貯水に伴うダム堤体挙動の確認を行った結果を取りまとめたものである。上記の観測結果は, 試験前の推定値よりも極めて少なく, 葛丸ダムは安全な状態であることが確認できた。
著者
安達 登 近藤 修 角田 恒雄 神澤 秀明
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究期間中に、査読つき英文論文6編、査読つき和文論文5編を出版した。成果の中で特筆すべきものとして、江戸時代アイヌのミトコンドリアDNAについて世界初の論文を公表したことが挙げられる。この研究で、アイヌは縄文時代人の遺伝的特徴を色濃く受け継ぐ他に、シベリア先住民族および本州日本人の遺伝的影響も想像以上に大きいことが明らかとなり、日本列島人の成立を説明する二重構造モデルに一部修正が必要なことを初めて実証した。さらに、北海道船泊遺跡出土縄文後期人骨について、世界初となる現代人レベルでの高精度ゲノム解析に成功した。このデータは今後日本列島人の成立を考える上で根幹となる重要なものである。
著者
福岡 捷二 昆 敏之 岡村 誠司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.238-248, 2007 (Released:2007-08-20)
参考文献数
8
被引用文献数
7 11

鶴見川多目的遊水地は2003年6月より運用を開始された.遊水地周辺には出水時の洪水調節量を測定するための観測体制を整備している.平成16年10月の台風22号による出水は運用開始後初めての大規模な出水であり,鶴見川多目的遊水地で約115万m3もの洪水調節がなされた. この出水における鶴見川多目的遊水地の洪水調節量の確認と観測体制の検証を目的として,河道で観測された水面形の時間変化を解とした二次元不定流解析を行い,遊水地の洪水調節効果算定の新しい方法を確立した.また,今後検討すべきより弾力的な遊水地の計画と整備について本解析手法の活用について述べるとともに,遊水地を効果的,効率的に活用するための観測体制の改善案を示した.
著者
田中 逸
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.931-937, 2013 (Released:2014-04-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

生理的な日内リズムは視交差上核の中枢時計と全身の末梢時計が同調して形成されている.エネルギー代謝もこのリズムで規定され,栄養学に日内リズムの概念を組み込んだ学問領域が時間栄養学である.糖尿病の食事療法は1日のエネルギー量と栄養バランスが適正でも,遅くて多い夕食や夜食,1日2食で遅くて多い朝昼兼用食などは時間栄養学的に不利と思われる.時間栄養学の視点に立った個別的な食事療法は血糖改善に有用である.