著者
中山 留美子 中谷 素之
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.188-198, 2006-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
52
被引用文献数
11 or 0

本研究では, 青年期における自己愛の発達的変化について,「2種類の自己愛」という枠組みを用い, 横断的方法により検討を行った。研究1では, 理論的に指摘される「2種類の自己愛」を測定する尺度を作成した。研究2では, この尺度を中学生から大学生までの青年1114人に対して実施した。下位尺度得点を用いて青年の自己愛を「誇大型」「過敏型」「混合型」「低自己愛群」の4下位型に分類し, 各下位型の生起率を学年ごとに算出して, これを比較した。その結果, 自己愛は全体として, 中学生から高校生にかけて高揚し, 高校3年生付近でピークを迎えることが示唆された。また, GHQ (精神的健康調査票) 得点との関連から, 下位型によって適応の高さに違いがあることが明らかになり, ここから, 青年期の自己愛が適応と関連していることが示唆された。
著者
小塩 真司
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.261-270, 2002-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
33
被引用文献数
12 or 0

本論文の目的は理論的に指摘される2種類の自己愛を考慮した上で, 自己愛傾向の観点から青年を分類し, 対人関係と適応の観点から各群の特徴を明らかにすることであった。研究1では511名の青年 (平均年齢19.84歳) を対象に, 自己愛人格目録短縮版 (NPI-S), 対人恐怖尺度, 攻撃行動, 個人志向性・社会志向性, GHQを実施した。NPI-Sの下位尺度に対して主成分分析を行い, 自己愛傾向全体の高低を意味する第1主成分と,「注目・賞賛欲求」が優位であるか「自己主張性」が優位であるかを意味する第2主成分を得た。そして得られた2つの主成分得点の高低によって被調査者を4群に分類し, 各群の特徴を検討した。研究2では, 研究1の各被調査者のイメージを彼らの友人が評定した。384名を分析対象とし, 各群の特徴を検討した。2つの研究を通して, 自己愛傾向が全体的に高い群を, 理論的に指摘される2種類の自己愛に類似した特徴を示す2つの群に分類可能であることが示された。
著者
相澤 直樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.215-224, 2002-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
31
被引用文献数
2 or 0

本研究では, 誇大特性と過敏特性からなる自己愛的人格項目群を作成し, 自己愛的人格の構造を検討した。まず, 67項目からなる自己愛的人格項目群を作成し, YG性格検査の10下位尺度とともに一般の大学生・大学院生545名に実施した。得られたデータにプロマックス回転による因子分析を施したところ,“対人過敏”,“対人消極性”,“自己誇大感”,“自己萎縮感”,“賞賛願望”,“権威的操作”,“自己愛的憤怒”の7因子が抽出された。その後, これらの下位尺度について, 項目一総得点問相関とα係数を用いて内的一貫性を検討した。また, YG性格検査との関係を検討したところ, 各下位尺度の併存的妥当性が確かめられた。次に, 共分散構造分析を用いて自己愛的人格項目群の潜在変数に関するモデルを検討した。モデル1は, 2つの独立的な潜在因子が別々に誇大特性下位尺度と過敏特性下位尺度を規定するという仮説から構成された。モデル2は,“誇大自己”と“萎縮自己”の2つの自己イメージから“自己愛的傷つき易さ”が生じるという潜在因果関係により構成された。分析の結果, 両モデルにおいてすべてのパス係数は有意な値を示したが, 十分な適合度 (GFI) を示したのはモデル2のみであった。以上の結果について, 誇大特性と過敏特性を含む自己愛的人格を包括的にとらえる視点から考察を行った。
著者
永松 俊哉
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.240-247, 2013-07-15 (Released:2016-12-28)
参考文献数
28

先行研究を概観すると,運動が抑うつ改善に有効であることに一定の合意が得られつつある。海外では質の高い介入研究の実施と,そのエビデンスに基づいたガイドラインも提示されている。運動の種類としては有酸素運動が効果的であり,高齢者には筋力トレーニングも有効とされている。その他の運動様式の効果検証はきわめて少なく,運動の負荷強度ならびに1回の運動に要する時間についても不明の点が多い。運動に伴う疲労を少なくし,かつアドヒアランスを重視するならば,なるべく低強度・短時間が望ましいと考えられる。しかし,国内の研究成果は少なく,精神科診療における具体的な運動の活用策は未だ定まっていない。今後は,日本人を対象とした抑うつ改善ための運動効果の検証が急務であり,作用機序の解明とともにエビデンスに基づいた運動実施ガイドラインの策定が待たれる。
著者
Japanese Association of Medical Technologists Editorial Committee of the Special Issue: Urinary Sediment
出版者
Japanese Association of Medical Technologists
雑誌
Japanese Journal of Medical Technology (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.J-STAGE-1, pp.51-85, 2017-03-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3

A urinary sediment examination is an important type of non-invasive, repeatable morphological examination. It is necessary to accurately classify and measure urine components, such as epithelial cells, non-epithelial cells (blood cells), casts, salts/crystals, and microorganisms. The clinical significance of a urinary sediment examination is twofold. First, this examination is used to screen for the presence of a lesion in the kidney or urinary tract; second, it is used as a means to collect information on therapeutic and adverse effects of drugs administered to treat a confirmed lesion in the kidney or urinary tract. Pathological conditions are deduced not only from the results of a urinary sediment examination but also from a comprehensive evaluation of the results from various qualitative urinary examinations, such as urinary protein and occult blood tests, as well as biochemical (blood chemical) examinations. However, advances in diagnostic imaging and immunological examinations have allowed the current use of these methods for evaluating lesions in the kidney and urinary tract, and in consequence, the value of a urinary examination used as a screening test has increased further. Given these circumstances, we wished to conduct examinations with a clear understanding of their purpose; in other words, we hope to effectively conduct urine screening examinations, consider pathological conditions based on urinary findings, and observe and provide information useful to patients and for screening participants. In this part, we will explain the role of a urinary sediment examination and also the related technical methodology.
著者
鈴木(堀田) 眞理
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.676-682, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
10

神経性やせ症や過食症などの摂食障害は,低栄養や自己誘発性嘔吐や下剤・利尿薬乱用に伴う合併症で救急診療を必要とする場合がある.「摂食障害救急患者治療マニュアル」「神経性食欲不振症プライマリケアのためのガイドライン」について概説し,救急でみられる症状と疾患,栄養アセスメント,内科的緊急入院の適応,重篤な合併症と治療,栄養療法,再栄養に伴う重篤な合併症であるrefeeding症候群の予防について述べる.
著者
Nobuyoshi Ozawa Kiyoshi Ito Toru Tase Daisuke Shibuya Hirohito Metoki Nobuo Yaegashi
出版者
Tohoku University Medical Press
雑誌
The Tohoku Journal of Experimental Medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.243, no.4, pp.329-334, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
13

The Japanese national immunization programme for Human Papillomavirus (HPV) started in 2010. Vaccination rates increased up to 70% in women in the 1996-1999 birth. However, the proactive recommendation for HPV vaccine was suspended in 2013, following repeated media reports of adverse events. Vaccination rates plumped to less than 1% in women born since 2002. In this study, incidence of abnormal cytology and histology was examined in terms of HPV vaccination among 5,924 women aged 20 to 24 years in the fiscal year (FY) 2014 and 2015. The total rate of vaccination was 16.9% (1,002/5,924). In case of FY 2015, the rates of vaccination were 59.26%, 49.68%, 11.97%, 9.08%, and 4.58% in those aged 20, 21, 22, 23, and 24 years old, respectively. The rates of high-grade squamous intraepithelial lesion (HSIL) or worse were 0.20% (2/1,002) in women with HPV vaccination and 1.14% (56/4,922) in those without HPV vaccination, indicating a significant reduction of 82.46% with vaccination (P < 0.0001). The rates of cervical intraepithelial neoplasia (CIN) 1+ were 0.80% (8/1,002) in women with vaccination and 2.28% (112/4,922) in those without vaccination. The reduction rate of CIN1+ was 64.91% (P = 0.0025). The rates of CIN2+ were 0.10% (1/1,002) with vaccination and 0.69% (34/4,922) without vaccination. The reduction rate of CIN2+ was 85.51% (P = 0.0261). Our data are the first to demonstrate a significant reduction of CIN2+ cases in an Asian population. Scientific discussion is needed to restart the proactive recommendation for HPV vaccine in Japan.
著者
今井 信也 小川 俊夫 赤羽 学 今村 知明
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.141-149, 2014 (Released:2016-04-20)
参考文献数
12

磁気共鳴画像装置(MRI)は今日の画像診断において欠かすことのできない検査機器であるが,その採算性についてはMRIの性能や利用頻度,また周辺地域の導入状況に影響されると考えられる.そこで本稿では平成23年度に一般病院で稼働しているMRIの一台あたり年間収支差を年間費用と収入より試算し,MRI導入の採算性を性能別,病床規模別,都道府県別に分析を行った.MRIの年間収支差は,1.5テスラ以上では病床規模別,都道府県別においてばらつきはあるものの,ほぼすべて黒字であったが,1.5テスラ未満ではほぼすべて赤字であった.MRI導入による採算性の要因としては,病床規模での各種加算の取得割合の違いや,地域でのMRI一台あたりの人口および医師数が大きく関係していた.病院経営の視点から,高性能なMRIは病床規模や地域性に関わらず導入を検討できうる医療機器であると考えるが,採算面だけでなく臨床的な必要性や間接的な収支を考慮するべきである.
著者
宮城 道雄[作曲]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1943-05
著者
北口 勝也 Katsuya Kitaguchi
出版者
武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻『教育学研究論集』編集委員会
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-8, 2015-03

The present research investigated the relations among praise behaviors, understanding of the applied behavior analysis (ABA), and years of experiences. The participants were 68 teachers who are working as a teacher in charge of a normal class in public elementary schools. The results showed that the more the teachers had knowledge of ABA, the more they provided praise to their students. Experience teachers showed less knowledge of ABA and praise behaviors relative to new young teachers. These results suggest that it is important to provide more effective methods to spread ABA knowledge for teachers.
著者
森田 寿郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.200-204, 2006 (Released:2008-06-10)
参考文献数
11
被引用文献数
8 or 0

空間内で姿勢変化する多関節リンク機構について,関節の自重トルクを完全に補償する機構の設計原理および動作支援技術への応用方法を解説した.その要点は,平行リンクを用いた姿勢変化と自重トルクの非干渉化,ばねを用いた正確な自重補償トルクの発生,3軸が直交する関節モジュールの設計方法から成っている.機構の応用事例として,4自由度垂直多関節マニピュレータとトルク補償型肩装具の構成方法と評価結果を紹介した.自重補償を備えたマニピュレータが先端リンク姿勢に依存せずに正確な補償トルクを発生できること,従来型マニピュレータと比較して,可搬重量,最大速度,最大加速度の全てにおいて高い性能が得られることを示した.装具については,日常生活動作に必要な可動域を満たしていること,挙上動作時の三頭筋・僧帽筋の活動が有意に減少すること,肘の自由な運動を損なわずに食事動作を補助できることを示した.
著者
長野 友彦 友田 秀紀 小泉 幸毅 森山 雅志 山本 大誠 赤津 嘉樹 德永 武男 梅津 祐一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
(Released:2017-12-14)
参考文献数
39

【目的】本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の歩行自立再獲得日数への障害の重症度と低栄養の影響を検証することであった。【方法】対象は病棟内歩行が自立した65 歳以上の脳卒中患者116 名とした。分析は歩行自立再獲得日数に関連する潜在変数を障害の重症度と低栄養に分類してそれらに関連する観測変数から仮説モデルを作成し,共分散構造分析で検証した。【結果】年齢を層別化すると,前期高齢者群ではおもに障害の重症度が歩行自立再獲得日数に関連しており,低栄養の関連性は認められなかった。後期高齢者群では障害の重症度と低栄養が歩行自立再獲得日数に関連し,低栄養には嚥下障害が関連していた。【結論】回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者では,障害の重症度と低栄養のそれぞれが歩行自立再獲得日数に影響することが明らかになった。さらに,嚥下障害を伴う後期高齢者群では栄養管理の重要性が示唆された。