著者
中村 かおり
出版者
拓殖大学日本語教育研究所
雑誌
拓殖大学日本語教育研究 = Journal of research in teaching Japanese language (ISSN:24239224)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-54, 2019-03-25

非漢字圏学習者にとって,漢字の習得は大きな壁となっている。特に,字形認識の複雑さ,数が多いための記憶の難しさ,それらの負担による学習意欲の低下などが課題として挙げられる。本研究では,それらの課題に対し,学習者の負担を軽減し,達成感を与え,学習習慣を形成するために,⑴字形認識を促すための基本要素の単純化,⑵語彙先習学習および学習段階に合わせた漢字ストラテジーの提示,⑶自律的学習の促進を目指した個別学習課題による実践を行った。その結果,語彙先習による漢字学習の効果が確認でき,かつ自律的学習による取り組みが学習意欲の向上につながることが示唆された。
著者
坂上 昇 大倉 三洋
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-7, 2001-03-31 (Released:2018-08-29)
参考文献数
9

ストレッチングはスポーツ活動後に疲労回復を促し,障害予防,パフォーマンスの維持・向上といった目的で実施されている.しかし,その実施状況は決して高率ではなく,その原因はストレッチングの効果が十分に理解されていないためと考えられる.そこで本研究は,健常成人男性4名(平均年齢20歳)を対象に,ストレッチングの筋疲労回復効果について検討した.自転車エルゴメーター(COMBI社製;POWERMAX-VⅡ)による30秒間全力駆動を主運動として,その後10分間の休息を取らせることを2セット行った.その休息時に安静臥位,軽運動,ストレッチングを実施した.検討指標として筋柔軟性,血中乳酸値,作業能力,アンケートを取り上げた.筋疲労による筋柔軟性低下の予防効果については軽運動が効果的であり,ストレッチングは大腿直筋においてはあまり効果がなく,ハムストリングスにおいても安静臥位とあまり差がない傾向を示した.血中乳酸値の回復については,ストレッチングは安静臥位と比較すると低い傾向にあるがその回復傾向には差が見られなかった.作業能力の回復については軽運動が比較的良く,ストレッチングが低い傾向を示した.このように,激運動後の筋疲労回復に対してストレッチングは全ての指標において安静臥位とあまり差がなく,効果的でない傾向を示した.今回の結果は,運動後の筋疲労の速やかな回復という観点では,一般的に認識されているストレッチングの効果を否定する結果となった.しかし,今回の結果は,ストレッチングが身体に与える影響を全て否定するものではない.

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著者
森春渓//〔画〕
巻号頁・発行日
1820

書名は書題箋による。虫類の写生図12図からなる彩色刷の折本画帖。森春渓画、谷清好刻刷。各図に篠崎小竹(1781−1851)らの筆による漢詩の題詩を付す。文政4(1821)年刊行。同版異書名の『春渓画譜』がその前年に刊行されているというが、両書の関係については未詳。この虫類図は細密にして精緻であり、谷清好の刻刷もすばらしく、喜多川歌麿の『画本虫撰』(天明8年刊)に匹敵するとの評もある。森春渓は大坂の画家で、森狙仙(1749−1821)の弟子。生没年は未詳。
著者
岸森 健文 小菅 邦彦 井上 豪 関 淳也 犬塚 康孝 武田 晋作 竹内 雄三 岡田 正治 池口 滋
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.2221-2229, 2016-11-10 (Released:2017-11-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

院内心停止で自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)がショック不要と判断した中に3例の心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)が含まれていた.事後検証で解析システムには問題がないとわかった.医療関係者は,AEDによる解析の限界を認識しておく必要がある.また,心電図モニターをいち早く患者に装着し,必要に応じてマニュアル除細動器を手配することが求められる.心電図モニター付きAEDを設置している施設では,マニュアルモードに切り替えて電気ショックをする方法に習熟しておく必要がある.
著者
安田 康晴 山本 弘二 岸 誠司 友安 陽子 坂口 英児 藤原 ウェイン翔
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.51-54, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
12

背景:救急隊現場到着所要時間・病院収容所要時間の延伸および救急車走行中の事故,ヒヤリハットの発生は,自動車運転者が救急車のサイレン音に気づかず救急車の接近が認識できないため緊急走行が妨げられていることも要因の一つであると推測される。目的:自動車運転者に救急車サイレン音が聴こえているかについて検討すること。方法:自動車走行時の車内騒音量と距離別に救急車サイレン音量とを比較した。結果:自動車まで20mの救急車サイレン音(46.4±1.3dB)は,自動車走行中車内音量,オーディオ視聴時(54.6±6.7dB)や会話時(68.4±1.6dB)より小さかった。考察:救急車が20mに接近してもサイレン音量は窓全閉時の走行中車内騒音量より小さいこと,音が高齢者に聴きづらい周波数帯であることなどから救急車の接近が認識できないと考えられた。サイレン音の改良やサイレン音量の基準の見直しが必要である。
著者
松嶋 敦茂
出版者
The Japanese Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史学会年報 (ISSN:04534786)
巻号頁・発行日
vol.31, no.31, pp.34-46, 1993 (Released:2010-08-05)
参考文献数
32

The writer examines ideas on the interpersonal comparison of utility (ICU) conceived by economists ranging over the period from the mid-19th c. through 1940. These ideas may be classified into three types: (1) one which shows more or less negative attitude to the possibility of ICU as a basis for economic policy, (2) one which appreciates ICU as the foundation of economic policy, (3) one which, sharing the appreciation with type (2), restricts the mode and scope of its application. And the choice of a particular type out of these alternatives involves what problems to set up as a subject matter and what kind of epistemological criteria to adopt. It may be characterised as a sort of paradigm choice.
著者
柳内 志織 松本 美鈴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.62, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】 天ぷら衣は、揚げ操作によって水分と油の交代が起こり、サクサクとした軽い食感になる。水よりも沸点の低いアルコールは、水分と油の交代を速やかにすることが期待される。本研究では、天ぷら衣に添加したアルコールが、揚げ衣の食感に及ぼす影響を検討することを目的とした。【方法】 <天ぷら衣の調製>薄力粉40gを、水、卵水およびアルコール水溶液(5、10、15,25v/v%)60gに篩い入れ、粉を水相に叩き落とすように菜箸で撹拌した。<揚げ衣の調製>紙片(2.5㎝角)を衣の中に潜らせ、180℃のサラダ油で2分間揚げ、測定に供した。官能評価用試料は、紙片の代わりに1cm角のじゃがいもを使用した。一般成分分析用試料は、衣をロートで直接油に滴下して3分間揚げた。<測定項目>紙片への衣付着量、揚げ衣重量、揚げ衣の破断試験(レオメーター)、官能評価(7段階尺度による評点法)、揚げ衣の水分量(常圧加熱乾燥法)・脂質量(酸分解法)、揚げ衣のアルコール残存量(F-キット)について測定した。【結果】 衣付着量および揚げ衣重量について有意差は見られなかった。揚げ衣の厚さはアルコール添加により増加し、破断応力はアルコール添加により減少した。揚げ衣の水分量は、15%および25%アルコール添加試料が水衣より有意に低かった。脂質量はアルコール添加にともない増加した。官能評価の結果、アルコール添加にともない衣は硬く砕けやすくなり、サクサク感が増すと判断された。これらの結果より、天ぷら衣にアルコールを添加することで、揚げ衣がサクサクとした歯脆い食感になることが明らかになった。また、10%および15%アルコール添加衣は、卵水衣より好ましいと評価された。
著者
福田 忠彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.479-484_1, 1979-06-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
2
被引用文献数
14 14

運動刺激に対する網膜各部位の機能差を最小刺激条件および最大刺激条件から検討した.その結果, 中心視における最小刺激条件は空間分解能により支配されるが, 周辺視では空間分解能以下の運動でも動きの知覚が成立すること, また, 運動を知覚しうる最大速度は周辺視の方が中心視より勝ることなどを明らかにした.
著者
朱 沁雪
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-59, 2018-03-25

首都大学東京, 2018-03-25, 修士(文学)
著者
小山 治
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.199-218, 2017-07-31 (Released:2019-05-13)
参考文献数
31

本稿の目的は,社会科学分野の大卒就業者に対するインターネットモニター調査によって,大学時代のレポートに関する学習経験は職場における経験学習を促進するのかという問いを明らかにすることである.本稿の主な知見は,次の3点にまとめることができる.第1に,レポートの学習行動のうち,学術的作法は経験学習と相対的に強い有意な正の関連があったという点である.第2に,レポートの学習行動のうち,第三者的思考も経験学習と有意な正の関連があったという点である.第3に,レポートの学習行動以外の大学時代の変数は経験学習と強い関連がなかったという点である.以上から,本稿の結論は,大学時代のレポートに関する学習経験の中でも学術的作法と第三者的思考といった学習行動は職場における経験学習を一定程度促進するということになる.
著者
廣瀬 博文
出版者
徳島工業短期大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

本研究ではバイオ燃料として竹を砕いて粉末状にした竹粉をレシプロエンジンに投入する実験を行った. 竹は数年で育ち, 放置竹林がますます増大して環境問題となっている. この解決策として竹をレシプロエンジンの燃料として活用できないか研究を行った. レシプロエンジンの燃料として竹を活用できれば需要が増大し放置竹林が解消するだけでなくエネルギー問題の改善へ貢献できるのではないかと考えている. しかし, 竹粉だけをレシプロエンジンに吸入させて燃焼させるにはいくつか問題点があるため、従来の燃料と混合した竹粉混合燃料としてエンジンを動かし, 化石燃料の消費量を押さえつつ発電を行える発電機を研究することにした. 発電機のエンジンの種類として軽油を燃料とするディーゼルエンジンを使用することにした. 実験方法は無負荷の状態と発電機の限界負荷を掛けた状態の二つの条件で竹粉の量を変化させて投入し軽油の消費量と黒煙の濃度を測定した. 実験結果は無負荷の状態で特定の条件で軽油の消費量を抑える竹粉投入量を確認することができた. さらに竹粉の投入限界量を確認することができた. しかし, 発電機の限界負荷を掛けた状態では, 無負荷でもっとも効率がよいと思われる竹粉量でも軽油の消費量を抑えることができなかった. 今回の実験では市販のディーゼル発電機を利用して実験を行ったがこの市販のディーゼル発電機は軽油を使用したディーゼルエンジンが最も効率が良い回転数に設定されているが, この回転数では竹粉を燃料とするには高すぎるのではないかと思われる. 回転数が高いために竹粉が燃えるのに必要な時間が足りず多くの煤が発生しエンジンを停止に追い込む悪循環となっている. 今後の研究としては発電機を改良して竹粉を燃料として活用できる最良の条件を模索していきたい.
著者
大橋 照枝 Terue Ohashi
出版者
麗澤大学経済学会
雑誌
麗澤経済研究 = Reitaku International Journal of Economic Studies (ISSN:09196706)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.19-49, 2009-09-30

Sustainable welfare indicator HSM (Human Satisfaction Measure) including Triple bottom line (Society, Environment and Economy) was proposed by Ohashi in 2000 and developed from Ver. 1, Ver. 2-(1), Ver. 2-(2), Ver. 3-(1), Ver. 3-(2), Ver. 4, Ver. 5 with help of Dr. Hong Nguyen and Professor Nobuyuki Kimata.For the further development of HSM, Ohashi tried to introduce weighting research of 6 categories (Labor, Health, Education, Gender, Environment and Income) using AHP (Analytic Hierarchy Process ) Method, conducted in Japan ( 2007 ), and Sweden ( 2008 ), named "Questionnaire on Ideal Society PartI".In the questionnaire Ohashi included one open-ended question " What is your Ideal Society?".Using the text mining software named True Teller of Nomura Research Institute, analyzing the open-ended answers of both countries to "words mapping", Ohashi found the interesting results. The keywords mutually found in both countries are " environmental consciousness" and "stability of life". The keywords appeared only in Japan is "no social gap" and only in Sweden "democracy", "equality" and "education".Democracy was considered as key factor of social sustainability from 19th century in Sweden.HSM is composed by triple bottom line : Society, environment and economy, as indispensable factor for social sustainability.But democracy is also important as healthy society.So, Ohashi conducted the research named "Questionnaire on Ideal Society Part II" in Sweden and Japan in May 2009.In the research , Ohashi included one open-ended question, "What kinds of aspects of Sweden do you like most?" in Swedish research, and "What kinds of aspects of Japan do you like most" in Japanese questionnaire.Analyzing the answer using True Teller as word mapping, the keywords appeared in both countries are quite different.In Sweden, "Democracy", "Freedom of speech" and "Equality" are the keywords of most favorite aspects of their country. In Japan, "Nature", "Environment", "The national character","Peace", and "Culture" are the aspects Japanese like most about their country.Swedish respondents love the foundation of country people depend upon, but Japanese love the aspect of software of their country and they don't aware the foundation through which they can enjoy peace, culture and so on.In Sweden, Social Democratic Party is established in 1889 as the first political party and it was the main party governing most of the political history and contributed forming the democratic and welfare society of Sweden.Japan, on the other hand, got democracy after the defeat of World War II with the help of GHQ (General Headquarters). Thus, Japanese have almost no history to endeavor to make democracy by their own.So there is some delay in democratic thinking in Japan comparing with Sweden, and it makes unhappy phenomena in Japanese society.Such findings Ohashi got the results of this research.Through the research, Ohashi concludes that in order to increase the HSM value of Japan,the key is to raise the consciousness of democracy in Japan.