著者
亀坂 安紀子 吉田 恵子 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.183-186, 2010 (Released:2011-06-27)
参考文献数
2
被引用文献数
2

本稿の目的は,結婚や出産といったライフステージの変化が人々の幸福度や充実度に及ぼす影響について,日本と米国のデータを使用したパネルデータ分析によって明らかにすることである.分析の結果,日本と米国のデータで共通して,配偶者の存在は個人の幸福度や充実度に非常に大きな影響を与えており,かつそのような傾向は男女の別にかかわらず観測されることが示される.また,日本と米国のデータで共通して,健康状態も人々の幸福度や充実度に大きな影響を与えており,求職中の人や喫煙者は,幸福度や充実度が低いことも示される.しかし,子供の存在に関する推定では,日本の結果と米国の結果に大きな違いが生じている.日本人の場合,子供がいないと幸福度や充実度が低いという結果が得られたが,米国の結果からは,必ずしもそのような事実は観測されない.労働参加に関しても,日米で若干異なる結果が得られている.
著者
川田 泰之
出版者
早稲田大学高等学院
雑誌
早稲田大学高等学院研究年誌 (ISSN:02871653)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.101-126, 2017-03-07
著者
黒瀬 豊敏 坂本 文信 上土井 大助
出版者
宇宙太陽発電学会
雑誌
宇宙太陽発電 (ISSN:24321060)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-36, 2017-01-04 (Released:2018-04-05)
参考文献数
3

宇宙太陽光発電衛星に用いる大型構造物として,展開トラス構造物の研究開発を進めてきた.この構造方式は,シンプル/軽量で組立に高度な装置を必要とせず,数kmに及ぶ大型構造物を自動で軌道上に構築できる.現在は地上実証をほぼ終えた段階であるが,この技術により,これまでにない宇宙機を実現できる可能性がある.本論文では,展開トラス構造物の技術を用いたレーダ衛星の可能性,及び現在検討を進めている次世代降水レーダ衛星について概要を報告する.
著者
阿久津 智
出版者
拓殖大学人文科学研究所
雑誌
拓殖大学論集. 人文・自然・人間科学研究 = The journal of humanities and sciences (ISSN:13446622)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.48-67, 2018-11-10

本稿では,古典文学の音読と文法(文構造)との関係について論じた。文構造は,プロソディー(イントネーションなど)に,ある程度反映される。隣り合う2つの文節が関係する(前の文節が後ろの文節に係る)ときには,イントネーションによって,1つの句(音調句)にまとまりやすい。文構造の違いは,意味の違いになり,それが読み方の違いに現れる場合もある。たとえば,『枕草子』の「春はあけぼの」において,「やうやう白くなりゆく」と「山ぎは」とを区切って(別の音調句として)読めば,別々の文となり(「やうやう白くなりゆく」のは「山ぎは」ではない),つなげて(1つの音調句として)読めば,連体修飾となる(「やうやう白くなりゆく」のは「山ぎは」である)。文構造(意味)の違いは,必ずしも音読で表せるわけではないが,それでも,音読の仕方を考えることが,その文の構造や意味を考えることにつながると思われる。
著者
堀口 裕治 山田 稔
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.39-43, 2013 (Released:2013-06-21)
参考文献数
18

75歳,男性。スッポンの卵を生で食べた約8週後,右側腹部にそう痒を伴う赤い結節が生じた。初診時,径約 15mm の隆起性で柔らかい赤色結節が見られ,近傍の皮下に浸潤をふれた。パンチ生検を行ったところ,結節の中に白色の紐状の寄生虫をみとめた。その表面の性状,頭部の形,虫体内の石灰小体の存在からマンソン裂頭条虫のプレロセルコイドと同定した。また,血清中の抗マンソン裂頭条虫抗体価の上昇を確認した。生検時に幼虫を除去したのちには再発はみられず,3ヶ月の経過で抗体価は減少した。本例をスッポンの卵の生食により罹患した早期のマンソン孤虫症と診断した。文献的にもスッポンの生食は寄生虫に感染する可能性があると考えた。(皮膚の科学,12: 39-43, 2013)
著者
中根 崇智
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5-6, pp.230-232, 2018-12-15 (Released:2018-12-19)
参考文献数
9
著者
結城 伸泰
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第37回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.61, 2009 (Released:2009-10-21)

ギラン・バレー症候群(GBS)は、風邪をひいたり、下痢をしたりした1、2週後に、四肢の筋力低下が始まり、1、2週にわたって進行し、腱反射が消失する。ポリオ根絶を目前とした現在、急性発症の弛緩性運動麻痺を呈する疾患のなかでもっとも頻度が高く、人口10万人あたり年間2人の発症が推定されている。興味深いことに、その診断基準は、1976年米国で行われた豚インフルエンザ予防接種後に多発した患者の疫学調査のため緊急で作製された経緯がある。演者は、平成元年に下痢を前駆症状としたGBS患者を受け持ち、その先行感染因子が下痢症や食中毒の主要な起因菌のCampylobacter jejuniであることを突き止めた。C. jejuni腸炎後に、GM1ガングリオシドに対するIgGクラスの自己抗体が上昇し、ミエリンではなく、軸索が傷害される、GBSのサブグループが存在することを報告した。下痢を前駆症状としたGBSから分離されたC. jejuniの菌体外膜を構成するリポオリゴ糖(LOS)がGM1類似構造を有することを明らかにした。GM1、C. jejuniLOSをウサギに感作し、臨床的にも、免疫学的にも、病理学的にも、ヒトの病気と一致する疾患モデルを樹立することに成功し、新しい治療法の開発に役立てることができるようになった。これまで自己免疫病発症における分子相同性の研究は、ペプチドに対する自己反応性T細胞に主として目が向けられていたため、分子相同性仮説の立証には至らなかった。しかしながら、疫学的な関係が確立しているC. jejuniとGBSで、糖脂質の糖鎖に対する自己抗体という別の着眼点から切り込むことにより、完全に証明することができた。糖鎖相同性により自己免疫病が発症し得るという新しい概念が、他の原因不明の自己免疫病の解明にも役立つことを期待している。時間が許せば、インフルエンザワクチンの副作用を減らすために調べておくべきことを提言したい。
著者
桑原 芳哉
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.31-44, 2018 (Released:2018-07-11)
参考文献数
15

本研究では, 過去2回の調査に引き続き, 2017年時点における公立図書館の指定管理者制度導入状況について網羅的な調査を行い, 近年の動向について分析することを目的とする。調査の結果, 2017年11月現在, 245自治体, 638館において指定管理者により管理運営が行われていることが確認できる。2016年度は新たに22自治体, 74館で指定管理者制度が導入されるなど, 指定管理者制度導入館は増加している。NPO を指定管理者とする図書館は全国で43館に留まるが,地域に根ざした図書館経営を展開する事例も見られ, またNPO 間の交流や情報発信が必要との考えも示された。また, 地元書店による図書館運営の事例も増加し, 地域単位の包括的な図書サービスの可能性につながるものとして注目される。
著者
若倉 雅登 山上 明子 岩佐 真弓
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.421-428, 2017-12-25 (Released:2018-01-29)
参考文献数
10

眼球や第一次視覚野までの経路が正常だとしても,例えば何らかの原因で開瞼が不能であればその機能を利用できない.我々はこうした症例を,医学的分類というより,当該患者が何に不都合を感じているかという観点から「眼球使用困難症候群」と名づけた.この症候群は,そうした不都合を有する病態に広く用いたいと考えるが,同症候群の命名のきっかけになった最重症の8症例を提示し,それらの臨床的特徴を明らかにする.8例に共通するのは,微細な光に過敏に反応し,眼球の激痛や高度の羞明に常時悩まされている点である.8例はいずれも,暗い部屋でも閉瞼するだけでなく,アイマスクや遮光眼鏡の使用は日々の生活で常に必需であった.大半の症例はジストニアのような動的異常よりも感覚異常のほうが目立った.一部の症例は,線維筋痛症を含む身体痛,舌痛症,顎関節症や抑鬱を合併していた.また,向精神薬の連用や離脱,頭頸部外傷や何らかの脳症などが契機となって発症していた.このように,全例眼瞼痙攣の最重症例と類似点があるが,完全に一致するかは今後の問題である.眼瞼痙攣は神経科学では局所ジストニアとして理解されているが,本質は,眼球使用ができないことにある.それゆえ,眼球使用困難症候群の一部を成すものとして扱い,特に高度なものは視覚障害者として扱うのが妥当であることを主張する.今回提示した8例以外にも,眼球使用困難症候群はさまざまな場合があると考えられ,症候発現に関する因子も種々であろう.日常生活において高度の不都合があるにもかかわらず,日本の現今の障害者福祉法では,視力のみ及び視野でしか評価しないために,視覚障害として認定されない.このように,眼球使用困難症候群では福祉的救済が必要であるにもかかわらず,法的にこのような障害が想定されていないことが問題点であることを,臨床医学の立場から指摘した.
著者
辛島 理人 KARASHIMA Masato
出版者
名古屋大学大学院法学研究科
雑誌
名古屋大學法政論集 (ISSN:04395905)
巻号頁・発行日
vol.260, pp.277-298, 2015-02-25

本論文は、平成23-26年度科学研究費補助金基盤研究(A)(課題番号23243026)「日米特殊関係による東アジア地域再編の政治経済史研究」の助成を受けた研究成果の一部である。
著者
大沼 俊博 渡邊 裕文
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.39-42, 2006 (Released:2007-01-30)
参考文献数
8
被引用文献数
4

We report on physical therapy and its evaluation in patients with impaired deep sensation. Evaluation in physical therapy should be performed not only in the static states but also in the situations and postures causing abnormal actions. In physical therapy, treatment with the patient being aware (use of feedback such as that by visual sensation) provides clues that improve problems. For improvement in impaired deep sensation and recovery of motor function, their association should be considered, and the induction of normal actions is important.
著者
阿部 恒之 太田 萌
出版者
東北大学文学会
雑誌
文化 (ISSN:03854841)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3,4, pp.26-41, 2016-03-25
著者
佐藤 司郎 鈴木 牧 谷脇 徹 田村 淳
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.141-148, 2018-10-01 (Released:2018-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

丹沢山地において,シカの増加に伴う林床植生の減少がオサムシ科甲虫に与える間接的な影響を検討するため,シカの影響程度(林床植物量)の異なる5地点においてオサムシ科甲虫相を調査し比較した。併せて,植生保護のため8年前に設置された防鹿柵によるオサムシ科甲虫への保全効果を検証するため,防鹿柵内外の6カ所でも調査を行った。GLMとモデル選択の結果,調査区の林床植物量が,最優占種であるヨリトモナガゴミムシの捕獲数には負の,体の大きいクロナガオサムシの捕獲数に正の影響を与えたことが示唆された。この結果は,シカの影響による植被の減少に伴い,小型のオサムシ科甲虫種は増加し大型種は減少するという一般的な傾向と一致した。優占種5種を対象とした冗長性分析(RDA)でも林床植物量はRDA1軸に強い相関を示した。以上の結果から,丹沢山地のオサムシ科甲虫群集にシカが強い間接的影響を与えることが示された。また,シカが増加する前に設置された加入道山の防鹿柵内では林床植生が多く残存し,大型のクロナガオサムシが多数出現しており,防鹿柵の早期設置は大型のオサムシ科甲虫種の保全に効果があったことが示唆された。
著者
金 慶珠
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本の報道における歴史認識問題は「戦前の歴史をめぐる解釈の問題」として限定的にとらえている半面、韓国の報道においては「現在の日本社会における歴史の解釈の問題」としての時間軸の拡大を図っているところに大きな差が見られた。また、日韓両国ともに相手国の言動や反応に注目した記事が多く、その歴史認識問題の視点が自国内に向けられていないという共通点が見出される。こうした対立軸が合致しない現象(注視点のずれや視座の鮮明性)こそが日韓メディア情報における「視点の不一致」を生み出しており、そうした報道の視点構造が歴史認識問題に対する日韓の相互理解を妨げる一因であることが推察される結果となった。
著者
高橋 秀俊
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, 1960-07-30
著者
川瀬 啓祐 椎原 春一
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.65-70, 2018-09-28 (Released:2018-12-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

大牟田市動物園では飼育管理の一部として多くの動物種を対象に体重測定,検温や採血に対してハズバンダリートレーニングを取り入れている。ハズバンダリートレーニングを取り入れることによって,これまで診察および検査に機械的保定や化学的保定が必要であった霊長類や大型ネコ科動物などにそれらの保定を行うことなく,行動的保定により採血などを行うことが可能になった。 採血により得られた血液検査値は,他園と共有することでデータの蓄積を行い,健康管理に役立てている。また,一部の動物では人工採精のトレーニングも取り入れており,動物園動物の繁殖にも寄与できる可能性がある。また,定期的な採血が可能となれば,薬剤成分の血中動態も把握することが可能であり,今後の獣医療の発展に寄与できるであろう。ハズバンダリートレーニングを取り入れると多くの知見を得る機会が増える。そういった知見をもとに多くの園館や大学との研究機関と連携,協力することが可能となれば,今後の動物園での研究や獣医療が大きく進展するだろう。

25 0 0 0 OA 災害と心不全

著者
坂田 泰彦 下川 宏明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.550-555, 2014 (Released:2015-05-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1