著者
安藤 朗
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.1939-1946, 2015-11-05 (Released:2015-11-05)
参考文献数
26

ヒトは進化の段階で4つの門に属する細菌を選択し,腸内細菌として備えている.腸内細菌はヒトには備わっていない機能を通してヒトの生命維持に重要な役割をはたしている.われわれは,腸内細菌が食物繊維を分解して生じる短鎖脂肪酸(酢酸,プロピオン酸,酪酸)を利用してエネルギーホメオスタシスを維持している.一方,ヒトは腸内細菌と共生するために,複雑かつ巧妙に制御された免疫機構を発達させてきた.われわれのからだはヒトと細菌からなる超生命体と呼ばれるが,分子生物学的解析法の進歩によりヒトと腸内細菌の共生関係の詳細が明らかにされつつある.今回の特集に当たり,腸内細菌とその機能について概説する.
著者
平島 崇男
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.77-83, 1983-03-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
13
被引用文献数
11 15

関東山地において,ひすい輝石+石英組合せを持つ岩石を新たに発見した。この岩石は第三紀の栃谷層と断層関係にある超塩基性岩とともに露出している。この岩石は,ひすい輝石+石英組合せが安定な変成作用(高圧条件)と,アルバイト+エジル輝石が安定な変成作用(中圧条件)の2回の温度圧力条件を記録している。
著者
縄田 健悟 山口 裕幸
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.167-177, 2011-03-25 (Released:2017-02-21)
被引用文献数
1

When an outgroup member's behavior proves harmful for an ingroup member, a member of the victim's group sometimes retaliates against a member of the perpetrator's group. This phenomenon is called intergroup vicarious retribution. The purpose of this study is to examine the effect on intergroup vicarious retribution of being observed by ingroup members (ingroup audience effect). In this study, we allowed the winner of a one-on-one match to impose a fine on the loser in order to manipulate and measure aggression. It was found that participants imposed a bigger fine on an outgroup member when observed by ingroup members than when they were not. Path analysis revealed that being observed by ingroup members has an effect on the fine imposed on the outgroup member through expected admiration from ingroup members and the motivation of retaliation only in the condition of being informed about harm. Being observed by ingroup members enhances the expectations of gaining admiration from ingroup members and intergroup vicarious retribution occurs to a higher degree. The findings of this study suggest that intra-group processes, such as being observed by ingroup members, escalate intergroup conflict.
著者
中島 玲奈
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>この研究では、ジャニーズが1年間を通して多くのコンサートを開催し、各コンサートごとにペンライトを販売しているということに注目し、ペンライトの変化の流れを分析することによって新しいペンライトを提案を行う。 最初に背景についてリサーチを行い、その後、ジャニーズによって販売された153個のペンライトについての情報を集め、年表と系統樹を作成しました。 それらを分析し、その結果に基づいてデザイン要件を決定し、プロトタイプを作成を行った。 それを様々なな人に使用してもらい、いくつかのフィードバックを得た。 分析結果やプロトタイプの結果に基づいて、光の強さが歓声に応じて変化するペンライトを最終提案とする。</p>
著者
坂田 利家
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.4-10, 2005 (Released:2006-08-04)
参考文献数
13
著者
星野 悦子 阿部 純一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.344-350, 1984-02-29 (Released:2010-07-16)
参考文献数
10
被引用文献数
8 7

Psychological reality of a “central tone” in the highly “tonal” melody was investigated by using the method of “final tone extrapolation”. Five kinds of stimulus tone sequence were made from each of the 35 six-tone melodic sequences (original sequences), for which rating scores of “tonality feeling” had been obtained; i.e., a two-tone sequence using the first two tones, a three-tone sequence using the first three tones, and so on up to a six-tone sequence using all of six tones, of each of the original sequences. Twenty-four subjects were asked to add an appropriate “final tone” to each of the stimulus tone sequences by using a keyboard of an instrument. For each of the sequences made from the “tonal” original melodic sequences, the final tone chosen tended to be restricted to a few specific tones in all five types of the tone sequences, while for the “atonal” original melodic sequences, the final tone chosen was diversely different. The results were discussed in relation to the “coherency” of a melody and other processing characteristics of human melody cognition.
著者
毛利 るみこ 大庭 一郎
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.400-418, 2017-03-01 (Released:2017-06-26)

本稿は,今後の公立図書館長の養成に資するため,館長に求められる能力・知識・技術について全国の公立図書館長を対象に行った質問紙調査の結果に基づいて考察した。本調査によって,館長の業務内容等の実態が明らかになるとともに,職務を遂行する上で,特に「判断・決定能力」等の10項目に対する必要性が高く,知識・技術としては「地域社会に関する知識」等の4項目に対する必要性が高いこと等が明らかとなった。結果を踏まえ,各能力の必要性の違いや館長に求められる図書館に関する専門的能力,知識・技術等について考察した。
著者
Keitaro OHMORI Kenichi MASUDA Masahiro SAKAGUCHI Yukiko KABURAGI Koichi OHNO Hajime TSUJIMOTO
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.851-853, 2002 (Released:2002-10-04)
参考文献数
13
被引用文献数
6 15

Adverse reactions to vaccines were examined in 311 canine cases reported to the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries in Japan during the period of 6 years from April of 1994 to March of 2000, and classified according to their clinical symptoms. There were 27 cases of adverse reactions to rabies virus vaccines. Gastrointestinal symptoms were the most frequently observed (26%), followed by respiratory and/or cardiovascular symptoms (22%) and dermatologic symptoms (11%). There were 284 cases of adverse reactions to non-rabies monovalent vaccines and mixed vaccines. Dermatologic symptoms were the most frequently observed (53%), followed by gastrointestinal symptoms (16%) and respiratory and/or cardiovascular symptoms (14%). Of the total 311 cases, 11 (3.5%) died of adverse reactions to vaccines.
著者
大森 啓太郎 増田 健一 阪口 雅弘 蕪木 由紀子 大野 耕一 辻本 元
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.851-853, 2002-09-25
参考文献数
13

農林水産省に犬のワクチン副反応として報告された311症例を症状別に分類した.狂犬病ワクチンにより副反応を起こした27症例においては消化器症状が最も多く(26%),次いで呼吸・循環器症状(22%),皮膚症状(11%)であった.狂犬病ワクチン以外の単価,混合ワクチンにより副反応を起こした284症例においては,皮膚症状が最も多く(53%),次いで消化器症状(16%),呼吸・循環器症状(14%)であった.311症例中,11症例(3.5%)においてワクチン副反応による死亡が認められた.
著者
蒲生 恒一郎 小川 孝 衛藤 真理子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.557-560, 2008-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1 4

平成15年度から17年度に提出された動物用狂犬病ワクチンの副作用報告をもとに, その傾向, 特徴等を分析した結果, 狂犬病ワクチンは市販の犬用混合ワクチンよりも副作用発現率が有意に低く, より安全なワクチンであることが確認された. また, 副作用の発現は1歳未満と10歳以上12歳以下に副作用が多いこと, 接種当日に副作用が発現しやすいこと, 特に重篤な副作用は6時間以内に発現しやすいことが明らかになった. さらに, アナフィラキシー症状は副作用報告件数の約半数を占めることが示された. これらのことから, 使用説明書の記載のとおり, ワクチン注射後当日は注意深く観察することの重要性が確認された.
著者
西田 清一郎 土田 勝晴 佐藤 廣康
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.3, pp.140-143, 2015 (Released:2015-09-10)
参考文献数
31
被引用文献数
2 1

ケルセチン(quercetin)は代表的なフラボノイドのひとつで,有益なフィトケミカルとして食品では玉葱やワインに,また多数の漢方生薬に含まれている.臨床上,抗動脈硬化作用,脳血管疾患の予防,抗腫瘍効果を発揮することが知られている.ケルセチンは強い血管弛緩作用を表し,多様な作用機序が解明されているが,まだ不明な点も多く,現在議論の余地が残っている.我々はケルセチンの血管緊張調節作用を研究してきたが,ラット大動脈の実験から血管内皮依存性弛緩作用,血管平滑筋に対する複数の作用機序(Ca2+チャネル阻害作用,Ca2+依存性K+チャネル活性作用,PK-C阻害作用等)を介して,血管弛緩作用を発揮していることを明らかにしてきた.また,ラット腸間膜動脈の実験から,ギャップジャンクションを介したEDHF(血管内皮由来過分極因子)による血管弛緩作用も示すことを解明した.本稿では,ケルセチンの血管弛緩作用機序の総括と今後の研究課題をまとめた.
著者
今 尚之 進藤 義郎 葛西 章 佐藤 馨一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.183-190, 2002-05-15 (Released:2010-06-15)
参考文献数
4

北海道遺産に認定され, 一部が登録有形文化財である旧士幌線のコンクリートアーチ橋梁群においては, 第6音更川橋梁のみ河川洗掘防止工の破損から安全性に懸念が生じ, 地元上士幌町による取得, 保存対象から除外されてきた。この度, 改めて技術的な検討がなされ, 安全性に問題無いことが確認されたことにより, 他の橋梁と同じく上士幌町による取得が決定された。土木遺産の保存や利活用に向けては, 合意形成を待っていては手後れとなることが多く速やかな判断が求められる。このためにも確固たる技術的なバックデータが重要であるが, 財政規模の小さな地方公共団体や市民活動団体が担い手となるときには, 財源, 技術, ネットワークなどの資源が少ないことからその確保に関しては課題が多い。本稿では, 旧士幌線第六音更川橋梁保存における事例をもとにそれらの課題について報告し, 課題解決の一つとして土木技術者が土木遺産の保存, 利活用の専門知識を得る仕組みづくりの必要性を述べる。
著者
塚田 武志 小林 直樹
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.31-47, 2011-03-25

言語の包含判定問題とは,与えられた言語 L1 と L2 について L1 ⊆ L2 が成立するか否かを判定する問題であり,理論的な興味の対象であるだけでなく,プログラム検証などへの広い応用を持つ重要な問題である.この問題に関する既知の最も強い結果の 1 つが文脈自由言語と超決定性言語の包含判定の決定可能性である.このオリジナルの証明は,Greibach と Friedman によって与えられている.我々はこの問題に対して,小林らによって提案されている型に基づく言語の包含判定の手法を適用し,決定可能性に対する別証明を与えた.この手法は以下のような利点を持つ.(1) 部分型関係やポンプの補題などのよく知られた概念で理論が展開できる.(2) 型推論を効率的に行う方法は多数提案されており,それらを利用することができる.また,提案する証明は小林らのアイデアを正規言語よりも広いクラスに適用したはじめての例であり,その他の非正規言語クラスへの応用も期待される.