著者
秋山 翔 加藤 拓貴 山口 拓也 平岡 隆晴 豊嶋 久道
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.297-298, 2016-03-10

金融市場における取引システムには、パラメータを含む多くのテクニカル指標が利用されている。取引システムを最適化する場合、最適解が評価期間でしか有効でないオーバーフィッティングという問題がある。この問題の理由の一つとして、テクニカル指標の各パラメータが評価期間を通して固定されてしまうことが挙げられる。 本研究では、テクニカル指標のパラメータが時間により可変な取引システムを提案する。提案する取引システムを最適化することによって、パラメータが特定の値に過度に依存しない解を求めることが可能となる。この特性がオーバーフィッティングの問題の解決に役立つと期待される。
著者
池谷 駿弥 佐藤 正章 井村 誠孝
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2020-EC-56, no.6, pp.1-8, 2020-05-25

AR (Augmented Reality,拡張現実感) においてバーチャル物体を写実的に表現するには,光学的整合性の問題を解決する必要がある.本研究では実物体から光源情報等の推定を行わず,ディープラーニングを用いた生成モデルである GAN (Generative Adversarial Networks,敵対的生成ネットワーク) により,光学的整合性が保たれていない AR 画像を,光学的整合性が保たれた AR 画像に変換する End-to-End な手法を提案する.GAN による画像生成結果から,ドロップシャドウやバーチャル物体への周辺現実物体の映り込みなどの表現が付加され,GAN による実世界と整合した光学的整合性の表現を行うことが可能であると分かった.
著者
西本 恵太
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2022-CH-130, no.1, pp.1-5, 2022-08-20

インターネット百科事典 Wikipedia には,利用者が作成・編集した歴史上のイベント・人物に関する記事が多数存在する.これまで,Wikipedia を集合的記憶(collective memory)の貯蔵と生成の場と解釈し,記憶の形成プロセスを探る研究が行われてきた.本研究では,集合的記憶における記憶の想起,および想起に伴う記憶の再構成に着目する.集合的な記憶の想起の例として,大河ドラマの放映による歴史人物に対する注意の増加と,それに伴う歴史記事への編集数の変化と編集内容を分析した.さらに分析結果を踏まえて,集合的記憶の再固定化に関して議論を行う.
著者
鎌田信夫
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.2(1981-ARC-016), pp.1-8, 1981-04-20

16ビットのマイクロプロセサがかなり一般化し広い分野で応用され始めている。今日市販されている16ビットマイクロプロセサはその命令セット,アドレス空間,マルチプロセサに対する備えなどの点ですでにミニコンと変らない水準にある。しかし入出力制御や浮動小数点演算に対してはこれらのマイクロプロセサは特別なハードウェアを内蔵するまでに至っていない。そこでこのLSI技術の制限の下でシステム全体としての性能向上をはかるべく探られている手法はそれぞれ別パッケージの専用プロセサを用意しいくつかのプロセサ群を組合わせてシステムを構成する方法である。ここではその一例である16ビットcpuと密結合で使用される高速演算処理用プロセサ8087について,その動作,性能について紹介する。
著者
市毛 由美子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.218-224, 2014-02-15

情報処理に携わる者にとって,知的財産は守られるべきものであると同時に,侵害してはいけないものである.知的財産権の認識がないために,自らの権利保護や権利行使の機会を逸し,また,他人の権利を侵害してしまうことも少なくない.本稿においては,情報処理の各分野において,どのような知的財産がどのように保護されるかを概観する.具体的には,プログラムの著作物とその創作性,表示画面・アイコンの創作性,マルチメディアと映画の著作物,プログラムおよびアイコンの特許による保護,営業秘密,および権利処理の必要性等について,解説する.
著者
明星聖子
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.58(2004-CH-062), pp.37-44, 2004-05-28

コンピュータは、はたして、文献学が現在陥っているジレンマを解決してくれるのか。その答えを探るために、ここではそのジレンマを、カフカのテクスト編集を具体例に説明する。カフカの草稿を忠実に編集しようとして、3種類のカフカ全集が出版された。その最新のものが示す型破りな形態は、草稿への忠実の追求が、じつは、紙の本というメディアの限界への挑戦だったことを明らかにしている。とすれば、コンピュータという新しいメディアに何を託すべきか。草稿という存在がもつ文学的意味を考えながら、学術的編集において今後コンピュータが担うべき役割を示唆する。
著者
土居 海里 竹内 聖悟
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.42-47, 2023-11-10

近年 AI 技術の発展に伴い対戦ゲーム AI の分野においても強さ以外の価値を与えるため、動的な強さの調整などの研究が様々なゲームで行われていた。著者らは以前に対戦テトリスの動的難易度調整を行ったが、その後行った人間との対戦では、AI の操作精度や操作速度の高さ等の影響により不自然かつうまく調整できないという問題があった。本研究では対戦テトリスにおける対戦 AI の人間らしさの影響について、生物学的制約などの人間らしさを導入した AI と従来の動的難易度調整を行う AI の 2 種類の AI と人間プレイヤーとの対戦実験により評価を行った。人間らしさや楽しさの評価については 5 段階評価のアンケートと自由記述の回答などを基に考察を行った。また人間らしさが AI の動作に本当に表れているか確認するために 2 種の AI の動作を人間プレイヤーに確認してもらい評価を行った。本稿では対戦テトリスにおける人間らしさの影響について対戦者自身には影響が少なく、類似ゲームにおける動的難易度調整において自然さを考慮しない AI でも十分な楽しさを与えられる可能性を示した。
著者
平山 健太郎 伊藤 克亘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-94, no.16, pp.1-6, 2012-01-27

近年の日本のポピュラー音楽では,一つの声区のみで歌えないような高い音域を含む楽曲が数多く存在する.実際に一つの声区のみで歌おうとすると声が枯れてしまうという結果が多い.このような状況はしばしばカラオケで見受けられる.従来より,歌唱力の自動評価は様々な手法で行われてきたが,高音域の発声における発声状態の評価を行っているものは少ない.本研究では,基本周波数成分やフォルマント,倍音構造,残差スペクトルなどの特徴量から声区と発声状態のトレーニングデータを35次元で作成し,自動でユーザの音声データから高音域の発声評価を行うシステムを構築した.歌唱音声に対する音符単位の識別率は 93.18% であった.
著者
西山 昴志 當間 愛晃 赤嶺 有平 山田 孝治 遠藤 聡
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2020-CVIM-220, no.4, pp.1-3, 2020-01-16

日本においてアニメの歴史は長くそれに伴い様々な変化を経ている.例えば 1980 年代はセルアニメーションの作品が多かったが,現在ではコンピュータの発展に伴い,ほとんどがコンピュータアニメーションとなっている.製作方法の変化や技術の発展に伴い,アニメ作品の画風 (絵タッチ,背景,色合い等) も同様に変化していると考えられる.画風を変換する研究分野においては,芸術絵画や写真の画風を別の画風に変換する方法が提案されている.そこで,対象画像をアニメの静止画像とし,セルアニメーションが主流であった年代のアニメ画像を,現代のデジタル作画のアニメの画風に変換するタスクを考えた.本研究では,Image-to-image の手法の 1 つである CycleGAN をベースにアニメ画像の画風変換結果を報告する.
著者
増田 尚之 中沢 実
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2023-DPS-197, no.12, pp.1-6, 2023-12-14

情報通信技術の向上に伴い,XR 技術を用いたコンテンツの実用化が本格化しつつある.XR 技術は,人間が観測する実空間を拡張する手段の一つである.XR 技術の一つに,Location-based AR がある.これは,GPS や BLE ビーコンなど,クライアントの位置情報を取得できる機器を用いて,クライアントの位置に基づいた AR オブジェクトを配信する技術である.実際にゲームやナビゲーションシステムに多く取り入れられている.しかし,既存のシステムでは描画する AR オブジェクトを取得する場合,インターネット環境がなければ正常にシステムを動かすことができない.また,クライアントの位置情報をもとに描画する AR オブジェクトが変化するため,位置情報を取得できない場合正常にシステムが動作しない.本提案では,災害時や屋内など,GPS やインターネット通信を利用できない環境でも動作する Location-based AR を提案する.
著者
藤川 真樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1937-1947, 2021-12-15

釈迦は,3つの教理(十二縁起,四諦,八正道)を説いたとされる.本稿では,当該教理に対する著者の理解と仏教研究者とのディスカッションに基づき,(1) ソーシャルエンジニアの思惑どおりにモノを渡したり受け取ったりしがちな人の傾向性,(2) モノを授受するという判断に至るまでの心理的過程,(3) ソーシャルエンジニアリングに対抗するために人が日常的に実践すべき行動を考察する.この研究は,人工知能の父であるMarvin Minsky氏が残した興味深い言葉に著者が出会ったことがきっかけである.
著者
松本 亮介 坪内 佑樹
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2020-CSEC-89, no.11, pp.1-6, 2020-05-07

単一の OS 環境に複数のテナントを配置し,リソースを共有するようなマルチテナント環境において,一般的に各テナント間での権限分離はプロセスのオーナやパーミッション情報を利用する.一方で,Web ホスティングサービスをはじめ,Web サービスにおいても,コンテナによって計算処理を担うプロセスの権限分離が普及している状況において,データ処理に関しては,複数の異なるオーナのプロセスがデータベースのようなミドルウェアをネットワークを介して通信し共有することで実現されるケースがある.そのようなシステム構成において,単一の OS 内でのプロセス間は権限分離されていても,ネットワークを介した分散システムと捉えたときには,OS 側の権限分離とは独立してユーザとパスワードによりミドルウェアの認証を行うことになる.すなわち,アプリケーションやシステムの脆弱性によって,特定のプロセスが他のオーナのプロセスのユーザとパスワードを取得できた場合,容易に通信先ミドルウェアの情報にアクセスできる.本研究では,Linux のプロセスのオーナ情報を TCP を介したミドルウェアの認証に付与し,特定のオーナからのみミドルウェアの認証を可能とする透過的な TCP を介した権限分離手法の設計について述べる.
著者
後藤 真孝
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.661-668, 2010-06-15
著者
高橋 尚子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.38-41, 2023-12-15

2025年に始まる大学入学共通テストの「情報」,受験勉強の頼りは大学入試センターが公開している模擬問題しかない.情報処理学会のnoteでは2020年12月から問題解説を連載し,2023年になってようやく出版社から問題集や対策本が発売され始めた.実際,受験にどう備えればいいか,想像がつきにくい.そこで,「情報」とは異なるが,似ている「情報関係基礎」の受験体験記を,文系大学に合格した現役大学生にインタビューを行い,まとめた.
著者
向山 明佳
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.28-33, 2023-12-15

新カリキュラムのスタート,大学入試共通テストに情報が追加される,生徒学習用端末の導入など高校情報科は激変の時代を迎えている.この新時代にどんな授業をすれば良いのかを考察する.1人1台端末とパソコン室の端末の使い分けや,インターネットの仕組みを理解する実習の事例を紹介する.また,生徒の声を大量に集めることで,生徒の学習意欲を高め,生徒理解を深める授業方法も紹介する.
著者
渡邊 幸樹 稲村 浩 中村 嘉隆
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.379-380, 2018-03-13

近年,BLEビーコンによる屋内の人流把握が注目され,特に滞留行動の把握は様々な効果が期待される.本稿では,試作したセンシングデバイスにて周囲の移動端末に搭載されたBLEの挙動を検知し,人流から滞留者の検知と働きかけの対象となる潜在顧客の判別を試みる.取得したRSSI値の変動に対してDTWを用いたテンプレートマッチングにて潜在顧客の行動特徴を示した滞留者の判別を行った.このセンシングデバイスは環境発電による間欠動作を想定している.しかし,人流のように連続的な計測が必要な場合には間欠動作では判別精度の低下が懸念される.ハードウェア最適化を考慮した上で判別に適切な動作間隔についても議論する.
著者
藤井 巧朗 濱上 知樹
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1668-1677, 2023-12-15

機械学習システムは訓練データとテストデータが同一の分布に従うものと仮定した状況下で動作する場合が多い.しかし,それらの分布は異なることが多く,ドメインシフトにより実用時に性能が低下してしまうという問題がある.本論文では,自然言語処理分野におけるドメインシフトの課題を解決するために,事前学習済み言語モデル(PLM)のFine-Tuningプロセスに着目した教師なしドメイン適応(UDA)に取り組んだ.本論文はPLMのFine-Tuningプロセスにおいて,正規分布に従う低次元の特徴量を獲得すると同時にノイズを付与するGaussian Layerを提案し,タスクヘッドに適用することでドメインシフトを軽減する.実験結果より,Gaussian Layerは特にソース・ターゲットドメイン距離が遠いより困難な設定で優位であることが確認された.また,分布整合分析より,Gaussian Layerは従来のUDA手法と比較してソース・ターゲットドメイン分布を整合することが確認でき,ドメイン不変な表現を獲得できることを示した.