著者
朱 文昌
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.654-659, 2023-11-15

情報の授業において知的財産や権利について学習する際に,模擬裁判(法教育の要素)を取り入れた.生徒は原告,被告,弁護士,裁判官の役に分かれ,各立場をロールプレイしながらプレゼンすることで,知的財産権の概念理解,権利のバランス,取り扱いを意識する.そして考察・判断を行うことで,自分事として学習することを目標とした授業実践である.
著者
小沢 一雅
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2010-CH-87, no.1, pp.1-6, 2010-07-24

古事記・日本書紀における年代表記の基本は,60 年周期の干支年である.日本書紀は編年体で記述されているため年代の記述に欠損はないが,古事記は多くの天皇の崩御年 (崩年) の干支年が欠落していることもあり,絶対年への換算が唯一にできないという問題がある.とくに,日本古代におけるキーパーソンである崇神天皇の崩年を,古事記は戊寅年としているが,これを絶対年に換算するに際して,主として 318 年説と 258 年説の 2 つの説がある.本稿では,両説ともに大きな矛盾をはらんでいることを明らかにする.
著者
森 真誠 深井 貴明 山本 啓二 広渕 崇宏 朝香 卓也
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-59, no.7, pp.1-8, 2022-09-06

近年,爆発的に増加するデータを処理するために,多くのソフトウェアが利用されている.これらを共用 HPC システム上で利用する需要はあるものの,現在の共用 HPC システムはユーザが管理者権限を使用 (以後,root 化) できず,これらソフトウェアの導入に多くの労力を要する.また,システムレベルの最適化も root 化ができないため共用 HPC 環境では困難である.一方で共用 HPC 環境で単に root 化を許可すると,ハードウェアへの恒久的な変更などセキュリティや運用上で問題ある操作を防げない.また,ユーザのジョブがシステムの設定を変更できるため,ジョブの実行毎に設定変更の影響を取り除くためのマシン再起動が必要となるものの,再起動処理には多くの時間を要する.仮想計算機を用いるとこれらを解決できるものの,仮想化処理による性能劣化があり HPC システムには適さない.本研究では,上記課題を解決しユーザの root 化を可能とするシステムを提案する.提案システムは軽量なハイパバイザによって (1) ハードウェアの恒久的な変更を防ぐ機能と (2) ジョブ実行後マシンの再起動なしにシステムを既定の状態へ戻す機能を提供する.本手法を富岳と同系統システムで評価するため,Arm プロセッサで動作する軽量ハイパバイザ MilvusVisor と上記 2 つの機能を設計および実装した.本実装による実験の結果,メモリ性能における性能劣化について 2% 以下で上記機能を実現できることを確認した.
著者
Rémi Coulom
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.66-69, 2023-11-10

While training deep-learning neural networks often requires considerable amounts of computing power, inference is efficient, and can be run on small devices. Cell phones are a typical example, but they are still rather powerful. The research presented in this paper takes the challenge to the extreme by running a Go-playing convolutional neural network on the 6809 CPU, an 8-bit microprocessor launched by Motorola in 1978. The software was implemented on a Thomson MO5 microcomputer, and reached a playing strength on par with GNU Go.
著者
シュエ ジュウシュエン 池田 心
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.131-138, 2023-11-10

囲碁の問題集はプレイヤが上達するための勉強によく使われている.市販の問題集はたくさん存在するが,問題数が限られているし,個人ごとの弱点や好みに合わせて提供することも殆ど不可能である.そこで本研究はプレイヤの要望に応じた囲碁問題の自動生成を目指す.まずは囲碁問題の自動生成に向ける第一歩として,本稿では問題の局面と正解手が与えられると仮定するうえで,不正解手の自動生成を行う.本稿での調査対象を布石問題とする.具体的には市販の布石問題集を,ヒューリスティック特徴量と強い囲碁プログラムによる特徴量で分析し,不正解手が選ばれる条件を明らかにする.また,調査の結果に基づき,ルールベースの方法で不正解手の自動生成も行う.
著者
出村 洋介 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2023論文集
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.111-118, 2023-11-10

経験の多様性と不偏性は強化学習エージェントの性能や頑健性を向上させるが,大きな計算コストなしにそれを実現するのは困難な場合がある.多くのチェスライクゲームやオセロなどでは,初期状態(初期局面の駒配置等)が固定されていて 1 通りしかないため,AlphaZero スタイルの強化学習を行う場合,エージェントは似たようなエピソードや棋譜を経験しがちである.本論文では,この課題に対応するため,将棋の初期局面を拡張した「将棋 81 万」を提案し,将棋における有効性を実験的に評価する.「将棋 81 万」は,チェス 960 [1] と同様に駒の初期配置を一定の制約のもとでランダムにシャッフルして作成された将棋の初期局面集である.我々は,Gumbel AlphaZero の手法で 1000 万局の自己対局を行って様々なエージェントを訓練する実験を行い,最初に将棋 81 万で事前学習を行った後に通常の将棋に適応学習させたエージェントは,通常の将棋のみで訓練したエージェントよりも人間の対局で見られる様々な戦型において平均的パフォーマンスや頑健性が向上することを示した.
著者
山﨑 郁未 中村 聡史 小松 孝徳
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1438-1446, 2023-10-15

自由記述設問における不真面目回答は,回答者が自由記述設問は面倒であるものの,ある程度回答したため途中で辞めたくないと考えることから回答してしまう可能性がある.そこで本研究では,自由記述設問をアンケートの最初に提示し,離脱する抵抗感が少ない冒頭で離脱できるようにすることで不真面目回答を減らし,アンケートの質を向上させることが可能かどうかを検証する.具体的には,アンケートにおける自由記述設問の位置が,不真面目回答率や離脱率に与える影響を調べるために,クラウドソーシングを用いた実験を行った.その結果,自由記述設問を最初に回答した方が,自由記述設問を最後に回答するよりも不真面目回答率が低く,離脱率が高いこと,自由記述設問の内容に大きな違いがないことが分かった.また,アンケートを公開してから10分以内に回答を始めた回答者は,不真面目回答率が高いことも示唆された.
著者
堀田 浩人 稲村 徳州
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.192-198, 2021-08-23

ビデオゲームUIの分類方法としてFagerholt, Lorentzonのdesign spaceがあり,この分類方法は複数のUIの研究で用いられている.本研究ではこの分類方法の例外を調査した.キャラクターとプレイヤーとの間で異なる感覚によって知覚される新たなUIの種類,alter-sensoryを定義し,それを分類するための新たなdesign spaceを提案する.
著者
後藤 正夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, 1961-02-25
著者
長谷部 紀元
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, 1986-12-15
著者
岡本 雅子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.580-583, 2015-05-15

近年,学校教育において,プログラミング学習の早期からの実施とその充実が検討されています.こうしたなか,学習導入時におけるつまずきの排除は,プログラミングに対する苦手意識を持たせないためにもますます重要になっていくことと思われます.本稿では,特に,実際にタイピングして,実行する形態で学ぶ,いわゆるプログラミング演習時(写経型学習過程)のつまずきに着目し,この過程で見られるつまずきを3つのタイプに類型化するとともに,それぞれの類型にしたがって,学習者がつまずかないための工夫について概説します.
著者
宮武 勇登
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.244-246, 2023-04-15

ODE Netなどでは,微分方程式の近似解を用いて定義された目的関数の最小化問題を解く必要があるが,そのためには,目的関数の微分の計算を系統的に効率よく行うことが期待される.紹介論文では,そのための方法論が示されているが,理論の背景には,微分方程式の持つ保存量を厳密に再現するように離散化を行うという考え方があり,同様の議論はNewtonによるKepler問題(特にKeplerの第二法則)の考察にまで遡ることができる.
著者
長島 紀子 中山 泰一 野下浩平
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1581-1586, 1998-06-15

ゲーム木を探索する場合,異なる枝に同一局面が発生することが頻繁に起きる.この探索の重複を避けるため,局面表(ハッシュ表)に局面を登録し,計算結果を再利用するという手法がよく用いられる.ゲーム木の並列探索するときにも,上記のハッシュ表をプロセッサ間で共有できれば,異なるプロセッサ上で計算した結果が利用でき,計算時間の短縮が期待できる.本研究では,まず,分散メモリ型並列計算機(NEC Cenju?3)上に分散共有ハッシュ機構を設計・実現した.続いて,具体的なゲーム木探索問題としてオセロゲームの先手必勝後手必勝の決定問題を取り上げ,分散共有ハッシュ機構の評価実験を行った.実験の結果,たとえば7×5盤のオセロゲームでは,分散共有ハッシュ機構の導入により約30%計算時間が短縮されることが示された.
著者
渡邉 ゆきこ
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.604-607, 2023-10-15

筆者が2021年から行っている「Mozilla Hubs」(モジラ・ハブス)というソーシャルVRプラットフォームを活用した初級中国語の授業の実践報告.モジラ・ハブスは,デバイスに依存しないブラウザベースのメタバースであり,多様なモデルシーンを持つ上,直感的に操作可能な編集機能を備えていることがその特徴である.利用している無料プランでは仮想空間の定員が10人と少ないが,同じ空間を複製する機能を活かして活用の幅を広げた.活用例として,海外の大学との交流授業,学生が制作した動画をVR空間に展示するVRポートフォリオ,さらに4つのカテゴリーに分けられる教材としての利用などを報告している.
著者
石黒 正揮 山崎 重一郎 佐々木 貴之
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.520-523, 2023-09-15

暗号資産,デジタル所有権NFT,分散型自立組織DAOなどブロックチェーン技術をベースとした応用・サービスはWeb3.0と呼ばれ,従来のインターネット経済に大きなパラダイム転換をもたらすものとして注目されている.政府においても,内閣府,経産省,総務省などによりWeb3.0経済の推進に向けて検討が進められている.一方で,国内外においてWeb3.0に対する大規模なハッキングや事件が繰り返し発生し,Web3.0経済の発展の障害となっている.本特集では,Web3.0の普及に向けて,Web3.0のリスクや課題を明らかにするとともに,それらに対する解決の方向性,将来展望を示す.
著者
松井 勇佑
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.140-141, 2023-02-15

非線形次元削減の代表的手法であるLocally Linear Embeddingについて簡単に解説する.
著者
和佐 州洋 有村 博紀 宇野 毅明
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.2014-AL-148, no.17, pp.1-6, 2014-06-06

本稿では,k- 縮退グラフに含まれる誘導木 (連結かつ非巡回な誘導部分グラフ) を,効率よく列挙するアルゴリズムを与える.グラフ G=(V,E) が k-縮退 (k-degenerate) であるとは,G の任意の部分グラフが高々 k の次数を持つ頂点を含むときをいう.これまで,制約のある誘導部分グラフの列挙に関しては,連結な誘導グラフ (Avis,Fukuda,DAM,1996) や,コードレスパス,コードレスサイクル (宇野,第 92 回アルゴリズム研究会,2003) の列挙に関する先行研究があるが,誘導木については知られていない.最大次数が d のとき,誘導木 1 つ当たり O(d) 遅延の列挙アルゴリズムは容易に構成できるが,これをどの程度まで改善できるかは未解決の問題である.我々のアルゴリズムは,入力グラフ G が k- 縮退グラフであるとき,誘導木を 1 つ当たりならし O(k) 時間で列挙する.系として,k が定数ならば,誘導木を 1 つたり,ならし定数時間で列挙可能である.
著者
横井 優 山西 良典
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2023-EC-69, no.5, pp.1-6, 2023-10-19

歌声合成技術であるボーカロイドは,ヴァーチャルな「アーティスト」としても広く認識され,ボーカロイドが歌う楽曲(i.e., ボカロ曲)は人間のアーティストの楽曲(アーティスト曲)と同様に聴取されている.ボカロ曲は,歌声合成技術の発展に伴って生まれたユーザ生成型コンテンツであり,日本で発達した新しい音楽文化である.本稿では,ボカロ曲の歌詞に着目し,アーティスト曲とのトピックの差異を比較・分析する.分析の結果,ボカロ曲とアーティスト曲では歌われるトピックの分布が異なり,各トピックに含まれる単語の極性にも違いが存在した.また,ボカロ曲はアーティスト曲に比べて過激な内容やファンタジーをテーマとした歌詞が多く見られることも確認された.