著者
山本 雄平 田中 成典 姜 文渊 中村 健二 田中 ちひろ 清尾 直輝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.1334-1350, 2018-05-15

我が国では,2020年の東京オリンピックに向けて,スポーツに関わる政策が積極的に推し進められている.その施策の1つである「スポーツ × ICT」では,スポーツ分野における計測機器の開発やデータ計測と可視化手法の高度化,そして新サービスの提案など,最新ICTの効果的な利活用が進められている.しかし,スポーツ分野にICTを適用する試みは始まったばかりの黎明期であり,教育現場や地域クラブの指導者のみならず,高度な専門知識を保有したスタッフにおいても,自在に操ることは難しい.そこで,本研究では,「スポーツ × ICT」に関わる既存研究を調査し,現状把握と効果的な活用方法を模索するとともに,アメリカンフットボールのプレーデータの可視化システムを開発する.そして,選手にセンシング機器を適用し,統計的手法と組み合わせてプレー分析を行い,カレッジフットボールの監督・コーチなどの指導者に新たな気づきを提供できるかの観点に基づき,実用の可能性を検証する.
雑誌
立教經濟學研究
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.235-237, 1990
著者
中尾 寿朗 荒尾 真樹 藤本 幸一 細野 正彦 谷口 正宏 石川 達也
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.83(2001-MBL-018), pp.15-21, 2001-09-06

近年インターネットやモバイル端末の急速な普及によって鉄道においても様々なIT活用サービスが提案されている。本開発では切符の機能をモバイル端末で実現する鉄道向け電子チケット(以下デジタルチケットと呼ぶ)システムを構築した。デジタルチケットは切符の取引や予約をモバイル環境で可能にし「いつでもどこでも切符が買えて、そのまま改札を通過できる」という利便性が期待できる。実現にあたっては、(1)チケット取引・使用の安全性確保 (2)モバイル端末での操作利便性の実現 (3)自動改札判定の高機能対応と高速化、といった主要な課題を解決した。評価システムの構築、実現性の検証、実用化に向けての課題について考察する。また、デジタルチケットの実現により新たに創出が可能となるサービスを検討し、一例として運用を予定している「自動改札機連動モバイル情報配信サービス:goopas(グーパス)」について、その概要を紹介する。
著者
山崎 元一
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.347-399, 1966-12

The present article is the re-examination of the two legends closely connected with the Mahinda legend which the author examined in his last article in this journal (“The Mahinda Legend, A Critical Study”, Toyo Gakuho, XLVIII-2). In the present article, he asserts that: 1. Moggaliputta-Tissa, who was attributed to the teacher of Mahinda, must have been one of a famous thera (a senior monk) belonging to the Buddhist monk community of Avanti (including Sanchi and Ujjeni), since his name was found inscribed on two relic-caskets which were unearthed from two sûpas around Sanchi. 2. The legend of the sending of the missionaries to various countries may not be based on the historical facts but must be a fabrication of the Ceylonese monks, who divided the outlying lands of India into nine parts and where the famous missionaries were known, they picked up their names (such as Majjhantika, Mahādeva, Majjhima), and where such missionaries were unknown, they created fictional names to fill the blank in the legend (such as Rakkhita, Dammarakkhita, Mahârakkhita, Mahâdhammarakkhita.) They also put these missionaries under the command of Moggaliputta-tissa to give this famous thera the honour of organizing the great missionary work. 3. For the monks of Ceylon, who insisted on the orthodoxy of their school, it might have been necessary to put the legend of the Third Council before the legend of the Converting of Different Countries. In this process, they altered the place of Moggaliputta’s activities from Avanti to Pâtariputra, capital of Maghada. He was made, also, the president of the Council and the spiritual teacher of Asoka. 4. The early Ceylonese Buddhism developed under the direct influence of the Buddhism of Western India especially that of Avanti. Later Ceylonese monks needed to prove the authenticity of their religion and made such legends as above-examined ones to assert that their Buddhism was introduced directly from the home of Buddhism, i. e. Magadha. The author’s opinion will be endorsed by the fact that the similar change of places is also found in the legends of Vijaya, the founder of Ceylon, and Mahinda.
著者
大永 慶子 浅見 洋
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.83-97, 2018-03

精神科病院で最期を迎える精神疾患患者に対する看取りケアを精神科病院の特性をふまえて明らかにするために,現象学的な質的記述的研究を行った.精神科病院で看取られた患者の受け持ちであった看護師に対し,看取りの経験についてインタビューを行った.その結果看取りの特性として【家族関係の希薄さ】【精神症状の減少】【訴えの曖昧さ】【長期にわたる関わり】【孤立する家族】の5 テーマが導き出され,看取りケアとして【家族の代わりになる】【身体ケアに重点を移す】【身体症状を見極める】【人生の伴走者として関わる】【家族の立場に立つ】の5 テーマが導き出された.さらにこれらの特性とケアのテーマから看取りにおける本質として【家族の代わりに最善の決定をする】【身体の苦痛緩和と安楽を実現する】【曖昧な訴えの本質をつかむ】【人生の最後まで寄り添う】【孤立する家族の苦悩に寄り添う】が導き出された.
著者
平野 晋
出版者
中央大学国際情報学部
雑誌
国際情報学研究 (ISSN:2435855X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.131-152, 2021-03-25

R&D for artificial intelligence(“AI”)or usage thereof requires consideration on ethical, legal, and social implications (“ELSI”) because AI inherently contains dangerous characteristics such as uncontrollability, opacity, and unforeseeability. In this piece, the author tries to persuade readers to understand the necessity of ELSI through narratives and by focusing upon un-controllability of AI. He picks up some exemplary narratives from famous sci-fi films such as Robocop(Orion Pictures 1987)and 2001 Space Odyssey(MGM 1968). Also he shows some counter-measures against the un-controllability of AI.
著者
藤倉 恵一
出版者
日本図書館協会
雑誌
現代の図書館 = Libraries Today (ISSN:00166332)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.217-223, 2010-12-01
著者
山塙 圭子
出版者
北翔大学
雑誌
北海道女子大学短期大学部研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Women's College (ISSN:02890518)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.57-70, 1998

明治時代の開拓期から全国的な生活革新が始まる昭和35年(1960)頃までの北海道における食生活用具の変遷について考察した。以下,各時代別に要点をまとめる。1)明治初期の開拓期この時代は衣食住すべてにおいて自給自足の生活である。また暖かい本州での生活文化をそのまま持ち込み,北の厳しい寒さへの対応が殆ど見られない。食生活の基盤である水については湧き水やそれから通じる川水などの自然水の利用が多い。しかし屯田兵村では道内どこでも最初から井戸の布設があった。いずれにしても,荷桶を使い人手で水を運んだ。火元は伝統的な囲炉裏であるが,開拓初期には薪の焚口がある三方を囲んだ「踏み込み炉」が見られる。特徴的な台所用具として,初期にはこれも伝統的な脚のない「座り流し」がある。北海道における開拓期を象徴する調理用具に,原生林の大木をそのまま利用した容器,まな板等,各種の手製木工品が見られる。2)明治末期から大正初期自給自足の生活から,外部に依存する度合いが増してくる。また薪ストーブの普及など北の自然風土に対応した生活文化が徐々に生まれている。水回りについては「井戸水」の使用が増加する。台所・調理用具は購入物が増え樽の代わりに陶器の「水がめ」や「チャブ台」が使用されるようになる。また「ハレ」の道具として輪島塗りの「本膳」や「会席膳」を揃える風潮も現れる。3)大正末期から昭和初期欧米をモデルにした近代化が始まり,人々の意識にも大正デモクラシーの自由主義的な風潮が起こり,生活に大きな変革が生まれた時代である。水回りはポンプが全盛になる。薪ストーブに代わり各種石炭ストーブが普及し,冬はこれら炊事の火となる。酪農の振興により乳製品や肉類,洋風の食べ物が出回り,北海道らしい生活文化が確立される。洋風料理の導入により,フライパンが新しい調理用具として使われるようになり,同時に西洋皿,スプーン,ガラスコップなど,洋風の食器類が一般家庭にも普及する。4)戦中・戦後第二次世界大戦が激しくなる昭和16年(1941)頃から,日本国中極度の耐乏生活を強いられる。食料も不足し,主食は芋,南瓜,雑穀等代用食の時代になるが,台所の各種金属製調理用具まで軍需産業に回されたため,調理用具も陶製,木製その他代用品が出現する。戦後は航空機の余剰金属のジュラルミン製調理用具が各種出回るのも,この時期の特徴である。上水道の設置復活は,昭和25年(1950)頃から始まり昭和32年頃までに市外部を除き,道内各地の整備がなされた。高度経済成長期の昭和35年(1960)年以降には家庭電化時代が始まり,台所・調理用具の大変革が起こり,生活態様も大きく変わった。開拓期の原初的な食生活用具から,今日では機能的にほぼ完成品と思われる食生活用具へと変遷をとげ,それに対応する食生活が展開された。物のない時代の人々の豊かな発想,優れた行動力,惜しまぬ労力が至る所で示されていた。今後もさらに合理性,便宜性に富む食生活用具は登場するだろう。その現実から後戻りは出来ないが,そこに生じるであろう様々な問題点をいかに解決していくか,現代人の英知が問われている。
著者
中原 澪佳
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学 国際学部 紀要 = NUIS Journal of International Studies (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-14, 2020-04-01

本論の目的は、パウロ・フレイレ(Paulo Freire)の目指した対話的な実践とはなにかを考察し、そのうえで、フレイレの思想をもとにしたワークショップの実践をおこない、その有効性を示すことである。はじめに、これまでの対話型の授業の課題とそれを乗りこえようとした多田孝志の理論と実践について明らかにする。つぎに、同様に真に対話的な教育を目指してきたパウロ・フレイレの思想から真に対話的な実践とはどのようなものなのかを読み解く。フレイレの思想のなかでも、とくに重要な一節である「世界を命名する1」ということばに着目し、フレイレの対話の概念を改めて明らかにする。最後に、フレイレの対話の考えをもとにした実践例を紹介し、その実践の意義を考察する。それをつうじて、フレイレの思想を現代の日本で実践化することにどのような意義があるのかを提示したい。
著者
柴崎 大地 酒井 充 丸山 博
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.165-166, 2018-03-13

本稿では,音楽ゲームの譜面を自動生成する方法を提案する.音楽ゲームとは,リズムや音楽に合わせて画面に表示される指示に従って,プレイヤーがボタンを押したりすることで,得点を獲得するゲームである.音楽ゲームにはプレイヤーに指示するアクション等の情報(ノート)を記述した譜面が使用される.譜面を自動生成するプログラムはすでに開発されているが,生成された譜面に対するプレイヤーの評価は良いとは言えず,現状ではほとんど人間が作った譜面がプレイに使用されている.本研究では,人間が作った譜面と楽曲の波形をもとにニューラルネットワークの学習を行い,その結果を用いて譜面を生成する方法を提案し,有効性の検討を行う.
著者
張 翔 池松 香 加藤 邦拓 杉浦 裕太
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.58-61, 2021-08-23

スマートフォンをユーザがどのように把持しているのかを測定することで,把持姿勢に合わせた画面表示や操作ボタン位置の自動切り替えが可能となり,ユーザに合わせたインタラクションが可能になる.本研究では,スマートフォンを操作する際に,角膜にスマートフォンの画面の光が反射して写る像を内蔵インカメラで撮影することで把持姿勢を推定する手法を提案する.角膜に反射したスマートフォンの像ではユーザが画面に指を置いている部分が影となって欠けるため,把持姿勢の推定が可能となる.本稿では,提案手法の精度を検証する実験を行った.