著者
櫻井 圀郎
出版者
東京基督教大学
雑誌
キリストと世界 : 東京基督教大学紀要 = Christ and the world (ISSN:09169881)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.125-135, 2012-03

法人は解散すると清算法人となり,清算結了に至るまで,清算の目的のためには存続するが,本来の法人としての事業活動はできなくなる。その点は,宗教法人で。あっても異なることはない。地下鉄サリン事件などを惹起した宗教法人オウム真理教は 1995 年 10 月 30 日の 東京地方裁判所の解散命令(1996 年 1 月 30 日確定)によって解散しているはずであるがその後の 1999 年 12 月 27 日に施行された無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律によってオウム真理教は規制対象とされており,最近では2011 年 8 月 1 日に公安調査庁が全国 27 カ所のオウム真理教施設に立入検査を行っている。この,一見,矛盾する,ありえない現象は,宗教法人の特殊性にあるのであるが 本項では,その点について言及し,宗教法人解散後の宗教活動の可能性について論及する。
著者
山田 耕嗣
出版者
専修大学経営研究所
雑誌
専修マネジメント・ジャーナル = Senshu Management Journal (ISSN:21869251)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.11-23, 2021-12-20

一般的に,水族館は「自然保護」,「教育」,「調査・研究」,「レクリエーション」といった複数のアイデンティティを持つと言われているが,その中でも多くの日本の水族館で強く自己認識され,かつ多くの一般市民が抱くイメージはレクリエーション施設としての水族館であった。本稿では,日本の水族館がどのような競争メカニズムによって,レクリエーション施設として進化,成長してきたのかを明らかにした。
著者
永井 保夫 長谷川 隆三
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.808-821, 1995-04-15

制約充足は人工知能や画像理解の分野をはじめ、グラフの問題やパズルなどの探索間題、いわゆる組み合わせ問題を対象として研究がおこなわれている。制約充足問題の代表的な解法として、探索法や整合化手法を用いる方法が知られている。われわれは、このような探索主体のアプローチとは対照的な位置付けにある代数的アプローチについて諭じる。本アプローチでは、制約論理型言語の探索機構を利用した制約充足問題に対する研究とは異なり、制約論理型言語におけるブール制約評価系を用いて代数的に制約充足をおこなう。本論文では、ブール代数により制約充足問題を定式化し、得られたブール方程式の求解を制約論理型言語CALにおけるブール制約の評価とみなすことにより、解であるブーリアン・グレブナ基底を求める方法について述べる。さらに、ブール制約評価系を用いた制約充足問題の効率化手法として、1)ブーノレ制約の簡単化方式、2)制約ネットワークの構造情報に基づいた制約の評価順序の決定方式、について提案する。そして、本効率化手法の有効性を確認するために、ブール制約を用いて記述された問題に対して適用実験をおこなう。その結果、制約充足問題の解法として探索法がよく知られているが、それとは異なるあらたなブール代数評価系を用いた代数的な方法ならびに効率化手法が有効であることを示す。
著者
五十嵐 悠紀
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.744-745, 2019-07-15

大学教員としての日々の仕事と3人の子育てとの両立について,子連れでの学会発表などについて触れながら,仕事と育児の両立における現実と期待する未来について述べる.
著者
鈴木 優
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.746-747, 2019-07-15

子供を連れて学会へ参加するということが非常識であると言われていた昔の時代とは変わり,現在は男女共同参画の観点から子供を連れて学会へ参加するための体制が整備されつつあります.ところが,具体的にどのような整備を行う必要があるのか,どのようなことが必要とされているかについては様々な議論があり,試行錯誤が繰り返されている状況です.そこで著者が実際に子供を連れて学会へ参加するという実体験に基づき,そこで受けた恩恵や問題点について述べます.
著者
森 まり子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.58, pp.71-105, 2023-03

本稿はウッドロウ・ウィルソンと18~19世紀英米の政治思想との関連を考察するものである。以下要約に代えて目次を掲げる。はじめに一 本稿の問題意識とウィルソンの青年期の思考の概観(一)ウィルソンの知的経歴 ―概略(二)ダヴィドソン・カレッジとプリンストン・カレッジ時代に吸収した思想(三) ギリシア古典に影響されたウィルソンの「民主主義」像とオスマン帝国観 ―概略二 民主主義と専制に対するウィルソンの考え方 ―フランス革命観三 古代ギリシアの勉強がウィルソンに与えた影響 ―民主主義と専制への考え方(一)ヘロドトスの『歴史』 ①民主制の特色 ②自由・平等・民主制の価値と自由を守る戦い ③ヨーロッパとアジアの二分法(二)ウィリアム・スミスの『ギリシア史』 ①古代ギリシアの民主主義と愛国主義(スミス執筆部分) ② コンスタンティノープル陥落、オスマン帝国治下のギリシア、ギリシア独立戦争(フェルトン執筆部分) (ⅰ)コンスタンティノープルの陥落 (ⅱ)オスマン帝国治下のギリシア (ⅲ)ギリシア独立戦争四 ウィルソンとオスマン帝国 ―東方問題とグラッドストンの人権外交をめぐって(一)ウィルソンのグラッドストンへの傾倒(二)グラッドストン「ブルガリアの恐怖と東方問題」の概要終わりに
著者
石田 信一
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.58, pp.1-22, 2023-03

クロアチアの事例を中心に、旧ユーゴスラヴィア諸国の社会主義期の教科書・教材と現在の教科書・教材において「人民解放闘争」と呼ばれた第二次世界大戦に関連する記念碑や関連施設がどのように取り上げられているのかを比較・分析し、学校教育における戦争記念碑の位置づけの変化とその意義について考察した。社会主義期の教科書・教材では共産党政権の成り立ちと直結する「人民解放闘争」に関連する記念碑や関連施設が数多く取り上げられていたのに対して、現在の教科書・教材ではヤセノヴァツ強制収容所跡に建てられた慰霊碑「石の花」を除けばほとんど取り上げられず,とくにクロアチアでは1990年代の独立戦争、いわゆる「祖国戦争」に関連する記念碑や関連施設が重視されていることが明らかになった。また、2019年に導入されたクロアチアの新たなカリキュラムでは、歴史教科書に「記憶の文化」に関する解説が盛り込まれ、戦争記念碑についても、単なる図版として提示されるだけでなく、より体系的にその来歴や意義を学ぶことが試みられていることを指摘した。
著者
松山 一紀 櫻井 映海 Kazuki Matsuyama Eimi Sakurai
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.145, pp.1-17, 2023-05-31

本稿の目的は,部下に対する上司の非能動的影響を明らかにすることにある。調査の結果,500の有効回答が得られた。回収されたデータを重回帰分析した結果,上司のワーク・エンゲイジメントが高くなるほど,部下のワーク・エンゲイジメントも高くなることが明らかになった。同様に,上司の仕事中毒度が高くなるほど,部下の仕事中毒度も高くなることも明らかになった。その後,これらの結果を踏まえて若干の考察を加えた。
著者
要 真理子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.58, pp.A139-A152, 2023-03

This article focuses on Vorticism --the only avant-garde art movement in Britain in the first half of the twentieth century-- and, more specifically on its central figure, Wyndham Lewis, dealing with the ideology found in texts and activities of Vorticists. The fact that the latter-mentioned group, which started in 1914 and ended the following year, envisaged an ideal urban plan based on a philosophy of vortex (the origin of this group’s name) is made clear in the avant-garde magazine Blast (1914, 1915), as well as and in the book the Caliph’s Design(1919), written by Lewis after the demise of the group’s activities. Unlike the avant-garde art movements of the 1920s in other Western European countries, there was no expansion from contemporary art to extensive urban planning in Britain. It is therefore worth noting the ambitious, if abortive, attempts at urban renewal that Vorticism left behind in its writings. In those writings, we can see that, for Vorticists, the city is always shaped by some force indicated by “vortex”. This vortical force is typically found in the designs in drawings and magazines created by the hands of Vorticists, but it was also a model for this urban restructuring. In the current article, we do not read these designs visually, but reconsider their design ideology - -which is common across genres such as painting, literature and architecture-- from the perspective of urban planning, specifically from Lewis’s texts.
著者
夫 鍾閔 Jongmin Boo
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.57-84, 2021-11-30

本論文は,丸山眞男の思想をめぐる言説を取り上げて,そこにおいてどのような観点から,何が問題とされてきたかを検討するものである。まず,国民国家の問題点に積極的に取り組んで丸山を批判する議論を検討し,そこで丸山が国民国家論の思想家の代表として標的にされた理由を考察した。その後,国民国家批判の潮流と距離を置きながら丸山思想の意義を見出す諸解釈を検討したが,こうした議論が〈国民国家批判としての丸山批判〉から丸山をどのように救い出しているのかを確認した。これらの解釈は国民国家の問題性を認識しながらも,丸山と国民国家を分離させようとするが,そこには,自由主義と民主主義の対立という契機が働いている。しかし,それらの主張を丸山のテキストに即して検証したところ,その解釈には論理的な難点がある。その点,丸山のテキストの読解としては,丸山の国民国家論を一貫したものとして捉えたということで,国民国家批判論者たちによる丸山論のほうがより適切だったと結論付けると同時に,丸山の国民国家論に再解釈の余地があることも明らかにした。