著者
佐野 真人
出版者
皇學館大学研究開発推進センター
雑誌
皇學館大学研究開発推進センター紀要 = Bulletin of the Research and Development Center of Kogakkan University (ISSN:21892091)
巻号頁・発行日
no.4, pp.165-190, 2018-03-01 (Released:2018-07-24)

皇學館大学研究開発推進センター神道研究所では「皇室祭祀の研究」と「神宮祭祀の研究」とを総合研究に掲げ、創設された昭和四十八年(一九七三)以来の重要課題として、特に「大嘗祭の研究」を推進してきた。平成二十九年度の初めに、元文度の大嘗祭に関する史料であり、桜町天皇大嘗祭の調度品の略図と考えられる『元文聖代大嘗会拝見私記御調度品略図』を古書肆より購入し、神道研究所の所蔵とすることができた。本稿では、新収蔵資料である『元文聖代大嘗会拝見私記御調度品略図』について、その史料的価値を考えたい。At The Shinto Institute in Research and Development Center of Kogakkan University,advocated “a study of the religious service of the Imperial Family” and “a study of the religious service of Ise-jingu Grand Shrine” for a general study and, as an important issue since founded 1973, promoted “the study of the Harvest Festival after an Emperor’s enthronement” in particular.
著者
石井 玲子 Ishii Reiko
出版者
新潟人間生活学会
雑誌
人間生活学研究 (ISSN:18848591)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-24, 2018-03

本研究の目的は、アメリカの作曲家・ピアニストであるフレデリック・ジェフスキーの≪「不屈の民」変奏曲≫の楽曲構成を理解し、テーマと36の変奏曲の分析をしながら、シンプルな歌の旋律を複雑な現代曲に変奏していく過程を明らかにすることである。また、各変奏曲の多面的な探究を通して、曲に込められたメッセージが楽曲にどのように表現されているかを考察する。原曲の「不屈の民」はチリの民主化運動の時にセルヒオ・オルテガによって作曲された革命歌である。ジェフスキーはこの曲のメロディをテーマとして、36のピアノ変奏曲としてまとめた。楽曲構成としては、異なる音楽的特徴を持つ変奏曲が第1~第5ステージまで発展し、第6ステージではそれまでのすべての要素を要約していることが確かめられた。また、各変奏曲の分析結果から、サイクル5以外の変奏曲は三つの共通した音楽的特徴、①短2度と完全5度のモチーフ、②半音階や全音階のバス進行、③五度圏の調の動き、を持つことが分かった。本研究の結果から、三つの音楽的特徴が様々な要素を結びつける役割を果たし、巧みな変奏技法で長大な曲を一つに統合する過程を検証することができた。ジェフスキーはこれらのテクニックを使って、様々な人々が集まり、対立や衝突を経て団結し、新たな権力に抵抗していく姿を音楽で見事に表現したと言える。日本の演奏家や聴衆にとって、本研究がジェフスキーや彼の作品を理解するための一助となることを期待する。 This study examines The People United Will Never Be Defeated! composed by Frederic Rzewski, a prominent American composer-pianist, through an investigation of overall structure of the work and an analysis of the theme and 36 variations. This examination reveals the complexity and diversity of the work and how this complexity is related to the power of uniting the diverse groups of people. The theme is based on a Chilean revolutionary song,“¡El pueblo unido, jamás será vencido!” (The People United Will Never Be Defeated!), composed by Sergio Ortega, and Rzewski composed 36 variations from this theme. It is clear that Rzewski achieves an incredibly elaborate formal plan for the entire work and the momentum from the first stage to the sixth stage represents how the Chilean people united to oppose the new power. An analysis of the theme and variations reveals that the whole music except for cycle 5 has three common musical features: the minor 2nd /perfect 5th motive (6-20 hexachord according to Allen Forte’s classifications), descending diatonic/chromatic bass line, and the circle-of-fifths sequence of the harmonic progression. These musical elements are used both in tonal and atonal variations so that the composer manages to maintain a certain unity through the lengthy work. This work is a wonderful gift from the twentieth century and a landmark in the history of variations. The present study has aimed to introduce Rzewski’s piano works to pianists and audiences in Japan, and give them the opportunity to perform/understand his pieces.
著者
伊田 久美子 北村 文 熱田 敬子 岡野 八代 牟田 和恵 古久保 さくら 元橋 利恵 荒木 菜穂 キタムラ アヤ ムタ カズエ フルクボ サクラ モトハシ リエ アラキ ナホ イダ クミコ アツタ ケイコ オカノ ヤヨ
出版者
松香堂書店
巻号頁・発行日
2018-03-20 (Released:2018-03-20)

課題番号 : 26283013 研究課題 : ジェンダー平等社会の実現に資する研究と運動の架橋とネットワーキング 平成26-29年度 科学研究費補助金 基盤研究(B)
著者
藤高 和輝 Fujitaka Kazuki フジタカ カズキ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.163-180, 2013-03-31 (Released:2013-03-31)

ジュディス・バトラーがスピノザの熱心な読者であるということはあまり知られていない。しかし、スピノザは彼女にとってきわめて重要な思想家である。実際、彼女は『ジェンダーをほどく』(2004)で「スピノザのコナトゥス概念は私の作品の核心でありつづけている(198 頁)」と述べている。本論はこの言葉の意味を明らかにしようとするものである。バトラーがスピノザの『エチカ』に最初に出会ったのは思春期に遡る。その後、彼女はイェール大学の博士課程でヘーゲルを通して間接的にスピノザと再会する。この二番目の出会いは、彼女の学位論文『欲望の主体』(1987)を生み出すことになる。最後に、このスピノザからヘーゲルへの移行によって、彼女は「社会存在論」を確立することができた。バトラーの著作におけるスピノザのコナトゥス概念に着目することで、私はこれらの運動を明らかにするだろう。そして、このような考察を通して、バトラーの思想においてコナトゥス概念が持つ意味も明らかになるだろう。 It is not well known that Judith Butler is an avid reader of Spinoza. However, Spinoza is a very important philosopher for her. Indeed, she said in Undoing Gender (2004) “the Spinozan conatus remains at the core of my own work (p.198).” This paper tries to elucidate the meaning of this sentence. Butler rst encountered Spinoza’s Ethics during her adolescence. Afterwards, she indirectly met Spinoza again through Hegel during her doctoral studies at Yale University. This second encounter led to the production of her dissertation, Subjects of Desire (1987). Finally, by this journey from Spinoza to Hegel, she could establish “social ontology.” I will make these movements clear by paying attention to the Spinozan conatus in Butler’s works and we can understand what is meant by conatus in Butler’s thought.
著者
グリスポ レナート 植田 覚
出版者
早稲田大学図書館
雑誌
早稲田大学図書館紀要 (ISSN:02892502)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.41-53, 1988-12-25 (Released:2017-07-06)
著者
山本 眞功
巻号頁・発行日
(Released:2018-07-26)

『本佐録』は「慶安御触書」と称される文書とともに、江戸時代に幕府や諸藩がおこなった農民統制の基本的な考え方を知ることができる記述を含む史料として、かつては多くの日本史教科書等にも取り上げられていた書物である。たとえば、「幕藩体制の経済的な基礎は農業であった。武士階級は「農は国ももとなり」といって農業を重視しており、農民の生活については、「百姓は財の余らぬやう不足なきやう」(「本佐録」)に統制することを心がけた」(実教出版)といったような形でである。そうした場合、著者は引用文の書名に示されているように、徳川家康に仕えた本多佐渡守正信という人物であるとされ、それをも根拠として、この書物は長く江戸時代初期の幕府政治の基本的理念を示す典型的な史料として扱われ続けてきた。しかしながら、その一方では早くからこの書物の著者を藤原惺窩とする見方も示されてきた。『本佐録』は、著者問題からしても、少なからぬ問題をかかえた書物であった。そうした事情もあって、『本佐録』の著者問題をはじめとする成立事情をめぐる問題については、江戸時代から新井白石や室鳩巣といった人々によって様々な議論がなされていた。また、江戸時代における論議をうけて、明治三四年には中村勝麻呂氏による詳しい検討もおこなわれたが、その成立事情については未だに十分に解明されたとは言えないままの状態が続いている。ここに提出する本論文は、その解明されていない成立事情を少しなりとも明らかにしようと試みるものである。そのために本論文は、まずこの書物の成立時期を明らかにすることから検討を始めるという方法を採用した。成立時期の問題については、書誌学や文献学に基づく検討によって解明することが可能だと考えたからである。検討は具体的には以下に記すような手順でおこなった。『本佐録』には四〇本近くの版本と一二〇本程の写本、さらには十数本の関係書が残っている可能性があることが確認されている。そこで本論文においては、これに私の所蔵する十数本の史料を加えて、まず可能な限りの史料にあたって、書誌学に基づく成立時期の検討をおこなった。その結果判明したことは、『本佐録』の確認できる成立時期の可能性の上限は、延宝五年(一六七七)を少しさかのぼったあたりであるということであった。そして、続いて文献学に基づく検討を試みた。『本佐録』には『心学五倫書』は系統の書物のなかの記述が用いられているという事実があるからである。『心学五倫書』は、版本としては慶安三年(一六五〇)に現在知り得る限りではじめて著者不明のまま姿を現した書物であるが、一七世紀後半の寛文期になって『五倫書』さらには『仮名性理』という名の書物に姿を変えている。これらの書物は数度にわたる改変の過程の折々で細部の記述を変えており、したがって『本佐録』に用いられているこの系統の書物からの記述がどの折りの書物から引かれたものかを文献学の方法に基づいて検討することで、我々は『本佐録』のおおよその成立時期を特定することが可能となる。検討の結果、『本佐録』が引いているのは『仮名性理』の記述であり、その『仮名性理』の成立時期からすると、『本佐録』の成立時期は寛文七~九年(一六六七~一六六九)から延宝五年(一六七七)の間の約十年間である可能性が高いということが確認できた。この結論は、書誌学の方法に基づく検討の結果とも符合する。『本佐録』は、元和二年(一六一六)に世を去った本多佐渡守正信や同五年(一六一九)に五九年の生涯を終えた藤原惺窩には著すことのできるはずもないものであり、明らかに偽書として流布したものなのである。偽書『本佐録』は、したがって江戸時代初頭の幕府や諸藩の政治理念を問題にするための書物などではない。この書物は、むしろ幕藩体制の確立期と言われる寛文延宝期の政治状況や思想状況を探るための材料として重要である。この観点に立って本論文では、『本佐録』として流布したこの書物の思想内容を“「文道」の重視”“「百姓」への対応”“「侍」の使い方”という三つの点から検討し、続いてそれが寛文延宝期という幕藩体制史上の重要な時期において、どのような思想的機能を果たすものであったのかを問題とした。本論文は、著者を本多佐渡守正信や藤原惺窩とする見方に基づいて幕藩体制成立期の問題を扱うための史料として長く用いられ続けてきた『本佐録』という書物を、改めて実際に書かれた時期、すなわち幕藩体制の確立期の現実と突き合せて読んでみようとしたものである。それは、この書物の成立の意義、特にこの書物が成立以後に果たした思想的機能や社会的機能に対して新たな視線を向けてみるという試みでもある。 哲学
著者
山崎 明子
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.213, pp.104-113, 2011-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第213集『身体/表象 - 通文化史的研究 -』池田忍 編 “Bodies as Representation : Viewpoints in cross-cultural history" Report on Research Project No.213
著者
望月 正道
出版者
鹿児島県立短期大学
雑誌
人文 (ISSN:13410520)
巻号頁・発行日
no.36, pp.一-十, 2012-08-31 (Released:2018-07-13)
著者
歌川国綱画
出版者
大平
巻号頁・発行日
1860 (Released:0000-00-00)
著者
涌井 隆
出版者
名古屋大学大学院国際言語文化研究科
雑誌
論集:異文化としての日本
巻号頁・発行日
pp.53-62, 2009-03-01 (Released:2018-02-20)

国際シンポジウム「異文化としての日本」記念論文集(平成20年11月1~2日 : 名古屋大学にて開催)