著者
上原 一浩
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.9, pp.693-704, 2017-09-01

1980年代,軍用通信への応用を目指してソフトウェア無線の研究開発がスタートし,DSPやFPGA等の急速な性能向上と低価格化も進み,民生機器への展開に向けた研究開発が本格化した.また,1990年代には,ソフトウェア無線機を適応的に制御し利用するためのコグニティブ無線の概念が提唱され,その応用として高度な電波利用の実現に向けた技術開発が加速した.無線装置及び無線ネットワークの機能や性能を動的かつ適応的に変更可能とするソフトウェア無線・コグニティブ無線を実現するためには,信号処理技術やシステム制御技術,ネットワーク技術,広帯域フロントエンド技術や無線機構成技術,スペクトルのセンシング・可視化・管理・共用技術,セキュリティ技術など,ベースバンド部からRF部に至るまで,ハードウェア・ソフトウェアの両面で,様々な基盤技術の開発が必要である.本論文では,このソフトウェア無線・コグニティブ無線技術の研究開発に関し,特に無線アクセスシステムへの応用を目指した我が国における基盤技術開発を中心に,これまでの主要な取り組みについて概説する.更に,主要な実用化事例と,2020年代のIoT時代に向けた将来展望についても述べる.
著者
岩田 淳 下西 英之 小林 正好
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.9, pp.626-637, 2017-09-01

本論文では,ネットワーク業界に20年に1度と言われる革新をもたらしたSDN,NFVにおける研究開発・実証・商用化と本領域の将来の発展の方向性について述べる.現在のインターネットは自律分散制御方式を採用し,個々のネットワーク装置に機能が埋め込まれているため,機能追加・変更が困難な上,装置の機能肥大化を招いている.またデータセンタ等の仮想化が進む環境では,頻繁に生じるサーバやストレージの構成変更に迅速に追随するネットワーク構築・運用が求められるが,自律分散制御に起因する遅延や振る舞いの予測困難性により,迅速,確実なネットワーク変更ができないという課題がある.本課題に対し,筆者らは論理集中型のプログラマブルな制御方式によるネットワークの設計・構築・運用(SDN)と最小限の標準的枠組み(OpenFlow)とによる解決策を提唱し,更にネットワーク装置の仮想化(NFV)と組み合わせ,ネットワークサービスでの高機能化と柔軟性の実証・実用化に成功した.更に,IoTなど実世界のデータをセンシング・解析・最適化する際の広域分散データ解析プラットホームへの本技術の適用へ向け,将来を展望する.
著者
川又 泰介 石井 隆稔 赤倉 貴子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.4, pp.725-728, 2018-04-01

e-Learningにおけるなりすまし防止手法として,顔認証における参照情報をe-Learning中に逐次更新する手法を開発した.評価実験より,入力情報と登録情報との類似度と,e-Learning中に発生するイベントによって更新の影響を調節することで,従来の方法よりも認証精度が向上する可能性が示唆された.
著者
惠本 序珠亜 平田 豊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.2, pp.456-467, 2018-02-01

マイクロサッカード(MSC)はヒトの潜在的注意を反映すると考えられている微小で高速な眼球運動である.MSCの発生特性から,ヒトの潜在的注意の定量的な評価が可能となることから,MSCの実時間検出法の開発が望まれている.これまで,MSC検出法として幾つかの手法が提案されているが,これらの手法はオフライン解析での利用を想定しており,実時間で利用することは考慮されていない.そこで本研究では,実時間MSC検出に対応するため,ディープラーニングの手法を応用した畳み込みニューラルネットワークによる新しいMSC検出法を提案する.また,提案法を評価するため,MSC誘発実験を実施し,MSC波形のデータセットを作成して,従来法と検出精度を比較する.その結果,提案法は現在広く使われている従来法と比較し,最大で8.1%検出精度が高く,ノイズの変化や個人差に対しても安定してMSCを検出できることを示す.更に,提案法は現在一般的なPCを用いた場合にも,実時間MSC検出が可能であることを示す.
著者
住谷 正夫 安久 正紘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J80-D2, no.9, pp.2556-2564, 1997-09-25

K. L展開の手法を用いて,安静状態,音楽聴取時のリラックスした状態と不快な音(雑音等)による心理的ストレス負荷状態での脳波を,音刺激開始後の約2分間のα波の変化に着目して短時間での快・不快の解析を試みている.頭皮上の16箇所から同時測定された脳波のα波帯域(8~13Hz)の脳波をK. L展開を用いて16軸の固有ベクトルに分解し,それぞれのベクトル方向とその固有値の寄与率の変化について検討している.その結果,固有値の大きい三つの固有ベクトルの寄与率の合計が全体の96%程度を示し,寄与率の大きな順に並べた第1ベクトルから第3ベクトルが,各被験者で,安静状態やさまざまな音刺激状態にかかわらず安定しており,各被験者の脳波パターンを表現する座標系として有効であることを見出している.次に,第1ベクトルの方向の違いを用いてA,Bの二つのグループに分けて,各刺激による各固有値の寄与率の変化を解析した.その結果,Bのグループで音楽を聞かせた状態において,不快な音刺激に比べ第1ベクトルの固有値の寄与率が有意に減少し,第2ベクトルの固有値の寄与率が有意に増大することを見出している.更に,第1ベクトルと第2ベクトルの寄与率の差によって,心理的ストレス状態の違いをより大きな有意な変化としてとらえることができることを示している.また,被験者全員の解析においても有意な差として同じ結果になることを見出している.更に,Aグループでも同じような傾向があることを見出している.
著者
Satoshi TAOKA Tadachika OKI Toshiya MASHIMA Toshimasa WATANABE
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E101-A, no.2, pp.357-366, 2018-02-01

The k-edge-connectivity augmentation problem with multipartition constraints (kECAMP, for short) is defined by “Given a multigraph G=(V,E) and a multipartition π={V1,...,Vr} (r≥2) of V, that is, $V = igcup_{h = 1}^r V_h$ and Vi∩Vj=∅ (1≤i<j≤r), find an edge set Ef of minimum cardinality, consisting of edges that connect Vi and Vj (i≠j), such that (V,E∪Ef) is k-edge-connected, where a multigraph means a graph, with unweighted edges, such that multiple edges may exist.” The problem has applications for constructing a fault-tolerant network under building constraints, and so on. In this paper, we give a linear time reduction of (σ+1)ECAMP with |π| ≥ 3 to (σ+1)ECAMP with |π|=2 when the edge-connectivity of G is σ and a structural graph F(G) of G is given.
著者
横山 拓 鈴木 宏昭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.2, pp.294-305, 2018-02-01

本論文は,不確実性が高く,事前のプランが立てにくい環境に置かれたマネジャーが,断片的で無計画に見える日常活動を送りながらも,周囲の職場環境が提供する様々な認知資源をたよりに組織運営にあたっていることを示す.具体的には,非定型的な業務に従事する2人のマネジャーに対して各3日間の観察調査を行い,時間配分,計画やコミュニケーションの特徴を分析した.その結果,マネジャーの日常活動が断片化していること,マネジャー自身と周囲の環境とに計画が分散されていること,周囲との偶発的かつ頻繁なコミュニケーションによって仕事が調整されていることが確認された.この結果を分散認知,拡張された心の観点から検討した.
著者
嶋 和明 本間 健 池下 林太郎 小窪 浩明 大淵 康成 佘 錦華
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.2, pp.446-455, 2018-02-01

電子機器の音声入力操作が一般的になった.音声入力操作に必要となる言語理解器開発のためのコーパスは,主にWOZで収集されてきた.WOZは,人が機械に話すときに見られる簡潔な発話スタイルの収集に向く.しかし,ユーザは,言語理解に優れる機械と対話するなかで,多様な発話をするように変化すると予測される.本研究は,機械相手の簡潔な発話だけでなく将来起こりうる多様な発話も収集することを目的とし,インタビューによるコーパス収集法を提案する.具体的には,カーナビをターゲットとして,質問者から回答者にカーナビに何と言うか質問し,回答を得る.回答者には,機械向けの発話収集であり,かつ機械は進化しているため発話の制限がないことを教示する.インタビューで得たコーパスと現製品の発話ログデータ(製品ログ)を比較したところ,コーパスが一発話あたり11.7%多く形態素を含み,多様な発話を収集できたことを確認した.また,現製品の言語理解用データとしての有用性を調べるため,コーパス,製品ログ,両者混合の3パターンで学習させた言語理解器を構築し,評価した結果,両者混合学習で最高精度となり,有用性を確認した.
著者
グエン ドク ティエン 宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.2, pp.431-445, 2018-02-01

近年,社会構成主義に基づく学習評価法としてピアアセスメントが注目されている.一般に,MOOCsのように学習者数が多い場合のピアアセスメントは,評価の負担を軽減するために学習者を複数のグループに分割してグループ内のメンバ同士で行うことが多い.しかし,この場合,学習者の能力測定精度がグループ構成の仕方に依存する問題が残る.この問題を解決するために,本研究では,項目反応理論を用いて,学習者の能力測定精度を最大化するようにグループを構成する手法を提案する.しかし,実験の結果,ランダムにグループを構成した場合と比べ,提案手法が必ずしも高い能力測定精度を示すとは限らないことが明らかとなった.そこで,本研究では,グループ内の学習者同士でのみ評価を行うという制約を緩和し,各学習者に対して少数のグループ外評価者を割り当てる外部評価者選択手法を提案する.シミュレーションと被験者実験から,提案手法を用いて数名の外部評価者を追加することで,グループ内の学習者のみによる評価に比べ,能力測定精度が改善されることが確認された.
著者
池田 博明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J96-C, no.11, pp.311-318, 2013-11-01

平成20年度から平成24年度に至る5年間,ASETに於いてNEDO委託事業「立体構造新機能集積回路(ドリームチップ)技術開発」が実施された.このプロジェクトは,半導体製品の更なる性能向上を図るため,TSVを活用した三次元集積化技術の開発により配線遅延,消費電力問題・高性能化の限界に対する有望な解決策を提供するとともに,新たな多機能デバイスの実用化を促進し,電子・情報技術の競争力を強化することを狙った.また異機能をもつチップの積層技術など,これまでにない立体構造新機能集積回路を実現することを目的としている.今回機会を頂いて,ASETにおける三次元積層技術開発の成果を報告する.本論文で紹介するテーマ別の成果を示す図表は,2013年3月8日に行われたASET最終成果報告会で各ワーキンググループの主査によって発表され,ASETホームページに掲載された資料から引用している(http://www.aset.or.jp/kenkyu/kenkyu_sanjigen_index.html).
著者
Yuki YAMANASHI Shohei NISHIMOTO Nobuyuki YOSHIKAWA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Electronics (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.E99-C, no.6, pp.692-696, 2016-06-01

A single-flux-quantum (SFQ) arithmetic logic unit (ALU) was designed and tested to evaluate the effectiveness of introducing dynamically reconfigurable logic gates in the design of a superconducting logic circuit. We designed and tested a bit-serial SFQ ALU that can perform six arithmetic/logic functions by using a dynamically reconfigurable AND/OR gate. To ensure stable operation of the ALU, we improved the operating margin of the SFQ AND/OR gate by employing a partially shielded structure where the circuit is partially surrounded by under- and over-ground layers to reduce parasitic inductances. Owing to the introduction of the partially shielded structure, the operating margin of the dynamically reconfigurable AND/OR gate can be improved without increasing the circuit area. This ALU can be designed with a smaller circuit area compared with the conventional ALU by using the dynamically reconfigurable AND/OR gate. We implemented the SFQ ALU using the AIST 2.5kA/cm2 Nb standard process 2. We confirmed high-speed operation and correct reconfiguration of the SFQ ALU by a high-speed test. The measured maximum operation frequency was 30GHz.
著者
佐藤 寧洋 河合 勇輝 阿多 信吾 岡 育生
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.12, pp.1043-1057, 2017-12-01

Software-Defined Networking (SDN)では,データプレーンとコントロールプレーンを分離し,ネットワーク全体を集中制御することで,柔軟なネットワーク構成を可能にしている.しかし,ネットワーク規模が大きくなるにつれてネットワーク内の機器数が増加するため,集中制御によるネットワーク管理ではスケーラビリティに乏しいという問題がある.そのためSDNコントローラを分散化させる手法が提案されているが,分散コントローラ同士のネットワーク情報の一貫性を考慮する必要がある.本論文では,データベースを用いた一元管理によるSDNの動的構成手法を提案する.ネットワークに関する全ての情報をデータベースで一元管理し,データベースの情報をもとに独立して動作する機能コンポーネントによってネットワーク制御情報を非同期的に生成・更新することを目的とする.非同期処理やトランザクション処理に優れたデータベースシステムを利用することで,ネットワーク設定の一貫性を容易に維持することが可能となる.そのために,基本となるデータベースのデータ構造を設計・構築し,具体的な処理を行う機能コンポーネントを実装する.最後に,OpenFlowネットワークにおけるベンチマーク評価により本提案手法の基本性能を示す.
著者
Sven WOHLGEMUTH Kazuo TAKARAGI
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E101-A, no.1, pp.149-156, 2018-01-01

Threats to a society and its social infrastructure are inevitable and endanger human life and welfare. Resilience is a core concept to cope with such threats in strengthening risk management. A resilient system adapts to an incident in a timely manner before it would result in a failure. This paper discusses the secondary use of personal data as a key element in such conditions and the relevant process mining in order to reduce IT risk on safety. It realizes completeness for such a proof on data breach in an acceptable manner to mitigate the usability problem of soundness for resilience. Acceptable soundness is still required and realized in our scheme for a fundamental privacy-enhancing trust infrastructure. Our proposal achieves an IT baseline protection and properly treats personal data on security as Ground Truth for deriving acceptable statements on data breach. An important role plays reliable broadcast by means of the block chain. This approaches a personal IT risk management with privacy-enhancing cryptographic mechanisms and Open Data without trust as belief in a single-point-of-failure. Instead it strengthens communities of trust.
著者
松本 亮介 栗林 健太郎 岡部 寿男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J101-B, no.1, pp.16-30, 2018-01-01

Webサービスのハードウェアコストや運用管理コストを低減するために採用される高集積マルチテナントアーキテクチャは,複数のユーザを同居させる特性上,ユーザ単位でセキュリティを担保するために,適切な権限分離を行う必要がある.そして,ホストに配置されるWebコンテンツを事業者が管理できないことを前提に,コンテンツに依存することなく基盤技術でセキュリティと性能を両立させるアーキテクチャが必要である.これまでに,実用上十分なセキュリティを担保しつつハードウェアの性能とリソース効率を最大化するための手法が数多く提案されてきた.また,マルチテナントアーキテクチャでは,ホスト間で権限分離だけでなく適切なリソース分離が行われる必要がある.リソース分離が不十分な場合,収容するホスト数が増えるにつれ,管理者により高負荷の原因となっているホストを特定し対処する作業の必要が生じ,運用管理コストが逆に増大してしまう.そのような運用上の問題の生じないリソース分離が可能なマルチテナントアーキテクチャの必要性も高まっている.更に,高集積マルチテナントアーキテクチャ採用時に,セキュリティを担保し,リソース分離を適切に行いながら,付随して生じる運用・保守に関するコストを低減させるためには,いかに運用技術を改善していくかが重要である.本論文では,Webサーバの高集積マルチテナントアーキテクチャにおいて,Webコンテンツをサービス事業者が管理できないことを前提に,高い性能とリソース効率を維持しつつハードウェアや運用管理コストを低減させるためのアーキテクチャについて,これまでの研究を概観するとともに,著者らによる最新の研究成果について紹介する.
著者
宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.1, pp.211-224, 2018-01-01

近年,MOOCsに代表される大規模eラーニングの普及に伴い,ピアアセスメントを学習者の能力測定に用いるニーズが高まっている.一方で,ピアアセスメントによる能力測定の課題として,その測定精度が評価者の特性に強く依存する問題が指摘されてきた.この問題を解決する手法の一つとして,評価者特性パラメータを付与した項目反応モデルが近年多数提案されている.しかし,既存モデルでは,評価基準が他の評価者と極端に異なる“異質評価者”の特性を必ずしも表現できないため,異質評価者が存在する可能性があるピアアセスメントに適用したとき能力測定精度が低下する問題が残る.この問題を解決するために,本論文では,1)評価の厳しさ,2)一貫性,3)尺度範囲の制限,に対応する評価者特性パラメータを付与した新たな項目反応モデルを提案する.提案モデルの利点は次のとおりである.1)評価者の特性を柔軟に表現できるため,異質評価者の採点データに対するモデルのあてはまりを改善できる.2)異質評価者の影響を正確に能力測定値に反映できるため,異質評価者が存在するピアアセスメントにおいて,既存モデルより高精度な能力測定が期待できる.本論文では,シミュレーション実験と実データ実験から提案モデルの有効性を示す.
著者
Takuya KOMAWAKI Michitarou YABUUCHI Ryo KISHIDA Jun FURUTA Takashi MATSUMOTO Kazutoshi KOBAYASHI
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E100-A, no.12, pp.2758-2763, 2017-12-01

As device sizes are downscaled to nanometer, Random Telegraph Noise (RTN) becomes dominant. It is indispensable to accurately estimate the effect of RTN. We propose an RTN simulation method for analog circuits. It is based on the charge trapping model. The RTN-induced threshold voltage fluctuation are replicated to attach a variable DC voltage source to the gate of a MOSFET by using Verilog-AMS. In recent deca-nanometer processes, high-k (HK) materials are used in gate dielectrics to decrease the leakage current. We must consider the defect distribution characteristics both in HK and interface layer (IL). This RTN model can be applied to the bimodal model which includes characteristics of the HK and IL dielectrics. We confirm that the drain current of MOSFETs temporally fluctuates in circuit-level simulations. The fluctuations of RTN are different in MOSFETs. RTN affects the frequency characteristics of ring oscillators (ROs). The distribution of RTN-induced frequency fluctuations has a long-tail in a HK process. The RTN model applied to the bimodal can replicate a long-tail distribution. Our proposed method can estimate the temporal impact of RTN including multiple transistors.
著者
町澤 朗彦 青木 哲郎 岩間 司 鳥山 裕史 今村 國康 土屋 茂 金子 明弘 前野 英生 高橋 幸雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.10, pp.2308-2318, 2013-10-01

時刻情報は重要な社会基盤となっている.そこで,日本標準時システムに直結した信頼性の高い時刻配信システムを開発し,NTPサーバntp. nict. jpとしてインターネットを介して公開したので報告する.本システムは,インターネットにおける標準的な時刻同期プロトコルであるNTPを利用しているが,安定して時刻を配信するために,耐障害性,過負荷対策,将来にわたるサービスの維持,セキュリティ対策,Stratum 1の提供,GPS非依存などの特徴を有している.また,実運用から得られた利用統計情報を解析した.2012年末現在,1日当りのリクエスト数は約1億7千万,クライアントは約1500万IPアドレスであり,世界230の国と地域に広がっている.更に,ピーク時には1秒間に約13万リクエストの利用があることが明らかになった.一方,1日のポーリング頻度が1回以下のクライアントが約8割であること,並びに,1台の時刻サーバしか参照していないクライアントが約9割であることなど,クライアントの時刻維持が不十分であることが推測される.更に,クライアントのネットワーク距離分布から,インターネットの直径が従来の推定値よりも大きいことを示した.
著者
森島 信 松谷 宏紀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.12, pp.949-963, 2017-12-01

ドキュメント指向型データベースは,ユーザがスキーマレスにドキュメントを保存し,それに対する探索クエリを実行できるデータベースである.その利用用途として,高い拡張性や豊富な機能が要求されるウェブアプリケーションやオンラインゲームが挙げられる.ドキュメント指向型データベースの主な機能の一つは,ドキュメントに対する文字列探索であり,その計算量はドキュメント数に比例して増加するため,多くのドキュメントを扱う場合,計算量が非常に大きくなる.この計算量を削減するため,ドキュメント指向型データベースでは,データベースインデックスが使われている.しかし,インデックスは全てのクエリに適用できるわけではなく,例えば,正規表現探索等のクエリに適用するのは困難である.これらのインデックスを適用できないクエリをGPUを用いて高速化するために,本論文では,DDBキャッシュ(Document-oriented DataBaseキャッシュ)というGPUでの文字列探索処理に適した構造のキャッシュを提案する.GPUとDDBキャッシュを用いることで,ドキュメント指向型データベースの文字列探索処理をインデックスを使わずに高速化できる.更に,ハッシュ機構を用いてDDBキャッシュを分割し,複数台のGPUに分散する手法を提案し,GPUを用いた手法の水平拡張も可能にする.評価では,代表的なドキュメント指向型データベースであるMongoDBを対象にDDBキャッシュを実装し,性能を評価した.その結果,インデックスの適用できない正規表現探索クエリにおいて,GPUを用いた提案手法はMongoDBを大幅に上回るスループットを達成した.また,GPUの数を1台から3台に増やしたことで,2.7倍のスループットの向上を達成し,GPU数を増やすことで水平拡張ができることを示した.
著者
Kunihiro FUJIYOSHI Takahisa IMANO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E100-A, no.12, pp.2851-2856, 2017-12-01

Photo Diode Array (PDA) is the key semiconductor component expected to produce specified output voltage in photo couplers and photo sensors when the light is on. PDA partitioning problem, which is to design PDA, is: Given die area, anode and cathode points, divide the area into N cells, with identical areas, connected in series from anode to cathode. In this paper, we first make restrictions for the problem and reveal the underlying properties of necessary and sufficient conditions for the existence of solutions when the restrictions are satisfied. Then, we propose a method to solve the problem using recursive algorithm, which can be guaranteed to obtain a solution in polynomial time.