著者
松永 泰行 Colak Vakkas 貫井 万里 横田 貴之 鈴木 啓之
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

本研究計画は、国家・政治と宗教的ナショナリズムの研究で未開拓な分野といえる、多民族多宗教国家下で競合するナショナリズム運動間の共存の様態と、その様態において文化ナショナリズムが果たしうる役割を、現地調査を通じた実証研究で明らかにする。本研究を通じ、主に政治的ナショナリズムの諸相に焦点を当てる既存研究の限界を克服し、そこで不問とされている前提を実証的に検証する。
著者
菊山 榮 岩田 武男 豊田 ふみよ 石居 進
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

我々は主としてアカハライモリ(Cynops pyrrohogaster)の生殖行動に関与するホルモンおよびフェロモンの同定、およびはたらきに的をしぼって研究を行った。その結果以下のような結果を得た。生殖期に雄イモリは生殖可能な雌イモリの前で尾をさかんに振りフェロモン(ソデフリン)を放出し、精子塊を放出してそれを雌の総排泄口よりとり込ませて体内受精をさせる。尾をさかんに振る行動はプロラクチン(PRL)とアンドロゲンでひきおこされることがわかった。この場合PRLは中枢、おそらくpreoptic recess organおよび/またはnucleus infundiblaris dorsalisに作用することが脳室内投与およびプロラクチン受容体の免疫組織学的研究より明らかになった。一方アルギニンヴァソトシン(AVT)は上記求愛行動の発現をたかめることが明らかにされた。この場合AVTはVlaレセプターを介することが薬理学的実験からわかった。一方イモリの求愛フェロモン(ソデフリン)には前駆体タンパクが存在することがソデフリンをコードするcDNAのクローニングによりわかった。更にこのタンパクのmRNAレベルはPRLとアンドロゲンによりたかめられることもわかった。一方雌のソデフリンに対する反応に関する研究では、ソデフリンは主として雌の鋤鼻上皮で受容されること、ソデフリンに対する雌の鋤鼻上皮の反応性はPRLとエストロゲンにより支えられていること、雄鋤鼻上皮も上記ホルモンによって反応性がたかまるが雌のそれにくらべてはるかに低いことが明らかにされた。アカハライモリと同族異種のシリケンイモリ(C.ensicauda)雄もソデフリンに相当する10箇のアミノ酸残基よりなるペプチドフェロモン(シリフリン)を有することがわかった。しかし両フェロモンはそれぞれ同種の雌にしか有効でなく、種特異性があり、おそらくこれが生殖隔離に寄与していることが示唆された。今後フェロモン受容体の特定をめざす。
著者
工藤 明 猪早 敬二 竹下 淳
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々は、細胞間接着分子カドヘリンに骨芽細胞分化制御機能があることを報告する。各種間葉系細胞株におけるカドヘリンの発現を調べた結果、各細胞株はそれぞれが独特なカドヘリンの発現様式を持っており、骨芽細胞系譜では、OBカドヘリン(カドヘリン-11)およびNカドヘリンを発現していることがわかった。同一細胞において複数種のカドヘリンが発現することの意味を調べるために、頭頂骨骨芽細胞と同程度にOBおよびNカドヘリンを発現させたL細胞(L-OB/N)ならびに、それぞれ単独で発現させたL細胞(L-OB,L-N,L-MOCK)を作製した。細胞染色の結果、OBとNカドヘリンは、それぞれが独立してアドヘレンスジャンクションに局在し、共に細胞接着に寄与していると考えられた。また、L-OB/Nにおいては骨芽細胞分化マーカーであるALP,Osteocalcinの発現誘導および骨芽細胞分化のマスター遺伝子であるCbfalの発現上昇が確認された。L-OBでは微弱ながらALPの発現が確認でき、L-N,L-MOCKでは全くそれら発現は確認されなかった。以上のことよりOBカドヘリンは骨芽細胞分化を方向付けし、Nカドヘリンはその作用を増強すると考えられた。NIH3T3においても同様の実験を試みたところALP,Osteocalcinの発現誘導は確認出来なかったが、FGFR2の発現が上昇し、L-OB/Nにおいても同様に発現上昇が確認された。FGFR2は、突然変異が骨格系に多くの異常を示し、Osteopontin発現上昇以前の骨芽細胞前駆細胞において発現することから、骨芽細胞初期分化に重要であると考えられている。これらのことより、OBとNカドヘリンは、未分化な骨芽細胞前駆細胞の細胞分化運命を決定していると考えられる。今回の結果は、複雑な細胞間相互作用が複数種のカドヘリンのよる細胞間認識の結果であると共に、細胞間認識による細胞分化決定機構の存在を示唆するものである。
著者
菊池 志乃
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2023-04-01

認知行動療法(CBT)は、薬剤抵抗性の過敏性腸症候群(IBS)に有効な治療法であるが、医師や臨床心理士といった治療者の不足や、費用負担などの課題から、臨床での普及は進んでいない。本研究の目的は薬剤抵抗性IBSに対する治療者による短時間ガイドを伴う、インターネットを介したCBT(iCBT)プログラムを開発し、その有効性と費用対効果を無作為化比較試験で検証して、IBSに対するCBTの普及に向けた科学的根拠を創出することである。本研究の目標は実臨床におけるIBSに対するCBTの普及と実装であり、薬剤抵抗性IBSの治療選択肢拡大への貢献が期待される。
著者
渡名喜 庸哲
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は「脱人間化」社会における「責任」概念の変容を、以下の4側面から検討する。①社会思想史的アプローチとして、F・エヴァルドをもとに近代的社会制度の展開における「責任」概念の変容を検討する。②政治哲学的アプローチとして、全体主義体制および原爆投下をめぐるH・アーレントとG・アンダースの思想を検討する。③現象学的アプローチとして、E・レヴィナスの現象学的哲学における「責任=応答可能性」概念を実践的な文脈へと接続しうるかたちで検討しなおす。④応用倫理的アプローチにより、AI開発における人間の行為の代替化に伴う「責任」の変容を検討する。
著者
蓬莱 政
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究を開始し、当院外来通院中及び入院となったうつ病患者の同意取得を試みたが、同意を得ることができなかった。その多くはDEX-CRH負荷試験について、ステロイド内服やCRHの静脈内投与に対する恐怖感を訴えてのものであった。加えて新型コロナウイルス感染拡大のため、初診患者、入院患者共に大幅に減少し、対象となる患者自体が減ってしまった。患者、健常者共に現時点での組み入れは極めて困難であり、今後、新型コロナウイルスの感染が落ち着き次第、再度検体収集を試みる予定である。他には気分障害や統合失調症に関する生物学的な研究を複数行った。
著者
鈴木 泰博 大田 秀隆
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

最近,脳波のガンマー帯域に相当する40Hzの 神経刺激(視聴覚や触覚)が,アルツハイマー病などの認知症治療に有効である可能性が示されている。それらの研究では従来,強度が一定の神経刺激が用いられてきたが,本研究では熟練技術者のマッサージの圧力変化を参考に,快の感情を惹起させる40Hzの神経刺激を生成する。そして生成された神経刺激により認知症患者へ介入する臨床研究を行い,その有効性を調査する。一般に認知症は患者によって病状の変化や多様性大きい。そのため,神経刺激に対する生体応答を蓄積して学習することで,個別医療的に各々の患者にあわせ最適な神経刺激を提供することが可能なシステムを構築する。
著者
鈴木 美穂 渡邊 隆夫 香田 将英 本田 和也 原田 奈穂子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、日本において高度実践看護師のひとつであるナースプラクティショナー(NP)を欧米のように活用した医療提供モデルを構築するために、日本におけるNP養成課程修了者の実践の実態を明らかにし、NPの実践による費用対効果等のアウトカムを評価する。医療技術の進歩と医療ニーズの複雑化により医療者がますます不足かつ偏在する中で、欧米諸国では医療の質とアクセスを一定に保つために、NPを活用してきているが、日本ではNPは公式には認められておらず、協議会ベースでの認定であり、公的導入に至るには科学的にも政策的にも支持するエビデンスがほとんどなく、日本での医療保険制度でのエビデンスの生成を目指す。
著者
小坂 肇 佐山 勝彦 牧野 俊一 神崎 菜摘
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

スズメバチセンチュウに寄生されたキイロスズメバチ女王は不妊になることが知られていた。この研究で、スズメバチセンチュウはキイロスズメバチのほかにオオスズメバチとチャイロスズメバチの3種の大型スズメバチに寄生することが明らかになった。また、この線虫は北海道、関東、九州から検出された。さらに、スズメバチセンチュウは次世代のスズメバチ女王の越冬場所で感染することが明らかになった。スズメバチセンチュウは、攻撃性の強いオオスズメバチやキイロスズメバチに寄生すること、日本本土に広く分布している可能性が高いこと、感染場所が明らかになったので人工感染の可能性が開けたこと、を考慮して、この線虫のスズメバチに対する生物的防除素材としての能力は高いと評価した。
著者
平井 宏昭
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

月面基地や有人火星探査のための食料生産への関心が高まっており、イネは宇宙における日本特有の栽培作物候補として極めて有用である。超矮性イネ‘小僧の栖’は世界最小の糯種であり、水田において草丈約30cmのコンパクトな草姿は、宇宙の狭い閉鎖環境内での栽培に最適である。本種を栽培するための装置と管理方法の開発は必須である。また、食味についての評価も必要である。そこで、水田と容器栽培による生育と収量を調査するとともに、コメの成分と食味について明らかにした。さらに、新たなイネ栽培装置を企画し、新規のLED照明を備えた装置を組み立て、性能を評価した。
著者
山本 憲幸
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA-4,抗PD-1など)の出現により固形癌に対する治療も変わりつつある。これらと放射線治療の併用により遠隔病変にも治療効果が期待できることがわかってきた。しかし、温熱療法とこれらの併用による基礎的な研究報告はほとんどない。申請者らは、温熱治療の結果、免役機構が賦活化し治療をしていない腫瘍まで効果がある「アブスコパル効果(バイスタンダー効果)」と呼ばれる現象がありその効果を確認してきた。本研究は、口腔癌に対する半導体レーザーによる温熱療法と免疫チェックポイント阻害剤(ICI)との併用療法の効果及びその作用機序の解明することである。
著者
李 東宣
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

今年度も引き続きオックスフォード大学にて研究を続けられたことで、問題関心がより明確になり、博士論文を具体的に構想する段階に至ることができた。博士論文では、トマス・バーロウというアングリカン聖職者を中心に、一七世紀半ばにおけるさまざまな論争の思想的基盤を明らかにする。イングランド一七世紀半ばの内戦期・空位期は、従来の君主制と国教会体制が崩壊した中、政治権力の本質とその限界という論点が最も顕著に浮上し、また宗教論争が最も根本的な次元で繰り広げられた時期である。この時期のアングリカン思想は、そもそも歴史的な分析が行き届いておらず、数少ない先行研究の中では反/非政治的に描かれてきた。しかしバーロウの一連の著作は、これまで専ら神学の観点から分析されてきたものも含め、実は宗教と政治の境界線を緻密に論じており、アングリカンという立場を維持しつつ共和政の権威を一定程度受け入れている。このようなバーロウの思想とそれを取り巻く知的潮流をたどることで、これまで明らかにされなかったアングリカン思想の一側面に光を当て、従来の政治思想の枠組みで宗教を語るのではなく、宗教内在的な議論から政治思想を語ることを博士論文では目指す。当初計画した王権論研究とは一見距離があるが、近世ブリテンにおける宗教と政治を分かつ境界線の論争性と、一見「宗教」的な議論の中に潜む政治性という点では一貫しており、かつ最新の研究を踏まえた着眼点という面でより大きな学術的貢献が期待できる。
著者
大塚 靖
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

デング熱などを媒介するヒトスジシマカは元来アジアに生息していたが,1980年代以降北米など世界各地にその分布を広げている.中古タイヤについた卵により侵入したと考えられている北米のヒトスジシマカは生理的な違いや中古タイヤの輸入量などから日本由来と考えられている.しかし,その遺伝的裏付けは今のところはっきりしていない.ヒトスジシマカの世界的分布を遺伝的に調べるため,前年度はその手がかりとして日本国内集団での違いをミトコンドリア遺伝子配列によって調べた.その結果,それまではヒトスジシマカは近年世界的に広がったため種内変異が少ないと考えられていたが,日本国内にもある程度変異が存在することがわかった.今年度はさらにタイ・インドネシアの集団のミトコンドリア遺伝子配列を調べた.タイ・インドネシアのヒトスジシマカは日本の沖縄や西南日本に分布するタイプであり,主に日本に分布するタイプとは異なっていた.さらにアメリカの個体も調べた結果,アメリカの個体はインドネシア・タイに分布しない主に日本に分布するタイプであった.日本以外の集団については集団数・個体数が十分ではないものの,この結果は北米のヒトスジシマカが日本由来説を肯定するものであった.今後は東南アジアや近年分布を広げている南半球やヨーロッパなどの地域の集団を調べ,北米の日本由来説を遺伝的に確かめ,他の地域についてもどの程度が日本由来なのかを検討する必要がある.また,国内のヒトスジシマカの分布についても沖縄や西南日本に分布するタイプが東南アジアと共通なことから,それらのタイプが日本に入った後現在主に広がっているタイプに変異したと思われる.今後は国内の集団の遺伝的違いと寒耐性や休眠などの生理的違いの関係を検討すべきである.
著者
伊藤 瑞規 水谷 泰彰 渡辺 宏久 植田 晃広 島 さゆり 外山 宏
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

多系統萎縮症(MSA)の突然死に対してセロトニン神経の関与が疑われており、その評価は極めて重要であると思われるが、現在のところ、生体内でセロトニン神経を評価できる方法は、髄液でのセロトニン代謝産物である5-HIAAの測定や、セロトニントランスポーターPETしか存在しない。髄液における5-HIAAの評価は、侵襲的な検査である髄液採取が必要であり、セロトニントランスポーターPETは、PETの専門機関でしか評価できない。そのため、日常診療レベルで使用されているドパミントランスポーターSPECTを用いてセロトニン神経が評価できないかを検討することとした。
著者
奥井 亜紗子
出版者
京都女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、兵庫県北部但馬地方から都市飲食系自営業に流入した移動者の事例を通じて、戦後高度成長期における労働力型都市移動と家族変動のプロセスの実証的解明を行った。京阪神を中心に「のれんわけ」で店舗展開をしてきた大衆食堂「力餅」への量的質的研究、及び「力餅」経営主を輩出してきた但馬地方でのフィールドワークを通じて、連鎖移動を通じて食堂の住込み従業員となった人々が親方のサポートのもとで独立開業するプロセスを解明した。親方子方の関係は独立後も継続しており、労働力型移動者の家族形成と都市定着のプロセスにおいて極めて重要な役割を果たしてきたことが明らかとなった。
著者
小森 貞男
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

リンゴ品種の遺伝子組成を変えずに目的遺伝子のみの改変を行うため、一過的な遺伝子発現によるゲノム編集を可能にする培養技術を開発する。「高頻度にシュートを形成する組織・細胞塊」を用いる方法として①DH個体の葯培養による胚様体の形成、②珠心細胞由来の胚様体の作出、③成長点に由来するカルスからのシュート形成に係る培養技術を開発し、「1細胞からのシュート再分化系」を用いる方法として④プロトプラストからの再分化系を確立し、パーティクルガン法等でRNPを細胞に導入する。①、②、③で得られたキメラ化したシュートは⑤キメラ解除の過程の体系化の実験で対応し、リンゴにおけるゲノム編集個体の獲得方法を確立する。
著者
田浪 亜央江
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

土地や社会的よりどころを失ったパレスチナ人にとって文化はアイデンティティの表現手段であるとともに、占領や抑圧に対する抵抗手段である。他方で国際社会とりわけ援助機関からは「平和構築」の手段とみなされ、しばしば管理の対象となる。本研究では、パレスチナ文化のもつこうした背反的な機能やジレンマをパレスチナ人自身がいかに自覚しつつ、自分たちの文化活動にどのように向き合っているのかを探った。そしてパレスチナ社会内部への問い返しや自己批判を行いつつ、こうした状況を皮肉や嘲笑の対象として新たな作品創造のモチーフとする文化表現のあり方を捉えた。
著者
永松 朝文 大塚 正人 AJAYA Shretha R. 真銅 隆至 池内 百江 芦田 則之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,細胞増殖機能調節に関わっている酵素のチロシンキナーゼを阻害して,腫瘍細胞増殖を阻害する新規抗腫瘍薬開発を目的に行った研究である。デアザフラビン類縁化合物に関して,抗腫瘍活性データとコンピューターを駆使した酵素へのドッキングデータよりバーチャルスクリーニング系を構築した。この系より得られた活性情報を基にデザインした新たな活性有効化合物を合成・評価する新しい高効率抗腫瘍活性化合物検索系を構築した。
著者
日野 愛郎 粕谷 祐子 西川 賢 MCELWAIN KENNETH FAHEY ROBERT・ANDREW 渡辺 耕平 SONG JAEHYUN 三輪 洋文
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

近年、反エスタブリッシュメントを掲げて登場したポピュリストが政権に就く事例が増えている。このような「ポピュリストの体制化」とでも呼ぶべき逆説的な展開を踏まえて、本研究は、既存のポピュリスト態度の指標を改善し、新たな指標を検討する。体制化したポピュリストは、マス・メディア、学者、官僚、財界人などのいわゆる非政治的エリート(non-political elite)を批判して反エリート感情を煽り、庶民からの支持を調達する。本研究は、非政治的エリートの項目を含む新たなポピュリスト態度の指標を考案することにより、ポピュリストが体制化した国においても、正確にポピュリスト態度を測定することを目指す。
著者
石黒 澄衛
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2021-04-01

花粉の表面はエキシンと呼ばれる殻で覆われている。エキシンは樹脂でできた軽くてフレキシブルな構造物で、雄性配偶体である花粉を保護するのに役立っている。植物の種類ごとに形が決まっていることからエキシンの構造は遺伝子によって規定されていることがわかるが、遺伝子が形を決めるしくみはまだ十分に理解されていない。本研究では、微細で普通の顕微鏡では見ることができないエキシンの形成の初期過程を特殊な方法でイメージングするとともに、形の決定に関与する分子を洗い出し、どのような分子が相互作用しながらエキシンの形を作っていくのかを明らかにする。