著者
田中 一成
出版者
早稲田大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 創発的研究支援事業
巻号頁・発行日
2021

ニューラルネットワークは世界的に利用が進んでいる機械学習のベースとなる構造で、関数近似手法としても注目されています。本研究では反応拡散モデルと呼ばれる微分方程式を主な対象として、その効率的な精度保証法の開発にニューラルネットワークをベースとした手法で挑みます。これを通じてLearn and Verifyという新スタンダードを創出し、精度保証付きニューラルネットワーク数値計算としての普及を目指します。
著者
吉田 朋広
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2014

従属性のあるビッグデータへの統計的モデリングと、確率統計学の原理に則った統計解析の体系化を目指します。とくに、超高頻度金融データ解析を可能とする確率統計的方法を構築し、金融市場のモデリングを通じて、金融技術分野に貢献します。また、時系列データ科学のインフラとなる確率過程に対する統計解析およびシミュレーションのためのソフトウエアを発展させるとともに、SNSのデータ解析による様々な社会的事象の将来予測への応用を行います。
著者
大城 泰平
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ACT-I
巻号頁・発行日
2018

一部の組合せ最適化問題は行列理論を経由して効率的に解くことができ、また逆にある種の行列の問題は、組合せ最適化の道具を用いて解けることが知られています。本研究では、この相互に確立された活用手法を拡張し、「重みつき組合せ最適化問題」と「多項式行列の問題」の対応に迫ります。特に、組合せ的問題において多項式行列が果たす役割の解明、および多項式行列理論における組合せ最適化手法の活用法の創出を目指します。
著者
神谷 律
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2002

鞭毛繊毛は高速の波動運動を行う細胞器官で、原生動物からヒトにいたる多くの生物で細胞の運動や物質の輸 送に重要な働きをしています。本研究では、その波動を作り出している主要なタンパクを使って、高速振動を行うナノマシンを人為的に構築する方法を開発しま す。そのような微小振動装置は医療分野でドラッグデリバリーなどへの広い応用が考えられるとともに、工学分野で微小のアクチュエーターとして使われる可能 性を秘めています。
著者
手嶋 紀雄
出版者
愛知工業大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2010

前立腺がん、乳がん等の患者の尿や呼気から健常者よりも高濃度のホルムアルデヒド(HCHO)やアセトアルデヒドが検出された報告がある。これらは揮発性があるため、呼気として排出されており、がん早期発見のための有力な呼気バイオマーカーである。そこで試料前処理を自動化する流れ分析法と分離分析が可能なキャピラリー電気泳動法(CE)を組み合わせた呼気分析のための流れ分析-CE法の開発を目的とした。今年度は、流れ分析とCEを結合するインターフェースの設計と流れ分析法によるHCHOの定量法の開発を行い、100%の目的達成には至らなかったが、今後も当初の目的を達成するため研究開発を続ける。
著者
高橋 延昭
出版者
札幌医科大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2009

コンブに刺胞動物ヒドロゾアが付着するとその商品価値が半減する。ヒドロゾアは種によりポリプ型とクラゲ型の両方あるいは片方単独の生活史を営むことが知られている。コンブに付着するそのヒドロゾア(モハネガヤと云われている)の生活史は、いまだ不明で、その付着対策も練られていない。本研究はそれを立案するため、そのヒドロゾアの全生活史を解明するために、生態学・環境調査および培養法の確立を目指すものである。
著者
大澤 博隆
出版者
筑波大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 社会技術研究開発事業
巻号頁・発行日
2018

本プロジェクトでは、科学技術とその社会への受容過程を物語の形で描いてきたサイエンスフィクション(SF)が、人工知能技術の発展にもたらした影響を調査する。我々はまず人工知能技術に対する期待と不安を含む人々の想像力の歴史について、過去の文献をサーベイし、作家・クリエイター・編集者や、理学・工学・人文学研究者等の関係者を交え、AIとSFと社会の関係を整理・可視化する。そして、それらの関係者の力を合わせ、今後、人工知能・自律的知能技術が社会実装される過程の未来の在り方を、新たなデザインフィクションとして例示する。調査と創作の双方を通して、現在だからこそ起こり得る可能性・問題点を踏まえた未来社会の設計論を提示し、人類の新しい技術と社会の開拓に貢献したい。
著者
安藤 寿康
出版者
慶應義塾大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 社会技術研究開発事業
巻号頁・発行日
2004

本研究は子どもの身体的、心理行動的、脳生理学的な特性の正常な、あるいは問題のある発達に関わる遺伝要因と環境要因の相互作用の過程を、双生児法を用いて明らかにすることを目的とする。そのために東京都とその隣接県で2004年11月から2006年3月にかけて出生する全双生児の50%にあたる約2000組のコホートサンプルを構築し、5年間の縦断発育調査を実施、個人の遺伝的素質に適合する教育システムの設計の可能性を考察するための基礎的な情報を得る。
著者
河野 泰広
出版者
産業技術総合研究所
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 復興促進プログラム A-STEP 探索タイプ
巻号頁・発行日
2012

本研究開発では、ヤマユリ花弁から精油を安全かつ簡便に抽出する小規模企業向け技術を開発することを主要な目標とし、高沸点で入手の容易な溶媒に、酸化防止剤、pH調整剤を添加した混合液を用い、ヤマユリ香成分を抽出する方法を開発した。今回GC-MSによるヤマユリ精油の香成分解析により得た情報は、今後ヤマユリ精油の抽出、成分管理、保存において精油中の成分確認を可能にし、ヤマユリ精油の商品を開発する上で非常に役立つ。今年、被災地企業と共同でヤマユリ精油の香水を地域の特産品として商品化・販売予定である。
著者
荒木 利芳
出版者
三重大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2007

糖アルコールの1種であるキシリトールは虫歯予防や糖尿病患者用甘味料として注目をあびているが、ショ糖と比較して高価なため、より安価な製造法の開発が求められている。現在キシリトールの材料は白樺や樫の木などのβ-1,4-キシランが使用されているが、本研究では、地中海を中心に異常繁殖し、生態系の破壊や漁業に大きな被害を与えている変異種海藻イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)の細胞壁構成成分であるβ-1,3-キシランに注目した。申請者はこれまで海域から単離した強力なβ-1,3-キシラン分解細菌Vibrio sp.XY-214 からキシリトール生産に必要な3種類の酵素(β-1,3-キシラナーゼ、β-1,3-キシロシダーゼ、キシロースレダクターゼ)の遺伝子のクローニングに成功している。よって、本研究ではこれら酵素遺伝子の大量発現系を確立し、得られた発現酵素を用いて固定化酵素システムを構築し、β-1,3-キシランからキシリトールを安価で大量に製造する新技術を開発することを目的とする。
著者
北澤 茂
出版者
工業技術院
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2000

脳には水晶クロックがありません。しかも信号は多数のループを巡るので、複数の信号の間の時間順序は簡単に失われてしまいます。脳はどこで、どうやって信号の時間順序を表現、保存、再生しているのでしょうか?本研究は、信号と信号の差分に基づく「動き」を表現する領域と、信号そのものを表現する領域が協調して、信号の時間順序を再構成する、という「動き投影仮説」を手がかりとして問題解明に挑みます。
著者
寺田 和憲
出版者
岐阜大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 未来社会創造事業 探索加速型
巻号頁・発行日
2022

社会情動能力は「長期的目標の達成」「他者との協働」「感情の制御」を可能にする能力であり、IQによって計測可能な認知能力と対比され、客観的計測、定量化が難しい非認知能力と言われてきた。それに対し、本研究開発では、ゲーム理論、進化心理学、社会心理学、認知科学、アフェクティブコンピューティング、人工知能の分野の複合的知見により、本来見えない相手の心や相手との関係を数理的に読み、社会関係を数理最適化する能力、すなわち数理的社会情動能力を算数能力と道徳能力をハイブリッドした能力として定義する。我々は科学技術立国を実現するSTEM能力と同様に、社会構成員が数理的社会情動能力を備えることが重要であると考え、AIエージェントとの社会的インタラクションの中で、子どもがその能力を習得できるシステムを開発し、介入効果およびウェルビーイング向上に資するかどうかを検証する。
著者
高橋 阿貴
出版者
筑波大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 創発的研究支援事業
巻号頁・発行日
2022

怒りの爆発による過剰な攻撃行動は大きな社会問題である一方、攻撃性を特異的に抑制する薬物は存在しません。本研究提案は、マウスを用いて過剰な攻撃行動を誘発する神経回路の全貌を明らかにするとともに、その性差を明らかにします。そして、内分泌系や免疫系、腸内細菌などの末梢因子が、どのように過剰な攻撃行動の神経回路の働きに影響を与えるかを明らかにすることで、その介入法の開発につなげることを目指します。
著者
兼松 明弘
出版者
兵庫医科大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウト
巻号頁・発行日
2020

尿流率測定装置とは秒あたりの排尿量を記録する装置で、排尿障害を来す疾患で汎用される。しかし、従来の尿流率測定装置はトイレにて立位または座位で排尿することが前提であった。我々はオムツに尿がしみこむ速度を、オムツに編み込んだ電極間のインピーダンス変化として検出することで尿流率を高精度に測定できるシステムを作成した。本課題はこのシステムの社会実装を目指して、安全性・利便性・採算性・スケーラビリティについて改良を行う。これを用い、臥位での排尿の実相をボランティアを対象として明らかとし、先天性疾患を有する乳幼児の排尿管理での有用性を検討する。将来的に、寝たきり高齢者のオムツ外しにも貢献すると期待される。
著者
丑田 公規
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 平成20年度までに募集を終了した事業 独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進
巻号頁・発行日
2006

しばしば大量発生するエチゼンクラゲなどは現状では、発電所や各種工場、漁業関係者に多大な除去作業負担を強いるだけの全く無価値の廃棄物である。本研究開発では、これらエチゼンクラゲなどの各種クラゲを収集して、破砕・減量化/抽出・精製の工程作業を経て有効成分を単離して、食品添加物、生分解性プラスチック、化粧品材料をはじめ、胃腸薬、点眼薬、粘液などの医療品原料として広い用途が期待されるムチンの新規な生産法を開発する。廃棄物の除去作業負担を軽減するなど環境保全に寄与するほか、天然物由来の安全な高付加価値製品の創出が期待される。
著者
三好 規之
出版者
静岡県立大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

我々は、静岡県の特産品「自然薯」の全ゲノム解析より、有効成分ジオスゲニンの生合成遺伝子を世界で初めて取得した。本課題では、ジオスゲニン産生を1000倍増強したゲノム編集自然薯を創出する。ジオスゲニンは、抗認知症や抗フレイルなど高齢者QOL改善に役立つマルチな機能性を示すだけでなくステロイド医薬品合成の重要な前駆物質である。滋養強壮・疲労回復など健康イメージが良好な自然薯の新品種開発は、健康食品・医薬品分野で多大な商業的価値が見込めるため、地域資源を活用した6次産業の推進力となる。本課題では実用化検証として、酵母モデル系でジオスゲニン生産を増強する遺伝子配列を決定し、自然薯ゲノム編集へ展開する。
著者
吉村 奈津江
出版者
東京工業大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2017

本研究では、心と身体の健康のセルフケアを、脳波を用いたBrain-Machine Interface (BMI)でサポートすることを目的としています。脳活動情報を用いて心の変動や運動調整能力の解読を実現し、自分の心身状態を日々確認することで、普段気がつきにくい心身の異常をいち早く見つけることができると考えています。この心身の状態を自分でモニタリングし、健康指標を提供するシステム構築を目指します。
著者
橋本 翔子
出版者
理化学研究所
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ACT-X
巻号頁・発行日
2020

ミクログリアは、神経変性過程において重要であることが明らかにされています。しかし、「棍棒型」といわれる突起を長く伸ばした形態のミクログリアは、神経変性を呈するモデルマウスの神経変性領域において現れるものの、その実体は全く明らかにされていません。本研究では、棍棒型ミクログリアの遺伝子発現プロファイリングをベースとしたキャラクタリゼーションと、棍棒型ミクログリアの神経変性における機能解析を行います。
著者
近藤 尚己
出版者
京都大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2021

長引くコロナ禍が子どもや若者、女性へ及ぼす影響のメカニズムは十分明らかになっておらず、支援ニーズの増加と支援者間の情報共有や連携の困難により相談支援の現場負荷が高まっている。支援対象者の特徴の把握や支援プラン策定は、支援者の経験とスキルに大部分が委ねられており、経験の浅い支援者などへの支援と地域ぐるみの支え合いを可能にする環境整備が急務となっている。 本プロジェクトでは、①3万人の縦断インターネット調査データを活用して、コロナ禍が子どもや若者、女性に及ぼす社会的孤立・孤独や健康・生活への影響を分析する。②分析で得た知見を踏まえ、これまでに開発してきた支援者の支援データシステムの「子ども・若者・女性版」をつくる。③別途開発してきた「住民主体の共生型地域づくり普及支援ガイド」および「地域住民を含む顔が見える社会資源マップ」などのツールをアップデートして、同システムに接続する。このシステムには対象者のタイプ(ペルソナ像)情報や支援記録の分析に基づく優れた支援者のナレッジを盛り込む。支援対象者のタイプとタイプ別の効果的な支援プランを提示し、これを現場とオンラインの両面(ハイブリッド)のネットワーク上で運用する。地域の人々の誰もが支援の入口(ドア)となり、どこから入ってもケアの輪に包摂され、互いに支え・学び合い、豊かなケアが継続する「どこでもドア型」のケアネットワークを構築する。
著者
中澤 栄輔
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2021

人の意思決定を操る技術は既存の人間のあり方や行為に影響するため、産業化のレギュレーションを含めELSIの検討が要請される。脳科学技術の社会受容と人間性への影響に関する研究開発プロジェクトを見据え、脳刺激法のDo It Yourself使用、ニューロフィードバックによる情動操作、ニューロマーケティングを対象技術として、技術開発研究者・企業への半構造化インタビューを通じて、人の意思決定を操る技術の個人的(自発性、プライバシー、リスク)・公共的(公平性、アドボカシー、リテラシー、社会受容性)・産業・文化的(収益性、国際的優位性、文化的特異性)価値を巡る問題を抽出し、ボトムアップ的にELSIマッピングを作成し、今後検討するべき論点と仮説を提示する。