著者
吉村 和久 山本 綾子 中橋 孝博 西藤 清秀
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.24, 2004 (Released:2007-02-23)

シリアのシルクロード最西端のオアシス都市パルミラにおいて地下墳墓から見出された多数の人骨と歯には、高フッ素症の兆候が認められた。冬季に地中海からの水蒸気がレバノン山脈に雨をもたらし、それが地下水となってパルミラで湧出しオアシスをつくる。乾燥地域であるパルミラでは、水の蒸発に伴い溶存成分が濃縮される。パルミラ地域のカナートと、湧泉、浅井戸、深井戸あわせて13の天然水試料について分析を行ったところ、この地域に石灰岩が分布するために、カルシウムイオン濃度が高かった。また、フッ化物イオン濃度は0.3から3.0 ppmであり、ホタル石の溶解平衡によりフッ化物イオン濃度が制御受けていることがわかった。今から約二千年前においても、古代パルミラの人たちは3.0 ppmを超えることはないが、高フッ素症が発症するようなフッ素高濃度の水を飲用としていたものと推定される。古代パルミラ人の歯のフッ素濃度についても議論する。
著者
佐藤 翔一 柵木 彩花 大野 剛 深海 雄介
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>炭酸塩鉱物はどの時代にも地球表層環境に普遍的に存在し、元素・同位体組成が沈殿時の海洋環境を反映することから、海洋古環境情報復元のための試料として広く用いられている。近年、新たに環境情報を復元する指標として炭酸塩鉱物中の二族元素の同位体分別が注目されている。また、固相―液相間で同位体変動が起こる主な要因として、天然の炭酸カルシウムにおけるカルサイトとアラゴナイトといったような結晶系の違い、液相のpH、結晶成長速度の3つが挙げられる。これらの指標から海水組成、二酸化炭素吸収量、風化速度といった古環境情報を復元することができる。そこで本研究では、炭酸カルシウムにおけるこれら3つの指標を制御する無機沈殿実験法を開発し、研究例が限られている各結晶構造における模擬海水-炭酸カルシウム間でのストロンチウム同位体分別の大きさとpH、沈殿速度との関係性について調べることを目的とした。</p>
著者
遠藤 広菜 壷井 基裕
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>化石は海に生息していた貝類の死骸が堆積物中に埋没し、長い年月をかけてできたもので、環境指標としても使用される。本研究では、岐阜県瑞浪市の新第三紀中新世の海成層である瑞浪層群明世累層に含まれる二枚貝の化石貝殻・現世貝殻中の希土類元素の含有量を測定し、明世累層の希土類元素含有量と比較することで化石化過程における元素の挙動について考察した。各希土類元素濃度をCⅠコンドライトで規格化すると現世試料<化石試料<明世累層(炭酸塩鉱物)の順に値が高くなる。また、化石試料は負のEu異常を、現世試料は正のEu異常を示した。さらに、軽希土類元素/重希土類元素(La/Yb)比は化石試料が最も高く、化石試料が生きていた当時の貝殻の希土類元素濃度が現世試料の濃度と同じであったと仮定すると、化石化過程で軽希土類元素が優先的に取り込まれた可能性が考えられる。</p>
著者
原藤蔵 著
出版者
榊原友吉
巻号頁・発行日
vol.春之部, 1902
著者
岩本 典子 古瀬 幹夫
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.279-286, 2013-09-25 (Released:2013-12-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1

上皮組織は体内の恒常性を保つために、外界と体内環境を厳密に区分している。上皮細胞の細胞間接着装置であるタイトジャンクション(tight junctions: TJ)は、傍細胞経路での物質の透過を制御して上皮細胞シートのバリア機能を司る。TJの主要な構成分子は4回膜貫通タンパク質のクローディンであり、遺伝子ファミリーを形成している。血液脳関門(Blood-brain barrier: BBB)は中枢神経系のホメオスタシスを保つために重要な役割を果たしており、脳毛細血管の内皮細胞に存在するTJがそのバリア機能の要である。現在多くの神経疾患や病態においてBBBの破綻が関与することが示唆されている。さらに中枢神経系へのドラッグデリバリーの観点からBBBのTJをターゲットとして創薬につなげる試みもなされており、今後の進展が期待される。
著者
井野 隆光 上田 伸夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.23, no.256, pp.593-597, 1966-08-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
16
被引用文献数
1

モル分率を0.1の割合で変えたエチレングリコールテレフタレートジエチレングリコールテレフタレート共重合体 [PET/(DEG) T] 11種についてο-クロルフェノール溶液からフィルムを作成し, 赤外吸収スペクトルによる組成分析を行なった。また, ポリエチレングリコール (PEG), PETに関するこれまでの研究をもとにしてP (DEG) Tの赤外吸収スペクトルの経験的な振動帰属を行なった。a) D2880cm-1/D2960cm-1から共重合体組成が決まる。b) P (DEG) Tに特徴的なバンドは2955, 2880, 1378, 1365, 1247, 944, 710cm-1である。c) P (DEG) Tの伸長試料の1725cm-1の吸収が平行二色性を示すことは特有な挙動として注目される。
著者
後奈良天皇 著
出版者
国民精神文化研究所
巻号頁・発行日
vol.後奈良天皇宸記, 1942
著者
門家 千穂 氏家 寛 和気 洋介 岡久 祐子 黒田 重利
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.187-190, 2004-02-15

はじめに DiGeorge 症候群,軟口蓋心臓顔貌症候群(velo-cardio-facial syndrome),円錐動脈幹異常顔貌症候群(conotruncal anomaly face syndrome)は症状に共通点の多い疾患であるが,これらはすべて22番染色体長腕11領域の微小欠失を持つことから,最近は22q11.2欠失症候群と呼ばれることも多くなってきている。22q11.2欠失症候群は元々小児科領域の疾患であったが,近年,本症の成人例では高率に統合失調症様症状を呈するという報告が相次いでおり,その罹患危険率は一般集団の約25倍とされる7)。一方,統合失調症の2%に22q11.2の微小欠失が認められ,これは一般集団の80倍である4)。本邦では22q11.2欠失症候群で統合失調症様症状を呈した例の報告は調べたかぎりでは7例3,5,8)しかなく,その臨床像の特徴の描出にはさらなる症例の蓄積が必要である。今回,我々は統合失調症様症状を呈した22q11.2欠失症候群の1例を経験し,その臨床像と治療反応性において若干の知見を見いだしたので報告する。
著者
西田 直二郎
出版者
京都帝国大学
巻号頁・発行日
1924

博士論文
著者
山本 真司 子安 大士 前川 仁
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.Y1-Y8, 2010-05-27
参考文献数
11

本研究では,ドラムの演奏動作を撮影した動画像からの動作抽出手法を提案する.ドラムの学習支援の研究として電子ドラムやモーションキャプチャを用いて演奏動作を解析する研究があるが,普段の練習や演奏とは異なる状況で演奏しなければならない制約がある.そこで,我々は演奏動作を動画像からマーカーレスで腕とスティックの動作を抽出し,動作点の動きから奏法を解析する手法を提案している.しかし,見掛けの変化が生じる正面からの撮影では追跡ができないことや,動作点を見失うとその後のフレームの追跡ができないといった動作抽出での問題がある.そこで本研究では,複数のオプティカルフローの情報を確率的に統合することで領域の移動を推定し,その位置関係から奏法の解析に必要な動作点の検出を行う.動作を点ではなく領域により追跡することで追跡のロバスト性が向上し,同時に見え方の変化への対応が可能となる.高速度カメラで撮影された動画像に対して提案手法を適用し,手法の有効性を確かめた.Motion capturing during actual drumming is important both to support of learning and to analyze the performance. Methods based on specialized equipments such as electronic drums or dedicated capturing system with markers may affect the motion to be performed. Therefore we present a marker-less method of motion extraction of drumming stick from video image. In the method, we first track regions of each body part and stick. To track regions robustly, we use a combination of M-estimation and Bayesian approach. Then feature points such as stick-tip and the grip of basic drumming scene are extracted by the boundary of the regions.
著者
鈴村 恵理 出口 晃 島崎 博也 前田 一範 浜口 均 川村 直人 川村 憲市 川村 陽一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.87-94, 2012-02-29 (Released:2013-10-18)
参考文献数
7

背景:鼻閉はわずらわしい症状である。今回、鼻腔通気度計を利用して温泉入浴(41°Cから42°C)の鼻閉に対する効果を調べた。方法:10人の健常成人ボランティア(男性 10名、平均年齢 27.8±4.4才)に 10分間の温泉入浴をさせた。鼻腔通気度計(HI-801)を利用し、入浴前と後に鼻腔抵抗値を測定した。鼻腔通気度検査方法はアクティブ・アンテリオール法で行った。両側鼻腔抵抗は、左右片側抵抗値よりオームの法則の計算式(1/T=1/R+1/L、T:両側抵抗、R:右側抵抗、L;左側抵抗)に従って算出する。評価には ΔP100Pa 点の抵抗値を適用した。結果:左右別に測定した鼻腔抵抗値は、入浴前鼻腔抵抗値が0.75 Pa/cm3/s以上の群にて有意に入浴後低下した(吸気 P=0.0117、呼気 P=0.0277;Wilcoxon T-test)。入浴前鼻腔抵抗値が 0.75 未満の群では有意な変化は認められなかった。 入浴後両側鼻腔抵抗値は、入浴前鼻腔抵抗値が 0.5Pa/cm3/s以上の群で有意に低下を認めた(P=0.0115;Wilcoxon T-test)。結果:鼻閉は温泉入浴後改善することが示された。温泉入浴により鼻閉症状は改善すると考えられる。
著者
川本 龍一 土井 貴明 山田 明弘 岡山 雅信 鶴岡 浩樹 佐藤 元美 梶井 英治
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.861-867, 1999-12-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
15 22

地域在住の高齢者を対象に, 主観的幸福感とその背景因子を解明するための横断調査を実施した. 対象は, 地域在住の自記式回答可能な高齢者であり, 調査は, 松林らの香北町健康長寿研究で用いられたと同様の Visual Analogue Scale を用いたアンケートを使って行われた.地域在住の自記式回答可能な高齢者2,379人中2,361人 (99.2%) より回答を得た. そのうち回答不備例を除く分析可能な対象は, 1,873人 (78.7%), 男性860人, 平均年齢72.7 (95%信頼区間: 72.3~73.0) 歳, 平均主観的幸福感69.1 (67.6~70.5), 女性1,013人, 平均年齢72.8 (72.4~73.1) 歳, 平均主観的幸福感68.5 (67.2~69.7) であった. 主観的幸福感と背景因子との関係については, 主観的幸福感は同居家族のいる人 (p=0.0051), 配偶者のいる人 (p=0.0240), 血圧の高くない人 (p=0.0096), 脳卒中歴のない人 (p=0.0039), 医師による定期的内服治療を受けていない人 (p=0.0039), 運動習慣のある人 (p<0.001), 仕事をしている人 (p<0.001) ほど有意に大きかった. 主観的幸福感と各種スコアーとの関係については, 主観的幸福感はADL, 情報関連機能, 手段的・情緒的支援ネットワーク, 健康状況, 食欲状況, 睡眠状況, 記憶状況, 家族関係, 友人関係, 経済状況の値が高いほど有意に大きかった (各々p<0.001). 主観的幸福感を取り巻く背景因子を説明変数とする重回帰分析では, 手段的支援ネットワーク (p<0.001), 情緒的支援ネットワーク (p=0.0254), 健康状況 (p<0.001), 記憶状況(p=0.0027), 友人関係 (p<0.001), 経済状況 (p<0.001) は有意な正の偏相関を示した. 抑うつ状態 (SDS) と主観的幸福感との関係では, SDSが重症 (高得点) になるほど主観的幸福感のスコアーは有意に小さかった (p<0.001).地域に在住する高齢者の主観的幸福感の向上のためには, 今回明かにされた背景因子の改善を計り, 今後経年的に経過をみて行くことが必要であろう.

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著者
山本 雅晴 永安 直人
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.P109-P115, 1988-02-25 (Released:2010-02-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1