著者
及川 輝樹 中野 俊
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

長野・新潟県境に位置する白馬大池火山は、約80万年前に活動を開始した火山であるが、完新世には噴火活動を行っておらず、現在は活動を停止している火山であると考えられてきた。今回、白馬大池火山を構成する風吹大池火山にて、完新世である最近1万年間に噴火した証拠が発見され、活火山の条件を満たすことが判明した。 風吹火山は、白馬大池火山の北東部に位置する火山である。白馬大池火山は、白馬大池を含む南側を中心として約80~17万年前に活動を行ったが、約7万年前以降は北東部の風吹岳および風吹大池周辺地域が火山活動の中心となった(及川ほか,2001;中野ほか,2002)。そのため、白馬大池火山を細分して、7万年前以降に活動した北東部の火山については、風吹火山とよぶ。 風吹大池周辺には、いくつかの浸食をあまり受けていない、新鮮な地形をなす火口が複数あるため、比較的最近も噴火活動があった可能性が指摘されてきたが、火口の形成年代などは不明であった。これら火口のうち、風吹大池の北東側に隣接した、風吹岳と備前倉山の間には、西端を小敷池とした東西に長く伸びた火口列がある。その火口列の周辺の表層土層中に、火山岩塊からラピリが混じる、粘土質テフラ層を発見した。このテフラ層は、火口列に近づくと粗く厚くなり、離れると薄くなるような分布を示すため、その火口列から放出されたものと推定される。また、明らかに本質物と考えられる粒子が含まれないことから、本テフラ層をもたらした噴火は水蒸気噴火であったと判断した。本テフラ層の直下の土壌のヒューミンに対して14C年代測定を行ったところ、約4000年前(yr BP)の値が得られた。また、本テフラの下位に位置する風吹大池火山最後のマグマ噴火の噴出物である風吹岳火砕流堆積物(柵山,1980;中野ほか,2002)中には、噴火休止期を示す土層が挟まれる。その土層中の炭質物から約8800年前(yr BP)の年代を得た。これらの結果から、風吹火山は、完新世にマグマ噴火および水蒸気噴火を行ったことが明確となった。なお、風吹大池の周辺には、いくつかの湿原が広がるが、それら湿原の形成は、本テフラ層より後に形成されたことが、層位並びに14C年代測定から判明した。それらの湿原の堆積物中にも水蒸気噴火テフラの疑いのある、白色粘土層が数枚挟まれることから、風吹火山は約4000年前以降も複数回の噴火活動を行った可能性がある。文献:及川ほか(2001)火山,46,21-25. 柵山(1980)地質学雑誌,86,265-274. 中野ほか(2002)5万分の1地質図「白馬岳」地質調査総合センター.
著者
広井 良美 宮本 毅
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

発泡破砕した珪長質マグマが外来水と接触するようなマグマ水蒸気噴火の噴火様式として,水蒸気プリニー式噴火がある.水蒸気プリニー式噴火はこれまで有史における観測例がなく,その噴火様式は噴出物の特徴のみから判断されており,その代表的な特徴として細粒本質物質に富むことが挙げられる.この細粒粒子の起源には,マグマと外来水の接触による水冷破砕(Houghton et al.,2000)や,マグマ水蒸気爆発による爆発破砕(Self and Sparks,1978)等が考えられてきた.しかし,マグマ-水接触実験(広井・宮本,2012)及び噴出物の全粒度分析(広井・宮本,2015)から噴出物の水冷破砕及びマグマ水蒸気爆発の発生と細粒化は生じておらず,水蒸気プリニー式噴火噴出物の特徴は液相水の凝集効果によってもたらされている(Self and Sparks,1978)ことが明らかになった. 一般に,噴火形態はマグマ-水比によって決定されると考えられており,マグマに関与する外来水が少量である場合にはマグマ噴火が発生するとされている(Wohletz and Heiken,1984).Koyaguchi and Woods(1996)ではプリニー式噴火で形成される噴煙柱に対する外来水の影響をシミュレーションし,約30wt%の外来水が取り込まれても噴煙柱は湿潤な状態で維持されることを示している.水蒸気プリニー式噴火においても噴煙柱が形成されると考えられている事から,プリニー式噴火と水蒸気プリニー式噴火の境界はこの噴煙柱への外来水の取り込み量上にあると考える事ができる.これを踏まえ,本研究では両噴火様式に対する外来水の影響を考察する. 十和田火山の最新の活動である平安噴火は,二重カルデラ湖の内カルデラ湖を給源とし潤沢な外来水の存在下で一連の活動を生じている.最初の噴出物ユニットOYU-1は外来水との接触を伴うなかで噴出しているが,層相,淘汰度や破砕・分散度等の噴出物の特徴からプリニー式噴火に分類される(広井ほか,2015).このOYU-1にはカリフラワー状軽石(Heiken,2006)が含まれているが,世界中で数多くプリニー式噴火の報告例がある中,カリフラワー状軽石の報告例は少ない(例えば,Arana-Salinas et al.,2010).また十和田火山においても給源を同じくする過去のプリニー式噴火噴出物中には含まれていない等,カリフラワー状軽石の形成には普遍的かつ一般的に存在する帯水層よりも多量の外来水を要することが示唆される.しかし,この多量の外来水の存在下でOYU-1がプリニー式噴火を生じていることは,外来水との接触が生じていても,噴煙柱内に取り込まれる外来水の量が多くならなければ水蒸気プリニー式噴火は生じないことを示している. 平安噴火はその後OYU-1に続き水蒸気プリニー式噴火ユニットOYU-2へと推移する.OYU-2はベースサージを主体とするが,多量の細粒本質物質を含み,vesiculated tuffを形成している等,水蒸気プリニー式噴火噴出物の特徴に一致する(広井ほか,2015).OYU-2はOYU-1よりも噴出率が増大している可能性があり,マグマ-水比は不利となるにも関わらずマグマ水蒸気噴火への推移が生じている.このとき,OYU-1からOYU-2にかけては外来水と接触する以前の本質物質の気泡成長度が連続的に上昇しており,気泡成長度の上昇によってマグマから外来水への熱伝達効率が上昇していると考えられる(広井・宮本,2011).熱伝達効率が上昇するとより多くの外来水が急熱され蒸気となり,噴煙柱内に取り込まれるため,外来水を多く含んだ噴煙柱を形成する水蒸気プリニー式噴火の発生にきわめて有効に作用すると考えられる.一方で,多くの水蒸気プリニー式噴火噴出物中に高気泡成長度を示す板状火山ガラスが顕著である(Heiken and Wohlets,1985).これもまた,水蒸気プリニー式噴火の発生に気泡成長度が大きく寄与していることを示唆する. 発泡破砕した珪長質マグマが外来水と接触しても,一般的にはプリニー式噴火を生じ,外来水の量が多い場合には噴出物中にカリフラワー状軽石が含まれる.この十分量の外来水の存在に加え,噴出物の気泡成長度が高い場合にのみ,十分な熱伝達効率を得て多量の外来水を気化し,水蒸気プリニー式噴火が発生し得ると考えられる.以上より,本研究では従来の一般的な認識と異なり,外来水の関与のあるプリニー式噴火がごく一般的に起こり得る噴火様式であること,水蒸気プリニー式噴火はマグマ水蒸気爆発及び水冷破砕による細粒化を伴わずプリニー式噴火と同様の初期条件を持ち,十分量の外来水と十分な気泡成長度とが確保された場合にのみ多量の外来水を気化する能力を得て発生するものであることを主張する.
著者
武田 惇史 鳥海 不二夫
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,人工知能研究において,人狼ゲームが注目されている.本研究では,今後の人工知能大会における5人人狼のレギュレーションにおいて,あらゆる戦略に対して優位となるような戦略が発見されるかを調べるため,戦略進化のシミュレーション手法を提案する.シミュレーションの結果,常に優位となる戦略は発見されず,戦略は周期的に変化し続けるようになることが明らかとなった.
著者
荊木まき子 森田英嗣 鈴木薫 枝廣和憲
雑誌
日本教育心理学会第61回総会
巻号頁・発行日
2019-08-29

問題と目的 近年多職種連携教育は,教育領域においても緩やかにではあるが,始まりつつある(荊木・森田,2019)。しかし,教育領域における専門家である教員であっても,担任に代表される教諭や養護教諭等,異なる専門教育を受けており,またスクールカウンセラー(以下SC)やスクールソーシャルワーカー(以下SSW)に代表される他職種は,教員とは全く異なる養成教育を受けている。その中で,教育領域の多職種連携教育(IPE)を行うために,これらの異なる養成教育を受ける学生に対し,各養成校の学生がどのように多職種連携教育を学び,理解するのかについては,明らかにされていない。 もし,各養成学生間に専門性理解の違いが存在するならば,それを明らかにすることは,教育領域における多職種連携教育にとって,重要な示唆を与えるだろう。従って本研究では,小学校教員養成課程,養護教諭養成課程,SC養成として臨床心理士(公認心理師)養成課程の学生に模擬ケース会議(荊木・森田・鈴木,2015)を行い,その事前・後に学校内における専門家の専門性を記述してもらうことで,各養成学生の専門性理解の現状、及び模擬ケース会議の専門性理解に及ぼす結果を検討した。方 法研究協力者:小学校教員養成課程学生(以下<教員>)10名,養護教諭養成課程学生22名(以下<養護教諭>)は教育実習前,臨床心理士養成課程学生は11名(以下<臨床心理士>)内7名が学校実習後であった。実施時期:小学校教員養成課程・養護教諭養成課程は2015年1月,臨床心理士養成課程は2017年11月に行った。実施方法:中学2年生のリストカット事例による模擬ケース会議を各養成校で行い,事前・後にて,会議に登場する養護教諭,担任,管理職,SC,SSWによる5つの役割の専門性を自由記述してもらった。事後は,事前の記述に書き足す形で行った。分析方法:役割毎の自由記述による専門性から共通する項目を書き出し,項目数を養成学生毎に数えた。事後は新たな学習知見と見なし,累積数とした。これらの合計項目数を事前・後毎に比較して傾向を見た。各学生による事前・後毎の全専門性記述項目数はχ2検定,他の事前・後の項目数は直接確率検定にて検定を行った。また,各養成学生の自職種と他職種の専門性記述項目数を比較した。結 果 養成校毎の記述項目数を,Figure 1に示す。 <教員>は事前において,自職種である担任の専門性の記述項目数が他職種と比較して多い反面,全記述項目数では,他の養成学生と比較して少なかった(χ2(2)=14.58,P<.01)。事後では,全記述項目数が増加していた(P<.05)。特に,管理職の記述項目数が増加した(P<.05)。<養護教諭>は, 事前・後とも自職種である養護教諭の専門性の記述項目数が,他と比較して多く見られた。<臨床心理士>は,事前・後とも自職種であるSCの専門性の記述項目数が,他と比較して多く,特に事前では,SSWの記述項目数に差が見られ(P<.05),事後には有意傾向となった。以上より,事前・後に,各養成校の自職種の記述項目数が他職種と比較して,<教員>の事後の管理職以外は多く答えていた。 考 察 全体として事後に,各養成校の合計数が増加し,<教員>に有意差が見られたことから,模擬ケース会議学習効果が考えられた。特に管理職の仕事を<教員>の仕事として認識したと考えられた。他の<養護教諭>や<臨床心理士>の専門性理解に有意差がなかった理由として,事前に自他の職種をある程度理解し,事後も記述数の増加傾向があるものの,差が出るまでには至らなかったと考えられた。この<教員>と<養護教諭>・<臨床心理士>の理解差は,先行研究での教員養成の学生は教員が中心となり支援を行う認識を持つ傾向があること(森川・岩山,2019)を考えると,<教員>の専門性理解は,事前では各専門性について理解が乏しく,多職種連携教育の学習効果が現れやすかったと考えられた。比較的自他の専門性理解の記述数が多かった<臨床心理士>も,SSWは項目記述数が少なく,事後にその専門性理解は記述数が優位傾向になることで,一定程度改善されたと考えられた。 以上より,今後多職種連携教育において,各養成校の特性に応じた部分と共通する部分を整理して学習していく必要があると考えられた。
著者
水野 貴之 大西 立顕 渡辺 努
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

我々は全世界の約50万社に関する各取引先を含むデータセットを用いてグローバル・サプライチェーンのネットワーク構造を調べる.はじめに,我々はこのネットワークがスケールフリー構造と任意に選んだ2社の最短経路長が平均6社(リンク)であることを示す.次に,我々は,ネットワークのコミュニティ解析により,グローバル・サプライチェーンにおいて企業は異なる国の同種の産業の企業とコミュニティを形成していることを示す.最後に,我々は,このようなグローバルな企業の生産活動が,グローバル・サプライチェーンを通じた紛争鉱物(紛争地の武装勢力が内戦維持のために採掘し販売するレアメタル)の世界的な拡散に関係していることを指摘する.そして,我々は,コミュニティ間を橋渡しする僅かなブリッジ企業が,紛争鉱物の世界的な拡散を制御する上で重要な役割を果たすことを,複雑ネットワーク科学の視点から指摘する.
著者
藤野 真希 川上 隆茂 門田 佳人 井上 正久 藤代 瞳 角 大悟 鈴木 真也
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【背景・目的】亜鉛の生活習慣病に対する重要性は、様々な基礎研究や疫学研究から示されているが、単純な亜鉛摂取では説明できない細胞内の亜鉛調節機構の重要性も明らかになりつつある。他方、メタロチオネイン(MT)は亜鉛によって誘導され、生理的役割として細胞内における亜鉛や銅などの必須金属の代謝調節機能を有するが、MT遺伝子欠損条件における生活習慣病発症に対する亜鉛の効果の程度については不明な点が多い。本研究では野生型(WT)およびMT欠損マウスを用いて、高脂肪食(HFD)誘導性の生活習慣病に対する亜鉛の効果とそれに対するMTの寄与について比較検討した。【方法】雄性8週齢のWTおよびMT欠損マウスにHFDを亜鉛を含む飲料水(0、227および1135 mg/L)と共に10週間自由摂取させた。6週目に糖負荷試験を行い、解剖時に肝臓および内臓脂肪組織(WAT)重量を測定した。一部の肝臓は、HE染色法による組織学的検索を行った。また、ICP-MSを用いて肝臓および血漿中の亜鉛濃度を測定した。【結果・考察】ICP-MSの解析結果より、肝臓中の亜鉛濃度は、両系統マウスの亜鉛処理群間で同程度であった。WTマウスの血漿中の亜鉛濃度は、亜鉛処理によって用量依存的に増加していたが、MT欠損マウスでは変化は認められなかった。①WTマウスでは亜鉛処理によりWAT重量が有意に低下し、②HFD誘導性の脂肪肝および耐糖能異常の改善が認められた。③一方、MT欠損マウスでは、高濃度の亜鉛処理でもWAT重量の低下、脂肪肝および耐糖能異常の改善は認められなかった。亜鉛処理により両系統マウスの肝臓には同程度の亜鉛が存在していたにもかかわらず、WTマウスで認められた亜鉛補充による生活習慣病の改善作用はMT欠損マウスでは認められなかった。 以上、亜鉛による糖尿病および脂肪肝改善作用の感受性決定遺伝子としてMTが重要な役割を担っており、その作用の一部にWAT重量の低下の関与が示唆された。
著者
海野 進 仙田 量子 石塚 治 田村 明弘 草野 有紀 荒井 章司
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

地球の全マントルの50–70 wt%を占める枯渇したマントルは大陸地殻を形成した融け残り岩とされている[1]。これらの枯渇したマントルは,クラトン下のリソスフェアや海底下の対流するアセノスフェアを構成するが,それらがいつ地球創生期の始原的マントル(PUM)から分化し,どのようなプロセスで形成されたかを明らかにすることはマントルの物質的進化を理解する上で重要である。 カンラン岩の溶融時にOsの親核種であるReがメルトとともに完全に融け残り岩から失われると,融け残り岩のOs同位体比はそれ以降変化しない。この仮定のもとに始源的マントル(PUM)から融け残りカンラン岩を生成したRe枯渇年代が決められる。クラトン下のリソスフェアの多くはOs同位体比(187Os/188Os)が0.11以下と低く,始生代末~原生代初めのRe枯渇年代を示すことから,その頃にPUMが大規模に融解し,対流するマントルから切り離された融け残り岩と考えられる[2, 3]。一方,中央海嶺玄武岩(MORB)のソースとなる対流するマントル(DMM)は,Os同位体比が0.116–0.135と幅広く,多くは10億年前より若いRe枯渇年代を示すことから,原生代以降の様々な時期に対流による溶融と混合・攪拌を通じて形成されたと考えられてきた。しかし,高枯渇ハルツバージャイトを主体とするクラトン下リソスフェアとは異なり,DMMの多くはPUMからメルトを3–4 wt%取り去った程度の低枯渇度で,溶融後も相当量のReが残存していたはずである。すなわちDMMは従来考えられた以上に古い時代に分化した可能性がある。 そこでRe-Osアイソクロンが適用困難な融け残りカンラン岩について,Re/Os比の初期値をメルト組成から独立に推定する方法を提案する [4]。PUMからの分化時に融け残りカンラン岩と平衡であったメルトのREE組成についてモデル計算をし,融け残り岩のYb濃度を推定することによってPUMの部分溶融度,すなわち融け残り岩のRe/Os比の初期値を決めることができる。このRe/Os比と Os同位体比をもとにOs同位体進化曲線を計算すれば,分化年代が得られる。最近,著者らは伊豆―小笠原―マリアナ(IBM)前弧域の無人岩マグマ由来のCrスピネルとメルト包有物の解析から,初生無人岩マグマのソースマントルが2種類あり,それぞれ37–32億年前と17–15億年前にPUMから分化した融け残り岩であることを明らかにした[4]。同様に,Os同位体比0.125を有する平均的なDMMは26–22億年前にPUMから分化したことがわかった。これらの3つの年代は丸山[2002]が示した大陸形成が最も活発であった時期と合致する(図1)。また,平均的なDMM分化が起きた26–22億年前はクラトン下リソスフェアのRe枯渇年代と一致する。このことから,大規模な大陸形成をもたらしたマントル対流の活動期パルスが幅広いOs同位体比を示すDMMの生成にも関与したと考えられる。[1] Zindler, A., and Hart, S., 1986. Ann. Rev. Earth Planet. Sci.,14, 493 - 571[2] 仙田量子ほか,2012. 岩石鉱物科学,41, 211 – 221[3] Walker, R. J., 2016. Geochemical Perspectives, 5[4] Umino, S. et al., 2018. Island Arc, doi: 10.1111/iar.12221[5] 丸山, 2002.プルームテクトニクスと全地球史解読, 岩波書店
著者
大野 圭太郎 太田 雄策
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

Rapid understanding of the magnitude of large earthquakes and their associated fault dimensions are extremely important. Since September 2012, Geospatial Information Authority of Japan (GSI) and Tohoku University are jointly developing the GEONET real-time analysis system (REGARD). REGARD system rapidly estimates two types of coseismic fault models, which are slip distribution along the plate interface and single rectangular fault model, using permanent displacement field based on the real-time GNSS tine series. Currently, REGARD adopted the maximum likelihood approach to estimate the optimum model. The system has two points to be improved. As first point, it is difficult to estimate the quantitative uncertainty estimation of the obtained result because of the estimated result should contain both of the observation error of the real time GNSS and modeling error caused by the model settings. Understanding of such uncertainties quantitatively based on the data is important for evaluation of the result for disaster response. Second point, the problem is non-linear to estimate the single rectangular fault model in REGARD. Thus, the result strongly may depend on the initial values of the fault parameters. It is necessary to find the global minimum quickly for real-time use.Based on these backgrounds, we are developing coseismic fault model estimation system using MCMC (Markov Chain Monte Carlo methods), which is probabilistic approach based on Bayesian statistics. MCMC does not specify one maximum likelihood value, but estimates the posterior probability density function (PDF). In addition, dependency on the initial value is relatively small by searching unknown parameters over a wide range randomly. In this study, we focus on the development the algorithm to estimate the single rectangular fault model deduced from permanent coseismic displacement field in real-time. We adopted basic Metropolis Hasting method as sampler and utilized parallel tempering approach to improve the sampling efficiency. One of the challenges for using MCMC in real time is how to make search settings, such as initial value, walk distance, variance of likelihood function, and Burn-in, which are generally decided by the try and error. We suggest a method of deciding these values automatically using scaling law and original sampling flow. Other challenging issue is calculation time. In generally, the calculation cost of MCMC is problem for the real-time purpose. To improve the performance of the MCMC we adopted OpenMP for the parallelization of the computing.We applied this approach to the 2011 Tohoku-Oki earthquake, 2016 Kumamoto earthquake, and 2016 Fukushima-Oki earthquake using the actual permanent displacement time series from REGARD. In each estimations, we got 1×106 samples and obtained posterior PDF within 30 seconds. To emphasize, this algorithm could estimate the magnitude as distributions based on the data. Especially in Tohoku-Oki earthquake, obtained results clearly shows the tradeoff between the fault area and the slip amount. This result suggests that the onshore GNSS data cannot constrain them, which are extremely important factors for precise near-field tsunami forecasting.In our presentation, we will show the more detail characteristic of the algorithm. We are working on development of it for single rectangular fault model aiming at actual operation. Furthermore, we will expand this approach to not only the single rectangular fault but also the slip distribution along the plate interface.