著者
山口 二郎 中村 研一 宮脇 淳 宮本 太郎 遠藤 乾 新川 敏光
出版者
北海道大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

この研究では、1990年代後半から21世紀にかけて急速に進んだグローバル化による福祉国家の解体現象と、これに対する平等概念を基調とした対抗策について、考察した。まず、21世紀初頭に起こった日本的福祉国家の崩壊現象について、「リスクの社会化、個人化」と「普遍的政策、裁量的政策」という2つの軸を組み合わせることで、体系的な説明のモデルを作った。戦後日本では、補助金、護送船団方式など、裁量的政策によりリスクの社会化が図られており、そのことが結果的に疑似福祉国家的効果をもたらした。しかし、市場原理の浸透や透明性を求める市民社会の要求の中で裁量的政策と不可分に結びついていたリスクの社会化の政策まで否定され、新自由主義的構造改革が優勢となったと説明される。また、西欧において福祉国家のモデルが、90年代から21世紀にかけていかに変容、再生したかを比較の観点から考察し、日本に対する教訓を明らかにした。特に、イギリス、スウェーデンなどにおける社会的包摂(social inclusion)の概念を分析し、グローバル化時代における社会的排除(social exclusion)の弊害を明らかにすると共に、社会的包摂を実現するための政策の枠組みやこれを実施する主体について考察した。さらに、格差社会の到来という現状において、市民が政治や政策に何を期待するかについて、東京と北海道において大規模な意識調査を行なった。その結果、平等や公共サービスに関して、多少の地域差はあるものの、市民は格差の小さい社会を望み、充実した公共サービスを望んでいることが明らかとなった。この知見は、これからの福祉国家再生策の重要な基盤となる。
著者
牟田 和恵 古久保 さくら 伊田 久美子 熱田 敬子 荒木 菜穂 北村 文 岡野 八代
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

・本研究課題の中心的目標の一つであった女性運動・研究の動画発信チュートリアルサイトを制作し、web上での公開に至った。 http://movie-tutorial.info/ これにより、ITやパソコンに疎い女性たちが、自らの手で簡易な機材と安価な手段で、容易に自分たちの活動や研究の成果を動画に撮影、簡単な編集を施してweb上で動画を発信し、より多くの人々に情報伝達することのできる可能性を提供した。なお、同サイトは、当初の研究計画では、ウィメンズアクションネットワーク(WAN)のサイト(https://wan.or.jp/)上に公開する予定で、WAN側の了解も得ていたのだが、研究費使用の公正性を確実に担保するため、自前独立のサーバーを用意し公開した。・「私のアソコには呼び名が無い」コロキウムを行った(12/19)。これは、アメリカのフェミニズム運動のVagina Monologue から始まり中国でVachina Monologue として発展した運動の中心人物であった柯倩テイ中山大学(広州)副教授をお招きし日本での展開の可能性を探ったものである。これにより、とくに若い世代のフェミニストの活動の支援を行うことができた。・中国海南島および山西省の日本軍戦時性暴力被害者の支援運動に関する調査を行うとともに、新たに発足した台湾「慰安婦」博物館(阿媽家・台北)の開館式に参加し現地活動家との交流を行った。これらにより、昨年度・一昨年度に続き、香港や中国のとりわけ慰安婦問題・性暴力に取り組む女性運動組織との連携をいっそう深めることができ、アジアの女性運動のネットワーキングが大いに達成された。
著者
向田 昌志
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

人工ピン材料を超電導膜に入れ、磁場中超電導特性を向上させた膜のTcを人工ピンのない膜と同等のTcまで戻すため、さらに物質本来の「強い超電導特性」が発現し、対破壊電流密度の25%以上という高いJcを実現するため、人工ピンの成長機構解明として、微傾斜基板を用い、1次元人工ピンの曲がりを調べた。その結果、ある角度以上で、人工ピンは超電導膜のステップフロー方向に成長し、超電導膜の一番弱いc-軸方向の磁場中臨界電流密度を高める効果が無くなることが分かった。また、テープ線材に不可欠なプロセスの低温化、高速化も行った。さらに、鉄系超電導膜の上部臨界磁場を詳しく調べる研究も行った。
著者
沢井 芳男 外間 安次 鳥羽 通久 川村 善治
出版者
(財)日本蛇族学術研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985 (Released:1987-03-31)

本研究はヤマカガシ咬症の重症患者の治療血清の試作を行うためにヤマカガドウベルノイ腺から毒液を抽出し, ウサギ及びヤギを免役し, その血清を採集し, 硫酸ナトリウム, 硫酸アンモニウムによる分画及びペプシン消化法によってγ-グロブリンを分画精製し高力価の抗毒素を得た. その結果ウサギ抗毒素0.2mlは120μg(48mld)の毒量を中和した. またヤギ抗毒素0.1mlは220μg(73.3mld)の毒の致死を中和し, 216μg(47mhd)の毒の出血を抑えた. また抗凝固性は抗毒素0.05mlは119.3μg(108.5u)の毒による凝固を阻止した. また抗毒素の精製度については電気泳動の結果γ-グリブロンの単一のピークが得られた. しかし免疫電気泳動では抗ウサギγ-グロブリン(IgG)ヤギ血清に対し, ウサギ抗毒素は特異時的な反応帯が認められたが, 抗ウサギ血清に対してはγ-グロブリン以外の混入が認められた.なお本抗毒素にはさらに治療用毒素に必要な所定の検査を行い, 長期保存にたえるように凍結乾燥を行った. その間に発生したヤマカガシ咬症患者の重症例の治療に応用し, その治療効果を確かめることができた. すなわち本抗毒素は患者の出血性素因及び血液の凝固異常を速やかに回復し, 患者を治癒に導いた.
著者
山下 英愛
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01 (Released:2017-04-28)
著者
内山田 康 O'DAY ROBIN O'DAY Robin
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25 (Released:2015-01-22)

From April 2016 to August 2016, Dr. O'Day did 4 months of ethnographic fieldwork and continued working with NG0s, Fukushima evacuees and activists working on the related issues. He worked with a group mothers who have evacuated from Fukushima to Tokyo with their children, a group of mothers who remained in Fukushima after the nuclear accident, a group of volunteers that identify themselves as “supporters” of those evacuees, a peace movement of women called “Mothers Against War”, and another student peace and pro-democracy movement called Student Emergency Action for Liberal Democracy (SEALDs). In addition, Dr. O'Day also engaged in participant observation research at political demonstrations, community events, and by volunteering in some disaster reconstruction projects.
著者
山口 二郎 杉田 敦 遠藤 乾 空井 護 吉田 徹 渡辺 将人 木宮 正史 川島 真 遠藤 誠治 高安 健将 村上 信一郎 宮本 太郎 小川 有美 中北 浩爾 水野 和夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-15)

20世紀後半に民主主義国で確立された二大政党制、二極的政党システムにおける政権交代というモデルは、1980年代の新保守主義的政治、1990年代後半の中道左派の復活までは、順調に作動し、民意の吸収と政策転換という効果をもたらした。しかし、2000年代に入って、経済のグローバル化の一層の進展と、雇用の不安定化や格差の拡大は政治的安定の基盤をなした経済的安定を侵食した。その結果、政権交代に対する国民の期待が低下し、ポピュリズムが現れた。こうした危機を打開するためには、従来の左右を超えた政党再編が必要とされている。
著者
廣田 照幸 森 直人 寺脇 研 丸山 和昭 冨士原 雅弘 小野 方資 末冨 芳 佐久間 亜紀 徳久 恭子 荒井 英治郎 筒井 美紀 布村 育子 植上 一希 二宮 祐
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

1、関連文献・史資料の収集・吟味:日教組の運動の範囲が多岐にわたるため、大学院生や学部生にアルバイトとして利用しながら、7つの作業グループのそれぞれの主題に沿った関連文献・史資料の収集・吟味を体系的に行った。2、日教組所蔵史料の検討と整理:研究の基礎史料を利用可能な状態にしていくため、平成28年度は過去のプロジェクトにおいてデジタル化した資料を再整理しつつ、新たに当面の研究に必要な史料を選定してデジタル化作業を行った。1947-50年代の日教組書記局作成史料を中心とした作業と、古書店等で入手した同種の史料とを作業の対象にした。3、聞き取り調査:中央執行委員会や書記局にいた日教組OB数人、単組の元委員長など、キイ・パーソンに聞き取り調査をおこなった。記録はテープ起こしと編集作業を行い、ご本人の確認を経て、聞き取り資料として確定させた。4、全体会合:全員が集まる研究会を定期的に開催し、本研究課題に関連する分野の専門家をゲスト・スピーカーとして招聘してレクチャーを受けながら、7つの作業グループから、順次、研究報告をしてもらった。また、全体会では、研究全体の進め方について協議を行った。5、チーム会合・グループ会合:2つのチーム、7つのグループごとに、定期的な会合をもち、具体的な課題に向けた研究を進めた。6、学会発表:日本教育学会の部会で研究成果の報告を行った。学会発表をふまえて、論文化に向けた打ち合わせも行っている。
著者
小路田 泰直 住友 陽文 小関 素明 岡田 知弘 小林 啓治
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

本年度は、当該年度を含め5年にわたる史料調査および研究によって蓄積されてきた成果の、一般的公表を念頭に、研究実施計画に照らして、とりわけ日本の各地域における原子力を中心とする電源開発史の総合を目指して、研究を継続した。特記すべきは、以下の二点である。まず、これまでの5年間でおこなってきた聞き取り調査(被災した福島県浪江町の首長、ビキニ事件における民間での活動関連、原発設置反対運動関連)、ならびに、おなじくこの5年間で収集した原子力関連史料(電源開発にかかわる新聞資料)の公表を、プライバシー等の問題に配慮しつつ、学術雑誌『史創』第7号において、おこなった。さらに、前年度、当科研の代表・研究分担者・研究協力者らを中心に出版した『核の世紀 原子力開発史』(東京堂出版)についての自己批判的な討議、新聞紙・雑誌に掲載された書評における真摯な批判をもとに、研究をさらにより広く、また深めるべく、奈良女子大学および福島大学において、二度のシンポジウムを開催した。以上の研究により、日本における原子力を中心とする電源開発の歴史、またそのなかで形成された安全神話の内実、さらには、戦前からつづく世界全体での原子力開発の歴史的な意義、また戦後の日本史全体を貫く原子力政策の意義が深く追究され、これまで五年に渡って積み重ねられてきた研究成果は、ひろく一般に公開されるとともに、今後、研究成果を飛躍的に応用するための重要な処方をえることができた。
著者
金 富子 中野 敏男 倉田 明子 橋本 雄一 吉田 ゆり子 澤田 ゆかり 野本 京子
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

2016年度は1)中国東北への予備調査を兼ねたフィールドワーク、2)満蒙開拓平和記念館を含む長野県飯田市フィールドワーク、3)公開の国際シンポジウムおよびワークショップ、4)研究会を開催し、ほぼ所期の目標を達成できた。1)では、2016年8月に、翌2017年の本調査の候補地として大連・延辺を訪問した。この調査旅行の目的は、12月に開催予定の国際シンポジウム及びワークショップ(以下の3))の打合せをするとともに、本調査のための予備調査にあった。現地訪問し、研究交流や人脈づくりをしたことは、次につながる成果となった。2)では、2016年9月に本科研メンバー全員で、日本人の「満洲」移民の最大の送り出し先である長野県のなかで飯田市を訪問した。飯田歴史資料館では専門的研究者による研究史の現状に関する講演とともに、3人の移民経験者(子孫含む)の証言を直接聞く機会をもった。さらに川路村資料館での資料調査と文献収集、満蒙開拓平和記念館の訪問と館長の講演・面談をした。これらのフィールドワークを通じて、移民経験者の聞き取りや研究交流、人脈づくりをしたのは成果であった。3)では、第四課題に即して、2016年12月に中国延辺から研究者2人を招聘して、研究分担者・協力者、日本国内の研究者とともに、国際シンポジウム及びワークショップ「植民地を移動した〈在満〉朝鮮人の生活と抗日~その記憶と痕跡を移民史・オーラルヒストリーでたどる~」を2日間開催した。これらを通じて、翌2017年の本調査地の目処がついたとともに、現地研究者のよる写真集の出版企画が浮上したのは大きな成果であった。4)では、2016年3月に、本調査を前に、日本国内の研究者を招請して日本人「満洲」移民に関する公開研究会を開催した。本科研メンバーが同じ大学にいるという地の利を活かして、全体会議や予備調査打合せを精力的に開催した。
著者
渡辺 浩 江頭 憲治郎 碓井 光明 塩川 伸明 西川 洋一 城山 英明 大村 敦志 中谷 和弘 長谷部 恭男
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2001 (Released:2002-04-01)

今年度は、国家と社会、国際化と法、科学技術の発展と法の観点から第2期のまとめを行った。国家と社会に関しては、1.規範定立・執行における社会集団の役割(経済団体による法形成と執行、ドイツ医療保険法におけるFestbetragsfestsetzung制度、トランスナショナル社会運動)、2.市場と国家(政府業務の民間開放と法制度、株式会社・証券市場・市民社会、会社支配市場規制、ボーダレス化時代における租税制度)、3.ボーダレス時代における社会保障・安全確保・司法制度(社会保障法と憲法、警察行政における計画、関係性における暴力とその対応、司法の独立性)、4.国家財産法における公法と私法(政府業務の民間開放、韓国の国家財産法と法政策的課題)をまとめた。国際化と法に関しては、1.境界とは何か(生権力と国家、国境はなぜそしていかに引かれるべきか)、2.境界の変動および意味変容(国際法における境界の位相、国家の統合分裂とシティズンシップ)、3.変容する国際社会と法・政治の対応(パレスチナ問題と国際法、開発・エイズ・人権、経済連携協定、法整備支援)、4.人の国際移動と法・政治の対応(国際移住の法と法政策、民法における外国人問題、国際化と地方自治)をまとめた。科学技術の発展と法に関しては、1.科学技術と生命観(歴史的視座、動物観と法制度設計)、2.科学技術と制度(学問と法システム、リスク評価と法システム、予防原則)、3.科学技術と刑事法(現代型刑罰法規と罪刑法定主義、科学技術の進歩と刑法-過失責任)、4.科学技術と民事法(証券取引の電子化、無体化・電子化と占有概念、5.科学技術と国際法(非国家主体に対する軍備管理、国際環境法における科学技術と対話プロセス)を取りまとめた。なお、とりまとめの過程で2006年1月に国際シンポジウムを開催した。また、第1期の成果5巻も無事出版した。
著者
野村 大成 加藤 秀樹 渡辺 敦光 佐々木 正夫 馬淵 清彦 藤堂 剛
巻号頁・発行日
1992 (Released:1992-04-01)

「放射線被曝による継世代発がん」に関して、ヒトにおいては、馬淵班員が広島・長崎の被爆者のF_1集団72,000人の調査を行った。1946-89年の死亡者中で白血病63症例、リンパ腫22症例を発見したので、詳しい診断を確認の上、授精前被曝との相関が調査できるようになった。基礎研究では、渡辺班員がC3H雄マウスに^<252>Cf中性子放射線照射することにより、ヘパトーマが非照射F_1(3%)の14倍の頻度で発生していることを発見し、野村実験を異なった系統マウスと原爆類似放射能で確認した。野村は、LTマウスにX線(3.6Gy)を照射することによりF_1に10倍の頻度で白血病が誘発されることを発見した。ICRマウスでは見られなかったことである。加藤班員は、これらF_1での発がんに関与した遺伝子のマッピングのため、TemplateDNAの多量、短時間処理法を確立した。佐々木班員はヒトにおける父親由来の突然変異としてRb遺伝子を調べ、Rb腫瘍細胞では80%の症例に+1g異常が観察されるが、9例中8例までが母親由来の1gが過剰になっていることが分かった。新しい発見であり、今後大きな問題になるだろう。藤堂班員は、紫外線によるDNA損傷のうち、がんや突然変異と深く関与してると思われる6-4産物を特異的に修復する酸素を初めて発見した。国内外で大きな反響を呼び、新聞誌上でも大きく報道された。英国核施設従業員(父親)の授精前被曝によりF_1にリンパ性白血病が相対リスク9.0(P=0.047)の高さで発生しているとの報告が1993年3月6日にあった(BMJ)。この報告は、Gardner論文と同じく野村のマウス実験と一致しており、より一層、ヒト疫学、マウスを用いた基礎研究が必要となる。また、内部被曝や低線量率長期被曝の精原細胞および卵細胞におよぼす影響がクローズアップされるようなった。
著者
藤堂 剛 加藤 秀樹 渡辺 敦光 佐々木 正夫 馬淵 清彦 野村 大成
巻号頁・発行日
1994 (Released:1994-04-01)

1.マウスを用いた継世代発がん:野村はLTマウスを用い精子および精子細胞期へのX線(5.04Gy)照射により、F_1マウス非照射群の約10倍の頻度でリンパ性白血病が誘発されたが、精原細胞期照射ではICRマウスと同様に白血病は誘発されなかった。本年度は、N5マウスを用いたところ、精原細胞期照射でも約6倍の頻度でリンパ性白血病が発生し、ICR,LTと異なる結果となった。白血病発生に系統差がある。また、渡辺は原爆放射能に近い線室の^<252>Cf(中性子66%)をC3H雄マウスの精子期あるいは精原細胞期に1回全身照射(O.5,1.0Gy)し、C57BL雌マウスと交配し、F_1を14.5ケ月後に屠殺したところ、いずれの群でも、肝腫瘍が約10倍も増加した。2.原爆被爆者の子供の死亡率調査:両親の被爆線量に伴う、全死因及び癌死亡の有意な増加は認められない。発癌率調査でも殆ど認められないであろう(馬淵)。3.継世代発がん機序:マウスにおける継世代発がんの遺伝様式はヒトでのRB遺伝子やp53遺伝子の変異によるがん発生と似ている。1)網膜芽細胞腫患者の突然変異の起源を調べると情報の得られた16例のうち15例までが父親由来であり、微視突然変異(RB1)では67%に欠失・挿入・塩基置換なとどの突然変異が認められた(佐々木)。2)継世代高発がんN5マウス家系においてもp53の変異が検出された(野村)。3)マウス肺腫瘍の発生には、その70%を決定する単一の優性遺伝子が存在し、マイクロサテライトマーカーを用い調べると、第六染色体上のK-rasより10cM遠位にありK-ras intron内に欠失が存在することも明らかにした(野村、加藤)。4)藤堂は、紫外線による損傷を持つDNAに特異的に結合する蛋白を2種見い出した。1つは(6-4)光産物に対する光回復酵素で、酵素蛋白の精製に成功し、この酵素が損傷DNAを元に形に修復する活性を持つ事を明らかにした。
著者
三浦 瑠麗
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

本研究は、先進工業国のデモクラシーにおいて攻撃的戦争を促進する条件を、開戦判断時点と戦争のエスカレーション決定時点に着目して導き出した。安定したデモクラシーにおいては、軍が攻撃的戦争を主導した例は見当たらず、むしろ文民政治指導者が下す開戦決定に対して反対した事例が少なくないことを多様な事例検討を通じて例証したこれまでの研究成果のうえに、より詳細な開戦判断と国内的背景の分析を行った。
著者
廣田 照幸 佐久間 亜紀 筒井 美紀 徳久 恭子 荒井 英治郎 植上 一希 末冨 芳 布村 育子 森 直人 小野 方資 宇内 一文 丸山 和昭 冨士原 雅弘 長嶺 宏作 古賀 徹 岩田 考 太田 拓紀 清水 唯一朗 二宮 祐 冨士原 雅弘 佐藤 晋平 田中 真秀 金子 良事 長嶺 宏作 香川 七海 中嶋 亮太 高木 加奈絵
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

本研究の成果として、a)初期教育研究大会の成立と講師団選出過程、b)日教組結成から1950年までの法的な位置づけと政治的な立ち位置の変容、c)「教え子を戦場に送るな」のスローガンの成立過程、d)人材確保法の成立過程、e)日教組におけるストライキ批准体制の確立、f)1973年春闘におけるストライキ戦術と交渉の解明、g)連合加入をめぐる400日抗争の解明、h)1995年の文部省と日教組の和解のプロセス、i)国際労働運動における日教組の位置を明らかにした。以上の点から、労働運動体と教育運動体としての日教組との二重性をふまえ、日教組の多面的な運動、それぞれに与えた影響を実証的に明らかにした。
著者
金 明秀 稲月 正 豊島 慎一郎 太郎丸 博 田中 重人 堤 要
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

本研究の中で実施された調査と、1995年に実施された「在日韓国人の社会成層と社会意識全国調査」および「社会階層と社会移動に関する全国調査」との比較分析に基づき、以下の諸点が明らかになった。(1)[文化資本に関する分析]日本人男性に比べて在日韓国人男性の文化資本は低いこと。父、母の学歴が高いほど出身家庭の文化資本は高まる傾向があること。出身家庭の文化資本が高いほど本人の学歴は高くなる傾向があること。(2)[在日韓国人女性の職業に関する分析]初職の企業規模は、9人以下の小規模の企業がほぼ半分を占めており、周辺セクターの労働市場に追いやられている。現職についても、9人以下の小規模な企業に従事する者が7割近く、さらに小規模企業への集中が強まっている。(3)[社会保障に関する分析]医療保険については、医療保険未加入者は加入者と比較して健康状態がよくない傾向が見られた。年金保険については、在日韓国人高齢者に分析を限定したところ、年金保険未加入者は、加入者より所得が低い傾向も見られた。(4)[母国とのネットワークに関する分析]民族への愛着や伝統への嗜好は、母国に親戚のいる人のほうが強い傾向にあることがわかった。また、母国語の使用や民族団体への参加においても、彼らはより積極的であることがわかった。しかし、母国に親戚をもつ人は日本人との付き合いが弱くなるのかと思われたが、むしろ彼らの間のほうが日本人との付き合いをもつ人が多くみられた。(5)[民族認識に関する分析]在日韓国人は民族を構成する要件として、(1)自分自身を韓国(朝鮮)人だと思う、意識的側面を強く重視しているが、(2)韓国生まれであることや人生の大部分を韓国で暮らしているという、場的側面はあまり重要視しておらず、(3)それら以外の要件は中程度に重要視している。どの要件を重要視するかは、世代のみである。
著者
安藤 香織
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

フェニル酢酸誘導体の酢酸パラジウム触媒を用いるオルト位C-H活性化とオレフィン化反応の反応機構を調べるために、分子軌道計算を行った。計算のモデルとしてフェニル酢酸アニオン(1)、メチルアクリレート(2)およびPd(OAc)2を用いてB3LYP/6-31G*,Pd:SDDレベルで解析した。Pd(OAc)2と1から錯体生成後、フェニル基とのπ-complex生成は容易に起こり、C-H活性化による酸化的付加によりAr-Pd-H(OAc)(OCOAr)が生成する(Int3)。この過程の活性化エネルギーは24.6 kcal/molであった。還元的脱離による酢酸の脱離は容易に起こり(6.2 kcal/mol) Int4を生成、酢酸のプロトンがカルボキシル酸素に移ってフェニル酢酸のカルボキシル基がPdから離れ、かわりにメチルアクリレートが配位にしてInt5となる。アルケン二重結合のPd-Ar結合への挿入反応は10.4 kcal/molのエネルギー障壁で起こり、C-C結合の回転の後、β水素が脱離してArCH=CHCO2Meが生成する。生成したオレフィンがパラジウムから離れてから、酸素酸化により触媒が再生されて反応のサイクルが回ると考えられる。反応の律速段階はC-H活性化段階であった。触媒サイクルは通常0価と2価で説明されることが多いが、本反応では2価と4価での触媒サイクルを計算した。反応は85℃で48時間行われており、律速段階の活性化エネルギー24.6 kcal/molとよく一致しており、2価と4価での触媒サイクルは実験をよく説明していると言える。