著者
田口 茂
出版者
北海道大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2020

ロボットや人工知能、脳オルガノイドなどは、人工的に作られたものでありながら、近い将来、技術発展によってある種の「主体」として扱われうるレベルに達する可能性がある。こうした「人工主体」が社会に入り込んでいくとき、そこには深刻な倫理的問題が生じうる。こうした問題を討議するためには、市民・政策決定者・科学者など多様な関係者にとって有用な〈議論のプラットフォーム〉(議論の土台となる原理的な概念的枠組み)を創出し、様々な形で社会に実装していく作業が必要である。本企画調査では、そのようなプロジェクトの計画・デザインを集中的に行う。まず技術的現状や国内外の関連する議論の調査を行い、それにもとづいて、哲学者・倫理学者・科学者・企業研究者による緊密なチームで徹底的な討議を行い、議論すべき問題や方向性の絞り込み、論点の整理、将来の技術発展のありうるフェイズに対応したプロジェクトの具体的なデザインを行う。
著者
高橋 延昭
出版者
札幌医科大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2009

コンブに刺胞動物ヒドロゾアが付着するとその商品価値が半減する。ヒドロゾアは種によりポリプ型とクラゲ型の両方あるいは片方単独の生活史を営むことが知られている。コンブに付着するそのヒドロゾア(モハネガヤと云われている)の生活史は、いまだ不明で、その付着対策も練られていない。本研究はそれを立案するため、そのヒドロゾアの全生活史を解明するために、生態学・環境調査および培養法の確立を目指すものである。
著者
熊 仁美
出版者
特定非営利活動法人ADDS
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2016

日本の発達障害児の早期発見の仕組みは、これまで医療や保健分野において整備が進んできた。しかし、早期支援については、専門家や人員、財源の不足などから、療育の頻度や質が十分でなく、重要な発達時期を逃してしまう子どもがいまだ多く存在する。本プロジェクトでは、国際的に効果が実証されている応用行動分析(Applied behavior analysis ;ABA)の技法を用いた早期療育プログラムおよび人材研修プログラムを、自治体の療育センターや民間児童発達支援事業所、保育やリハビリテーションの現場で活用するため、ITを活用した支援システムとして実装し、その効果を評価する。これにより、既存制度を活用したABA早期療育の持続的な地域モデルを確立し、全国への普及を目指す。
著者
星野 洋一郎
出版者
北海道大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2008

ハスカップの果実には苦味を呈するものがあり、利用上の問題となっている。苦味成分ロガニンはイリドイド配糖体であり、健胃、血圧降下、抗菌性などの効果をもつ生薬として利用されている。そこで、ロガニンの供給原料としてこれまで未利用の部位(葉)に着目し、ロガニン含量の高い系統の選抜、ロガニン含量の季節変動の解析を進める計画である。
著者
阿部 陽一郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2013 (Released:2016-04-26)

視神経脊髄炎(NMO)と多発性硬化症の鑑別診断における抗アクアポリン(AQP4)4抗体(NMO-IgG)の検出は重要であることから、血中NMO-IgGを高感度かつ特異的に検出するELISAシステムの開発を試みた。本検出システム開発においては、(1) 正しい立体構造を持ったAQP4を抗原とすることでELISA法による検出感度・特異性の向上を目指すとともに、(2)ヒト血清中に存在する多様なIgGにより生じる高いバックグラウンドシグナルを除去する方法について検討を加えた。正しい立体構造を有したAQP4を抗原とすることにより特異性の高いシステムが構築できる潜在力は有していると考えられるが、バックグラウンドシグナルの軽減は予想外に困難であり、検出感度については十分目的を達成したとはいいがたい。今後は更にS/N比のよい系へと改良を加えるとともに、必要があれば幾つかの検出方法を組み合わせることにより、より信頼性の高い系の確立をめざす。
著者
北澤 茂
出版者
工業技術院
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2000

脳には水晶クロックがありません。しかも信号は多数のループを巡るので、複数の信号の間の時間順序は簡単に失われてしまいます。脳はどこで、どうやって信号の時間順序を表現、保存、再生しているのでしょうか?本研究は、信号と信号の差分に基づく「動き」を表現する領域と、信号そのものを表現する領域が協調して、信号の時間順序を再構成する、という「動き投影仮説」を手がかりとして問題解明に挑みます。
著者
大澤 博隆
出版者
筑波大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 社会技術研究開発事業
巻号頁・発行日
2018

本プロジェクトでは、科学技術とその社会への受容過程を物語の形で描いてきたサイエンスフィクション(SF)が、人工知能技術の発展にもたらした影響を調査する。我々はまず人工知能技術に対する期待と不安を含む人々の想像力の歴史について、過去の文献をサーベイし、作家・クリエイター・編集者や、理学・工学・人文学研究者等の関係者を交え、AIとSFと社会の関係を整理・可視化する。そして、それらの関係者の力を合わせ、今後、人工知能・自律的知能技術が社会実装される過程の未来の在り方を、新たなデザインフィクションとして例示する。調査と創作の双方を通して、現在だからこそ起こり得る可能性・問題点を踏まえた未来社会の設計論を提示し、人類の新しい技術と社会の開拓に貢献したい。
著者
多田 智
出版者
大阪南医療センター
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START) プロジェクト推進型 SBIRフェーズ1支援
巻号頁・発行日
2021

予備群含めると国内4700万人が罹患していると推計されるロコモティブシンドロームは、 放置すると要介護状態に至るが早期の診断で治療や予防が可能である。本支援により、患者歩行動画からロコモティブシンドロームを診断する非侵襲的高精度AI診断機器開発のための概念実証を取得し、将来的に疾病診断補助サービスを行うベンチャー企業の設立を目指す。
著者
西尾 瑞穂
出版者
神戸大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

本提案では比較的感度の低いPCRの代わりに胸部単純レントゲン写真を用いて新型コロナ肺炎を高感度に短時間でスクリーニングできる自動診断技術を開発する。このために、申請者は少量の医用画像データに異ドメイン画像の学習データを混在させて深層学習が可能になるソフトウェアを作成し、新型コロナ肺炎の自動診断を試みている(関連文献の論文1、2)。本申請では、複数の病院から収集した胸部単純レントゲン写真を用いて深層学習を行うソフトウェアを作成し、医師の診断結果との対比により性能評価および改善を行う。薬機法承認を見すえた産学連携共同研究に展開し、診断結果が医師と遜色なく実際の医療に有用な自動診断技術の開発を目指す。
著者
吉田 博則
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ACT-I
巻号頁・発行日
2017

本提案では廃材のような不定形な材料の有効活用を促進するような仕組みを構築し、試験的に枝材を用いた建築要素の設計、製作に取り組みます。実際の枝の3次元モデルを用いる点、枝のような端材の適材適所、ユーザ参加型のプロセスが特徴です。CNC加工機によって壊れやすい枝にも精密に加工し、狙った形状を実現することで、今まで廃材として捨てられていた素材に付加価値を与えることを目標としています。
著者
米村 滋人
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 RISTEX(社会技術研究開発)
巻号頁・発行日
2020

発生状況の開示のための情報公開等、感染症対策のためには個人データの利用は不可欠であり、位置情報やカードの決済情報を組み合わせた追跡技術も数多く実戦投入されている。しかし、こうした手法にはプライバシー上の懸念が強いものも含まれている。一方で、プライバシーへの配慮から、結果として情報提供や情報収集が完全にはできないことがある。本プロジェクトは、こうした感染症対策に際し、特に位置情報やBluetoothなど技術的に実装可能な携帯電話関連技術の望ましいデータ利用とプライバシーや人権の保護のあり方に関して、情報工学やELSIの観点から多角的・学際的に検討を行い、適切な技術の活用や政策決定のあり方を提示することを目的とする。立法も含め、エビデンスに基づいた政策形成に活用できるガイドラインを作成するとともに、コンセンサス形成が難しい本領域における社会的な対話を進め、国際的なルール形成への貢献も目指す。
著者
Nigel H. Collier
出版者
情報・システム研究機構 国立情報学研究所
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2008

感染症の拡大を阻止するには、公衆衛生の専門家や政府が多くのソースから信頼できる情報をタイムリーに得る手段が必要です。本研究では、健康被害の監視対象範囲を広げると共に、アジア太平洋地域の諸言語で、発生例の深刻度の自動的な判断や、複数の情報の組合せによる状況の把握などの課題を解決することを目指します。
著者
野坂 大喜
出版者
弘前大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2011 (Released:2016-04-26)

肉眼的発見が困難な微少転移乳がん症例(0.2~1mmの微小乳がん転移細胞)を対象として、蛍光検出系を用いた高精度な検出・解析用画像処理技術を研究し、有機EL液晶波長可変フィルター搭載型蛍光顕微鏡の臨床応用による乳がん転移判定迅速病理診断技術の技術移転可能性を研究開発した結果、転移乳がん細胞を精度90%以上で検出し、特異度においても分子生物学的手法と比較した結果90%以上を実現した。本システムは新たな術中迅速診断支援システムとして実用化が期待でき、他の臓器からのリンパ節転移検出やマルチマーカーでの陽性細胞検出手法として応用化が期待できる。
著者
田中 一成
出版者
早稲田大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 創発的研究支援事業
巻号頁・発行日
2021

ニューラルネットワークは世界的に利用が進んでいる機械学習のベースとなる構造で、関数近似手法としても注目されています。本研究では反応拡散モデルと呼ばれる微分方程式を主な対象として、その効率的な精度保証法の開発にニューラルネットワークをベースとした手法で挑みます。これを通じてLearn and Verifyという新スタンダードを創出し、精度保証付きニューラルネットワーク数値計算としての普及を目指します。
著者
吉田 朋広
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2014

従属性のあるビッグデータへの統計的モデリングと、確率統計学の原理に則った統計解析の体系化を目指します。とくに、超高頻度金融データ解析を可能とする確率統計的方法を構築し、金融市場のモデリングを通じて、金融技術分野に貢献します。また、時系列データ科学のインフラとなる確率過程に対する統計解析およびシミュレーションのためのソフトウエアを発展させるとともに、SNSのデータ解析による様々な社会的事象の将来予測への応用を行います。
著者
大城 泰平
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ACT-I
巻号頁・発行日
2018

一部の組合せ最適化問題は行列理論を経由して効率的に解くことができ、また逆にある種の行列の問題は、組合せ最適化の道具を用いて解けることが知られています。本研究では、この相互に確立された活用手法を拡張し、「重みつき組合せ最適化問題」と「多項式行列の問題」の対応に迫ります。特に、組合せ的問題において多項式行列が果たす役割の解明、および多項式行列理論における組合せ最適化手法の活用法の創出を目指します。
著者
神谷 律
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2002

鞭毛繊毛は高速の波動運動を行う細胞器官で、原生動物からヒトにいたる多くの生物で細胞の運動や物質の輸 送に重要な働きをしています。本研究では、その波動を作り出している主要なタンパクを使って、高速振動を行うナノマシンを人為的に構築する方法を開発しま す。そのような微小振動装置は医療分野でドラッグデリバリーなどへの広い応用が考えられるとともに、工学分野で微小のアクチュエーターとして使われる可能 性を秘めています。
著者
手嶋 紀雄
出版者
愛知工業大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2010

前立腺がん、乳がん等の患者の尿や呼気から健常者よりも高濃度のホルムアルデヒド(HCHO)やアセトアルデヒドが検出された報告がある。これらは揮発性があるため、呼気として排出されており、がん早期発見のための有力な呼気バイオマーカーである。そこで試料前処理を自動化する流れ分析法と分離分析が可能なキャピラリー電気泳動法(CE)を組み合わせた呼気分析のための流れ分析-CE法の開発を目的とした。今年度は、流れ分析とCEを結合するインターフェースの設計と流れ分析法によるHCHOの定量法の開発を行い、100%の目的達成には至らなかったが、今後も当初の目的を達成するため研究開発を続ける。
著者
安藤 寿康
出版者
慶應義塾大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 社会技術研究開発事業
巻号頁・発行日
2004

本研究は子どもの身体的、心理行動的、脳生理学的な特性の正常な、あるいは問題のある発達に関わる遺伝要因と環境要因の相互作用の過程を、双生児法を用いて明らかにすることを目的とする。そのために東京都とその隣接県で2004年11月から2006年3月にかけて出生する全双生児の50%にあたる約2000組のコホートサンプルを構築し、5年間の縦断発育調査を実施、個人の遺伝的素質に適合する教育システムの設計の可能性を考察するための基礎的な情報を得る。
著者
河野 泰広
出版者
産業技術総合研究所
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 復興促進プログラム A-STEP 探索タイプ
巻号頁・発行日
2012

本研究開発では、ヤマユリ花弁から精油を安全かつ簡便に抽出する小規模企業向け技術を開発することを主要な目標とし、高沸点で入手の容易な溶媒に、酸化防止剤、pH調整剤を添加した混合液を用い、ヤマユリ香成分を抽出する方法を開発した。今回GC-MSによるヤマユリ精油の香成分解析により得た情報は、今後ヤマユリ精油の抽出、成分管理、保存において精油中の成分確認を可能にし、ヤマユリ精油の商品を開発する上で非常に役立つ。今年、被災地企業と共同でヤマユリ精油の香水を地域の特産品として商品化・販売予定である。