著者
中谷 光良 月野 光博 髙橋 良輔 池田 昭夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.504-507, 2016
被引用文献数
1

<p>81歳女性で高血圧,サルコイドーシス,慢性腎不全で透析中の患者.右胸背部に出現した皮疹に対し帯状疱疹と診断され,バラシクロビルの内服が開始された.3日後より見当識障害,歩行障害が出現し救急搬送された.意識障害,および下肢優位の左右対称の安静時ミオクローヌスを認めた.脳波検査で周期性同期性放電(periodic synchronous discharges; PSDs)を認め,経過と所見よりバラシクロビルによる薬剤性脳症と診断した.保存的加療により意識レベルは改善し,脳波所見も軽快した.バラシクロビルはPSDsと薬剤性脳症をきたし,特に高齢者および腎機能障害患者では注意を要する.</p>
著者
月田 和人 下竹 昭寛 中谷 光良 高橋 幸利 池田 昭夫 髙橋 良輔
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.37-40, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2 7

症例は46歳男性.5ヶ月前から性格変化や記銘力低下があり徐々に増悪し就業不能となった.頭部MRI T2強調像で両側内側側頭葉に異常高信号域を認め当初はウイルス性や自己免疫性の辺縁系脳炎を疑ったが,血清と髄液梅毒反応がともに陽性であったため神経梅毒と診断した.ベンジルペニシリンで治療し就業可能にまで回復した.辺縁系脳炎に類似した画像所見を示す神経梅毒の症例では,比較的若年発症,HIV陰性,亜急性経過の認知機能低下やてんかん発作の特徴を有するため,同様の臨床的特徴をもつ症例では積極的に神経梅毒を疑うべきである.さらに本症例は髄液の抗グルタミン酸受容体抗体が強陽性で,病態へ関与した可能性が疑われた.