著者
劉 振業
出版者
現代民俗学会
雑誌
現代民俗学研究 (ISSN:18839134)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-18, 2024-03-31 (Released:2024-04-09)
参考文献数
19

Gamblers worldwide have diverse prediction techniques when it comes to gambling, which is filled with uncertainty. However, to quantify and deal with this uncertainty, existing gambling research tends to favor the use of “modern science = probabilistic thinking.” Aligning with a “Western rationality” perspective, alternative prediction techniques not based on this approach are often dismissed as “superstition.”However, rationality is not necessarily exclusive to modern science. Can prediction techniques labeled as “superstition” be reinterpreted as alternative “indigenous knowledge” that gamblers use, employing folk imagination to address the uncertainty of gambling? This paper examines Chinese gamblers’ gambling prediction techniques in the card game baccarat at Macau casinos, focusing on the concept of “roads,” and considers them as continually generated indigenous knowledge with their own rationality and validity.
著者
本川 哲哉 手塚 太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS105, 2020 (Released:2020-06-19)

ニューラルネットワークの学習において、Adamをはじめとする適応的最適化手法はSGDよりも早く収束することで知られており、近年様々な深層学習タスクでよく利用される。その反面で、SGDよりも最終的な収束パラメータの汎化性能が悪いという報告も見られる。しかしながらその原因解明はまだ進んでいない。本研究ではこの問題に対するアプローチとして、損失関数におけるヘッセ行列の固有値分布(Hessian spectrum)を分析することで収束パラメータ付近での損失関数の形状によってパラメータの良し悪しを考察した。近年、このようにHessian spectrumを分析することで学習のメカニズムを解釈する研究が増えてきている。本研究では、ニューラルネットワーク学習後のパラメータ空間においてSGD方がAdamに比べて局所的に平坦な形状に収束することを、いくつかの実用的な深層学習モデルを用いて実験的に示した。
著者
川勝 平太
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.123-154, 1981-08-30 (Released:2017-07-15)
被引用文献数
1

One of the pivots of the world payments mechanism for the forty years before the First World War was Britain's ability to maintain a deficit on her visible trade with Europe and the United States, a deficit which she balanced by means of a surplus with Asia. This Asian surplus, on visible trade, came largely from exports of Lancashire's cotton textiles to the Asian markets. In India, as early as 1834-35, the Governor General of India reported (quoted in Das Kapital with the source unrecorded):-'The misery hardly finds a parallel in the history of commerce. The bones of the cotton-weavers are bleaching the plains of India.' Marx, perhaps with a similar thought in mind, stated in the Communist Manifesto, 'The cheap prices of its (the bourgeoisie's) commodities are the heavy artillery, with which it batters down all Chinese walls.' Under the influence of this sort of view, it has been argued for many years that the importation of British cotton textiles destroyed the handicraft industry in the Far East, or pushed it to the brink of collapse. The present article is an attempt to reassess this traditional view. Some statistical evidence which we present indicates the survival or even the growth of the handicraft weaving industry in the Far East, despite the increase in imports of British textiles. Recent empirical studies on the handicraft industry in each country in the Far East also corroborate this statistical fact. The basic issue then is how the handicraft industry of 'backward' Asia survived the impact of the 'advanced' West. To be more precise, what were the competitive advantages of Far Eastern textiles over British textiles? The traditional view has placed much weight upon relative factor prices, assuming, in its simplest form, a state of perfect competition between two types of textiles. It has not been proved yet, however, if these two cloths were directly competitive in price. Now that the author has collected a series of price data for the major varieties of respective textiles sold upon the Tokyo market, it is possible to re-examine the established view. The result of my price comparison contradicts the prevailing assumption mentioned above. The outcome has also an important implication regarding the position of British textiles in the Far Eastern markets at large, which was indeed similar to that in Japan, i.e., they did not sell well despite their cheaper prices. This was in marked contrast to the Indian textile markets. The population of India was about 260 m. and she consumed about 40 per cent. of the total British exports of cotton textiles. The Far East, on the other hand, where the population was twice as great as that of India, never took more than 15 per cent, of the British exports of textiles. It is clear at least that an explanation in terms of price alone fails to explain why the Far Eastern weavers held their own against British competition. A new explanation is to be explored. Based upon some descriptive evidence, the author tries to establish differences in qualities between British and Far Eastern cotton goods, in particular, cotton yarns. For cotton yarn is a feature by which the quality of cotton textiles are distinguished, and moreover it is subject to an accurate classification by the 'counts' which indicate the fineness of yarn. The counts of yarns typically used in Britain are examined in order to contrast them with those of the Far Eastern yarns. The estimation of the qualities of yarns will be a crucial part of the paper. Our analysis will show that the quality of yarns utilised in the Far East in the late nineteenth century was clearly distinguishable from that of the bulk of cotton yarns manufactured in Britain. The basic distinction in the qualities among British and Far Eastern cotton goods is represented schematically below:- [table] It was the persistent preference of(View PDF for the rest of the abstract.)
著者
相澤 真一 堀 兼大朗
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.115-136, 2022-07-30 (Released:2024-04-01)
参考文献数
26

本稿では,ブルデューの『ディスタンクシオン』およびイギリスにおけるその実証的展開である『文化・階級・卓越化』から示唆を得て,日本社会において同様の問いを検討し,いかなる文化資本を見いだすことが可能なのかを計量的に検討する。ただし,本来,このような問いを明らかにすることのできる調査データは存在しないため,現在,広く入手可能なデータでどこまでこのような問いに接近可能なのかについて検討する。 本稿では,文化的変数あるいは生活様式にかかわる変数を投入した対応分析を行う。『文化・階級・卓越化』に則り,対応分析には,文化的活動あるいはライフスタイルにかかわる変数をアクティブ変数として投入する。具体的な分析手順としては,第1に,文化的活動あるいはライフスタイルにかかわる変数のいずれかのみを投入する。第2に,その両者を投入する。このそれぞれの分析結果に追加変数として,社会階層の分析でよく用いられる変数をプロットし,両者の関係を検討する。分析には,2015年「社会階層と社会移動全国調査」(以下,SSM2015)と東大社研パネル調査(以下,JLPS)の一部のWaveを用いる。 結果として,文化的活動への関与の有無と資本の総量は相関していることが示唆される。特にクラシック音楽や美術への関与と社会階層変数との重なりが大きい一方で,第二軸の分散は主に年齢と関連していることが明らかになった。
著者
磯 直樹
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.91-113, 2022-07-30 (Released:2024-04-01)
参考文献数
40

ブルデューの文化資本は,支配と不平等に文化がどのように関わるかを分析するための概念である。本稿では,この概念に焦点を当てつつ,ブルデューが「階級」を支配と不平等にどのように関わらせて概念化したのかを考察する。さらに,他の社会学者によって,ブルデュー派階級分析と呼びうる理論と方法がどのように展開されてきたかを論じる。 ブルデューの階級分析で軸になる概念は「社会空間」である。これは階級構造に意味が近いが,ブルデューによれば「社会階級」なるものは実在しない。「実在するのは社会空間であり,差異の空間であって,そこでは諸階級が潜在的状態で,点線で,つまりひとつの所与としてではなく,これから作るべき何かとして実在する」という。階級分析を行いつつも「社会階級」の実在を否定するという,この一見分かりにくい論理構造によってブルデューの「階級」分析は構成されている。社会空間における行為者の客観的位置は,資本の種類と多寡によって決まる。複数の行為者の位置が同じでも,各々のハビトゥスの違いによって思考や行為は異なってくる。ハビトゥスは複数の性向の体系として,新たに実践を産み出していく。 ブルデュー派階級分析は,ブルデュー以外の社会学者と統計学者によって展開されてきた。フランスの幾何学的データ分析の発展がブルデュー社会学と合流し,フランスだけでなく,ノルウェーやイギリスにおいてブルデュー派計量分析と呼べるものが21世紀に入ってから体系化されていった。ブルデュー派階級分析は質的方法も採り入れ,支配と不平等の社会学として発展を続けている。
著者
荒牧 草平
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.47-67, 2022-07-30 (Released:2024-04-01)
参考文献数
30

日本社会における学歴の世代間再生産を分析するツールとして,ブルデューの「文化資本」概念に着目することの意義を,計量研究の立場から批判的に検討した。初めに,大前ほか(2015)による包括的レビューを参考にしつつ,日本のデータを用いた先行研究の知見を,世代間再生産における文化資本指標の媒介効果の検討という枠組を用いて整理した。また,各研究の用いた方法にも焦点をあてて,それらの妥当性を検討した。次に,ブルデューの意図をとらえるには,多重対応分析(MCA)を用いた社会空間アプローチを採用する必要があることを指摘し,『2013年教育・社会階層・社会移動全国調査』(ESSM2013)のデータを用いて,MCAを適用した独自の分析を行った。主な知見は以下の通りであった。1)子ども時代の文化的経験,中学受験,高校時代の塾通い,中等後教育への進学等は,親の資本総量(MCAの1軸)に強く規定される。2)各学歴段階における学校種の選択は,特に男性の場合,資本総量よりも本人の学力や学習態度および親の教育的地位志向(MCAの2軸)と強く関連する。3)女性の進路分化は,男性の場合よりも資本総量に強く依存する。4)文化資本の分布は経済資本の分布と密接に結びついているため,文化資本の相続は経済資本の相続とも密接に結びついていると考えられる。以上より,これまでの日本社会において,文化資本が経済資本と独立して学歴の世代間再生産を主導してきたとは言えない。
著者
小江 茂徳 櫻井 雅充
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
pp.20240401-1, (Released:2024-04-01)
参考文献数
30

本稿では,ジェンダーとそれに伴う権力関係の観点から,実践共同体における参加者の個別性に応じた学習を検討した。大手部品メーカーが工場内に設置した女性育児者専用生産工程における女性作業員の学習プロセスの事例分析を行い,参加のあり方の相対化,権力関係に根ざした有能さの構築,社会物質的な排除による包摂,という3つの理論的含意を明らかにした。
著者
小俣 岳
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.223-228, 2024 (Released:2024-03-31)
参考文献数
28

日本から留学する学生が最も多いのは米国だが,学位取得目的の留学は少ない。ここに,国内普通科高等学校から米国学士課程へ直接進学する際に障壁があると考えられる。限定的な政府主導の送り出し留学支援,高校生の留学への消極性という環境下で,それでも米国大学進学を希望する高校生にとっての情意面,社会経済面,そして教育・入試制度の違いに起因する障壁につき,先行研究および各種データに基づき整理する。
著者
柳浦 猛 日下田 岳史 福島 真司 山地 弘起
出版者
独立行政法人 大学入試センター
雑誌
大学入試研究ジャーナル (ISSN:13482629)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.248-253, 2024 (Released:2024-03-31)
参考文献数
20

本稿は,2016 年度に施行された私立大学の定員管理厳格化政策が,志願者の大学進学にどのような影響をもたらした可能性があったのかを考察する。まず,教育経済学的視点から,当該政策と類似した性質を持つと考えられる海外の高等教育政策として,米国の大学選抜におけるアファーマティブアクションの廃止を取り上げ,両者の政策の類似点について論じる。次に,アファーマティブアクションの廃止がマイノリティ志願者に与えた影響に関する実証研究をもとに,定員管理厳格化政策が都市部に比べ地方部の志願者に対してアンダーマッチングのリスクをより高め,地方と都市部の経済格差の拡大のリスク要因を高めていた可能性を指摘する。
著者
竹中 喜一 杉森 公一 西野 毅朗 吉田 博
出版者
日本高等教育開発協会
雑誌
高等教育開発 (ISSN:24369918)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.11-19, 2024-03-31 (Released:2024-03-31)
参考文献数
5

本研究は、日本の大学教育センター等の特徴と課題について「日本版CTLアセスメント基準」を用いて明らかにすることを目的とする。具体的には①センターの特徴や課題は何か、②特徴や課題の背景は何か、③本基準の意義と課題は何か、の3つの問いについて、同基準を分析枠組みに用い、大学教育センター等に所属する教職員を対象としたインタビュー調査を実施した結果をもとに追究した。その結果、日本の大学教育センター等には同基準のカテゴリーである「組織構造」「資源分配とインフラ」「プログラムとサービス」に沿った特徴や課題があり、同基準に4つの意義や2つの課題を有することが示唆された。
著者
大西 徹 堀尾 洋人
出版者
一般社団法人 PMI日本支部
雑誌
プロジェクトマネジメント研究報告 (ISSN:24362115)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.40-44, 2024-03-31 (Released:2024-03-31)
参考文献数
7

自律社会は個人から集団へ,物から心への重心移動を特徴とし,価値観が急速に変化する時代である.この時代において効果的なコミュニティ運営には新しいアプローチが求められる.本研究では,「ソース」と呼ばれるコミュニティ活動の創造源となる個人の役割とアジャイル・プラクティスの適用を通じてコミュニティ運営を効果的に行う方法を探求する.ソースはコミュニティのビジョンやイニシアチブを提供し,コミュニティ・コーチはそのビジョンを具現化するサポートを提供する.アジャイルな計画法を応用し,持続可能な運営を促進する.本研究は,自律社会におけるコミュニティ運営方法を提案し,その実践的な適用について洞察を提供する.
著者
大谷 弘
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.45, 2024-03-31 (Released:2024-03-31)
参考文献数
26

Several studies on later Wittgenstein's notion of picture have recently emerged in Japanese literature. Here, I critically examine three of them: Ohtani (2020), Furuta (2020), and Noya (2022). My contentions are twofold. First, the disagreement between these studies lies in the fact that Noya supposes a common core shared by Tractatus's notion of picture and that of Philosophical Investigations, while Ohtani and Furuta deny this core. Second, Furuta and Noya fail to provide a conception of picture that contributes to the understanding of Wittgenstein's text, while Ohtani alone proposes an illuminating notion.
著者
比嘉 悠貴 深見 裕之 小野 直亮 金谷 重彦
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.97-101, 2022-07-31 (Released:2022-08-13)
参考文献数
13

紅麹菌(Monascus)を米に生育させた紅麹米は,世界中で食品として利用されている.近年は天然色素としての着色料だけではなく,血圧低下作用やコレステロール低下効果など機能性食品としての利用も高まっている.紅麹菌はヒトの健康に良い効果をもたらすモナコリンKやアザフィロン色素を生産する一方で,健康を害すると考えられるカビ毒シトリニンも作る.したがって,安全に食品として利用できるカビ毒シトリニンをつくらない紅麹菌の産業利用が望まれる.我々は,紅麹3菌種について次世代シークエンサーを用いたゲノム解析とLCMSを用いた二次代謝物解析を行った.その結果,ゲノムレベルと代謝物レベルでカビ毒シトリニンを生産しない紅麹菌株としてMonascus pilosus NBRC 4520とMonascus ruber NBRC 4483を見出した.また,Monascus ruberについてはシトリニンを生産することが報告されているが,Monascus pilosusについてはゲノムレベルでシトリニンの生合成遺伝子が保存されていないことが複数の菌株で報告されている.したがって,食品として利用するための紅麹菌種として安全性が最も高いのはMonascus pilosusであると考えられる.これらの研究知見が,安全な紅麹菌の研究を通じて食品への利用,世界中のヒトの健康の維持増進へ貢献する端緒となれば幸いである.
著者
松澤 通生
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.402-412, 1986-05-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
47

常識に反して, 異常に膨脹した原子がこの世の中に存在する. 一つの電子が高い主量子数を持つ軌道に励起された状態にある原子を高リュードベリ原子と云い, これが上記の膨脹した原子の正体である. 原子の世界での最も簡単な系でもある. 静かにそっとしておくと寿命は長いが, 他粒子と出会うとすぐこわれやすい. 超高真空が実現している星間空間では半径0.02mm程度の原子が存在する. 地上でも 10-4cm 程度の半径の原子を実験室で作れるようになった. この励起原子は風変わりな存在で, 原子の世界でのスケールから大分かけ離れた挙動を示す. 本解説ではこの励起原子のいささか "非常識" な振舞について解説し, その正体を明らかにする.