著者
金 昭英
出版者
University of Tokyo(東京大学)
巻号頁・発行日
2015

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 影浦 峡, 東京大学准教授 李 正連, 東京大学教授 小国 喜弘, 東京大学教授 秋田 喜代美, 東京大学客員教授 根本 彰
著者
坂本 亘 井筒 理人 白旗 慎吾
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1-2, pp.55-94, 2009-05-31 (Released:2017-05-01)
参考文献数
100

スプラインによる平滑化の研究の近年の動向を概説する.平滑化(罰則付き)スプラインが混合効果モデルで表現できるという点が注目されている.打ち切りベキ基底を用いる罰則付きスプラインは,そのまま混合効果モデル表現に帰着され,スプラインや罰則項の複雑な計算を回避することから,とくに有用である.罰則付き回帰問題とBayes流接近法との関連も重要である.罰則付きスプラインの滑らかさを制御する平滑化パラメータの選定問題では,従来は(一般化)交差確認法の利用が主流であった.しかしながら,混合効果モデルの分散パラメータの推定問題に帰着されうることから,制限付き最尤推定法(REML)またはこれと同等な経験Bayes法がより有用であり,実際に主流になりつつある.罰則付きスプラインによる線形(多項式)回帰仮説の検定は,ランダム効果の分散が0であるか否かの検定に帰着され,制限付き対数尤度比統計量が有用とされている.ただし,その帰無分布は漸近的には得るのが困難であり,乱数を用いて再現される.シミュレーションにより,対数尤度比統計量よりも平滑化パラメータのREML推定量自体が高い検出力を与えることが示される.最後に,罰則付きスプラインは諸種の回帰モデルへの拡張が可能であり,その推測方法は混合効果モデル表現およびBayes流接近法により展開される.
著者
大橋 真也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.18-23, 2022-06-01 (Released:2022-12-06)
被引用文献数
1

新学習指導要領の共通教科情報において,データサイエンスが新出項目として導入される。情報におけるデータサイエンスの扱いは,「情報Ⅰ」においてはデータの整理や分析,可視化の手法を中心とした内容であり,「情報Ⅱ」においては,機械学習などAIの基礎を学ぶ高度なプログラミングも含まれている。ここでは,共通教科情報と大学の情報教育との接続についてや現場である高等学校における現状について,新学習指導要領および教科書等をもとに考察した。
著者
今村 洋一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.598-603, 2024-03-11 (Released:2024-03-11)
参考文献数
47

本研究では、甲信越三県の国立大学(山梨大学、信州大学、新潟大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。山梨県では、罹災した山梨師範学校と山梨工業専門学校が、近隣接する旧軍施設(旧歩兵第49連隊)に移転し、新制移行後、その校地と元の校地の一帯に集約移転した。長野県では、非罹災の松本医学専門学校が、郊外の旧軍施設(旧歩兵第50連隊)に移転し、新制移行後、松本市内に限っては、その校地及び隣接地に集約移転した。新潟県では、新潟第二師範学校が、隣接する城址の旧軍施設(旧第13師団司令部)に女子部を開設して校地を拡張した。また、非罹災の新潟青年師範学校や新潟県立農林専門学校は、他都市の旧軍施設(旧歩兵第16連隊、旧歩兵第16連隊第3大隊)に移転した。新制移行後は、新潟市郊外の新たなキャンパスへの集約移転が進められた。
著者
今村 洋一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.592-597, 2024-03-11 (Released:2024-03-11)
参考文献数
59

本研究では、北陸三県の国立大学(富山大学、金沢大学、福井大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。富山県では、罹災した富山師範学校が、郊外の旧軍施設(旧歩兵第35連隊)に移転し、新制移行後30年以上かけて、その校地及び隣接地に集約移転した。石川県では、非罹災の金沢高等師範学校や石川青年師範学校が、郊外の旧軍施設に移転した。一方、占領軍の方針もあり、城郭部の旧軍施設が新制金沢大学のメインキャンパスとなり、集約移転が進められた。福井県では、罹災した福井師範学校が、郊外の旧軍施設(旧歩兵第36連隊)に移転した。また、後の福井地震で罹災した福井青年師範学校も郊外の旧軍施設(旧歩兵第36連隊)に移転した。新制移行後は、福井市内の工学部周辺への集約移転が進められた。
著者
百鳥 直樹 小泉 公乃
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.24-41, 2024 (Released:2024-02-29)
参考文献数
73

本研究の目的は,2000 年代前半の国立大学改革によって変化した国立大学図書館組織を類型化したうえで,その特徴を解明することである。現在の国立大学図書館組織を8 つに類型化し特徴を明らかにした。組織分類の特徴から,1)法人化前の組織形態を継続する組織,2)学内の他部門と統合した組織,3)図書館以外の業務も担当する組織と,組織が多様化していることを確認した。また,法人化前後の比較や学部数による大学規模の分析から, 大規模な国立大学(8 学部以上)が法人化前の組織体制を継続しているのに対し,中小規模の大学(7 学部以下)では他部門組織との統合,統合に伴う管理職数の削減,図書館管理職の職位の格下げが行われていることが明らかになった。そして,これら組織再編の多くが,大学全体の業務の合理化・集約化を目的に行われた。
著者
服部 恒明 廣原 紀恵
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.127, no.2, pp.73-79, 2019 (Released:2019-12-18)
参考文献数
31

戦後日本人の身長が年年増加を続けたことは多くの時代差研究で明らかにされてきた。この伸長化の傾向は1994年から2001年あたりをピークに終了したとされ,高径のプロポーションは今後変わることはないだろうという指摘がされている。本研究は,学校保健統計調査報告書(文部科学省)のデータを用いて,成人値に最も近い17歳の日本人青年における座高と下肢長の変化を戦後から現代までBody Proportion Chart法によって観察した。このチャート法により,身長,座高,下肢長および座高に対する下肢長の比の経年変化を同時に観察した。その結果,現代の青年は身長の増加は止まったが,座高の増加と下肢長の減少が同期してみられることから,高径のプロポーションは今なお変化していることが明らかになった。この経年変化は,対象集団の中で座高が高くなる資質をもった人の割合が増加したことに起因する可能性がある。それをもたらした要因として,対象集団の親世代において,長胴傾向にある女性で出産割合がより高いことなどが推測された。日本の青年の高径比率が依然として変化していることを考慮すると,今後その変化の要因を検証するうえでも,座高の測定は学校保健調査の一環として再開されることが望まれる。
著者
前田 勇樹 川畑 宗太
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2161, 2024-03-31 (Released:2024-03-01)

琉球大学附属図書館では,2021年度からYouTubeによる情報発信を行っている。所蔵する貴重資料やデジタルアーカイブに関するコンテンツを中心にこれまでに100本以上の動画を公開した。本稿では,琉球大学附属図書館のYouTubeを活用した広報事業について,その経緯やコンセプトおよび実施中の事業を詳述し,現段階での外部からの評価をもとに課題を提示した。
著者
梶原 瑠衣 山根 泰志
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2166, 2024-03-31 (Released:2024-03-05)

九州大学附属図書館は,貴重書等の画像を活用した図書館グッズを,九州大学生活協同組合と共同制作した。当該商品は,九州大学のオリジナルグッズのひとつとして,2021年に販売が開始され,恒常的に誰でも購入できる状態となっている。また,寄附事業「九州大学デジタル資料整備事業」の返礼品としても活用している。従来,九州大学附属図書館では無償の図書館グッズを制作したことはあったが,販売用グッズ制作は初めての試みとなった。1年以上かけて制作した図書館グッズについて,完成までの道のりを紹介する。
著者
清重 周太郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2162, 2024 (Released:2024-03-01)

本研究では,図書館評価におけるエビデンスの強化を目的として,大学図書館の活動情報をメタデータ管理によって定量化する手法を提示する。北海道大学附属図書館では活動情報定量化システムのプロトタイプを開発するとともに,2020年度の活動に対して担当業務を粒度にメタデータを付与し,既存の財源および成果データと関連付けるデータ整備を試行した。結果として財源—活動属性—利用統計のサイクルの可視化が得られるとともに,学習評価の手法を応用した部署アセスメントが構想できることを示す。
著者
橋本 文彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.FIN-001, pp.07, 2008-09-13 (Released:2023-01-06)

The purpose of this study is not predict a future stock price based on the past time series data, but is to clarify that how human predict a future stock price, when they see the past time series da Our experiments use computer program that shows time series data on discrete graph to subjects. It is considered that these time series data ( 1 ? 15 day or 1 ? 30 day ) are the past stock price. Subjects are required to predict future price of this stock at certain future time (31st, 35th , 45th , 55th day). The result of this experiment is that human adopt two ways of prediction. The first way is strong depend on nearest past data, man use this way to predict very near future. The second way is almost linear regression using all given data. However this is not just linear regression, but their prediction is approached to average of the past data.
著者
森田 啓 片岡 暁夫 近藤 良享
出版者
Japan Society for the Philosophy of Sport and Physical Education
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.25-43, 1998 (Released:2010-04-30)
参考文献数
48

The purpose of this study is to show that the sport world should choose the common good based on the dispute between liberalist and communitarian.Though the word liberalism is ambiguous, we define liberalism as the thought based on unencumbered selves (M. J. Sandel), which includes utilitarianism, deontological liberalism, or revisionist's liberalism. Needless to say, liberalism depends on civic virtues.Liberal democracy in this century destroys the civic virtues, so that liberalism reaches the extreme relativism which denies the past and present values and goodness and affirms the unlimited selfishness, especially economic one.In favor of communitarians' criticism, we agree with Sandel's contention of situated selves rather than ‘unencumbered selves’ and propose that we should make an effort to recover the common good in our society.Turning to the sport world, we have gradually swept away its original ethics such as sportsmanship, fair play and the mind of social relationship in England in 19th century. And now the sport world also accepts the tendency of the unlimited self-interest, especially economic one.The ethics of ordinary world has nothing to do with that of the sport world, but the latter bases on the former. In conclusion, we must note that the sport world should maintain the traditional common good because the ordinary world also needs to reinstate us in the common good.
著者
秋山 翔 加藤 拓貴 山口 拓也 平岡 隆晴 豊嶋 久道
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.297-298, 2016-03-10

金融市場における取引システムには、パラメータを含む多くのテクニカル指標が利用されている。取引システムを最適化する場合、最適解が評価期間でしか有効でないオーバーフィッティングという問題がある。この問題の理由の一つとして、テクニカル指標の各パラメータが評価期間を通して固定されてしまうことが挙げられる。 本研究では、テクニカル指標のパラメータが時間により可変な取引システムを提案する。提案する取引システムを最適化することによって、パラメータが特定の値に過度に依存しない解を求めることが可能となる。この特性がオーバーフィッティングの問題の解決に役立つと期待される。
著者
趙 書心
出版者
日本女性学会
雑誌
女性学 (ISSN:1343697X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.54-75, 2022-03-31 (Released:2023-04-01)
参考文献数
23

女性運動の先駆として有名な『青鞜』(1911年創刊) の研究において、「レズビアニズムの排除」が指摘されてきた。しかし、それが平塚らいてうが執筆した評論的な文章のみを分析して得られた結論であり、文学的な作品におけるレズビアン表象については検討されていない。本論では、『青鞜』における四つのレズビアン小説を、同時代の女性同性愛言説との関係性において読むことで、「レズビアニズムの排除」という理解を修正することを試みた。1913年前後〈新しい女〉の社会問題化をきっかけに、『青鞜』の女性解放論者の周りで女性同性愛をめぐる言説が多く浮かび上がってきた。『青鞜』の小説が、外部の同性愛言説に応答しながら、レズビアニズムに対する意味づけを更新していた。そこには「レズビアニズムの排除」に収まらない言語表現が確認できる。女性同性愛を揶揄するスキャンダルな言説に対し、小説はそれに対抗しまたはそれを攪乱している。さらに『青鞜』が性科学を用いてレズビアニズムを排除した以後も、小説には同性愛に承認を与え、排除に抵抗する言説が現れている。小説というジャンルには、従来見落とされてきた、『青鞜』におけるレズビアニズムの一つの水脈が見出せる。