著者
亀山 康子
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.133-136, 2009-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
2

国際関係論(International Relations)において,環境というテーマは比較的新しいが,近年では,環境関連の研究が国際関係論の中でも進展しつつある。本稿では,国際関係論全般の歴史を概観し,その中での環境研究の意義と到達点について考察する。 国際関係論とは,国家と国家の間の関係に関する学問である。しかし,環境問題は,(1)被害の及ぶ範囲が国境を越える,(2)解決に向けた国際的議論において,国内アクターの参加が求められる,という2点において,従来型の国際関係論で前提となっていた国際問題と異なる・そのため,新たな理論が必要となってきた。現在,国際関係論の主な環境研究として,(1)国際環境条約の交渉過程の分析,(2)国際環境条約の効果に関する分析,(3)複数の国際環境条約のリンケージに関する分析,(4)ある特定の国の外交政策の一部としての環境外交,(5)国内アクターの国際的活動等がある。 地球環境問題をテーマに掲げる国際関係専門家の数が増えるにつれ,学会においてもその勢力は急速に増している。欧米では,早くから(2)の中でも環境研究者が1990年代以降勢力を拡大した。これと比べると,日本ではまだ発展途上にある。 環境科学会において,今後,国際関係論との関係はますます密になっていく可能性がある。国際関係論のように学問分野内での環境研究者のフォーラムが未発達の場合,環境科学会のように,すべての学問分野に門戸を開き続ける学会の存在は今日でも貴重といえる。また,環境科学会では,政府関係者,自治体関係者,産業界,市民団体,学生,が集う場を提供しているため,多様な立場の個人の意見交換の場としての機能が今後も期待される。
著者
亀山 康子 蟹江 憲史
出版者
SOCIETY OF ENVIRONMENTAL SCIENCE, JAPAN
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.175-185, 2008-05-30

気候変動対処を目的とした京都議定書には,先進国等の2008年から2012年までの温室効果ガス排出量に対して排出抑制目標が規定されているが,その後の対策(次期枠組み)に関しては今後の交渉に委ねられている。十分な気候変動緩和のためには次期枠組みにおける途上国の実質的参加が不可欠だが,途上国は現在交渉開始に消極的である。その理由として,対策が経済的発展を阻害すると認識されていることに加えて,前向きに交渉するために必要な政策立案能力が不足している点がアジア諸国に見受けられる。今後アジア諸国が政策立案能力を高め,気候変動対策の長所を最大限に生かせるような交渉ポジションを自律的に形成することを目指し,その第一歩としてアジア諸国の次期枠組みに関する国内制度設計や議論を調査した。 6力国での調査結果を比較し,結果として以下の3点が挙げられた。(1)国内の次期枠組みに関する議論は,国の経済水準が高い一部の国でのみ進展しており,その他の国では次期枠組みの議論はまったく始まっておらず現行枠組みの実施段階にあった。(2)現行枠組みの実施に関しては,1国を除くすべての国で省横断的な組織が設立されていた。また,複数の国ではその組織の参加者として政府関係者のみならず研究者や環境NGOも認められており,非政府組織が政策立案に影響を及ぼしうる場として機能していることが分かった。(3)次期枠組みに関する議論が各国内で始まった場合に予想される各国のポジションは多様であった。このような多様なニーズにきめ細かく対応するためには,気候変動枠組条約および京都議定書といった従来型の多国間条約のみならず,地域協力や二国間協力等を含めた幅広い枠組みに発展させていく必要があることが指摘できた。
著者
亀山 康子
出版者
SOCIETY OF ENVIRONMENTAL SCIENCE, JAPAN
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.133-136, 2009

国際関係論(International Relations)において,環境というテーマは比較的新しいが,近年では,環境関連の研究が国際関係論の中でも進展しつつある。本稿では,国際関係論全般の歴史を概観し,その中での環境研究の意義と到達点について考察する。 国際関係論とは,国家と国家の間の関係に関する学問である。しかし,環境問題は,(1)被害の及ぶ範囲が国境を越える,(2)解決に向けた国際的議論において,国内アクターの参加が求められる,という2点において,従来型の国際関係論で前提となっていた国際問題と異なる・そのため,新たな理論が必要となってきた。現在,国際関係論の主な環境研究として,(1)国際環境条約の交渉過程の分析,(2)国際環境条約の効果に関する分析,(3)複数の国際環境条約のリンケージに関する分析,(4)ある特定の国の外交政策の一部としての環境外交,(5)国内アクターの国際的活動等がある。 地球環境問題をテーマに掲げる国際関係専門家の数が増えるにつれ,学会においてもその勢力は急速に増している。欧米では,早くから(2)の中でも環境研究者が1990年代以降勢力を拡大した。これと比べると,日本ではまだ発展途上にある。 環境科学会において,今後,国際関係論との関係はますます密になっていく可能性がある。国際関係論のように学問分野内での環境研究者のフォーラムが未発達の場合,環境科学会のように,すべての学問分野に門戸を開き続ける学会の存在は今日でも貴重といえる。また,環境科学会では,政府関係者,自治体関係者,産業界,市民団体,学生,が集う場を提供しているため,多様な立場の個人の意見交換の場としての機能が今後も期待される。
著者
亀山 康子
出版者
環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.133-136, 2009-03-31
参考文献数
2

国際関係論(International Relations)において,環境というテーマは比較的新しいが,近年では,環境関連の研究が国際関係論の中でも進展しつつある。本稿では,国際関係論全般の歴史を概観し,その中での環境研究の意義と到達点について考察する。 国際関係論とは,国家と国家の間の関係に関する学問である。しかし,環境問題は,(1)被害の及ぶ範囲が国境を越える,(2)解決に向けた国際的議論において,国内アクターの参加が求められる,という2点において,従来型の国際関係論で前提となっていた国際問題と異なる・そのため,新たな理論が必要となってきた。現在,国際関係論の主な環境研究として,(1)国際環境条約の交渉過程の分析,(2)国際環境条約の効果に関する分析,(3)複数の国際環境条約のリンケージに関する分析,(4)ある特定の国の外交政策の一部としての環境外交,(5)国内アクターの国際的活動等がある。 地球環境問題をテーマに掲げる国際関係専門家の数が増えるにつれ,学会においてもその勢力は急速に増している。欧米では,早くから(2)の中でも環境研究者が1990年代以降勢力を拡大した。これと比べると,日本ではまだ発展途上にある。 環境科学会において,今後,国際関係論との関係はますます密になっていく可能性がある。国際関係論のように学問分野内での環境研究者のフォーラムが未発達の場合,環境科学会のように,すべての学問分野に門戸を開き続ける学会の存在は今日でも貴重といえる。また,環境科学会では,政府関係者,自治体関係者,産業界,市民団体,学生,が集う場を提供しているため,多様な立場の個人の意見交換の場としての機能が今後も期待される。
著者
新澤 秀則 大島 堅一 高村 ゆかり 橋本 征二 島村 健 羅 星仁 久保 はるか 松本 泰子 亀山 康子 亀山 康子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

気候変動枠組条約や京都議定書の締約国会議や補助機関会合にオブザーバー参加することによって, 交渉の進捗をつぶさに, かつ総合的に把握し, 合意の評価と, 今後の課題とその選択肢の比較評価をリアルタイムに提示することに一定の貢献をした。京都議定書の運用, 欧州連合, ドイツ, アメリカの政策動向を調査分析し, 国際枠組みに対する意味合いを考察した。政府以外のアクターとして, 欧州連合, 自治体, NGOを取り上げ, 条約交渉や合意したことの実施に関して果たす役割を, 具体的な事例にもとづいて明らかにすることができた。
著者
上垣 彰 田畑 伸一郎 丸川 知雄 亀山 康子 堀井 伸浩 佐藤 隆広
出版者
西南学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

ロシア・中国・インドの3つの地域大国の比較経済研究を通じて、次のことを明らかにした。第1に3国の経済改革を促した条件には共通性があること、第2にその後の改革の過程は区々であったこと、第3に現在3国が直面する課題には共通性があること。現在直面する課題とは、国内産業の生産性向上と社会的格差の縮小である。