著者
伊藤 成朗
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.24-62, 2021-06-15 (Released:2021-07-03)
参考文献数
49

本論文では先行研究を選択的にレビューし,南アフリカでの雇用環境を考察した後に,最低賃金への雇用者の対応について南アフリカのデータを用いて吟味した。本論文は最低賃金引き上げ幅が地域によって異なるという自然実験的側面に着目し,引き上げ前の2002年の農業生産データと引き上げ期の2007年の農業データを用いて,その効果を推計した。用いたのは一階差分推計という標準的な推計方法である。推計結果からは全般的に最低賃金引き上げが利潤を圧縮したことが示唆され,一部作物では低賃金雇用を減らしたほか,単位当たり価値を高めたことが示された。この結果は最低賃金近傍での雇用が多いと負の影響があるという先行研究,機械化が進んだという先行研究と整合的でもある。最低賃金規制は賃金率を増やしたものの,一部では低賃金雇用を減らし,熟練や機械を集約的に用いる技術の採用を促して,貧困解消目標に反する結果をもたらした可能性がある。今後の研究では最低賃金の効果を推計するには生産技術の多様性に配慮することが望まれる。政策対応としては,失われた未熟練雇用の転職先を見つけるためにも,最低賃金引き上げ前から職業訓練や他職業経験の機会を提供することで,需給双方にとって転職や採用の費用を引き下げる試みが望まれる。
著者
草間 朋子 伊藤 成 吉澤 康雄
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.127-131, 1986 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9

The present study was conducted to investigate the decontamination procedure for the skin contaminated with radioactive materials; those were cobalt-58 (58CoCl2), mangan-54 (54MnCl2) and radioactive CRUD (Chalk River Unidentified Deposit) and the skins of pigs were used. The procedures and materials used for decontamination were as follows: (1) 0.5% Hyamin solution, (2) brushing, (3) acid soap, (4) stripping cream, (5) cosmetic cleansing cream, (6) potassium permanganate and sodium thiosulfate solutions, (7) titanium oxide paste, and (8) their combination. Each procedure was performed for 2min, and repeated twice or 4 times at 15 or 60min after contamination. The residual radioactivity after decontamination procedure was measured with a 2×2 inch NaI (Tl) scintillation detector or a solid state detector. The following sequential procedure was most effective: washing with 0.5% Hyamin solution for 2min, brushing with acid soap, rubbing cosmetic cleansing cream and washing for 2min with tap water. Since this procedure is simple and not irritable, it is appropriate for human skin. The residual activities on the skin after this decontamination were about 20, 20 and 10% for cobalt, mangan and CRUD, respectively. When the decontamination with 0.5% Hyamin solution began within 15min after contanimation, the residual radioactivity was 3% of administered activity, but 60% in the case 60min after contamination. Thus, a noteworthy point for decontamination is to begin as soon as possible.
著者
伊藤 成朗
出版者
The Health Care Science Institute
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-48, 2008

インドでは,貧困家計が質の高い医療サービスを利用しづらいのが大きな保健問題である。広大で多様な国土によって農村・遠隔地に公立医療施設が未だに不足しているためである。公立医療施設があっても,医師や看護師の欠員や無断欠勤でサービスをいつ受けられるか予測できなかったり,無料薬の在庫切れ,長い待ち時間,接見態度,賄賂などの問題もある。貧困家計は医療保険を持たないので,多大な出費を要する私立病院は最終手段である。このため,貧困家計を中心に医学知識を持たない無免許医を利用する傾向がある。データによる検証でも,貧困層の利用は質が低いとされる公立病院が主で,利用日数も富裕層より少ない。公的医療サービスの質が低いのは,職員に適切な職務環境とインセンティブを政府が供与できていないためである。よって,施設を拡充しつつ,成果を人事評価に反映させる必要がある。最低限の医療の質を確保する人事評価制度の運営は容易であるが,同時に病院経営の独立性を確保し,市町村自治体に監視を委ねる必要がある。こうした改革は州政府がすべての権限を持つ現体制では不可能であり,分権化が要請される。分権化は中央政府が数十年間標榜しているが,既得権益に反するために大多数の州で停滞している。公立だけでなく,私立病院を利用しやすくするために,マイクロインシュアランスなどを通じた医療保険も整備すべきである。民選された州議会のイニシアティブを仰ぎつつ,革新的な人事評価制度の試行,分権化の促進,マイクロインシュアランスの試行などは,外国ドナーが政策対話を通じて働きかけてよいであろう。
著者
有賀 恭広 伊藤 成海 徳増 信之 砂川 宗一郎 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.10, pp.57-60, 2011

近年普及著しいIR-センサや圧力センサを用いて様々な動作解析を行っている.その応用として,打楽器演奏システム,初心者向けカヌー体験シミュレータ,パラグライダー体験シミュレータのプロトタイプを試作している.本稿では,3 つのプロトタイプの機能とその構成法について述べる.(1) 打楽器演奏システムでは,エアドラムシステム"Imagination Drums"を開発している.IR-LED を取り付けたドラムスティックの動きをIR-センサで検出し,その動きに合わせて,強弱も含めて,ドラム音を出力できる.(2) 初心者向けカヌー体験シミュレータは,パドル型の自作コントローラを実際のカヌーのように陸上で漕ぐと,カヌーの進行方向と速度が決まり,実際にカヌーを漕いでいるかのような体験ができるシステムを目指している.(3) ライザーの操作によって変形するグライダーの形状を視覚的に捉え,初心者が実際にフライトする前に練習するパラグライダー体験システムを目指している.体重移動により操縦できる機能を構築中である.
著者
有賀 恭広 伊藤 成海 徳増 信之 砂川 宗一郎 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.57-60, 2011
参考文献数
4

近年普及著しいIR-センサや圧力センサを用いて様々な動作解析を行っている.その応用として,打楽器演奏システム,初心者向けカヌー体験シミュレータ,パラグライダー体験シミュレータのプロトタイプを試作している.本稿では,3つのプロトタイプの機能とその構成法について述べる.(1)打楽器演奏システムでは,エアドラムシステム"Imagination Drums"を開発している.IR-LEDを取り付けたドラムスティックの動きをIR-センサで検出し,その動きに合わせて,強弱も含めて,ドラム音を出力できる.(2)初心者向けカヌー体験シミュレータは,パドル型の自作コントローラを実際のカヌーのように陸上で漕ぐと,カヌーの進行方向と速度が決まり,実際にカヌーを漕いでいるかのような体験ができるシステムを目指している.(3)ライザーの操作によって変形するグライダーの形状を視覚的に捉え,初心者が実際にフライトする前に練習するパラグライダー体験システムを目指している.体重移動により操縦できる機能を構築中である.
著者
大野 早苗 伊藤 成康 神楽岡 優昌 茶野 努 東郷 賢
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトの第一の目的「国際商品価格の決定要因及び変動特性の分析」では、世界的な流動性増大を背景に商品市場への投機資金の流入が急増した2000年代以降、商品価格に対する流動性要因の影響が拡大し、また商品価格と株価との相関が上昇などの結果が確認された。また、本研究プロジェクトの第二の目的「資源保有国に対する海外資本流入の形態とその決定要因」に関して、資源価格の上昇はFDIよりもむしろ短期資金流入を促進させたり、為替変動が投機的資金流入を促し「資源の呪い」問題を悪化させる可能性が示唆された。