著者
安達 知郎 安達 奈緒子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.317-329, 2019-12-30 (Released:2020-01-24)
参考文献数
41
被引用文献数
5

大学入学時,学生は新しい環境への適応,新たな自己像の確立という2つの課題と直面する。これらの課題に学生が向き合えるよう予防的に支援することが重要である。本研究の目的は,大学新入生に対してアサーション・トレーニングを実施した場合,実施しなかった場合に比べ,自己主張,他者尊重,視点取得,怒り表現,適応感,アイデンティティ,自己受容に正の影響がみられるか,および,アサーションに対する効果とそれ以外に対する効果との間に関連がみられるかを検討することであった。大学新入生を介入群28名,対照群33名に振り分け,質問紙調査をトレーニング実施直前,実施直後,2ヶ月後,6ヶ月後に実施した。分析対象者は介入群,対照群ともに最後まで調査協力が得られた26名であった。分散分析の結果,自己主張,怒り表現,適応感,アイデンティティ,自己受容に中から大の効果がみられた。最後に,結果をアサーション・トレーニングの理念,大学生の対人関係の特徴といった観点から考察した。
著者
安達 奈緒子 安達 知郎
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.159-168, 2017-10-13

「居場所」という言葉は,それぞれの人がそれぞれに意味を見出しうる重層的な言葉である。居場所の多義性は心理臨床において重要であると考えられる。本研究では,その多義性を保持して実証的研究を行うねらいから,「居場所がある」「居場所がない」という意識(居場所意識)に注目し,居場所意識の基本的性質(性差・時期差,精神的健康・心理的居場所感との関連,時間的安定性)を明らかにすることを目的とした。居場所意識,精神的健康,心理的居場所感を測定する質問紙調査を3回,実施した(協力者は大学生計497名であった)。その結果,第一に,居場所あり意識と居場所なし意識は対極に位置するものではないこと,第二に,居場所あり意識は必ずしも精神的健康と関連するものではなく,女性では精神的な不健康と関連していること,第三に,女性は男性に比べて居場所なし意識が時期を越えて維持されやすいことが明らかにされた。一方で,居場所意識測定項目の時間的安定性については評価基準が明確でなく,この点についてさらに検討が必要と考えられた。 This study investigated the consciousness of‘ I have IBASHO’ or‘ I don't have IBASHO’ and aimed to clarify theproperty of these‘ IBASHO’ consciousness. University student( total n=497) completed questionnaires about‘ IBASHO’consciousness, mental health, and psychological‘ IBASHO’ in three surveys. The results were followings;( a) Theconsciousness of‘ I have IBASHO’ and‘ I don't have IBASHO’ were not opposition.( b) The consciousness of‘ I haveIBASHO’ was not related to mental health in males, and it was related to mental ill health in females.( c) Females kept theconsciousness of‘ I don't have IBASHO’ across time more than males. In addition, the time stability of measurement items about‘ IBASHO’ consciousness didn't become clear.