著者
宮平 盛晃 Miyahira Moriaki
出版者
琉球大学国際沖縄研究所
雑誌
国際琉球沖縄論集 = International review of Ryukyuan and Okinawan studies (ISSN:21867933)
巻号頁・発行日
no.4, pp.79-91, 2015-03

琉球諸島に広く分布するシマクサラシ儀礼は、定まった実施月に定期的に行われるものと、疫病の流行を機に臨時に行われるものの2つに分けることができる。本稿は、先行研究で提示された、シマクサラシ儀礼は臨時のものが古く、後に定期化したという仮説の検証を試みるものである。これまでに確認できた事例群の分布形態や内容の分析の結果、シマクサラシ儀礼は定期より臨時のものが古く、臨時からの定期化という変遷の形があったと考えられる。しかし、臨時とは別に定期的なシマクサラシ儀礼が新しく現れ、行われるようになっていったという可能性も明らかになった。The Shimakusarashi has been widely observed in the Ryukyu Islands. This ritualistic performance can be divided into two groups according to the timing of the delivery: periodically regularized and irregular ones. This study examines the hypothesis that previous research suggested that regularization of the Shimakusarashi had been developed after the series of deliveries of irregular rituals because they tended to be performed in the event of epidemic to terminate the plague with prayer. According to the analyses of distribution and contents of the rituals in the region, the hypothesis is reasonably verified with certain process of the regularization of the ritual. However, it is also revealed that there certain possibility of emergence of the new types of periodic deliveries of Shimakusarashi rituals rather than being developed from irregular ones.
著者
宮平 盛晃
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

台東県パイワン族の2村落を対象に、動物を要する村落レベルの儀礼や、狩猟といった動物との関わり方の実態に焦点を当てた分析から、それら動物の可変性と不変性の原理を考察した。分析の結果、両村落とも儀礼に要されていた野生動物の猪は市販の豚へと変化し、本来なら、猪を使いたいという意識が存在するものの、法律的な問題、狩猟を行える若者の不在、豚肉を安くて容易に入手できるという経済的かつ合理的な理由から、その実現は非常に困難であるという現状が明らかになった。