著者
小仲 健太郎 恩藏 直人
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.81-87, 2023-01-10 (Released:2023-01-10)
参考文献数
15

近年,企業は様々なデータを活用し事業化を行っている。日本気象協会は,過去から巨大な気象データを扱い,気象予報事業や防災事業を展開してきた。最近のデジタル技術の進化を背景として,気象データと売上関連データ,消費者行動データを組み合わせることにより商品需要予測の事業化に成功した。防災事業というコアスペースにとらわれることなく,他業種企業との価値共創に取り組み,商品需要予測サービスのサブスクリプションを立ち上げホワイトスペースでのビジネスモデルの構築を行った。背景に唯一,物理学的手法により未来を予測できる気象予報の技術とそれを実現する気象予報士組織がある。社会課題を解決することを中心にした企業理念と,それに基づく事業展開がコアスペースからの進化を後押ししたと考えられる。