著者
小出 良幸
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.105, pp.117-146, 2019-02-25

3つのプレート境界において,沈み込み帯が最も重要な役割を果たしている。日本の地質学者は,2010年までは沈み込み帯での付加作用に注目してきた。沈み込み帯では,付加作用と構造侵食作用の両方が起こっているが,付加体が25%,構造侵食が75%の比率となっている。近年,構造侵食作用の重要性が認識されてきた。本論文では,沈み込み帯における付加作用と構造浸食作用の地質学的意義をまとめた。論文
著者
小出 良幸
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.92, pp.1-23, 2012-10

付加体とは,海洋プレートが沈み込む海溝付近で形成される特異な地質体である。島弧−海溝系では堆積作用,火成作用,変成作用,付加作用が起こっているが,作用には固有の性質を持つ過程も多く,島弧の地質学的な特徴をもたらしている。なかでも付加体は,島弧−海溝系の解明に重要な役割を果たすだけでなく,島弧から大陸へと成長していく可能性もあり重要な鍵となると考えられている。付加体の地質学的に重要な位置づけを示し,その構成物の特性を概観した。論文
著者
小出 良幸
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.96, pp.31-55, 2014-10

岩石の多様性を理解する上で、化学的多様性と形成年代、なかでも成因が重要である。岩石には、火成岩と変成岩、堆積岩の3つの成因がある。火成岩では固体が溶融し液体になり固化する、堆積岩では固体が離脱、移動し、再構成される、変成岩では固体が別の固体に再結晶する、というそれぞれの素過程がある。素過程ごとにいくつかの作用があり、作用ごとにいくつかの要因があり、それらにより多様性が形成されている。素過程における要因だけでなく、地球の冷却過程や表層環境の変遷など、長い時間スケールでの変化を反映した多様性もある。岩石の多様性の変化は、地球の不可逆な変化を記録している。地球初期にできた固体にはいくつかの由来の火成岩があり、もっとも根源的な成因の岩石となっている。火成岩は、岩石の多様性に大きな改変を起こす、弁証法的な発展過程をしている。The Factors of chemical variety, formation age, and the origin are important for making the rock diversity. There are the three origins of igneous, sedimentary, and metamorphic in rocks. In an elementary process of igneous rocks, solid (rock) turns into liquid (magma), and solidify (rock). In sedimentary rocks, solid (rock) breaks and moves as fragments, solute, reconstruct to rock. In metamorphic rocks, solid (rock) recrystallizes to rock. There are some functions for every elementary process, and some factors involving for every function. The functions and factors form the rock variety. The rock diversity reflected the change with long time scales, such as a cooling process of the Earth and modification of the surface environment of the Earth. Mode change of the rock diversity is recording an irreversible change of the Earth. The first solids in the early Earth were made from igneous rocks which formed by the different processes from magmatism. An igneous process is the principle of origin. The igneous process developing dialectical causes the large diversity of rock.論文Article

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著者
小出 良幸
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.317-317, 2002-04-25 (Released:2009-11-12)
被引用文献数
1
著者
小出 良幸
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.97, pp.43-73, 2015-02-01

地球史において多数の種の絶滅事件は,稀なものではなく,たびたび起こる出来事である。層状チャートは,珪質物質からなる本体部と,境界にhiatus(無堆積期間)として粘土物質が少量挟在する。層状チャートの地質学的位置づけや特徴と現世の堆積環境を比較し,層状チャートの形成過程を復元していく。層状チャートの珪質部や粘土部に記録されている時間が,どのような特性を持っているかを検討していく。
著者
小出 良幸
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.94, pp.1-27, 2013-11

本質的属性に基づく自然分類が岩石の理想的な分類である。岩石の分類にかかわる課題を整理し,岩石に自然分類が適用できるかを検討した。岩石の分類は,火成岩,変成岩,堆積岩の3つ成因がもっとも本質的である。変成岩と堆積岩では,自然分類に基づいた岩石名の適用は可能になっているが,火成岩では人為分類の導入が不可欠となっている。火成岩の人為分類の定義の整理と,体系的な導入が重要な課題となる。Various problems in the classification of rocks and systematics of nomenclature are discussed in this paper. Rocks should be ideally categorized by the natural classification based on some essential attributes. It is checked whether the natural classifica論文Article
著者
平田 大二 新井田 秀一 山下 浩之 田口 公則 笠間 友博 小出 良幸
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.自然史リテラシーの育成を目指した学習プログラムの開発と実践自然を総合的、能動的にとらえ、自然に接する能力や態度をもつことができるような自然史リテラシー育成の取り組みを行うとともに,市民の自然に対する知的好奇心と知的ニーズに応えるため,「誰もが,いつでも,どこでも,いくらでも」利用できる学習システムの運用と実践を行った.さらに地域の自然と実物標本からなる各種データベースの構築し、ネットワークを活用した自然を理解するための学習プログラムを展開した。2.インターネットを活用した人と博物館のネットワークの構築遠隔地の博物館同士、あるいは博物館と利用者とが相互交流できるインターネットを活用した双方向型ネットワーク・システムの構築し、実践と評価を行った。また、小中学校における授業や課外活動での連携、博物館活動におけるボランティアや友の会との連携などの活動を展開し、児童生徒から社会人、研究者まで多様な階層を交えたネットワークの構築を試みた。3.データベースの拡充すでに公開しているデータベース「地球のからくり」、「神奈川の大地」、「地球地学紀行」、「人と大地と」に加えて、神奈川県および周辺地域を対象とした地球科学分野のデータベース(DB)「神奈川の地球誌」の構築を進めた。さらに火山灰DBと神奈川の川DBの構築、地球科学文献DB、丹沢山地の地形・地質DB、航空写真DB、の補完、愛媛県西予市城川地質館と周辺地域を対象とした地形地質DBの補完を行った。