著者
清野 充典 志連 英明 丸山 典子 猪熊 遥香 南波 利宗 吉田 卓司 山田 昌紀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.236-244, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
11

モンゴル医学の歴史は約2000年前に遡る。長い年月をかけてモンゴル伝統医療が築かれた。この度,私達はモンゴル伝統医療が行われている病院,医院や教育機関の大学を訪問してきたので報告する。モンゴル国立医科大学を訪問し,学長,副学長及び医学部伝統医学科長と対談した後,モンゴル伝統医療を行っている医院と主に伝統医療を用いた治療や技術開発を行っている病院を見学した。病院では,鍼治療,灸治療,吸玉治療,薬草治療や温熱療法が行われていた。 『黄帝内経素問』第十二異法方宜論篇にある北方とはモンゴル地方を示す説もある事から,灸治療がモンゴルに由来するという考え方も否定できない。しかしながら,一旦伝統医療が国家医療から遠ざかった背景もあり,モンゴル固有の医療を見出す事は困難である。日本との文化交流が多分野に亘って行われている事から,近い将来新事実が数多く生まれる事を期待してやまない訪問であった。