著者
岡 久仁洋
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.758-761, 2016-10-18 (Released:2016-11-17)
参考文献数
6
被引用文献数
1

肘関節には腕尺関節,腕橈関節,近位橈尺関節の3つの関節があり,屈伸運動と前腕回旋運動を行うことができる.安定した関節運動を行うための機構として内側側副靱帯,外側側副靱帯複合体があり,靱帯機能が破たんすることにより,肘関節拘縮,不安定性の原因となる.屈伸運動の回転軸の通過する位置は,上腕骨滑車中心の内側側副靱帯前斜走線維の付着部に一致するが,外側は屈曲肢位により外側側副靱帯付着部面に分布し,回転軸の軌跡は円錐状となる.前腕回旋軸は尺骨小窩と橈骨頭中心を通過し,前腕は,ほぼ一軸性の回旋運動を行う.これらの肘関節における解剖学的特徴と3次元的動態解析に基づいた運動機能について述べる.
著者
岡 久仁洋 中尾 良二 村瀬 剛
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.899-905, 2020-08-25

橈骨遠位端骨折X線画像を用いて,骨折の診断と関節内外の骨折型の判定を行うartificial intelligence (AI)の開発を行った.症状,画像検査による整形外科専門医の臨床診断をゴールドスタンダードとした.学習には橈骨遠位端骨折369例729画像,正常129例254画像の単純X線を用いた.それぞれのデータ拡張を行い,骨折3,245画像,正常3,210画像として,骨折の有無を判定する学習を行った.骨折の診断率は97.2±1.4%,感度98.6±1.8%,特異度94.4%±3.9%であった.Area under curve(AUC)は0.993と高い骨折識別能が得られた.AIを用いた骨折診断は,救急医療の現場で専門外である医師が,適切な治療を行うための初期診断のための有用なツールとなる可能性がある.