著者
川井考子 堀 京子
出版者
和歌山信愛女子短期大学
雑誌
信愛紀要 (ISSN:03893855)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.19-23, 1991
被引用文献数
1

家庭にある鍋の実態を調べた。その結果の要約は,次のとおりであった。(1)鍋は,全体の約80%の家庭で,1日3回以上,1〜3時間使用されていた。(2)各家庭の鍋の保有数の平均は,17.8±6.2個であった。種類別の保有数では,両手深鍋が最も多かった。種類別保有率では,無水・文化・多層鍋は各々約30%,圧力鍋は53.8%,他は何れも80%以上であった。(3)よく使う鍋の1位は,両手深鍋,2・3位はフライパンが最も多く,よく使う理由は「大きさ・重さが手頃」であった。(4)使用していない鍋が「ある」と答えた人は全体の82.4%であり,その個数が5個以上の人が約50%を占めた。その理由は「予備なので」が最も多かった。(5)鍋の購入・入手形態は,「贈答品」が最も多かった。(6)使用頻度の高い鍋の材質は,アルミ,鉄,ホーロー,ステンレスの順であった。天プラ鍋,フライパンの材質は,全体の約44〜47%が鉄であり,すきやき鍋・中華鍋は,約80%が鉄であった。(7)鍋は,種類,量共に多く所有しているが,使用頻度の高い鍋は,比較的限定されていた。入手方法は贈答品が多く,その使用状況に影響を及ぼしている傾向が示唆された。
著者
早川 史子 前田 昭子 南 幸 川井 考子 藤沢 祥子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.259-267, 2000-12-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
24

There are the reports the custom of eating rice gruel made with tea mainly on Western Japan. But its details are not clarified. In order to clarify the eaten reason and origin of it, the range of its custom and distribution in Kyoto, Osaka, Mie, Nara, and Wakayama prefecture in 1999 is investigated by Questionnaire. The Questionnaire was distributed to dietitians (age20-70) living in each area.1) The custom of eating rice gruel made with tea is distributed especially on the border of the prefectures, and also in the seaside districts of Wakayama and Osaka prefectures.2) Next to Wakayama prefecture, Nara prefecture has the most rice gruel made with tea, however this custom in all of them is on the decrease.3) Rice gruel made with tea is called Tyagayu rather than Okaisan by Osaka and Mie prefectures, but called Okaisan by Wakayama prefecture.4) The common materials added to rice gruel made with tea in the five areas are sweet potato, rice cake, and adzuki beans.5) The reason that the custom of eating rice gruel made with tea remains today is that it tastes good.
著者
花崎 憲子 志垣 瞳 辻 郁代 山本 山美 池内 ますみ 奥田 展子 川井 考子 瓦家 千代子 澤田 崇子 深蔵 紀子 升井 洋至 丸山 悦子 水野 千恵 山下 英代 川田 克子 横溝 佐衣子 四谷 美和子 冨岡 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.71-76, 2004

関西における煮る調理に関する実態を把握することを目的として,2000年10月に,関西の大学・短大の学生を通してその家雄の調理担当者を対象にアンケート調査を行い,煮ものを食べる頻度,家庭で作る頻度,購入する頻度,作る煮ものの種類と使用される調味料などについて検討した. 得られた結果は次の通りである.(1)調理に費やす時間は,朝食は短く,夕食には時間をかけていた.(2)煮ものを食べる頻度および家庭で作る頻度は,いずれも「週3~4回以上」が多く60%を占めた.また,夕食の調理時間が長いほど煮ものを作る頻度が高くなることが認められた(ρ<0.001).(3)煮ものを「食べる頻度」「家庭で作る頻度」と年代との関係は,10,20歳代の若い年代層はともに低く,親の年代層は高かった.(4)家庭で作る煮ものでは,「肉じゃが」「かぼちゃの煮もの」「煮魚」「ひじきの煮もの」「筑前煮」「だいこんの煮もの」が多く,購入する煮ものでは「ひじきの煮もの」「おからの煮もの」「だいずの煮もの」が多かった.(5)煮ものの調味料は「基本調味料」が71%,「市販混合調味料」が1 0 % , 「使い分ける」が1 9 % であった.(6)煮もののだしは,「だしをとる」より「だしの素を使う」人が多かった.(7)煮ものに使う醤油としてこいくちは「豚の角煮」「牛肉しぐれ煮」「煮魚」「ひじきの煮もの」「ぜんまいの煮もの」「なすの煮もの」など,うすくちは「高野豆腐の煮もの」「えんどうの煮もの」「おからの煮もの」「たけのこの煮もの」「さやいんげんの煮もの」などこいくちとうすくちは「肉じゃが」「筑前煮」「だいこんの煮もの」などに併用されていた.醤油の種類は食材によって使い分けがされていた.
著者
川井 考子 坂口 峰子
出版者
和歌山信愛女子短期大学
雑誌
信愛紀要 (ISSN:03893855)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.25-31, 1988-02

持ち帰り弁当21品目について,その栄養性を検討し,以下のような結果を得た。1)使用食品数は,幕ノ内弁当15〜17,うなぎ弁当3,幕ノ内弁当を除いた平均食品数は6.7±2.1であった。栄養のバランスは,食品の数と同時に,食品の種類,組み合せの影響も大きかった。2)総エネルギー量は,最高1121kcal,最低563kcal,平均802±142kcalで,900kcal以上のものが9品目(42.9%)を占めた。肉類より魚を主菜としたものの方がエネルギー量は低かった。3)蛋白質エネルギー比は低く,糖質エネルギーは,比較的高い傾向がみられ,適正比率内は4品目であった。4)蛋白質含有量は,から揚弁が最も高く(35〜38g,動蛋比80%),ちらし弁,焼そば弁2が最も低く(14,18g,動蛋比24,40%),充足率は13品目(61.9%)が10〜30%不足傾向であった。又,供給源も限定されていた。5)徴量栄養素の含有量を成人男子1/3日所要量に対する充足率でみると,21品目中,Caは21品目(100%),Fe,ビタミンB_1は,16品目(76.2%),ビタミンA,C,ナイアシンは18品目(85.7%),B_2は19品目(90.5%)が,各々低値で不足を示した。野菜,果物の使用量は少くなく,カリウム含量も低かった。繊維量は幕ノ内弁当で1.0〜1.5g,他はすべて1g以下であった。6)食塩は,焼肉,焼そば弁当が5.8g,5.1gと最も高く,次いで幕ノ内弁当(4〜5g)であった。主菜の蛋白源に肉と魚を組み合せたもの,又,のり,ジァコ,貝,昆布の佃煮,人参,キャベツ,芋類を付合わせた弁当のバランス性が優れている傾向が伺えた。
著者
川井 考子
出版者
和歌山信愛女子短期大学
雑誌
信愛紀要 (ISSN:03893855)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.18-28, 2002-03

市販弁当類(幕の内弁当類18個,丼ものなど単品弁当7個)の栄養素含有量を調査し,成人女子(生活活動強度3)一日の栄養所要量の1/3量と比較検討した。(1)弁当に使用されている食品数は5〜19であった。消費期限・保存条件などの注意事項は大半の弁当に表示されていたが,食品添加物や栄養価表示は低率であり,原材料名を表示している弁当はなかった。(2)平均エネルギー量は692±223Kcal,たんぱく質24.2±7.6g,脂質量は21.3±12.4gであった。(3)エネルギー比率は,たんぱく質(P)14.5±3.6%,脂質(F)29.5±17.0%,糖質56.1±9.2%であった。5種類の弁当は900〜1200Kcal,たんぱく質30〜50g含有し,これは,一日の所要量の約50%を満たす量に相当していた。全体の6割が脂肪エネルギー比が高い傾向にあった。(4)脂肪酸の構成比は概ね良好であったが,n-6/n-3の比率が高値を示す弁当が6割あった。(5)食品数は多い割に野菜量(青果類)は非常に少なく,ビタミンC,Ca,Fe,Mg,Zn,Cuおよび食物繊維は全ての弁当で不足し,目標摂取量を下回っていた。ビタミンC以外の5種のビタミンの1/3所要量をほぼ満たす弁当は2個のみであった。(6)食品素材としては,うなぎ,さばなどの魚類,豆類,のり,椎茸,にんじん・かぼちゃが用いられている弁当が比較的バランスが良かった。(7)食塩含量は平均的であったが,食塩量約5gを含有する弁当が1割みられた。料理の調味%は標準的調味より,やや高かった。(8)エネルギー量,脂質量,ナトリウム量の表示値と実測値に差がみられた。単身者にとって,手軽に入手できる「市販弁当」は貴重な存在であるが,食生活に活かすには,食品素材の知識をもち,不足する栄養素,食品を補充することにより,バランスよい栄養摂取が出来るように工夫して食事としての質を高める必要がある。