- 著者
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川崎 繁次
- 出版者
- 金沢大学
- 雑誌
- 高校教育研究 (ISSN:02875233)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, pp.53-59, 2001-10
新学習指導要領において体育の領域及び内容についての改訂があり,従来の『体操』領域が『体つくり運動』となった。その内容として,『体ほぐしの運動』および『体力を高める運動』が示されている。今回の改訂では従来までの『トレーニング』的な要素を持った運動から,運動する楽しさを味わう事に重点が置かれ,自分や仲間の体の状態に『気づく』ということが目標の一つにあげられている。現代社会に生きる我々の生活様式は,慢性的な運動不足を生み,また,次代を担う子供達を見てもその活動や遊び方は以前のような活動的な遊びではなくなってきている。そのうえ,少子高齢化の波を受けて地域における子供達の交流なども減少し,ますます,運動している者とそうでない者の二極化が進んできている。そのような環境の中での学校体育の持つ意味は大きい。『運動=辛いもの』というイメージを払拭し,一人でも多くの生徒が『あっ楽しい』と思える時間を持つことが出来るような指導が望まれる。それは我々が子どもの頃に体験した『鬼ごっこ』『缶けり』『縄跳び』などの遊びの中にヒントがあるのではないかと思う。ある意味では『運動』=『遊び』,つまり,心身が開放されて楽しくなるということが大切なのではないだろうか。