- 著者
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林 美都子
- 出版者
- 北海道教育大学
- 雑誌
- 北海道教育大学紀要. 教育科学編 (ISSN:13442554)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.1, pp.25-32, 2020-08
国際化やIT化が推進される現代社会においては,西暦の利便性が高く,元号の不自由さが強調されることもあるが,元号にどのような心理的機能があるのかについては十分な検討が行われていない。本研究では,林(2020)にて平成生まれの大学生64名を対象に行ったのと同じ,大正,昭和,平成,令和の元号イメージに関する調査を,昭和生まれの社会人24名を対象に,潜在的な好感度を測定するIATと人名に関する好感度アンケートとを用いて行った。本調査の結果,昭和生まれの社会人においても平成生まれの大学生同様(林,2020),自分の生まれた元号は内心特別に好まれ,また,元号によって主観的に「時代」に意味づけやイメージづけがなされており,元号の心理的機能は昭和世代においても健在であることが示唆された。さらに,調査時点で最新の元号である令和に対するIAT値がもっとも高かったことから,「元号には,赤子が生まれたときに名前をつけ,その健やかな成長と未来を願うのと類似の心理的な機能が含まれている」(林,2020)ことがより明確に支持されたと考えられる。