著者
池尻 良平 池田 めぐみ 田中 聡 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45031, (Released:2021-11-05)
参考文献数
15

本研究では,若年労働者の思考のモデリングが,経験学習と職場における能力向上に与える影響と,思考のモデリングの実態を調査した.インターネット調査で取得したデータをもとに構造方程式モデリングを用い,仮説を検証した結果,思考のモデリングは経験学習の具体的経験,および職場における能力向上に正の影響を与えることが明らかになった.また,若年労働者は上司や先輩から,主に仕事や業務の仕方や方法や進め方,過去のものを含む資料といった対象に注目し,見る・聞く・読むことで思考のモデリングをしていることが示された.さらに,職場における能力向上の上位群では,仕事相手を含む対象まで観察できていたり,見る・聞く・読むことに加えて,分析することで,より深い思考を学んでいることが示された.
著者
大浦 弘樹 池尻 良平 伏木田 稚子 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.41085, (Released:2018-01-12)
参考文献数
48

一般の人々に大学の公開オンライン講座を提供するMOOC (Massive Open Online Course) が急速に拡大している.MOOCは講義動画を中心とした学習コンテンツで構成され,受講者は掲示板上で他の受講者と交流できるが,なかには講師による直接の指導や他の受講者との対面学習を希望する受講者もいる.本研究では,日本史がテーマの一般向けMOOCで,講師の指導のもと他の受講者と議論を通した対面学習を希望する受講者に対し,MOOCコンテンツを事前学習に位置づけ,グループ演習中心の対面学習と連動させた反転学習の実践データから反転学習の効果を評価した.具体的には,修了合否と知識の活用力としての歴史的思考力に対する反転学習の効果を,受講者属性やオンライン学習行動による効果も踏まえ,それぞれの効果の大きさを比較して検証した.その結果,修了合否に対しては反転学習の有意な効果は確認されず,動画視聴と掲示板活動の効果がより大きく,高齢者や非大卒の受講者に修了率がやや低い傾向が示唆された.一方,歴史的思考力に対しては本講座の修了者を対象に反転学習のより大きな効果が示され,動画視聴と掲示板活動の効果は小さく,年齢や学歴の効果も限定的であった.
著者
池田 めぐみ 池尻 良平 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.203-212, 2020-10-10 (Released:2020-10-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究の目的は,上司による業務プロセスへのフィードバックとジョブ・クラフティング,若年労働者の職場における能力向上の関連を明らかにすることである.そのために,インターネット調査を行い取得したデータをもとに,構造方程式モデリングを用い,仮説の検証を行った.分析の結果,第1に,上司による業務プロセスへのフィードバックがジョブ・クラフティングの全ての因子及び職場における能力向上の全ての因子に正の影響を与えること,第2に,ジョブ・クラフティングの次元によって,影響を与える能力に違いがあることが確認された.以上より,若年労働者の職場における能力向上および,ジョブ・クラフティングを促す上で,上司による業務プロセスへのフィードバックが有効である可能性が示唆された.
著者
田中 聡 池田 めぐみ 池尻 良平 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.147-157, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
36

個人が自己や環境に能動的・主体的に働きかけて組織適応を図るプロアクティブ行動は,業務能力向上など職場における能力向上を促すと言われているが,そのプロセスについては明らかになっていない.そこで,本研究の目的は,若年労働者のプロアクティブ行動が職場における能力向上に与える影響を,リフレクションの媒介効果に着目して検討することであった.国内企業に勤務する20代942名(平均26.6歳, 女性46.0%)に調査を実施した.因子分析によってプロアクティブ行動がフィードバック探索行動,組織情報探索行動,ネットワーキング行動から成ることを示した上で,それらがリフレクションを媒介して能力向上に与える影響を検討した.パス解析の結果,フィードバック探索行動と組織情報探索行動がリフレクションを媒介して,職場における能力向上に正の影響を与えることが明らかになった.以上の結果から考えられる本研究の意義と今後の課題について検討を行った.
著者
池尻 良平 山本 良太 仲谷 佳恵 伏木田 稚子 大浦 弘樹 安斎 勇樹 相川 浩昭 山内 祐平
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.31-44, 2020 (Released:2020-09-17)
参考文献数
16

近年の高校の歴史教育では,ある時代の因果関係を多面的に分析する歴史的思考力の育成が重視されている。しかし,歴史的思考力の程度が多様な中堅高校において,各生徒の思考力や関心に合わせて柔軟に歴史的思考力を育成できる授業モデルは確立されていない。そこで本研究では,中堅高校における生徒の多様な関心に対応できる動画を複数用意して事前に学習させ,その学習内容をグループで組み合わせることで,ある時代の因果関係を多面的に分析する歴史的思考力を育成するアラカルト型反転授業を開発した。授業実践を通した評価の結果,事前に比べて事後で歴史的思考力が有意に向上し,中程度の効果があることが示された。また,事前ではクラス内での歴史的思考力にばらつきがあったのに対し,事後では26名中25名が中レベル以上の歴史的思考力を身につけていることも示された。さらに,生徒の関心の多様性についても対応できた上で,該当時代の関心が事後で有意に向上し,小~中程度の効果があることが示された。
著者
坂井 裕紀 藤本 徹 池尻 良平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S43048, (Released:2019-10-31)
参考文献数
13

本研究では,世界の持続可能性を追求する地域人材育成をテーマとし,ゲーム要素を付与したプロジェクト学習が生徒の学習意欲とキャリアビジョンに及ぼす影響を検討した.高校1年男女256名を対象に授業実施前後において質問紙調査を行った結果,本授業を実施した群においては,授業実施前後で生徒の「学習意欲」および「キャリアビジョン」が有意に高いことが示された.これらのことから本授業のようなテーマにゲーム要素を付与したプロジェクト学習は生徒の学習意欲およびキャリアビジョンを高める可能性が示唆された.
著者
池尻 良平 相川 浩昭 池田 めぐみ
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.27-37, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
15

本研究では,教科書とパワーポイントを使って歴史の内容解説をした後,Googleフォームを用いて生徒が生成した問いに対して教師が回答する世界史の授業形式が,歴史の関心と自立的な探究の態度にどの程度効果があるかを測定した。その結果,歴史の関心に含まれると考えられる実践的利用価値と私的獲得価値が事後で有意に増加した一方,興味価値は有意に増加しなかった。また,自立的な探究の態度で重要だと考えられる適応的要請については事前事後で差がなかった。加えて,生成した問いの数による,歴史の関心と自立的な探究の態度への影響も見られなかった。以上より,本授業形式は歴史の関心には部分的な効果がある一方,自立的な探究の態度に対しては不十分だったことが示された。これらの結果を踏まえ,今後の授業形式や教育メディアの活用法を考察した。
著者
池尻 良平 池田 めぐみ 田中 聡 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.247-255, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
17

本稿では,木村ほか(2011)の職場における経験学習尺度を用いて,若年労働者の経験学習を測定する際,どのように因子構造を解釈するのが妥当なのかを考察した.その結果,若年労働者を対象にした場合は,「具体的経験」で1因子,「内省的観察」,「抽象的概念化」,「能動的実験」で1因子の合計2因子構造が,最も妥当性が高いことが示された.この結果を踏まえ,経験学習の測定時における因子構造については,4因子構造に固定化せず,経験学習モデルと因子構造の対応を柔軟に解釈する方が分析の質の向上につながる可能性があることを示した.
著者
池尻 良平 山本 良太 中野 生子 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45057, (Released:2021-11-02)
参考文献数
6

本研究では,ICT を利用した,ジグソー法のエキスパート活動における知見の同期的収集が,教師のモニタリングと介入にどのような影響を与えるかを,机間巡視のみの場合と比較して調査した.その結果,内容を含めた俯瞰的なモニタリング,各専門家グループのキーワードのシェア度合いに関する俯瞰的なモニタリングと各グループ内のシェアを促す介入,普段は優先順位の低い上位層のモニタリングを促す可能性が示された.
著者
鈴木 智之 池尻 良平 池田 めぐみ 山内 祐平
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-31, 2021 (Released:2021-04-12)

本研究は,職場での若年労働者のパーソナリティを通した人物理解という社会課題に立脚し,広範なパーソナ リティに関するビッグファイブ研究の理論的蓄積を踏まえて,職場での活躍と伸び悩みというコンテキストにお ける若年労働者のパーソナリティ特性表現を探索するものである。具体的には,以下の二つのリサーチクエスチョ ンへの検討を目的にした。第一に,若年労働者において,5 因子の構造が得られるか,というものであり,これ を共通性の確認とした。第二に,若年労働者のパーソナリティ特性を記述する上で,5 因子に追加すべき項目は 何か,というもので,これを独自性の探索とした。方法として,日本国内大手民間企業 6 社に所属する 22 名への インタビューを行った。結果として,249 個のパーソナリティ特性表現を抽出した。代表的な尺度と比較を行っ た結果,TIPI– J に 104 個,主要 5 因子性格検査に 139 個,FFPQ– 50 に 119 個,BFS に 144 個,日本版 NEO–PI–Rに 151 個該当し,5 因子全てへの該当が見られ,共通性が確認された。それらの既存尺度には含まれないパーソナリティ特性表現が 69 個見られ,独自性が存在することが確認された。以上から,上述のコンテキストにおける 若年労働者のパーソナリティ理解について,ビッグファイブの既存尺度だけでなく,独自性を含めた概念が必要 であることを示唆した。
著者
池尻 良平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.375-386, 2011-03-30 (Released:2016-08-07)
参考文献数
24

近年,高等学校において歴史の因果関係を問題解決のアナロジーとして活用することの重要性が指摘されている一方で,その効果的な学習方法は検証されていない.そこで本研究では,(1)歴史の因果関係を参考に現代の社会的問題における因果関係を構築させるための段階的な学習方法を設計し,(2)世界史を学習した高校生向けに,歴史の因果関係を利用しながら現代の因果関係を構築していくことを競いあう対戦型カードゲーム教材をデザインし,(3)教材の効果を検証した.その結果,本教材は歴史的事象と同じ性質の現代的事象を連想する力と,現代的問題の因果関係を歴史的問題の因果関係を参考に分析する力の向上に効果があることが示された.
著者
池尻 良平 池田 めぐみ 田中 聡 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-24, 2022-02-20 (Released:2022-03-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究では,若年労働者の思考のモデリングが,経験学習と職場における能力向上に与える影響と,思考のモデリングの実態を調査した.インターネット調査で取得したデータをもとに構造方程式モデリングを用い,仮説を検証した結果,思考のモデリングは経験学習の具体的経験,および職場における能力向上に正の影響を与えることが明らかになった.また,若年労働者は上司や先輩から,主に仕事や業務の仕方や方法や進め方,過去のものを含む資料といった対象に注目し,見る・聞く・読むことで思考のモデリングをしていることが示された.さらに,職場における能力向上の上位群では,仕事相手を含む対象まで観察できていたり,見る・聞く・読むことに加えて,分析することで,より深い思考を学んでいることが示された.
著者
山本 良太 池尻 良平 中野 生子 山内 祐平
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-49, 2022 (Released:2022-10-07)
参考文献数
20

本研究では,プロジェクト学習においてクラウドのアプリケーションを用いて教員がどのように学習者にフィードバックを与えているのか詳細を把握し,その結果から具体的方略を考察することを目的とした。Google スプレッドシートを活用したプロジェクト学習を実践した教員のフィードバックとその意図を分析した結果,生徒が記入したセルへの【色付けによる全生徒への即時フィードバック】および【生徒間の相互参照促進】というクラウドの高い同期性を生かした方略によって,教室全体のモニタリングとフィードバックを行っていた。また,教員は実践前には想定していなかったフィードバック方略を即興的に生成し,より踏み込んだフィードバックを行っていた。このことから教員はクラウドの高い同期性を生かすこと,またクラウドの特徴を踏まえつつ学習者との相互作用を通じて適切なフィードバックを探索し実践することが重要であることが分かった。
著者
池尻 良平 山本 良太 中野 生子 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.109-112, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
6

本研究では,ICT を利用した,ジグソー法のエキスパート活動における知見の同期的収集が,教師のモニタリングと介入にどのような影響を与えるかを,机間巡視のみの場合と比較して調査した.その結果,内容を含めた俯瞰的なモニタリング,各専門家グループのキーワードのシェア度合いに関する俯瞰的なモニタリングと各グループ内のシェアを促す介入,普段は優先順位の低い上位層のモニタリングを促す可能性が示された.
著者
池田 めぐみ 池尻 良平 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44067, (Released:2020-08-28)
参考文献数
28

本研究の目的は,上司による業務プロセスへのフィードバックとジョブ・クラフティング,若年労働者の職場における能力向上の関連を明らかにすることである.そのために,インターネット調査を行い取得したデータをもとに,構造方程式モデリングを用い,仮説の検証を行った.分析の結果,第1に,上司による業務プロセスへのフィードバックがジョブ・クラフティングの全ての因子及び職場における能力向上の全ての因子に正の影響を与えること,第2に,ジョブ・クラフティングの次元によって,影響を与える能力に違いがあることが確認された.以上より,若年労働者の職場における能力向上および,ジョブ・クラフティングを促す上で,上司による業務プロセスへのフィードバックが有効である可能性が示唆された.
著者
池尻 良平 大浦 弘樹 伏木田 稚子 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.53-64, 2017-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
20

MOOC(大規模公開オンライン講座)の普及によって遠隔地であっても無料で大学の講義を受講できるようになっている.しかし,講座の学問領域において何が学習されているかを実証的に評価している研究は少ない.そこで本研究では,MOOC の歴史学講座の受講による学習効果を評価した.講義内容を視聴し課題に取り組んだ実質的な受講者を分析した結果,歴史領域の知識の獲得を要する各週課題の平均得点率はどれも80%以上,歴史的思考力を要する講義課題の平均得点率は68%であることが確認された.一方,事前事後の質問紙・テストで測定した歴史的思考力は事前に比べて事後で有意に向上したものの,効果量としては小さいということが示された.これらの結果を踏まえ,講義映像と掲示板で構成されるMOOC に対し,より歴史的思考力を育成する方法として,対面学習と組み合わせたり,CSCL 研究の知見を踏まえた機能を追加したりする改善方法も示した.
著者
森 玲奈 池尻 良平 濱口 麻莉 北村 智
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション = Japanese journal of science communication (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
no.19, pp.3-15, 2016-06

防災教育において、知識の提供のみで十分と言えないことは周知の事実である。例えば、気象庁では警報を始めとする「防災気象情報」により重大な災害への警戒を呼びかけてきたが、住民や地方自治体が災害発生の危険性を十分に理解することに繋げられない事例、十分な避難行動に結びつかない事例もあった。基本的な情報がどこでどのように入るか、それがどのような情報であるのか、知識として人々が持っていなければ、有事、各々の状況に合わせた判断や行動につなげることも難しいと考えられる。そこで、人々の防災情報の知識を高め、その知識を行動に結びつけるために、災害についての考え方の変容を促進する教育プログラムが必要である。本研究では、大雨に対する防災情報の知識や意識の向上を目的としたワークショップを設計し、その実践の結果からワークショップの学習効果の分析を行った。It is a well-known fact that the provision of disaster prevention knowledge is not enough to disaster prevention education to the public. For example, the Japan Meteorological Agency issued 'weather information for disaster prevention', including warnings, to inform people that a serious disaster was about to occur. But, residents and local municipalities were not adequately aware about the risk of disaster, warnings failed to result in adequate evacuation procedures, in some cases. If people do not acquire knowledge about where and how to receive basic information, and what kind of information is available, it is difficult to make judgments and act according to individual situations in emergencies. To strengthen people's knowledge of information for disaster prevention and connect thisknowledge to action, there is a need for educational programs that encourage people to change the way they think about disasters. Therefore, in this study, we designed workshops with the aim of improving knowledge and awareness of weather information for disaster prevention in response to heavy rain and analyzed the learning effects of these workshops.
著者
森 玲奈 池尻 良平 濱口 麻莉 北村 智
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.3-15, 2016-07

防災教育において、知識の提供のみで十分と言えないことは周知の事実である。例えば、気象庁では警報を始めとする「防災気象情報」により重大な災害への警戒を呼びかけてきたが、住民や地方自治体が災害発生の危険性を十分に理解することに繋げられない事例、十分な避難行動に結びつかない事例もあった。基本的な情報がどこでどのように入るか、それがどのような情報であるのか、知識として人々が持っていなければ、有事、各々の状況に合わせた判断や行動につなげることも難しいと考えられる。そこで、人々の防災情報の知識を高め、その知識を行動に結びつけるために、災害についての考え方の変容を促進する教育プログラムが必要である。本研究では、大雨に対する防災情報の知識や意識の向上を目的としたワークショップを設計し、その実践の結果からワークショップの学習効果の分析を行った。