著者
牧野 純 中束 賢譲 根津 郁実 石栗 太 中澤 武
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.41-55, 2023-11-01 (Released:2023-12-02)
参考文献数
32

わが国の『環境省レッドリスト2020』において,絶滅危惧種Ⅱ類(VU)にランクされているキリノミタケChorioactis geasterの保全を目的に,本種の菌糸成長と木材腐朽の特性を明らかにするとともに,原木栽培における子実体発生を試みた.その結果,菌糸はPDA培地において4℃から38℃までの範囲で生育し,その適温は30℃付近にみられた.木材腐朽に関与する環境要因等の影響は,線形混合効果モデルを用いて解析した.モデル選択の結果により,材の質量減少率は,樹種,培養温度,培養期間によって,また,ほだ木の材密度は栽培期間によって影響されることが示された.原木栽培においては,接種7年目の秋,イチイガシQuercus gilva のほだ木から最初の子実体が発生し,その時点における辺材の材密度は約0.62 g/cm3,質量減少率は約15%であった.子実体はその後も発生し,一部は裂開して子実層を裸出した.キリノミタケの原木栽培は,生息域外における有効な保全手法となる可能性が示唆された.
著者
牧野 純也 矢吹 信喜 福田 知弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_22-I_32, 2022 (Released:2022-03-23)
参考文献数
24

東日本大震災により発生した指定廃棄物の輸送時には,種々の制約を満たす最適な輸送車両の運行計画を立てる必要があるが,組み合わせ爆発による計算時間の増大により,近似解を求めることに留まっている.本研究では,指定廃棄物の輸送計画を作成する際,必要な制約条件として挙げられる,就業時間内に輸送を完了させること,荷降施設への輸送車両の到着時刻重複を防ぐことに着目し,量子アニーリングにより最適な輸送計画案を導くための基礎的な定式化を行った.また,輸送計画の実行中に発生しうる遅延による計画の乱れの際,運行計画の再作成に用いるコスト関数の定式化を行い,平常時と遅延発生時を想定した輸送計画の最適化を行った.最適化の結果,適切なパラメータ値の設定により,様々な条件下で最適な運行計画表を出力することを確認した.
著者
大久保 滉 岡本 緩子 呉 京修 右馬 文彦 上田 良弘 前原 敬悟 牧野 純子
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.337-345, 1978

Cefoxitin, an antibiotic developed from the cephamycin family, was examined as to its <I>in vitro</I> activity against clinically isolated bacteria, its serum level and urinary excretion after intramuscular or intravenous injection, tissue concentration in rats as well as its effectiveness in clinical cases. The results obtained were as follows:<BR>1) Antibacterial activity: Cefoxitin (CFX) was found to be more active against most of <I>E. coli, Klebsiella</I> and <I>Proteus vulgaris</I> strains than cephalothin and cephaloridine. The MICs of CFX against those bacteria were lowered when the inoculum concentration was reduced to 10<SUP>6</SUP> cell/ml.<BR>2) Serum level and urinary excretion in human: The drug showed a serum peak level as high as 148μg/ml 30 minutes after 1μg/ml injection, followed by a steep decline. The urinary excretion rate was about 80%.<BR>3) Distribution into rat organs: The highest tissue concentration of CFX in rat organs after i.m. administration was found in kidneys, followed by liver, blood, lungs, muscles and spleen. This distribution pattern was similar to that of cefazolin, though CFX showed higher peak concentrations and a steeper decline than the latter. No remarkable inactivation of CFX was observed after overnight storage in the icebox mixed with rat organ homogenates.<BR>4) Clinical trials: Six clinical cases (pneumonia, sepsis, purulent arthritis, perityphlitis, pyelonephritis and fever of unknown origin all of them having underlying diseases) were treated with CFX intravenously or by drip infusion. All of the patients responded favorably to the treatment. No side effects were observed.
著者
大久保 滉 岡本 緩子 呉 京修 右馬 文彦 上田 良弘 前原 敬悟 牧野 純子
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.260-271, 1979

新Cephalosporin系抗生物質であるCefamandoleについて基礎的・臨床的検討を行なった。<BR>CefamandoleはCEZ, CFX, CET, CERなど他のCephalosporin系抗生剤と比べて, <I>E. coli. Proteus mimbilis</I>に対し特に優れめ抗菌力を示し, ラットでの臓器内不活性化も少なく, 十分な臓器内濃度, 胆汁中排泄が得られた。<BR>Cefamandoleの1回1~2gを1日2~3回点滴あるいは静注で臨床例8例 (肺炎2例, 胆道感染2例, 尿路感染2例。副鼻腔炎1例, 腹膜炎1例) に使用し, 効果不明例および不適当例を除くと6例中4例に有効 (有効率67%) であった。副作用ないし臨床検査異常値としては好酸球増多 (1%-11%) 1例のみであった。
著者
井戸 由美子 牧野 純子 奥嶋 涼子 堤 重年 堺 俊明
出版者
藍野大学
雑誌
Aino journal (ISSN:1348480X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.29-33, 2002
被引用文献数
1

デイケア施設通所者に見られる生活習慣病の発生要因を調べるために,新阿武山病院のデイケア施設に通所中の分裂病患者(デイケア群)54名と,精神科慢性疾患治療病棟に入院中の分裂病患者59名を対象に身体的調査項目(身長,体重,肥満指数,血圧),血液生化学的調査項目(中性脂肪,総コレステロール,血糖値),生活習慣(運動量,食べ物・飲み物量,居住形態)について比較した。その結果,入院群に比べてデイケア群に体重,肥満指数,血圧,中性脂肪,総コレステロール,血糖値に異常値が高く見られた。その原因として,入院群は三食とも病院食を食べており,またおやつなどもある程度管理され制限されているのに対し,デイケア群では清涼飲料水,ファーストフードなどを多くとっていた。さらに女性群に比べ男性群に高い異常値が見られたことは,男性群の食生活は女性群に比べ正しく管理されていなかったためと考えられる。今後食生活の改善についての教育が必要と考えられる。