著者
福留 恵子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.37-50, 1997 (Released:2022-07-22)

組織成員間の自由なコミュニケーションは,組織の活力や創発,成員の満足などとの関係からその重要性が注目されているが,現場におけるその実現や維持は決して容易ではない.本論文ではグループウェア等情報通信技術の利用現場の経験から,自由なコミュニケーションの実現・維持の試みが自由と制約の循環に陥りがちであること,さらにルーマンらの議論を参考に,それが実は(近代組織にとって)原理的・必然的な事態であることを示す.その上で,この困難を解消して自由なコミュニケーションを導入するためのマネジメントのデザインを考察する.
著者
福留 恵子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.13, pp.193-198, 1997-01-30

()「協調作業の支援」においては、設計者とユーザ(協調作業の当事者)の間に共有される解決課題が必要である。それは、協調作業支援が協調的行為の当事者に対する一種の操作であるために、その操作の正当性が求められることに基づいている。この、設計者とユーザの共有する課題が、同時に設計者の間で共有される課題でもあり、また、GWシステムの評価基準の根拠ともなる。()これまでGWがイメージしてきた望ましい協調作業像は、大きく「コスト削減」と「パフォーマンス向上(特に創発性向上)」の二要因で捉えることができ、特に日本においては、後者が不可欠な要因となってくる。しかし、「創発性」という概念は、ブレークスルーの成功の原因として結果から遡及的に定義されていると考えられ、このことが「創発性向上」の共有課題化を困難にしている。()上記のジレンマを回避する課題設定として、「多様性の保持」、特にそのためのコスト削減を提示。実際の協調的行為の中で発生したコミュニケーションの齟齬の観察からも、提示した課題が成立する可能性が認められる。(1) In GW/CSCW, shared tasks are needed between system designers and the users of that system. The reason is that collaboration support is one kind of operation for others and we generally need some justifiability for that kind of operation. And those shared tasks lead tasks shared by system designers, and give some basis for utility evaluation criteria. (2) GW tasks can be classified into cost-reduction and performance-improvement (specially that with creativity-augmentation) of cooperative-action in some group, and particurarly in Iapan, the latter is thought to be indispensable. But the word of "creativity-augmentation" is defined by the success of creation, in the other words, the result of the word itself. And that makes it difflcult that "creativity-augmentation" is shard as GW tasks by designers and users. (3) For "creativity-augmentation", we can have a shared-task "Keeping diverse ideas", in particular, "cost-reduction for keeping diverse ideas". And we can observe some facts that support this deduction.
著者
福留 恵子 刀川 眞
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.239-240, 1994-09-20

グループウェア(GW)設計においては、設計者が直観に基づいた協調作業(CW)支援の在り方が通用しない場合が多いと言われる。これはCW自体が複雑な現象で、その自体・問題点・理躁状態のいずれをとっても、未解明な点が多いことによる。本稿では、GWの<設計-評価-再設計>サイクルにおいてこれらの点を解明してゆくことにより、GWの提供すべき支援を段階的に確定してゆく方法について考察する。また、この中で重要な役割を持つGW評価の妥当性検討の指針と、実際の検討から得た未解明点を示す。