著者
米山 武義 鴨田 博司
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.3-13, 2001-07-31 (Released:2014-02-26)
参考文献数
34
被引用文献数
3
著者
道脇 幸博 角 保徳 三浦 宏子 永長 周一郎 米山 武義
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.275-280, 2003-03-31 (Released:2014-02-26)
参考文献数
14
被引用文献数
3

要介護高齢者に対する口腔ケアの効果について, 誤嚥性肺炎患者の診療報酬を対象に費用効果分析を行ったところ, 口腔ケアは医療経済学的観点からも有用であることが示されたのでその概要を報告する。研究に当たってはまず文献的な考察によって誤嚥性肺炎予防に関する口腔ケアの効果を検討すると共に, 口腔ケアの診療報酬を算出した。次いで誤嚥性肺炎にて入院加療を要した患者の診療報酬請求額を算出し, 両者を比較して費用効果分析を行った。その結果, 口腔ケアの局所効果としては, 口腔や咽頭の細菌量の減少, 口臭の低下, 歯肉炎の減少などがあり, 全身的な効果としては発熱率の低下, 誤嚥性肺炎罹患率の低下, 死亡率の減少などが挙げられた。また誤嚥性肺炎予防の観点から算出した口腔ケアの費用便益比は, 直接費用のみを比較しても0.82であった。従って口腔ケアの局所的効果や全身的な効果について, 直接費用と間接費用を含めると, その費用効果はさらに上昇すると考えられた。
著者
吉田 光由 米山 武義 赤川 安正
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.481-483, 2001-07-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10
被引用文献数
13 13

高齢者の肺炎の多くが口腔内細菌の誤嚥により引き起こされる誤嚥性肺炎であることが指摘されている. とりわけ, 誤嚥性肺炎起炎菌として歯周病菌であるグラム陰性嫌気性菌が注目されており, 口腔内に歯がある有歯顎者の方が歯のない無歯顎者よりも誤嚥性肺炎が発生する危険性が高いという報告も見受けられる. 我々は全国11カ所の特別養護老人ホーム入所者366名を口腔ケアを行う群 (ケア群184名, 平均年齢82.0歳) と行なわない群 (対照群182名, 平均年齢82.1歳) に分け, ケア群には, 看護士もしくは介護職による毎食後の歯磨きならびに1%ポピドンヨードによる含嗽の他に, 週に1回, 歯科医師もしくは歯科衛生士がブラッシングを行なったのに対し, 対照群では, 従来行われていたケアをそのまま継続することで, 両群の肺炎発生頻度を比較した. 2年間にわたる追跡調査の結果, 誤嚥性肺炎は, 脳血管障害の既往 (p<0.05) のあるADLの低下 (p<0.01) した者で有意に発生したものの, 有歯顎者と無歯顎者との間で肺炎の発生に差はなかった. さらに, 期間中の肺炎発生者は, ケア群で21名 (11%), 対照群で34名 (19%) とケア群で有意に低く (p<0.05), この傾向は, 有歯顎者においても有意に (p<0.05), 無歯顎者でも有意差はなかったもののほぼ同様の傾向が示された. このことは, 口腔ケアは口腔内の歯の有無に関わらず, すべての要介護高齢者の肺炎予防に効果的であることを示唆している.
著者
米山 武義
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.476-477, 2001-07-25
参考文献数
5
被引用文献数
12 8

近年, 誤嚥性肺炎の治療と予防に対する新しい戦略が構築されつつあるが, その中で口腔ケアがにわかに注目されている. われわれは数年にわたる口腔ケアと誤嚥性肺炎発症に関する介入研究から口腔ケアが誤嚥性肺炎を予防しうる可能性をつかんだ. 本ワークショップでは, これを裏付ける2つの研究を取り上げ, その内容を紹介する.<br>特別養護老人ホーム入所者を対象に, 5カ月にわたり歯科医師と歯科衛生士による専門的口腔ケアを受けた高齢者 (口腔ケア群, 7名) と, 同時期入所者自身によって口腔清掃を行った, 高齢者 (対照群, 8名) にわけ, 両グループの咽頭における総細菌数, 連鎖球菌数および黄色ブドウ球菌を含むブドウ球菌数がどのように変動するかについて検討した. その結果, 長期間専門的口腔ケアを継続した5カ月後の口腔ケア群と対照群を比較すると対照群に比べて口腔ケア群の総細菌数および連鎖球菌数は共にt検定により統計学的有意差 (p<0.01) をもって減少した. さらに口腔ケア群では, 急性呼吸器感染症の主たる起因菌の一つであるブドウ球菌が, 3カ月後より検出限界以下に減少した.<br>一方, 全国11カ所の特別養護老人ホーム入所者366名を対象として, 肺炎発症に関する介入研究を行った. 各施設毎, 無作為に従来通りの口腔ケアのみにとどめる群 (対照群) と看護婦もしくは介護職による毎食後の歯磨きと1%ポピドンヨードによる含嗽, さらに週に1回の歯科医師もしくは歯科衛生士によるブラッシングを行う口腔ケア群に分類した. そして2年間にわたって37.8℃以上の発熱日数および肺炎罹患者数を追跡調査した. その結果, 口腔ケア群は対照群に比較し, 発熱日数および肺炎罹患者数とも統計的に有意の差をもって抑制された.
著者
栗原 由紀夫 大熊 貴子 平田 優子 杉山 清子 高橋 弥生 野中 美保子 宮本 光也 山本 規貴 杉山 総子 米山 武義
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.49-54, 2013-07-20 (Released:2013-07-27)
参考文献数
9

地域の要介護高齢者を支えるために,多職種間の連携・協働は不可欠である。しかしながら,必ずしも歯科医療従事者とその他の職種との連携は十分といえない。そこで「地域における顔の見える連携の構築」を目指して,「口腔ケアネットワーク(三島)」を立ち上げた。現在まで 2 回のシンポジウムを含む研修会を定期的に開催している。平成 24 年 10 月 20 日に開催した地域連携シンポジウムを通じて,患者や家族の思いをとらえ,情報と目的意識を共有して見守っていくことが関わる専門職の責務であり,地域の力になることを提言した。