著者
羽賀 賢二
出版者
九州大学大学院言語文化研究院
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
no.25, pp.65-90, 2010

本論文は、Guillaume Du Vair(1556年3月7日- 1621年8月3日)の哲学思想上の主著とみなされている『恒心論』を、その成立前後にDu Vair が置かれていた政治的・社会的状況、特に1590年のパリ包囲戦とのかかわりにおいて論ずるものである。 本論文で『恒心論』と訳した作品は、De la Constance et Consolation ès Calmités publiques をその原題とする。直訳すれば『社会的厄災における恒心と慰めについて』となるが、簡便を期して以下『恒心論』と呼ぶ。テキストとしては、2種類のDu Vair 著作集(注1)に収められているものを対照して使用した。両者に実質的な差異はない。
著者
羽賀 賢二
出版者
九州大学大学院言語文化研究院
雑誌
言語文化論究 (ISSN:13410032)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.85-105, 2011-02-07

論者は、拙論「1590年のパリ包囲戦とGuillaume Du Vair の『恒心論』 : 新ストア主義をめぐって」(九州大学言語文化研究院「言語文化論究」No.25)において、Du Vair のこの著作に直接影響を与えた作品として、Justus Lipsius(1547-1606)の『恒心論2巻De Constantia Libri Duo』を挙げたが、紙幅の都合上、詳しく論じ得なかった。この小論は、Lipsius の『恒心論』を分析し、特にその中におけるストア主義思想について考察するものである。