著者
薩 秀夫 清水 誠
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.39-41, 2015 (Released:2019-10-01)

筆者らのグループでは、腸管とタウリンの相互作用について研究を進めてきた。腸管上皮モデル細胞を用いて、腸管上皮におけるタウリンの吸収に関わるタウリントランスポーター(TAUT; SLC6A6)の特性ならびに各種要因によるTAUT 制御・調節について明らかにしてきた。またタウリンが腸管上皮モデル細胞と活性化マクロファージモデル細胞を用いたin vitro 炎症モデル系において抗炎症作用を示すことが見出され、実際にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導大腸炎モデルマウスを用いたin vivo モデル系においてもタウリンは大腸炎を軽減することを明らかにした。これよりタウリンは、腸管においてTAUT を介して吸収されるとともに大腸炎を改善することが示唆された。
著者
薩 秀夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.273-281, 2007-04-01
参考文献数
70
被引用文献数
2 3
著者
清水 誠 薩 秀夫
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.555-563, 2004-11-20 (Released:2017-10-10)
参考文献数
36

食品中の栄養素や機能性成分が体内に吸収される場として小腸上皮はもっとも重要である. 小腸における吸収(物質輸送)の効率を変化させれば, 体内に入る栄養素の量をコントロールすることができる. 近年開発が急速に進んでいる特定保健用食品の中には, 腸管における栄養素吸収を制御することを主要なメカニズムとする製品も多い. 糖の消化吸収を抑え血糖値の上昇を抑制する食品, コレステロールの吸収を抑えて血清コレステロールレベルを制御する食品, 中性脂肪の消化吸収を抑えて肥満を予防しようという食品, ミネラルの腸管吸収を促進する食品など, 腸管における栄養素の消化吸収を制御することは, 生活習慣病の予防のための簡単でかつ実効性の高い戦略と認識され, 利用されている. また, 腸管上皮は食品成分をはじめとする腸管内容物と直接接触する組織であり, 食品成分の影響を受けやすい組織でもあると推定される. 物質の吸収のみならず, 食品成分が持つさまざまな情報を受容し, それに応答する組織としても腸管上皮は興味深い.
著者
薩 秀夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.273-281, 2007-04-01 (Released:2009-05-25)
参考文献数
71
被引用文献数
4 3
著者
薩 秀夫 権藤 祐輔 和多利 研二 清水 誠
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.39-41, 2017 (Released:2019-11-11)

著者らはこれまで腸管とタウリンの相互作用につ いて研究を進め、腸管上皮モデル細胞を用いてタウ リンの腸管吸収に関わるタウリントランスポーター (TAUT)の特性・制御を明らかにするとともに、腸炎 症に対するタウリンの予防・軽減作用を報告してき た。本研究ではタウリンの遺伝子レベルでの作用機 序を明らかにすることを目的とし、タウリンがヒト 腸管上皮モデル細胞における遺伝子発現全般に対す る作用を、DNAマイクロアレイを用いて解析した。 その結果、タウリンは thioredoxin interacting protein(TXNIP)の mRNA発現を顕著に亢進する ことが見出され、さらに TXNIP のタンパク質レベ ルでの発現亢進も確認された。また TAUT の基質で あるβ-アラニンやGABAはTXNIPのmRNA発現 に影響を与えなかったことから、タウリンによる TXNIP 発現亢進はタウリンの構造に極めて選択的 であることが示唆された。さらにタウリンは TXNIP のプロモーター活性を亢進することが明らかとなり、 これよりタウリンは転写レベルで TXNIP の発現を 亢進することが示唆された。