著者
藤沼 宏彰 星野 武彦 吉田 忍 熱海 真希子 山崎 俊朗 清野 弘明 菊池 宏明 阿部 隆三
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.821-826, 2000-09-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8

中高年層で広く実施されているゴルフ練習の, 糖尿病運動療法としての有効性について検討した. 男性2型糖尿病患者18例を対象に2つの調査を行った (調査1: 9例, 調査2: 9例), 調査1では練習場でのショットを実施して心拍数, 血圧, 血糖変動を測定し, 無酸素性作業閾値に相当する心拍数を強度の指標にした自転車運動と比較した. 調査2は研究室内で回転式の練習機によるショットを実施し, 酸素消費量を測定して自転車運動と比較した、ゴルフ練習中の心拍数は無酸素性作業閾値に相当する心拍数を超える者が多かった. しかし, 予測最大心拍数の74.6%と, 糖尿病運動療法に対する運動強度として適度な範囲にあった. ゴルフ練習直後の血圧は自転車運動中の血圧よりも低い傾向にあった. ゴルフ練習は自転車運動と同様に, 昼食後1時間から1時間30分にかけての血糖上昇を抑制したが, 運動終了30分後のリバウンドは大きい傾向にあった. ゴルフ練習の酸素消費量は, ピッチングショット時には自転車運動より少なかったが, ウッドでのショット時には自転車運動と同様の値を示した, 酸素消費量から推定した総工ネルギー消費量は自転車運動と同様であった.これらのことからゴルフの運動の糖尿病運動療法としての有効性が示唆された.
著者
藤沼 宏彰
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, 2008-02-01
被引用文献数
1

糖尿病は生活習慣病であり,食習慣や運動習慣の偏りが発症の原因となる.すなわち,過食や運動不足による肥満,特に内臓肥満が発症・増悪の根底にあり,予防や治療のためにはその改善が求められる.このため,運動療法は食事療法とともに糖尿病治療の基本とされ,その効果も広く認識されつつある.しかし,生活習慣を変えるということは容易なことではない.歩くより車に乗るほうが楽であり,空調の効いた室内で大型TVを見るのは暑い屋外を動き回るより快適である.このような楽で快適な生活に慣れ親しんだ方たちに,運動を習慣化していただくには大きな動機付けが必要となる.そのためには先ず運動の効果を理解していただくことが重要となる.