著者
國方 淳 十河 智昭 谷川 雅俊 横井 英人
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.319-329, 2020-06-26 (Released:2021-07-28)
参考文献数
13

近年,多くのサービスやアプリケーションにおいて,それらの機能を外部から利用する際にWeb APIが用いられている.Web APIは汎用的なHTTPプロトコルによってリクエストした結果をJSONなどの処理しやすい形のレスポンスデータとして返すことにより,柔軟なデータ処理を可能としている.この仕組みは電子カルテからのデータの取得においても有用であり,HL7 FHIRやopenEHRなどの標準規格においてもデータの送受信のインターフェースとして採用されている.しかし,当院の電子カルテシステム上ではこれらの標準規格のAPIを利用できる状況になく,また比較的単純なシステム連携を行う上ではこれらの標準規格の仕様は過大であり,個々の医療機関が独自に実装するのは現実的ではない. そこで,今回われわれは当院の電子カルテからデータを取得するためのシンプルな構成のWeb APIの構築を試みた.その結果,Webサーバ上にAPIを構築することで,電子カルテシステム本体には改修を加えることなく電子カルテのデータを汎用的なHTTPリクエストで取得することが可能となり,また実証実験ではいくつかのWebアプリケーションと連携し実運用で利用することができた.Web APIはデータ交換のインターフェースとして非常に有用であり,今後の電子カルテには標準規格のWeb APIの実装とともに,ユーザの裁量でWeb APIで取得するデータを指定できる機能の提供が望まれる.
著者
川俣 茂 長谷川 雅俊
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.69-79, 2006-07-15 (Released:2017-09-01)
参考文献数
37
被引用文献数
5

Laboratory experiments were conducted to evaluate the effects of wave-induced oscillatory flow and temperature on feeding by the rabbitfish Siganus fuscescens on the kelp Ecklonia cava or Eisenia bicyclis. With a constant temperature of 20℃, feeding rates were very low from July to August and then increased until November. When feeding activity was highest, oscillating flow reduced feeding to 50% at the velocity amplitude of l.lm/s and to nil at ca 1.5m/s. An experiment with variable temperatures showed that temperature threshold for initiating feeding on kelp were variable with time, from 23℃ in late July to 17℃ in early November. Once reached maximal, feeding rate remained high until temperature was lower than 19℃ and then decreases to zero at 16℃. Contrary to expectations, the experimental results and wave-induced water velocity predictions lead to the conclusion that destructive feeding by S. fuscescens on kelp is very unlikely to be inhibited by waves on the Pacific coast of central Honshu, requiring further studies of the feeding ecology of S. fuscescens.
著者
長谷川雅俊
出版者
静岡県水産試験場
雑誌
静岡県水産試験場研究報告 = Bulletin of the Shizuoka Prefectural Fisheries Experiment Station (ISSN:03863484)
巻号頁・発行日
no.38, pp.19-25, 2003-10
被引用文献数
25 32

カジメ移植試験の結果とサガラメ群落衰退の観察から榛南海域での磯焼けの持続要因を検討した。1)坂井平田沖で実施したカジメ移植試験では、夏から冬にかけて着生数の減少と葉部の消失が生じた。2)カジメ移植試験の夏から冬にかけての残存個体の葉部には弧状の欠損部がみられ、アイゴの採食痕と一致した。また、残存個体の形態もアイゴの食害にあったカジメの形状に一致したことや1999年8月にはアイゴがカジメを採食しているのを観察したことから、アイゴの食害が葉部消失の主因と考えられた。3)安定して維持されてきた御前崎ホテル前のサガラメ群落では1999年10月8日-11月5日の間に大半のサガラメ成体の葉部が消失した。4)残存したサガラメ個体の葉部の弧状の欠損部と門歯状歯の跡はアイゴの採食痕と一致した。5)当海域では磯焼けの持続にアイゴが関与しているのみならず、磯焼けが進行した海域で残された群落の衰退にもアイゴが深く関与していると推察された。
著者
谷川 雅俊 飯塚 智子 松本 卓之 岩下 美喜雄 平松 且稔 小宮 雅弘
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.251-258, 2008 (Released:2015-03-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

医薬品の使用成績調査での電子的症例データ収集システムの運用において,電子的調査票と紙調査票を併用して実施した場合の各調査票の収集方式による,①医療機関との契約開始日から調査票入手までの期間,②調査票の入手から調査票の再調査依頼までの期間,③調査票の再調査に要した期間,④調査票の入手から調査票の再調査が不要となるまでの期間,⑤医療機関との契約開始日から調査票確定までの全期間,⑥再調査率(再調査実施調査票数/全収集調査票数)および⑦1調査票当たりの平均再調査項目数について比較した.その結果,上記の①~④の各期間はいずれも電子的調査票方式が紙調査票方式より短縮された.また,⑥は,電子的調査票方式の37.8%に対し,紙調査票方式が75.8%,⑦は,全入力項目数92項目のうち電子的調査票方式が1.5項目に対し,紙調査票方式が8.5項目と電子的調査票方式が紙調査票方式に比べ再調査率および再調査項目数ともに低かった.以上の結果から,使用成績調査における電子的症例データ収集システムによる電子的調査票方式の活用によって,紙調査票方式に比べ,収集された症例データの確認に要する期間の短縮が図られ,より効率的に症例データを収集できることが示唆された.
著者
早川 晶子 阿部 研自 谷川 雅俊 高橋 周美 内田 安彦 奥谷 幸裕
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.721-733, 2012-11-25
被引用文献数
1

Perflubutane(以下,sonazoid<sup>®</sup>)による造影超音波ガイド下にて肝腫瘍にラジオ波焼灼療法(以下,RFA)を施行した症例(以下,SZ群)328例とsonazoid<sup>®</sup>を使用せずRFAを施行した症例(以下,C群)340例の2群の特定使用成績調査を実施し,sonazoid<sup>®</sup>による造影超音波ガイド下におけるRFA時の安全性,有効性を検討した.有害事象はSZ群67.1%,C群69.3%であり,その種類および頻度に差は認められなかった.副作用はSZ群に1例(悪心,嘔吐)認められた(0.3%).SZ群のRFAガイドとしての総合評価(有効率)は90.9%,造影前後の病変視認性向上率は75.0%であり,Bモードの病変視認性が明瞭でない症例のRFA成功率は,SZ群でC群より有意に高かった(<i>P</i><0.001).sonazoid<sup>®</sup>は,肝腫瘍のRFAガイドとして安全かつ有効に使用可能であり,造影による病変視認性向上はRFA成功率にも寄与することが示唆された.<br>