著者
服部 健一 谷野 幸雄
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.55-58, 1963
被引用文献数
1 10

本品は重要な分散剤であるがその基礎的知見に乏しく分散機構,水溶液の性質に至っては全然知られていない。また成分についても多くの成書が2核体として取扱っているが,はたして2核体が主成分とみなせるかどうかは疑わしい。当然その多分子性,高分子性が分散性と密接な関係があるものと予想されるので,この組成,構造を明らかにすることは分散性を解明する上に重要な問題と考えられる。組成を明らかにするため先ず精製β-ナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物ナトリウム塩を合成し,ペーパークロマトグラフィーによって<I>Rf</I>を異にする9個のスポットに分けた。おのおのスポットの核数を決定するためZollingerの方法によってスルホクロリドにかえアセトフェノン中における氷点降下法によってその分子量を測定した。その結果Rfが小さくなるにつれ順次分子量は増加しており,それぞれ1,2,3,……9核体(原点)に相当することを確認した。同時に従来の2核体が主成分であるかのような取扱いは誤りであることが明らかになった