著者
山田 明子 栗原 琴美 立木 規与秀 重光 胤明 福家 顕宏 山口 利昌 山上 啓子 南 美枝子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1, pp.92-98, 2016-01-10 (Released:2017-01-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

症例は36歳,女性.発熱,嘔吐,下痢症状に続いて筋肉痛,四肢脱力が生じ,ショック状態となり,救急搬送.全身性浮腫と血液濃縮所見,低アルブミン血症,筋逸脱酵素の上昇を認め,血管透過性亢進による循環血漿量減少性ショック及び横紋筋融解症と診断した.大量補液とカテコラミン,アルブミン,ステロイドホルモンの投与を行い,病状は改善した.約3年前より程度の差はあるが,数カ月おきに同様のエピソードを繰り返していた.除外診断を行い,IgG-κ型のM蛋白血症を認めたことからSystemic capillary leak syndrome(SCLS)と診断した.
著者
田中 愛子 伊藤 賀敏 鶴岡 歩 波多野 麻衣 吉永 雄一 重光 胤明 澤野 宏隆 一柳 裕司 西野 正人 林 靖之 甲斐 達朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.88-92, 2013-01-15 (Released:2014-09-12)
参考文献数
9

近年,心臓震盪は子どもが突然死する原因の1つとして徐々に認識されてきた.輿水らの報告では,心臓震盪は胸郭のコンプライアンスが大きい若年者に多く,Maronらの報告や国内例ともに18歳以下に多くみられる.当施設では最近3年間で3例の心臓震盪を経験した.症例1:41歳,男性.日本拳法練習中に胸部打撲を受け,心肺停止となった.初期波形は心室細動(ventricular fibrillation;VF)であり,電気的除細動を含む蘇生処置を施行された.心肺停止17分後に心拍再開し,当施設に救急搬送された.搬送後も意識障害が遷延したため,脳低温療法を施行し,社会復帰を果たした.症例2:18歳,男性.フットサルの練習中,ボールを前胸部でトラップした際に倒れ,心肺停止となった.初期波形はVFであり,電気的除細動を含む蘇生処置された.心肺停止6分後に心拍再開し,社会復帰した.症例3:27歳,男性.柔道の試合中,相手ともつれ合い倒れて,心肺停止となった.初期波形はVFであり,電気的除細動を含む蘇生処置にて,心肺停止8分後に心拍再開し,社会復帰した.院外心肺停止のうち,心室細動に対しては,早期の電気的除細動が良好な神経学的転帰と関連しているといわれている.上記3症例からも,特にスポーツを行う場には自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)の普及が急務と考えられる.
著者
澤野 宏隆 重光 胤明 甲斐 達朗
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.52, no.March, pp.147-154, 2012-03-10 (Released:2012-03-10)
参考文献数
20
被引用文献数
11 4

要 旨:出血性ショックを伴った腹部内臓動脈瘤破裂12症例の治療について検討した。破裂動脈瘤部位は膵十二指腸動脈6例,結腸動脈2例,脾動脈2例,腎動脈1例,胃十二指腸動脈1例であった。輸液や輸血を含めた初期治療を行い,全例で造影CTと血管造影を施行した。治療はIVR(interventional radiology)を10例で,緊急開腹手術を2例で施行して全例を救命しえた。IVRは低侵襲でショック症例に対しても有効であるが,治療困難な症例では時期を逸せずに外科手術を検討することが必要である。