著者
長谷川 政春
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.53-61, 1989

『古事記』が語るヤマトタケル伝承のうちに、双生児という二個体における分身関係と両性具有の少年英雄という一個体内における分身構造との、原型的な<分身>の在りようを確認し、それが物語文学の上で展開されている様相を論じた。『石清水物語』における男色関係や主従関係、また『源氏物語』における乳母子の存在などから語り手の構造へ。『虫愛づる姫君』や『貝合』の女主人公たちの両性具有性と<分身>の問題に言及した。