- 著者
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川崎 浩二
高木 興氏
飯島 洋一
- 出版者
- 長崎大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1998
目的:1)小・中・高校生における顎関節症状の実態を明らかにする。2)生活習慣・習癖などの諸要因と顎関節症症状との関連性を明らかにする。3)定期的な習慣習癖の改善を目的としたカウンセリング等の指導によって,顎関節症状がどのように改善するかを把握する。調査対象と方法:1)長崎市内の小・中・高校生4502名を対象に,Helkimoの顎関節問診をベースにして習癖の実態も含めたアンケートを実施した。2)中・高校生を対象に実施した顎関節症の7自覚症状ならびに習癖等に関するアンケートから,各自覚症状の有無を目的変数に習癖等の18項目を説明変数として多重ロジスティック分析を用いて自覚症状に関わる要因分析をおこなった。3)某女子中学校生徒全員291名を対象に,4月に顎関節に関するアンケートを実施し,自覚症状を有する合計53名に対して7月,10月,2月の年3回,顎関節に関する保健指導を実施しながら,症状の経過を経時的に評価した。結果:1)顎関節に自覚症状を有している者の割合は,小学校低学年で3.5%,小学校高学年で7.7%,中学生で19.8%,高校生で22.8%であった。2)顎関節症の7自覚症状のうち6つが「顎を動かして遊ぶ」という習癖と有意な関連が認められた。中学生においては4自覚症状が「くいしばり」と有意な関連が認められた。3)調査開始の4月における顎関節自覚症状を有する者の割合は中学1年生:13.1%,2年生:16.1%,3年生:29.3%であった。1年間の指導後の予後は治癒,改善,不変,進行の順で1年生:54.5%,27.3%,9.1%,9.1%,2年生:18.8%,62.5%,18.8%,0.0%,3年生:61.5%,15.4%,15.4%,7.7%であった。指導による治癒・改善率は約75%〜80%であった。