著者
内藤 明 老沼 正芳 酒井 清孝 渡辺 哲夫 今村 和夫 鶴見 隆 須磨 靖徳
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.65-68, 1988-02-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
5

透析中に体内電解質の移動を制御する方法の一つとして透析膜に荷電を付加することが有効と考えられる。本報では、血液透析膜を用いて、無機リンおよびナトリウムイオンの膜透過性、無機リンの溶質透過性. 膜表面電位(ζ電位)を測定し膜透過性と膜表面電位の関係を検討した。ζ電位は湿潤状態の中空糸透析膜1本について、流動電位測定装置を用いて中空糸内にKCi水溶液を圧入して測定した。無機リンの溶質透過係数は放射性同位元素で標識した32P-Na2HPO4 (5μCi/ml)の水溶液を中空糸透析膜1本に充填して一席時間透析を行い、中空糸内部の残存溶質濃度を測定して算出した。再生セルロース膜では、無機リンの総括物質移動係数および無機リンの溶質透過係数Pmに及ぼすζ電位の影響はない。PMMA膜では、ζ電位が無機リンおよびナトリウムイオンの総括物質移動係数および無機リンの溶質透過係数Pmに影響を及ぼしている。
著者
副島 健市 小柳 仁 吉田 翼 有岡 孝則 大内 田明
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.1782-1784, 1985

開心術を行なう際, 人工心肺回路にopen circuitを用いるかぎり, つねに空気塞栓の危険を伴ってくる. 空気塞栓予防対策は, 以前より種々の方法があるが, それぞれ一長一短があった. 今回われわれは超音波を用い, 貯血槽の液面を感知するレベル・センサーを試作したので, 使用経験を報告する. 装置はWilliam Harvey (WH) 1300, 1500用として, 液面に対し直下より垂直方向に用いるものと, WH 1700用として, 液面に平行して横から用いる, 2種類を試作した. いずれも液面の低下を警報で知らせ, さらに危険域まで低下すれば, 警報と同時に, 送血ポンプの非常停止を行なう. 本装置はノイズ対策が十分で, また光や静電気などで誤作動する心配がなく, 確実に作動するため, きわめて有用であった.
著者
小西 淳 後藤 彰久 大崎 健一 小出 幹夫
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.155-158, 1989
被引用文献数
24

酵素処理して抗原決定基(テロペプチド)が除去されたアテロコラーゲン(AC)をベースに、AC溶液を37℃で4時間中和処理した線維化アテロコラーゲン(FC)、及びAC溶液を60℃で30分加熱処理した熱変性アテロコラーゲン(HAC)の適宜組合せによるマトリックスに各種の架橋処理を施した材料を作製し、物理的・生化学的及び組織学的に検討した。熱脱水架橋(DHT)を短時間施したFC-HACマトリックスをラットの背部皮下に埋入した結果、埋入3日目では検体は良く膨潤し、早くも線維芽細胞の侵入を認め、1~2週間目では摺曲状の「疑似真皮」様組織を形成したのに対し、FC単独や化学的な架橋を施したマトリックスには初期に好中球やマクロファージなどの炎症性の細胞の浸潤が多く認められた。FC-HACマトリックスは異物反応を励起せぬままそれ自身が真皮に類似した組織に変化しており、浸潤した好中球がきわめて自然に線維芽細胞に置き換わったためと考えられた。
著者
川島 司郎 仲野 領二郎 船橋 直樹 水野 雅夫 三浦 信彦 三戸部 京子 金田 朋子 池亀 守
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.1271-1274, 1982

少ない血流量で、効率のよい膜血漿分離をおこなうことを目的として前希釈血漿分離法(Pre-diluted Plasma Pheresis, 以下PDPP)を考案し、臨床応用を試みた。悪性関節リウマチの56才男子症例にPDPPを計6回施行した。いずれの場合も、左、右前腕皮静脈をそれぞれ動、静脈側として血流を得た。<br>毎分70mlの血流量に毎分30mlのハルトマン液を注入して血液を希釈し、希釈血流量の100ml/分によりPFO-02を使用して血漿分離をおこなった。第3回のPDPP前後における血液検査成績では、IgG, A, Mはいずれも前値の50%以下に低下し、RAHAは10240倍から2560倍へ、ANAも16倍から4倍へと低下し、臨床的にも自、他覚所見が改善した。また、IgMの篩分け効率、濾過効率は60分後でも低下せず、膜の分離能がよく保たれていた。
著者
中島 淳博 福村 文雄 富永 隆治 久原 学 鐘ヶ江 靖夫 深江 宏治 宮本 和幸 安井 久喬 徳永 皓一
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.600-604, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
19

雑種成犬閉胸正常心モデル10頭に対し左心バイパスを行い, 左心補助(LHB)施行時に呼気終末陽圧呼吸(PEEP)が右心機能に及ぼす影響について検討を加えた. 0, 5, 10, 15cm水柱のPEEP負荷に伴い右室拡張末期圧の上昇, 右室拡張末期容積, 収縮末期容積の減少, 後負荷の上昇と心拍出量の低下が認められた. これらのPEEPによる血行動態の変化はLHB施行の有無にかかわらず同様であった. LHB on, offの比較では心拍出量はPEEP 0cm水柱時にはLHB on, offによる差は認めなかったが, PEEP 15cm水柱時にはLHB onによって肺動脈入力部抵抗の15%の上昇と共に(1968±736 dynes・sec・m2/cm5LHB off vs 2254±790dynes・sec・m2/cm5LHB on: p=0.056)心拍出量の20%の有意な低下を認めた. (1.07±0.45L/min, LHB off vs 0.86±0.34L/min, LHB on:p<0.05)PEEP負荷時には左心補助は心拍出量の低下をもたらす可能性が示唆された. よってLHB施行中にはPEEPの適用に対し, より慎重である必要があると考えられた.
著者
星野 修一 今井 康晴 石原 和明 沢渡 和男 竹内 敬昌 寺田 正次 三隅 寛恭 新岡 俊治 太田 淳 杉山 喜崇 大野 英昭 久保 英三
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.816-819, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

小児(15歳未満)における生体弁置換術の遠隔期成績, 特に弁機能不全につき検討した。1975年1月より78年12月までの4年間に当院で生体弁置換術を行った15歳未満症例中, 病院死亡を除く29症例, 30回の弁置換術症例を対象とした。平均手術時年齢は5.5±3.9歳であった。遠隔死亡は4例で, 実測生存率は82.2カ月で83.0±7.9%であった。人工弁合併症は, thromboembolismは1例(0.93%/patient-year), prosthetic valve endocarditisは2例(1.85%/p-y)であった。structural deteriorationは26例に認められ, 25例が再置換術を行った。再弁置換術は遠隔死亡4例を除く26例に, 術後14カ月から82カ月平均3年9カ月後に行われた。予測非再弁置換術の%Freedomは48カ月で52.3%に低下し, 82.2カ月で0%となり生存症例全例が再置換術を必要とし, 成人例に比し早期かつ高率であった。原因は1例は感染弁, 他の25例はstructural deteriorationであった。
著者
佐藤 眞明 吉田 哲矢 林辺 義人 紺野 進
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.639-642, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

大動脈内バルーンパンピング(以下IABP)が後負荷を減少させるのに対して, 遠心ポンプは前負荷を減少させ, また遠心ポンプの定常流はIABPにより拍動流化されるため, 両者の併用により相乗効果が得られる。1989年から1992年までの3年間に薬物療法およびIABPを用いても心肺離脱困難な10例に対して遠心ポンプを用いて補助循環を行った。補助循環の様式としては, 左心バイパス(以下LHB)が9例, 静―動脈バイパス(以下VAB)が1例であった。対象疾患は, LHBではA-Cバイパス術4例, A-Cバイパス術+大動脈弁置換術, 2弁置換術, 弓部大動脈置換術, 左室破裂および急性心筋梗塞はそれぞれ1例であり, VABでは再々大動脈弁置換術1例であった。LHBでは, 9例中3例が補助循環より離脱でき, そのうち2例が長期生存している。VABでは1例中1例が補助循環より離脱し, 長期生存している。
著者
合田 俊宏 大場 淳一 安田 慶秀 田辺 達三
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.807-810, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

AS症例におけるAVR後の心機能を使用弁サイズ毎に検討した。対象は成人AS症例30例で, 年齢は15~87(平均56.5)歳であった。使用したSJM弁は19mm:11例, 21mm:11例, 23mm:7例, 25mm:1例で, 2例に弁輪拡大術を, 1例にパッチ拡大術を合併施行した。術後の心エコー及び心カテーテルの計測値を19mm, 21mm, 23mm, 25mm弁の順に示す。LV-Ao圧較差(mmHg)は35.5±10, 26±11, 14±6, 10と19mmvs23mm(p<0.01), 21mmvs23mm(p<0.05)で有意差があった。FS(%)は29.9±5.5, 33.2±5.5, 31.9±4.0, 35.2と各群共, 術前より改善し各群間の差はなかった。ESWS (kdynes/cm2)は84.2±16.2, 81.4±20.4, 90.2±14.8, 76.6と術前より有意に低下し各群間に差はなかった。CI, PAWPには各群間に差はなかった。NYHA心機能分類では術前平均3.0から術後1.3へ改善し, 19mmと21mmでも同様に改善していた。BSA<1.5m2の症例では19mm弁で充分な心機能と臨床症状の改善を得た。
著者
高味 良行 有木 弘 宮田 義弥 大宮 孝 石原 智嘉 伊藤 敏明
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.785-788, 1993-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

大動脈弁置換術後65症例に連続波およびパルスドップラー心エコー法を施行し、大動脈弁位人工弁の評価法としての連続の式を用いた指標:有効弁口面積(EOA), Doppler velocity index(DVI=V 1max/V 2max), 大動脈弁狭窄率(aortic stenotic ratio(ASR)=EOA/LVOTA=V1 flow integral/V2 flow integral)の有用性について、Bernoulliの式を用いた圧較差(maxPG)と比較し検討した。(1) maxPG, EOAは、弁のサイズに強く影響され、DVI, ASRは、弁のサイズと無関係であった。(2) EOA, DVI, ASRは、maxPGと有意に負の相関を示した。(3) 種々の理由で人工弁を通過する血流量が少ないために、lnaxPGが低く算出され、連続の式の指標との間で不一致を示す例で、人工弁の開放角の低下が示された。(4) 人工弁の機能異常を示唆する指標として、DVI<0.25, ASR<0.27が得られた。以上より大動脈弁位人工弁の機能評価には、影響因子が多いInaxPGよりも、連続の式を用いたDVI, ASRが簡便かつ有用と考えられた。
著者
野間 美緒 佐藤 雅人 阿部 正一 軸屋 智昭 厚美 直孝 寺田 康 榊原 謙 三井 利夫
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.216-220, 1994
被引用文献数
3

1976~1992年の16年間に本院で植込まれたペースメーカー328個(新規および交換)のうち6症例(1.8%)に感染が発生した。このうち3例はジェネレーターおよび電極の完全除去(うち1例は体外循環下に遺残電極を除去した)を, 3例は電極の一部を体内に遺残する部分除去を行い,いずれもその後感染徴候を示さずに経過している。ペースメーカー感染症では, 異物であるジェネレーターと電極両方の完全除去が治療の原則である。しかし, self anchor機構のついた心内膜電極の普及により, 電極の完全除去は必ずしも容易ではなく, その除去にはかなり大きな侵襲を要することもある。我々は, まず異物の完全除去を試み, 電極の除去の困難な症例に対しては部分除去を行い, 部分除去で治癒し得ない場合にはさらに侵襲を加え, 完全除去を行っている。このように段階的に治療を進めることにより, より確実に, 安全に治療することを目指している。

1 0 0 0 OA 人工弁

著者
徳永 滋彦 富永 隆治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.130-138, 2008-12-15 (Released:2009-07-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1 2
著者
朝倉 文夫 滝 和郎
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.54-57, 2009-06-15 (Released:2009-10-15)
参考文献数
33
被引用文献数
2