著者
長内 優樹 内間 望 オサナイ ユキ ウチマ ノゾミ
出版者
神奈川大学経営学部
雑誌
国際経営論集 = International Management Review (ISSN:09157611)
巻号頁・発行日
no.62, pp.167-172, 2021-10-31

現在、日本の心理学において質問紙調査法は、実験法よりも多く用いられている。質問紙調査法において、研究参加者の負担の軽減は、研究者が遵守すべき倫理的配慮の代表的な事項といえる。そこで本研究では、典型的な質問調査法の実施(N=403)の際に、「あなたが考える改善案」として、回答の負担に関する事項を間接的に把握するための質問項目を設けた。本研究で、この質問項目への回答を分析した。その結果、「質問項目数が多い」「意味的に重複する項目が多い」といった回答が多くみられた。これは、質問紙調査における心理尺度の構成においては、ある程度は必要条件とされるものであるが、心理学専攻の研究参加者においても同様の回答傾向がみられた。こうした結果は、学術上は正統とされる質問紙調査法についての論理と、研究参加者が回答時に容認可能な調査の形式(本研究では、質問紙調査に対するしろうと理論と呼ぶ)に隔たりがあることを示唆している。研究ノート