著者
高島 郁夫
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.97-99, 2002-12-26 (Released:2010-05-31)
参考文献数
3
著者
森川 茂
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.142-143, 2013-12-20 (Released:2014-07-01)
著者
佐藤 克 村中 志朗 増川 洋史 杉山 和寿 小林 元郎 今林 徹 南 尚人 渡辺 智之 鈴木 綾香 重松 美加 井上 智
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.33-34, 2011-07-20 (Released:2013-01-04)

Overseas, the surveillance on companion animals have been reported by "NASPHV (National Association of State Public Health Veterinarians)", "CCWHC (Canadian Cooperative Wildlife Health Centre)", "ECDC-EFSA (European Center for Disease Prevention and Control - European Food Safety Authority)", "CSVID (Chilean Society of Veterinary Infectious Diseases)". According to pet boom in Japan, the disease surveillance of pets utilized IT (information technology) becomes available by spreading of "insurance-for-pets" and Electric Health Record in animal hospitals. We report challenges and results of new pet-surveillance by using of clinical data in animal hospitals. Clinical data of companion animals were analyzed by using cloud computing and electrical patient records without personal identifiers. Analyzed history, profile and clinical information of cases were rapidly feedback to veterinary surgeons in automated fashion from the system. The surveillance is designed with intention to answer some questions of the transmission routes of zoonotic diseases. Cloud computing combined with electrical patient records provided environment for easy daily operation with automated real-time feedback of data collation and limited descriptive analysis as additional advantage. Public and animal health epidemiologist may be able to provide further time trend, statistical, and geo-spatial analysis using with whole or subsets of this readily available database. Together the surveillance will improve understanding of pet animal health in the community and transmission of zoonosis in between human and animal.
著者
高梨 ありこ 纐纈 雄三
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.10-14, 2011-07

本研究は、低生涯生産性を示す母豚(LE母豚)に関連する要因の探査を目的とした。要因は、初交配日齢(AFM)、産次0の種付け回数、産次1の生存産子数(PBA)とした。本研究では、101農場における2001-2003年に導入された34,728頭の分娩記録を用いた。LE母豚は、年間化生涯PBAの下位25パーセンタイルを持つ母豚と定義した。AFMは151-209日、210-230日、231-251日、252-272日、273-293日、294-365日の6グループに分類した。産次1のPBAは≦7頭、8-11頭、≧12頭の3グループに分類した。産次0の種付け回数は、初回種付けと再種付けに分類した。統計分析には混合効果モデルを用いた。母豚のAFMが151-209日から294-365日に上がるにつれ、LE母豚になる割合は、18.7%から37.3%に増加した(p<0.05)。再種付け未経産豚は、初回種付けと比べて、LE母豚になる割合が10.3%高かった(P<0.05)。産次1のPBAが≦7頭の母豚は、8-11頭と≧12頭の母豚と比べて、LE母豚になる割合がそれぞれ19.4%と28.5%高かった(P<0.05)。結論として、LE母豚になる割合を減らすためには、成熟した未経産豚における早い日齢での初交配、再種付け未経産豚割合を減少させること、そして産次1におけるPBAを増やすことが推奨される。
著者
森川 茂
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.76-77, 2010

エボラ出血熱は、1976年にアフリカのスーダンとザイール(現コンゴ民主共和国)で初めて大流行したウイルス性出血熱で、原因ウイルスの名称はザイールのエボラ川に由来する。エボラウイルスは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)で特定1種病原体に指定されているため、日本でのウイルスの取扱いはBSL4となる。エボラウイルスと近縁なマールブルグウイルスは、ウイルス感染サルを介してヒトへ感染することが多いため、平成12年から動物検疫所により輸入サルの検疫が行われている。また、感染症新法で、獣医師はエボラ出血熱・マールブルグ病等に感染または感染した疑いがあると診断したときは、都道府県知事に届ける義務がある。これまで、エボラウイルスの感染はヒトや霊長類とアフリカの一部のレイヨウ類に限られていたが、近年フィリピンの豚飼育施設でレストンエボラウイルスの豚への感染が確認された。また、ザイールエボラウイルスとマールブルグウイルスの自然宿主がオオコウモリであることが明らかになった。
著者
大西 守 澤田 拓士 原田 和記 江嵜 英剛 志村 圭子 丸茂 健治 高橋 敏雄
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.142-147, 2012
被引用文献数
2

本研究の目的は日本の乳牛における乳房炎に関与するCTX-M型 <I>β</I>-ラクタマーゼ(CTX-M)産生<I>Enterobacteriaceae</I>の存在を明らかにすることと,その乳房炎罹患牛の臨床経過を調査することである。2006年の8月から2007年1月に北海道根室支庁の1,000酪農場で発生した20,194頭の乳房炎牛の30,237検体の分房乳から分離した51株のセファゾリン耐性のオキシダーゼ陰性・グラム陰性桿菌株をClinical Laboratory Standards Institute(CLSI)標準のコンビネーションディスク法による基質拡張型 <I>β</I>-ラクタマーゼ (ESBLs) 確認テストを用いてスクリーニングした。ESBLs確認テスト陽性株はPCRとDNAシークエンスによりCTX-M-,TEM-,SHV-型 <I>β</I>-ラクタマーゼの遺伝子型別を行った。また21の抗菌薬の最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。2農場における2頭の乳房炎罹患牛の3つの分房から3株のCTX-M-2産生<I>Klebsiella pneumoniae</I>を分離同定した。1頭の乳牛は全身症状のない軽症の急性臨床型乳房炎(ブツを含む軽症の水様乳汁,分房の軽度の腫脹と熱感・硬結)を表し,診断後4週間で軽快した。他の1頭の乳牛は全身症状を伴う重症の急性臨床型乳房炎を表し,診断後10週間で軽快した。これらの分離株はアンピシリ,セファゾリン,セフロキシム,セフォタキシム,セフトリアキソン,セフポドキシム,セフチオフル,セフキノム,カナマイシン,オキシテトラサイクリンには耐性を表した。一方,セフタジジム,セフメタゾール,モクサラクタム,イミペネム,アズトレオナム,ゲンタマイシン,トリメトプリム/スルファメトキサゾール,エンロフロキサシンには感性であった。本研究は日本における牛乳房炎に関与するCTX-M産生<I>K. pneumoniae</I>分離株についての初報告である。
著者
榎田 将司 纐纈 雄三
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.32-38, 2011-07

本研究の目的は間隙方向が雌豚に対して縦(PRL)または横(PPD)であるすのこ床で飼育されている妊娠豚の蹄損傷、行動、繁殖成績を比較することであった。2008年に繁殖一貫経営農場に3回訪問し、雌豚の後肢蹄と行動を観察した。全ての雌豚はPRLまたはPPDであるコンクリートすのこ床があるストールで飼育され、両床面は同じ豚舎に混在した。蹄損傷は5段階のスコアを用い、後肢8つの蹄、それぞれ6部位と蹄球肥大を記録した。4つの蹄損傷の測定値として、雌豚の合計スコア(TCLS)、部位のTCLS、雌豚の最高スコア(HCLS)、部位のHCLSを用いた。雌豚のTCLSは全部位のスコアの合計、部位のTCLSは部位毎のスコアの合計とした。雌豚のHCLSは全部位中最も高いスコア、部位のHCLSは各部位で最も高いスコアとした。比較のために統計分析として混合効果モデルを用いた。雌豚162頭の平均TCLS(±SEM)は9.5±0.44、雌豚のHCLS0、1、2、3、4の割合はそれぞれ1.2%、39.4%、54.5%、4.3%、0.6%であった。PPDの床面で飼育された雌豚は、PRLよりも蹄球のTCLSが高かった(P<0.05)。すのこ床の間隙方向は、他の部位および雌豚のTCLSとは関連がなかった。PPDの床面で飼育された雌豚は、PRLよりも蹄壁と蹄球におけるHCLS≧1の割合が高かった(P<0.05)。すのこ床の間隙方向とHCLS≧2と≧3の割合は他の部位において関連はなかった。すのこ床の間隙方向と行動、繁殖成績は関連がなかった。結論として、PPDの床面は妊娠豚の表皮における蹄損傷に関連したが、行動と繁殖成績に関連がなかった。
著者
岡部 信彦
出版者
The Japan Society of Veterinary Epidemiology
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-3, 2010

20世紀に3回,通常の流行を超える大規模なインフルエンザの発生があったが,1968年の香港型インフルエンザの登場以来40年間,人類は通常と異なるインフルエンザの来襲は受けてこなかった。そこで新たなインフルエンザの地球規模での流行(パンデミック)への備えが,ここ数年,大きな関心を持って世界中ですすめられてきた。パンデミック対策の基本は,出来るだけ新たなウイルスの発祥を遅くし,発祥した場合には疾病の拡大を遅らせ,また拡大した場合には健康被害と社会の混乱を出来るだけ少なくするところにある。その対策は,医学・医療の分野だけではなく,公衆衛生的対応,そして社会における理解と取り組み,そしてこれらの組み合わせが必要である。さらに,これらの対策は新型インフルエンザ対策だけのためだけではなく,その他の新たな感染症あるいは既存の感染症のアウトブレイクへの対応に応用が可能であり,感染症対策全体の底上げとなるものである。<BR>そのような中,今回メキシコにおいてこれまでに人類が経験したことがないインフルエンザウイルスが発生し,「新型インフルエンザ」とされた。このウイルスは北アメリカからヨーロッパ,アジア,そして南半球へと世界中に拡大した。わが国では,2009.5.9.に成田空港検疫で新型インフルエンザの患者が検知され,その後5.16.神戸市,ついで5.17.大阪府内での確定例の確認があり,兵庫県内,大阪府内の高校を中心にした集団感染が明らかとなった。地域での学校閉鎖や濃厚接触者に自宅待機を要請するなどの対策が行われ,そのために兵庫県内や大阪府内での一般社会への広がりはかなり抑えられた。しかし6月中旬頃から再び日本各地での発生が続き,8月頃に例年の12月のようなインフルエンザ様疾患の発生状況となり,10-11月に例年の冬のような様相となり,そして12月に入りようやく減少傾向となった。平成22年第4週における国内における累積患者数は推計約2000万人を超え,過去9シーズンのインフルエンザ(季節性インフルエンザ)の流行の最大であった2004/05シーズンの1800万人を超えたが,ピークの高さは季節性インフルエンザのそれを下回り過去9シーズンで第3位,流行期間も29週間と季節性インフルエンザより長引いた。<BR>新型インフルエンザ(パンデミック)の発生にあたって,その対策の主眼は「流行の侵入を出来るだけ遅くし,侵入した場合には流行が一気に広がることを防ぎピークが高くなることを抑える。その結果として流行が長引くことはあり得る」であったが,流行が沈静化してみると,結果としては当初目指したものに大分近づいているかのように思える。<BR>新型インフルエンザ患者の中には,重症肺炎や急性脳症発生例そして死亡例も発生している。しかし,わが国では推計される累計患者数2100万人(2010年13週)のなかで,厚生労働省に報告(2010.3.23まで)された死亡者数198人というのは,報告外の患者数が多数いるとは考えられるものの海外の多くの国に比して著しく少ない割合であり,人口10万対の死亡率は0.15であった。また,海外に比し妊婦の入院数,重症者が少ないのもわが国のユニークなところである。WHOからは妊婦の重症化などが警告され,わが国においても妊婦への新型インフルエンザワクチン接種は高い優先中と位置づけられたが,国内で妊婦の入院数は0.4%程度にすぎず,死亡例の報告もない。一方新型インフルエンザでも,わが国においては急性脳症がすくなからず発生しており,感染症法に基づいて届け出られたインフルエンザ脳症患者数は300例近くとなっている点は,重要視すべきところである。<BR>わが国における入院者や死亡者発生の状況,妊婦の入院率などは海外に比してかなり低くなっており,国際会議・国際学会などでも注目されているところである。これは決して自然にそうなったのではなく,臨床医・公衆衛生担当者など関係者の努力,そして一般の人々の新型インフルエンザに関する関心の高さは大きな影響を与えているのではないかと考えている。<BR>インフルエンザは,季節性インフルエンザであっても新型であっても,多くの人はほぼ自然に回復する。しかし膨大な人が毎シーズン発症している。罹患者が多くなれば,たとえその頻度は低くても重症者,合併症併発者,死亡者の数は増加する。殺到する軽~中等症患者の外来治療と,重症者を如何に速やかに救うかが,医療における大きな命題である。学校などにおいては,個人の回復・重症化予防と同時に,集団での感染拡大予防策もあわせて考慮しなくてはならない。(View PDF for the rest of the abstract.)
著者
蒔田 浩平
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.4-6, 2010-07-20 (Released:2011-01-20)
参考文献数
6

Epidemiology is the study of diseases in populations and factors associated with them, and quantitative analysis dominates it; however, such conventional methods have several limitations. It is too expensive in resource poor countries and qualitative (eg. anthropologic and sociologic) information necessary for effective and sustainable disease control cannot be obtained.Participatory epidemiology (PE) was developed to overcome above mentioned problems mainly in developing countries and has been used in the surveillance for important diseases such as rinderpest and avian influenza. The philosophy stands on the fact that traditional communities do have veterinary knowledge accumulated in thousands of years and the principles and methods are based on Participatory Rural Appraisal (PRA). Participatory methods are used to collect epidemiological information and/or to seek sustainable control options. The techniques used in PE are briefly introduced in this paper. Even in developed countries, considering current economic crisis, such low cost methods may be appreciated, and participatory methods can be applied for risk communication with consumers, formulating sustainable disease control options and improvement of veterinary communication at the farm level.
著者
山本 茂貴
出版者
The Japan Society of Veterinary Epidemiology
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.133-133, 2009

第15回カンピロバクター,ヘリコバクターおよび関連微生物に関する国際ワークショップ(CHRO2009)が平成21年9月2日から5日まで新潟県新潟市の朱鷺メッセで開催された。このワークショップは2年に1度開催され,世界各国から約600名のカンピロバクターおよびヘリコバクターの研究者が参加した。<BR>9月2日の夕方から学術総会長の山本達男新潟大学医学部教授の開会挨拶に続き,ヘリコバクターの発がん誘導における遺伝学的研究に関する基調講演が国立がんセンターの牛島俊和博士により行われた。つづいて,<I>cag</I>A遺伝子発見20年,CagA腫瘍誘導タンパク,カンピロバクターとギランバレー症候群に関する3題の特別講演が行われた。<BR>9月3日からは午前中に非定型CHROの命名に関する早朝講義,続いて,自然宿主におけるカンピロバクターとヘリコバクターの保菌状態,疫学と耐性菌,ヘリコバクターのワクチンに関して全体講演があった。午後からは,8つのセクションに分かれて口頭発表が行われた。それぞれのセクションは1.カンピロバクターの疫学,2と6.カンピロバクター病原性と遺伝学的研究(1)および(2),3.カンピロバクターの動物感染モデルと治療,4.ヘリコバクターの疫学,5.カンピロバクターの遺伝子型と薬剤耐性,7.カンピロバクターの予防,8.ヘリコバクターの病原性と遺伝学的研究があり,若手の研究者を含めて発表があった。夜は学会主催のディナーに先立ち,能を鑑賞した。<BR>9月4日はCHROの薬剤治療と薬剤耐性について早朝講義があり,続いて,カンピロバクターとヘリコバクターに分かれてシンポジウムが開催された。カンピロバクターシンポジウムの第1部はギランバレー症候群,第2部は病理発生,ヘリコバクターシンポジウムの第1部は感染メカニズム,第2部は臨床的話題に関してであった。午後は4つのセクションに分かれて口頭発表があり,テーマは9.カンピロバクターの予防(2),10.アーコバクター,11. CHROの病原性と薬剤耐性,12. CHROの動物感染モデルであった。<BR>そのあと,ノーベル賞受賞者のバリーマーシャル博士よる「ヘリコバクター・ピロリと胃癌」について特別講演が行われた。<BR>9月5日の最終日はCHROの遺伝子解析について早朝講義があり,続いて,ヘリコバクターと胃癌について2つのシンポジウムとカンピロバクターのリスクアセスメントおよび農場でのコントロールに関するシンポジウムが行われた。<BR>次回は2011年にカナダのバンクーバーで開催されることが決まった。
著者
西藤 岳彦 竹前 善洋 内田 裕子
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.71-75, 2009

2009年4月にメキシコで発生したインフルエンザの流行が豚インフルエンザウイルスの遺伝子再集合ウイルス(リアソータント)によるものであることが明らかになり,6月にはWHO(世界保健機関)も新型インフルエンザウイルスとしてパンデミックを宣言した。1997年にH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスによる人感染事例によって6人が死亡して以来,高病原性鳥インフルエンザウイルス(Highly Pathogenic Avian Influenza virus ; HPAIV)に対する注目が高まっていた中で起こった新型インフルエンザの流行によって動物のインフルエンザウイルスが人獣共通感染症として人類に与える脅威が改めて認識されたことと思われる。本稿では,動物,特に家畜(豚,馬,家禽)に存在するインフルエンザウイルスについて解説する。<BR>動物のインフルエンザはオルソミクソウイルス科(<I>Orthomyxoviridae</I>),インフルエンザウイルスA属(<I>Influenzavirus A</I>),インフルエンザA型ウイルス(<I>Influenza A virus</I>)によって引き起こされる。一方,人のインフルエンザは,インフルエンザA型,B型,C型ウイルスによるもので,それぞれの型はウイルスのNP(Nucleoprotein),M(Matrix)蛋白の抗原性によって区別される。
著者
鈴木 邦昭 Caballero Juan Alvarez Fredi FACCIOLI Maria GORETI Maria HERRERO Miguel PETRUCCELLI Miguel
出版者
The Japan Society of Veterinary Epidemiology
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.46-52, 2009

パラグアイ国における伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス対策に係るワクチン投与プログラムは,海外のワクチン製造業者により提供されたものをそのまま使用するのが一般的である。しかしながら,こうした投与プログラムは当該国における生産現場の実情ないし雛集団における母鶏由来の移行抗体保有状況に必ずしも即していない。本研究では,パラグアイ国のブロイラー鶏群に対する伝染性ファブリキウス嚢病ワクチンの至適投与時期を推定するために,当該移行抗体価の線形混合モデルへの適合を試みること,及び複数置かれた研究対象群ごとのワクチン至適投与時期の相違を比較検討することを目的とした。当該移行抗体価は,全14群,20羽ずつの雛を対象とし,それぞれ1,8,15及び30日齢時に採取した血清を用いて,ELISA法により測定した。移行抗体価の対数値を目的変数とする線形混合モデルの適合には,マルコフ連鎖モンテカルロ法を利用した確率論的推定を行った。これにより,参照群に対するワクチン至適投与時期及び他の群との当該時期(日数)の相違がそれぞれ推定された。孵化時における移行抗体価の対数値は平均12.35(95%ベイズ信用区間 : 12.16-12.53),移行抗体価の対数値についての半減期は3.7日(95%ベイズ信用区間 : 3.5-3.9)であった。調査地域で採用されている,ワクチンメーカーが推奨する抗体価125のワクチン至適投与日(8日令)よりも,本研究による推定至適投与日の方が最短でも約7日遅く,8日令での投与では残存する移行抗体によりワクチンが中和されてしまい十分な予防効果が得られない可能性が示唆された。本研究の結果は,研究対象地域における既存の伝染性ファブリキウス嚢病ワクチン投与プログラムの改善に資すると考えられる一方,各群間の当該時期の相違(最大でおよそ9日間の開き)を考慮すると,可能な限り雛の導入に際し移行抗体価を測定し,その都度ワクチン至適投与時期を推定することがより望ましいと考えられた。